環いろはちゃんと共依存的にイチャイチャしたい人生だった   作:風剣

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23時間遅れましたが日は跨いでないのでセーフです
少しだけ未来の番外編


バレンタイン特別編 ~DearMyLove~

 

 

 其は、恋する乙女たちの決戦の舞台である。

 

 其は、欲望に燃える男たちの悲喜が交錯し嫉妬と憎悪、歓喜と優越心渦巻く血戦の日である。

 

 即ち――、

 

「バレンタイン、ねえ……」

 

 そんな、どこか関心と熱意に欠けた少年の言葉が漏れるのに。野球場で後片付けをしていた先輩方の視線が集中した。

 

「あ? なんだノリが悪いじゃん桂城、お前気にならんの?」

「そうそう、バレンタインだぞ、バレンタイン! 女の子たちがチョコを――チョコを! 秘められた想いと共に!! 俺たちに贈ってくれる日だぞ!!??」

「……いやだって、いろは以外の女の子からチョコ貰ったところで別に……」

「煽ってんのかこいつ」

「かぁーー!! 良いよなあ彼女持ちはよぉ、確実にチョコを貰えて嬉しいもんだなあ! 吊るそうぜこいつ――」

「いやでも先輩彼女いるんじゃないんですか、先週中等部の可愛い娘とデートしてるの見かけましたよ」

「……」

「ほう」

「誰だ、吐け」

「まさかかえでちゃんじゃないよなあ……?」

「いや名前が出てこないんだよなあ。すげえ可愛いかったけれど名前が出てこない。何だっけ……緑色の髪の娘で、本屋で働いてんの見かけたような……」

「かこちゃんじゃねえかふざっけんな死ね!!」

「……うるっせー! 付き合ってはいねえよ! 本の話で盛り上がっただけですー! だけどチョコの好み聞かれたから俺は大勝利確定やぞ、負け組ざまぁ!!」

「殺す」

 

 神浜市大付属校、その中等部。

 環ういの捜索にあたり、現地での情報収集をするための拠点は必須といえて。とある魔法少女の好意により寝泊まりのできる下宿先を得たシュウといろはは、学校もまた近隣の区域に移って通学をしていた。

 

 転校当初こそシュウは授業が終われば即座に帰宅し魔女やういの捜索をする傍らいろはと一緒にくっついていたりやたら騒がしい同居人の面倒を見たりといった生活を過ごしていたのだが、その内に学校で過ごすなかで彼の身体能力を認めた各運動部の顧問や先輩方からの熱いアプローチを受けるようになって。

 ある程度いろはの魔法少女活動が安定してきたこともあり、少なくとも高等部に進学するまでは頻繁には部活動に参加できそうにないという条件を呑んでもらう形で、暫定的に野球部に籍を入れることとなっていた。

 

 怒気も露わに掴み合いを始める先輩方から離れつつ部活動の片付けに混ざるシュウは、同じように馬鹿な男たちの醜い争いから抜け出してきた高等部の先輩から声を掛けられる。

 

「あいつらも一応野球部なんだし普通にチョコくらいは貰えると思うんだがねえ、やっぱり本命貰えるのが確定している奴は妬ましいか。シュウ君はどうなのさ、体育の授業は基本的に上位らしいし毎年結構な量貰えたんじゃない?」

「義理のも含めてそれなりには貰いましたけれど……、何度か髪の毛混入してるのに気付いてからはいろはのを除いて手作りのは処分してますね。いくら何でも、うん……」

「あー……わかるわかる」

 

 フィクションの世界では自身の一部をチョコに混ぜるのはロマンチックな要素を感じるのかもしれないが……いざやられる立場になるとひどく困るものだった。別に女の子だから殴らない、傷つけないといった主義信条を持っている訳ではないにせよクラス内で独自のグループを築いていることの多い女子たちに「衛生的に最悪だからやめろ」と正面から叩きつけるのも憚られなかなか気まずい思いをさせられたものである。

 それはそれと、一昨年のバレンタインは前日に1度だけいろはから口移しでチョコを受け取ったことがあったが――当日はちゃんとしたチョコをお互い顔を真っ赤にしながら受け取った――アレはういに吹き込まれてやったのだろうか? 本当に最高だった。

 

「今日はいろはちゃんも来てなかったからやっぱりチョコ作ってんのかね。あの子がいるといつもは丁寧に手を抜いてる誰かがめっっちゃ張り切るから本当にありがたいんだけどなあ……。誰かさんがいつも本気でやってくれたらなあ……」

「ははははは、やだなあそんなことしたら闇落ちした先輩方のやっかみ喰らうじゃないですか」

「腹立つ言い草だな……。いや実際部活に入ってきたばかりのリア充後輩にレギュラーの座から蹴落とされたら嫌がらせのひとつふたつはしたくなるだろうけれど。いやあ俺も2ヶ月後3ヶ月後が怖いわー」

「自分がやるなら内野か投手なんで先輩と競合するってことはないんじゃないですかね。キャッチャーも悪くはないけれど先生やキャプテン辺りにもっと足なり肩なりを活かせとか言われそうですし」

「お前の全力投球は受けたくないなあ」

 

 苦笑する先輩に、いや勿論加減はしますよとは口にしたが……実際どうだろうか。いろはが応援にきたらそれこそ砲撃のような投球をしでかしてしまうかもしれない。いちいちドーピングやら不正やらを疑われてもきりがないので加減はするつもりだが……。流石にいろはの前で無様な真似をとることを許容できるほど寛容ではなかった。

 

「あ、先生」

「何人かの女子から差し入れ来てるぞー、明日来れないから作ったチョコを渡しに来てくれたらしい。いっぱい作ってくれたから皆で分け──」

『『『よっしゃァァぁああああああああ!!』』』

「いやうるせぇ! おいこら(たか)るな、邪魔だ邪魔ぁ並べ! あ、本命確定してるやつはどいてろ爆ぜろ」

「先生ェ!?」

 

 にわかに賑わう野球場、血気盛んに迫る部員たちを暑苦しいわの一喝で列を作らせる顧問のもとにシュウと話していた先輩も嬉々として向かっていったが……敢えなく玉砕。彼女もちであるのを知る一部の部員によって連行され列から連れ出されていた。

 

「はなせー、彼女持ちで何が悪い折角作ってくれたチョコを喰わないのは 女の子に対して失礼じゃないかー」

「一理ある、しかし本命がいるのに他の女の子のチョコを受けとるこそ失礼だとは思わないのかね?」

「ハッ、なら言わせて貰うが……明日来ないでこれ持ち込んできた女子間違いなく一番のチョコを本命に準備してるしお前らのこと多分眼中にないぞ」

「殺すか」

「殺そう」

 

 バットは使うなよー、海に沈めてやろうぜーといった物騒な会話が繰り広げられていくのに笑いを堪えきれずに口元を緩める少年は、ふとこの場にはいない恋人のエプロン姿を思い浮かべて。

 昨日の段階から自分をキッチンから締め出すようにして準備を進めていたいろはの姿を思いだし、期待も露わに笑顔を浮かべる。

 

「明日はどんなチョコを貰えるかなあ……」

 

 

***

 

 

「……」

「……むむむ……」

「……みたまさん、どうしたんですか?」

「ここまで形にすることができたのは嬉しいけれど……やっぱり彩りが足りないのよねえ。ここでケチャップを投入して……」

「駄目ぇ―――ッ!! 没収したのにどこから取り出したんですか!? 駄目です絶対駄目っっ!! ほらちゃんと美味しく食べられるチョコを作りますよ!」

「ぇー……、ももこぉいろはちゃんが虐めるぅ」

「当然の反応なんだよなあ。大人しくいろはちゃんの言うことを聞きなさい。今年こそはちゃんとしたチョコを作るんだろう?」

「ふゅうううう……」

 

 人が変わったかのような鋭い目で一挙一動を見張るいろはに音を上げた銀髪の少女が、ももこに窘められて肩を落とす。横で共に作業をする少女たちにもふゅうう真似されてる……、全然似てないじゃない、などといった指摘を受けて一層沈痛な面持ちになった。

 

 強力な魔女を相手取るにあたって様々な資源を用いて魔力を強化する魔法少女の生命線といっても過言ではない最上位の要衝である調整屋。

 打ち捨てられた映画館、その内部の居住スペースに設置されたキッチンは、甘い匂いやなにかの焦げた匂いに満たされ様々なバレンタイングッズやチョコレートの包装紙の散乱する戦場となっていた。

 

 己の感性のままにぶちまけようとした調味料を奪われ嘆きながらも大人しく湯煎に掛けられ溶けたチョコレートに卵黄と牛乳を投入しかき混ぜるみたまを自らもかえでの補助をしながら見守るいろはに、完成したチョコを冷凍庫にしまっていたももこは苦笑しながら声をかけた。

 

「それにしても、みたまだけじゃなくて私たちまで面倒を見てもらって良かったのか? 実際いろはちゃんびっくりするくらい手際良いし楽しくやらせて貰ってるけど……ほら、本命の準備とかあるだろ?」

「いえ、私もこうして皆で集まってチョコを作るの滅多になかったので楽しいですよ。それにシュウくんのチョコは昨日やちよさんたちとチョコを作ってたときに完成させてたので大丈夫です!」

「抜かりないわね……」

「うん。それに──」

「?」

 

 私だけじゃとてもじゃないけれどみたまさんの面倒を見切れる自信がなかったし……。

 そう遠い目になって呟いたいろはに思わずレナが噴き出す。しかし八雲みたまという調整屋をよく知るももこには寧ろ納得しかなかった。

 

 レンジの中で食材が爆発したり、鍋の中身が沸騰して溢れそうになったりなどといった一般的に想定しうる失敗はまだマシな方。包丁が高々と振り上げられ、フライパンの上で料理が炭化し、たまに炎上する。安心安全のレシピをガン無視して好き放題に調味料をぶちまけ、出されるのは何度かの失敗を乗り越え外見だけは整えた料理──。しかもそれを、本人は比較的美味しそうに食べる。

 極度の味音痴、八雲みたまに料理を教えるというのはそういうことだ。実際いつも利用してくれている魔法少女のためにバレンタインチョコを作りたいと申し出たみたまに応えいろはが監督することとなった今回も監視の目虚しく惨たる有り様で──。

 

「1回目はチョコが調味料の混入でゲロ不味になって、2回目は何故か爆発して。3度目でようやっとここまできたけど……いやいろはちゃん凄いよ。まさか1時間もしない内にみたまが全うなチョコを作るまでになるなんて思わなかった」

「(……どうしよう、こんなことで褒められてもあんまり嬉しくないような──、……はっ!?」

「いろはちゃん口に出てたよ……?」

「ご、ごめんなさいみたまさん……」

「うぅ、別に良いわよぉ。見てなさいいろはちゃん。ここまで来たんだもの、絶対に女の子のハートを鷲掴みのチョコを作ってあげるんだから……!」

「いいぞその意気だ!」

 

 ももこの叱咤を受け笑顔でボールのなかにみたまがかけようとしたマヨネーズを、かえでといろはが羽交い締めにして回収するなどの一幕を挟みつつも、魔法少女に配るためのチョコレート作りは、着実に進行していく。

 そして、ようやく──かえでやレナの手伝いから一時的に離脱する形で付きっきりになったいろはの目の前でみたまの持つチョコが冷凍庫にしまわれた。

 

「──うぅぅーん、疲れたぁ」

「私もようやく重荷が降りました……。みたまさんもお疲れ様です」

「いろはちゃんもみたまもお疲れ様。いやよくやったよ」

「みたまさんがチョコごと鍋を爆発させたときはどうなることかと……。かえでちゃんやレナちゃんも手伝ってくれてありがとうね」

「……ふ、ふん。別に礼なんて言われる筋合いないわよ。死因がチョコとか嫌すぎるから手を貸しただけだし……、あ!! いろはこの先の手順なんだけど!」

「レナちゃんのが終わったら私の方も見て貰って良い~?」

「勿論!」

 

「……レナちゃんのツンデレで唐突に刺されたぁ、皆して酷いわよぉ」

「ははは、みたまのチョコ作り手伝うって聞いたときものすごい嫌がってたからなあレナのやつ……。いろはが一緒に面倒を見てくれるって知ってようやく頷いたくらいだし」

「ぐすん。……でも驚いちゃった。いろはちゃんが料理できるのは知ってたけれど、まさかあんな風にきびきび動けるなんてねえ……」

 

 ももこに垂れかかるみたまの視線の先では、下手をすればキッチンを壊滅させかねなかった不安要素を乗り越えて一気に明るい表情になったいろはが楽しげにかえでとレナのチョコ作りを指南していて。

 自らもまた弟たちの相手をしながら料理をすることがままあるだけにその淀みない動きに心底感服しながら、ももこもまたみたまに同意するように頷く。

 

「去年まではバレンタインの度にシュウくんのお婆ちゃんに手伝ってもらいながらチョコ作ってたんだってさ。日頃からよく一緒にお菓子作るくらいには仲が良かったらしいし」

「ああ、あの……。私もいろはちゃんの記憶ちらって覗いたとき見たけれど凄いお婆ちゃんだったわよぉだってもう80くらいはしてそうだったのにあんな……いやこれ以上はダメね、調整屋失格になっちゃうわ」

「プライバシーはそりゃ大事だけれどそういう切り方はずるくない?」

 

『あ、レナちゃんつまみ食いはダメだよぉ折角明日のために作ってるのに……』

『ぬぐっ……、どうせ形の崩れた失敗作込みでいっぱいあるんだから良いじゃない。こんなに作ったところでチョコ渡す相手なんてそんなにいないし……』

『うんうん、レナちゃんは誰に渡すの?』

『んぁっ!? そ、そんなの……かえではどうなのよ!』

『え、私? 私は、ももこちゃんでしょ、いろはちゃん、シュウくん、みたまさん、かこちゃん、このみちゃん、ブロッサムのおばさんにクラスの仲の良い子に……』

『…………そ、そう。別に……』

『勿論、レナちゃん!』

『……!!』

 

 かえでちゃんも随分と強かになったわねえと親友の純情を弄ぶ少女に呆れながら、楽し気に2人と笑い合ってチョコの仕上げに移っていくいろはの様子を見守る。

 運動神経は学内随一。魔法少女とともに魔女と戦うだけの強さを持ち、敵対行動さえ取らなければ基本的に誠実で、一途。彼女の恋人である少年は、一般の学生を含め様々な少女たちが狙う恋のターゲットでありいろはにとってはかなり敵も多くなってくるだろうが……。

 みたまには、仮にシュウと面識があるにしても1年にも満たない付き合いの少女たちに、2人の仲に割って入ることのできる要素を欠片も見出すことができなかった。

 

 ……調整屋の脳裏を過ぎるのは、いつぞやの調整を経て観測したとある記憶――、一つの離別と、一つの誓いの結んだいつかの過去で。

 

「……本当、妬けちゃうわねぇ」

「いつか、聞いてみようかしら。2人が、初めて逢った日のこと」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 そして、その夜――自室のベッドに腰を降ろし部活動の帰りにとある修行狂いに追いかけまわされた心身の疲労を癒しながら、シュウは携帯の画面を開いて幾つかのメッセージに返事を返していた。

 逃走の間はフィジカルを存分に発揮してビルやら建物の屋上、路地裏を駆けまわり神浜市中を走りぬけていたこともあり帰宅したときには既に夜遅く。時刻は既に零時を回ろうとしていた。

 風呂と食事だけは済ませ眠りにつくまえに彼が送り付けていくのは明日も学校に来て走り込みだなどとほざく先輩殿への煽り文であったり、連絡先を交換してからはいろはや同居人以上にメールの遣り取りをしている衣美里のメッセージに対する返信であったり、バレンタインから一気に出現するという特殊な魔女の討伐を要請する知り合いの魔法少女に苦言を呈したり。

 

 そんななかには、同居人やいろはを連れて冷やかしに行こうかと思えるような内容の連絡もあって。

 明日のバレンタインデーに応じ水徳商店街で行われるバザー……衣美里経由で知り合った騎士に憧れる魔法少女たちの主催するイベントには幾人かから誘いをかけられている。募金に応じ花飾りも貰えるようで、いろはたちさえ乗り気なら一度様子を見てみるのも一興かもしれないと思えた。

 

 そこで――自室の扉が、ゆっくりと静かに開かれる。

 

「……いろは?」

「あ、よかった。起きてたんだ……」

「寝てたらどうするつもりだったんだその恰好……」

「……その、一応ほら、魔法少女の衣装で隠してたし」

 

 ただでさえ神浜で過ごす間住まわせて貰っているこの館は彼を除いた住民の全員が魔法少女なのだ……。一応女性陣の住まう部屋から最大限離れた位置にこそして貰ってはいるが、あまり初心な娘たちにそういった行為について仄めかすような真似は避けておきたいところではあった。

 廊下を歩く間身を覆っていたのだろう白い外套を軽く掲げつつ。そっと近づいてきた彼女を抱き寄せベッドに押し倒しながら、少年はそのまま覆いかぶさろうとして――ぐいっと、小さな箱を顔に当てるようにして押し退けられる。

 

「……? これ」

「はい、シュウくん。ハッピーバレンタイン」

「おぉ……、ありがとう」

 

 そういえば――ちょうど、零時を回っていた。顔をほんのりと赤く染める彼女からの贈り物をありがたく受け取りつつ。開けてもいいかとの確認に頷くのを見て、リボンで包装された小さな箱を開く。

 

「……いや、上手いな」

「そう? かなり凝って作ったからそう言ってくれると嬉しいな……」

 

 中に入っていたのは、魔法少女のソウルジェムを丁寧に再現した卵状の小さなチョコレートだった。艶やかな桃色に彩られたチョコを口にして咀嚼すると、ベッドに横になったまま嬉しそうに、けれど少し不安そうな表情を見せるいろはが声をかけてくる。

 

「……その、どう……? ルビーチョコとかジャムとかいろいろ試してみたんだけれど、結局どんな味付けがいいかだいぶ迷っちゃっていて……」

「美味しいよ、本当にありがとう。……いろはも食う?」

「え? でもそれ、ひとつしか――、んッ……。んぅ、っ――」

 

 顔を寄せ唇を重ね、柔らかい唇に滑り込ませた舌で口の中に残るチョコを押し込んで。

 ……2分か、3分くらいは続けていただろうか。いろはに覆いかぶさり、舌と舌を絡めるようにして暫く濃厚な接吻を続けていると――流石に息苦しくなったのか、とんとんと背中を叩いてくるいろはに応じ口を離すと、肩を上下させ荒い息になるいろはが頬を紅潮させながら密着する中で乱れた着衣を正す。

 

「どうだった? 美味しかっただろう」

「……………………わかんないよ、味なんて」

「そっか。……じゃあもう一度、やる?」

「……」

 

 ――完全に火が付いたのか、目をギラつかせるようにしてそういった少年の誘いに。

 沈黙するいろはは、恥じらうように俯いて。小さく頷くのを確認するや否や、再度少年が身を寄せる。

 

 重なり合う身体。大切なひとと幾度となく繰り返す口づけは──ひどく甘い、チョコの味がした。

 

 




シュウの獲得したチョコ
環いろは、八雲みたま、秋野かえで、十咎ももこ、水波レナ、木崎衣美里、みかづき荘の面々(約一名チョコバー)、その他
衣美里関連で繋がりを持った魔法少女からはだいたい貰っている
流石に魔法少女からもらった手作りチョコが処分されることはなかった

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