環いろはちゃんと共依存的にイチャイチャしたい人生だった   作:風剣

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鏡界戦線、あるいはおむかえ

 

「フーーーーーン……。アレが、コレかぁ……。あのイカついゴリラがよくもまァ、随分とプリミティブになっちゃって……。いやあれでもまあ、顔自体は優男って具合だし、そこまで不思議なコトでもないか……」

「……えーっと」

 

 頭のてっぺんからつま先までジロジロと見つめられるのになんだかやりづらくなって、思わず目を背けた少年は目線でさなに助けを求める。

 黄緑色のロングヘア、綺麗な――どこか不気味にさえ感じる、爛々とした目の輝きが特徴的なお姉さん。なんかめちゃくちゃ強そうなひとだなというのが、自分たちに同行するアリナ・グレイという魔法少女を見たシュウの感想だった。

 

 際どいドレス(やっちゃん)臍出しミニスカ(フェリ姉)全身タイツ(いろは)の変身した姿を見慣れたシュウにとって黒を基調とした色合いの、中学や高校に通うお姉ちゃんたちが着る制服みたいなアリナの姿は地味にすら映る印象だったが、きっと実力は見た目よりずっとすごいのだろうなというのを一目みた直感と、周りのみんなの反応からうっすらと感じ取る。

 最初の自己紹介で自らをアーティストであると語ったアリナは少年には歌手には見えなかったが、ここ数週間アトリエに籠ってたとか絵のモデルにシュウをだのとかいう話を聞くとどうやら絵を描くひとらしかった。小さくなったシュウのことをあらゆる方向からじろじろと観察し、果てには勝手に手を握りだして大きさを確かめだしたアリナにとうとう同行するさなが半目になって声をかける。

 

「アリナ。シュウくんが困ってますから、あまりベタベタと触らないであげてください。自分の役目、わかってますよね?」

「うおさなちゃん声こわっ」

「えっ。ご、ごめんなさい……」

「大好きなだーーいすきなシュウくんに触りたいのに触れないからアングリィみたい。くくっ、普段訓練で愛しい()()にお世話してもらってるときより2オクターヴくらい声が低くなってるの、気付いてる? それが素?」

「そっ、そんなことありませんからっ、絶対! いかがわしいことなんか本当にないですっ! う、うぅ……ッ、それにっ、なんでそのこと、ずっとアトリエに籠ってたアリナが知ってるんですか……!」

「……さなさん。アリナも、衣食住は普通にアトリエの外に出てやってますから……。それに、シュウさんとの2人きりでの訓練のこととかも割とマギウスでは噂ですし……」

「……!?」

 

 みふゆの助け舟(ついげき)に頬を紅潮させ言葉を失ったさながたまらず顔を背けるなか、ぱちくりとつぶらな瞳をまばたきさせたのはシュウだった。ほっぺをむにむにとアリナに触られて感触を確かめられている彼は、ぱあっと顔を輝かせてはもうすっかり仲良くなった盾の魔法少女に聞く。

 

「訓練……! そういえばでっけー方のオレがさなちゃん鍛えたって言ってたよね! ねえねえっ、どんなトレーニングしてんの!?」

「……え、ええっと」

 

 投げられたり(受け身の練習)ぶたれたり(防御訓練)足腰立たなくなるまで叩きのめされたり(実戦形式の模擬戦)――。動揺していたのもあってあまりにも外聞の悪い申告をしてしまいそうになったさなが口を噤み、少年がきょとんとした顔になったところで地面が揺れた。

 

「うお!」

「――上で、また1層墜としたみたいですね」

 

 音をたてて次々に割れる鏡。ぐらぐらと揺れる足場。上方で炸裂した轟雷のような破壊音に顔をあげるシュウの目線の向こうでは、轟音が次々に響き渡ってはぱらぱらと鏡の欠片が落ちてきていた。

 

「こちらに気付いたのはななかさんのコピーくらいで、他に隠れてる私たちに気付きそうなシュウさんのコピーともめっきり遭わない……。ねむさんの作戦は順調ですねっ」

 

 現在地、第14鏡層。

 突入から間もなく、やちよといろはが砲撃で第1層を崩落させたのに紛れてシュウは離脱。超攻撃的な侵攻を行っての陽動を担当する班から離れ、今は彼を隠蔽・護衛するためのメンバーとともに別ルートから『合わせ鏡』の元へと向かおうとしていた。

 

 自分たちの前に立ちはだかる使い魔のことごとくを粉砕しては結界をひとつひとつ粉砕していくいろはたちの元に多くの個体が迎撃に向かっているのに加え、班員の全員にかけられたさなの《透明》、みふゆの《幻惑》を発動しての潜入をミラーズの戦力が捉えるのは困難。違和感に気付いた数少ない敵をアリナとさなが一方的に粉砕しシュウを連れた面々は順調に目的地へと進んでいた。

 

「でも、こっちに居ないってことはいろはたちんとこに向かってるってことだよね……? 向こうは平気なのかな」

「いやぁ……。向こうのことは、心配いらないと思いますよ」

 

 少し心配そうな顔になるシュウとは対照的に、みふゆはといえばちっとも不安そうな素振りはしていなかった。

 

「やっちゃんといろはさん、すっごく強いですから」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「うわわっ、来てる来てる来てる――!」

『下から反応多数っ! まだまだ増えるよ、不意打ちに気をつけて!』

 

 悲鳴のような声をあげる月咲、ホテルフェントホープの指令室から報告をあげるねむ。2人の声さえかきけさんばかりの崩落音。

 

 たった今フェリシアの一撃で大穴を開けられた第11鏡層――その下方から、瓦礫を足場にして駆け上がって迫る影がひとつ、ふたつ、みっつ。

 目的地までの最短経路を力技で作りだし、次々に階層をぶちぬいていく少女たち。とんでもない荒技で突き進んでいく魔法少女は、ミラーズ中から現れる使い魔たちによる迎撃を受け交戦に入っていた。

 

「ここは通しません」

「いやこっちのセリフなんだけどな!?」

 

 高速で駆けつけた桂城シュウ、その似姿。基本的に無手でミラーズに現れる彼のコピーは武装を魔法少女かそのコピーから奪ったもので補う……。誰から仕入れたのか、レイピアを片手に迫る彼の刺突を縦に構えた刀で逸らしたななかは返す刀の一閃で首を断ち切り蹴り飛ばす。

 勢いよく後方へ飛んだ使い魔の亡骸が大剣を構える金髪の少女に直撃、体勢を崩す。直後振り抜いた斬撃をもって下層からやってきたばかりの十咎(とがめ)ももこのコピーを少年ごと真っ二つにしてのけた紅髪の少女は、刀を納めて一息をつき――背後から近づこうとしていた二葉さなが鞭のように伸びた刃に刻まれ真横に転がっては消滅していくのに、柔和な微笑みを浮かべ斬撃の飛来した方に声をかける。

 

「ありがとうございます、いろはさん。……それにしても、見知った顔に対して攻撃するのは慣れませんね」

「そうだね……。私も、ここで戦うのは結構神経使うから苦手だな」

 

 すれ違いざま、互いに迫っていた使い魔たちを斬り捨てる。

 

「くそったれ、厄介な――!」

 

 ――遅い。

 

 気配を殺して潜伏しようとも、ななかの魔法は敵の存在を確実に見抜く。胸の中心を抉ろうとする拳を紙一重でかわし、刀を握る手首を掴み獲ろうとする掌も斬り抜ける。白い軌跡を残し駆け抜けた斬閃は愛するひとの姿を模したコピーの上半身をずるりと()()()

 

「これで、シュウさんのコピーも6体目……。再現度にはかなりムラはありますが、間引きをしてくれていたあのひとがいなくなってしまって1週間でかなり増えましたね。いろはさんの感覚はどうですか?」

「……どうだろう。ざっと、普段のシュウくんの5、6割くらい……? 正直ひとりで3、4人相手取るのはかなり怖いけれど――みんなといるから、まだ安心かな」

 

 わらわらと群がった使い魔たちが雨のように降り注ぐ槍によって殲滅されるのをちらりと確認しながら微笑むいろはは、常とは装いを変えて万年桜のウワサの力を借りた桜の精の姿となっていた。

 接近されての戦闘にもちこまれれば、いろはは本来シュウをはじめとする格闘・白兵戦を得手とする手合いに弱い。だが万年桜のウワサの力を借りた能力の補強と、シュウとななかと重ねてきた組手の経験は彼女を中近距離での戦いにおいて()()のシュウに迫る域にまで押し上げた――。

 

 伸縮自在の刃をもって下方から迫っていたコピーが叩き斬られたのを最後に、開けられた大穴の安全が確保される。次々に少女たちが飛び降りるなか、いろはがボウガンに装填したのは煌めく宝石の鏃だ。

 

「借りるね、レナちゃん……!」

 

 駆けつけてくれた魔法少女の有志から貰い受けた、ありったけの魔力を籠めた宝石矢(コネクト・ジュエル)――キラリと光るそれを解き放ついろはは暴風のような一撃をもって間に立ちはだかった使い魔ごと直下の階層を崩落させる。

 

「戦力を引き付けることには成功してるけど、ねむちゃんの話だと戦力が出入り口の方に控えてる可能性は否定できないって……。一応、もう少しペースを上げよう……!」

「ええ、お供します」

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 雨が降る。

 ただしそれは、多大な破壊力を宿した槍の雨だが。

 

「退避退避退避――!」

 

 シュウを抱えあげたみふゆが走る。輝くキューブをずらりと展開したアリナが幾重ものの障壁を張り、さなが全力を振り絞り盾を掲げる。

 それを全て踏み潰さんばかりの勢いで、槍が降り注いだ。

 

「ぎゃーーーーーっ、こっっわ! 何あれ、やっちゃんじゃないんだよね!? 偽物!?」

「コピー、なんですけれど……つっよいですね、これ……! みなさん、あまり傘から出ないでくださいね……!」

 

 アリナの障壁や巨大化させた盾ごと打ち据えてくる衝撃に歯を食い縛って耐えるさなは、足場の鏡に靴底をめりこませながらもなんとか踏ん張って猛攻を防ぎきる。

 槍の雨がやみ、その元凶を探そうとした瞬間。彼女のもっていた盾のうえに音もなく着地した屈強な体格の少年が、その場にいる幼子と彼を庇う魔法少女たちの姿を一瞥してはふんと鼻を鳴らした。

 

「――やっぱ居たか、侵入者。明らかにやばい上のやつらとかち合いたくなくてサボってたのがよくなかったかなあ、普通こそこそしてるようなやつらって一撃でやられちゃうような雑魚じゃねえの? なんで今の耐えてんだよ」

《――さなさん、この桂城くん……》

《――多分、結構強いコピーの方です。今のやちよさんのと、同じくらい……》

 

 第16鏡層――。いよいよ合わせ鏡のある場所まであと一息というところで水を差したのは、広間のひとつで寝そべっていたシュウのコピーだった。

 誓って、透明化は解いていなかった。みふゆもまた、シュウのコピーの存在に気付くとすぐに幻惑の魔法を強め視覚・聴覚・嗅覚の誤魔化しを効かせ万全の態勢を整えていた。だがさなたちが足を踏み入れた瞬間起き上がった彼は、その場にいたやちよのコピーの尻をいい音をたてて叩いたかと思えば広間を見渡しながら何事かを指示――直後、広間全体を莫大な量の槍が囲い、雨となって全範囲に襲いかかったのだ。

 

Shit(サイッアク)

 

 短く毒づいたのはアリナだった。キューブをずらりと展開して幼いシュウの前に配置する彼女は、盾のうえに悠々と座るコピーを睨むと前方で身構えるさなに向かって声をかける。

 

「――さな。アリナが環いろはから依頼されたのはひとつだけ。『小さいシュウをゼッタイに守ること』。はっきり言うけど、コピーとはいえこの水準の七海やちよと桂城シュウの相手をしながら守るのは厳しいワケ。言ってることわかる(アンダスタン)?」

「……大丈夫です。やってみます」

「アリナ? まさか……」

「勿論、援護はしてあげる。ただし、この状況でできるのはそれだけ。シュウをキューブ詰めしていいなら話は別ダケドネ?」

「へ?」

 

 シュウが目を白黒させ、みふゆが歯噛みし、さながふうと息をつく。

 

 ――状況は、待ってくれない。

 

 足場にしていた盾を跳躍した黒髪の少年。その蹴撃が、盾を新たに生成して構えたさなに受け止められて轟音を響かせた。

 同時、後方からミサイルのような勢いで飛来する20本以上の槍。それがばらまかれたキューブによって迎撃されるのを見ながら、苦い表情のみふゆが駆けだした。

 

「――やっちゃんのコピーは私が相手をします! せめて、上のいろはさんたちが来るまでは時間稼ぎを……!」

「まあ、できたらそっちの勝ちだろうな」

「ぐっ、う゛……!」

 

 飄々と口にする使い魔は、盾のうえに乗せる足に力を籠めて受け止めるさなに圧力をかけながら手元に握る刃――割れた鏡の欠片を手首の動きだけで投擲する。

 幼いシュウの左目、その真ん中をめがけて投げ放たれた鏡はキューブによって受け止められ弾き飛ばされた。

 

「やれやれ、そっちに危害を加えるならアリナとさなちゃん消さなきゃならんと。アホみたいなゴリ押しでこっちも大概予定がズタズタにされてるしさあ……つくづく骨が折れるよ、ほんと!」

 

 ――強い。重機と押し合いをさせられてるような心地で盾で蹴りを受け止めるさなは歯を食い縛り圧力に耐えながら悟った。

 一瞬でも力を抜ければ、そのまま盾ごと押しつぶされてしまいそうな脚力は彼女の慕う()()にも迫るか。シュウ本人よりは格落ちし、こうして接敵する今も遊び半分の調子でなおこの身体能力。こと近接の戦闘に限れば、彼に勝てる魔法少女を数えるのはそれこそ両手の指で足りるだろう。

 

 だが――。

 

(コレはシュウさんじゃない。なら――)

 

 勝てる。

 勝つ。

 ――自分と同じ顔で振るわれる暴力を、シュウくんの前で見せたりしない。

 

「あぁあああああああああ!」

「おっと――」

 

 ぐっと踏ん張る。盾に満身の力を籠めて突き出し、それに面白がる素振りを見せた黒髪の少年が足蹴にする盾をより強く抑え込み、()()()()()()

 盾に仕込まれた射出口が開かれたのだ。そこに足が重なるように位置取りを調整されていたコピーは足を踏み外し、開かれた口から飛び出したギロチンに足を刈り取られる。

 

「あっぶねえ!」

(――避けるでしょうね、このくらい)

 

 完全な不意打ち、しかし不安定な片足だけでの体勢変更で半ばひっくり返るようにして足を盾から引き抜いて転がる彼は片足に僅かに切り傷を作るに留まった。

 その動きを見越して腰を溜め、盾を横なぎに振り抜く。目を見開いたコピーの頭に直撃させた。

 

 ――耐えられた。頭突きを合わせた彼の額はかち割れ頭部を中心に水色の亀裂が走っているが、それだけ。追撃に後方からふりまかれたキューブ群もくぐりぬけ後方へ跳躍した使い魔を追いさなも駆けだし、次々にモーニングスターを射出する。

 

「どこに――ちっ」

 

 砲弾のように射出された鉄塊の行き先、それを一瞥したコピーの表情が苦く歪んだ。みふゆを追い詰めていたやちよが降り注いだモーニングスターに妨害されたのを目撃した彼はにやけ面を消し、先に自身の足を削ったギロチン片手に襲い掛かる。

 

 ――遊びがなくなった。殺しに来る。

 

 盾を構える。回り込まれた。速い――。けれどあくまで匂いと耳でだけ、さなたちを見つけたのもやちよのコピーによる範囲攻撃でしかなかった彼には透明化したさなは見えていない。咄嗟に身をかがめさえすれば、頭を狙った一撃は空振った。

 

「……。待ってください。そもそも力と速さだけのハリボテなんじゃ。本当に貴方、シュウさん再現できてます?」

「煽るじゃんガキが……ッ」

 

 シールドバッシュ、全力の突進で突き飛ばす。その衝撃で更に頭の罅割れが広がり、ギロチンが転がった。盾が掴まれる。投げられた。

 咄嗟に盾を手放すことで盾ごと投げ飛ばされることは避けるさなだったが、無手になり無防備な姿を晒す。身をひねった使い魔が高速で回転し、鋭い蹴りが少女の華奢な胴を抉る。

 

(――ありがとう、アイちゃん)

『攻撃パターン、演算通りです。ミラーズのコピーの動きは、訓練中の桂城シュウの動きを逸脱しません』

 

 ウワサの融合を施されているのは、いろはやシュウだけの話ではない。

 突入する前。絶対に失敗を許されないこの戦いにおいて、護衛部隊に所属するさなにはねむがとあるウワサを仕込んでいた。

 

 名無し人工知能のウワサ。普段はカミハ☆マギカ所属のアイドルに対し不埒な悪意を向ける輩の端末を破壊するために運用されている力だが――。一度戦闘となれば、相手の動きの悉くを先読みし最適な道筋をさなに示す。

 

 地に伏せるようにして屈んださなの頭の真上を蹴撃が駆け抜けた。そのまま前方に飛び出した少女は使い魔の股下をくぐりぬけ、()()()()()()()()()

 生成されたのは、剣。攻撃を回避されたコピーが振り返る瞬間、その胸の中心に突き立てられたのは、RPGに登場するようなポリゴン状の光の刃。

 

「……マジか、仕上がってんな。これ本物なら対応できたわけ?」

「動きを先読みしたのに更に対応されるし、そもそも私の方が動きが追い付かなくなっちゃうので……」

「マジか……そりゃ、ざんね――」

 

 光の刃が爆ぜた。

 胸の中心にあいた風穴、コピーが崩れ落ちて消滅する。

 

 同時、鏡層の天井が崩れ落ちて自分のコピーの胸の中心に刃を突き立てるいろはがそのまま墜落、みふゆの幻惑に翻弄されていたやちよのコピーを崩落に巻き込んだ。

 消滅する使い魔を捨て置いて広間に降り立ったいろは。健在の仲間たちの姿に笑みを浮かべたさなはポリゴン化した腕を元に戻しシュウたちとともに仲間たちと合流する。

 

「――いろは、よかった平気だったんだ――おわーーーー!すっげえ血まみれじゃん!大丈夫!?!?」

「あっ……。ごめんなさい、怖がらせちゃって……。平気だよ、もう傷ひとつないから」

「ほっ、ほんとに!?」

 

 私のコピー思ったよりタフでやりづらくって……と苦笑するいろはの言い訳に顔色を変えて容態を確認するシュウ。そんな彼の様子を見ていろはに続いて降り立ってきた魔法少女たちも微笑まし気にしていたが……そこで、鶴乃がぴくりと身を揺らしては顔をあげた。

 

「――ねむちゃん、どうかしたの? ……シュウくんからの連絡? ……え゛、あのお母さんが!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔法少女たちの迅速な行動によって使い魔たちも駆逐された、合わせ鏡周辺。

 ウワサによって固定化された空間。そこに足を踏み入れた――あるいは、踏み出した者がひとり。

 

「――ここが、10年後……」

 

 巫女服めいた衣装、黒髪のポニーテイル。あたりを見回すのは、妙齢の魔法少女だった。

 

「……シュウ、ケガしてないかな。元気かな……」

 

 桂城理恵が、ミラーズに現れた。

 

 

 

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