環いろはちゃんと共依存的にイチャイチャしたい人生だった 作:風剣
今いろはたちの通う宝崎の学園は。市内や近隣の街を含めた複数の学校のなかでもいわゆる進学校という立ち位置でありながら、校則も比較的緩く小綺麗に整えられた校内の雰囲気も決して束縛感や張り詰めた雰囲気を感じさせない稀有な特性を有していた。
校内の設備や支援衛生環境も管理が行き届き、相応に割高な学費を出す甲斐もあると保護者陣や生徒からの評判は上々。
とはいえ、そんな学校でも当然、各教員に関する善し悪しが生徒たちによって真偽問わず好き勝手に噂される訳で。
特にいろはの担任は、『Sっ気が言動から滲み出てる』『あのボディラインは正直反則』『一回鞭で叩かれて罵られたい』等――叩かれたい云々といった言を熱烈な支持をする一部の女子の口から聞いたとき、隣にいたシュウの表情はなんとも形容しがたいものだったと覚えている――学園の教員の中でも、特に話題の事欠かない人物だった
「……」
それでも、悪い人物ではないのだろう。少女の両親が海外出張に行ったことを知るなり声をかけていつでもサポートするからと言ってくれた彼女に、いろはは素直に感謝していた。
「それじゃあ私たちゴミ捨ててくるから! いろはちゃんお疲れ様ー!」
「うん、よろしくね」
担任との話を終えて。急用のあるというクラスメイトの代わりに掃除をしていたいろはは、一緒に掃除をしていた面々が立ち去っていくと水気の薄れたモップを軽く振る。
魔法少女となれば変身していなくても一欠片程度ならその能力を振るうことができる――強化された身体能力でモップを片腕で振り回し、教室を軽やかに移動しながら両手で柄を握り直してモップをぶん!と振り抜く。
「――私も、あんな風にかっこよくできるかなあ」
「ぇ、あんな泥臭いやり方やめた方が良いよ」
「!!??」
シャッター音。
超速で振り向いたいろはは、いつの間にか教室に入っていたのか、にやにやと笑ってスマホを構えているシュウに叫びだしたくなるのを必死に堪えながら駆け寄った。
「シュウくん、い、ぃいつからここに……!?」
「モップ振り回し始めた頃から。あれもしかして俺の真似?」
「……!! ま、待って逃げないでっ、写真撮ったでしょ……消して……!」
「えぇーダメだよこれは『我の可愛いいろは』フォルダに入れなきゃだから」
「……恥ずかしいから本当にやめて……そのフォルダ名に関してはもう何も言わないから……お願い……」
「うっわ泣き一歩手前の顔の罪悪感やばい。ずるくない?ごめんごめん消すから消すから」
目の前で撮られた画像――夕日に照らされながらいろはがモップを振る姿だった――が削除されるのを確認し、ようやくへなへなと座り込む。続くようにしてシュウから放たれた「にしてもアレそんなかっこいいかなあ……、これは言うの迷ったけどスカートの中見えたからあんまり激しい動きしない方が良いよ」に再度撃沈した。
「うぅ……もうやめて……なんでもするから……」
「なら魔法少女の衣装を……いやなんでもない、無粋だった」
「?」
「(……あれはあれで眼福だからなあ、他の男に見せない分にはまあいいか)」
机にうつぶせになって身を伏せていた少女は首を傾げるも、何事かを言い淀んだシュウがそれ以上言及することはなくて。
「いろは、頼むから他の相手にはなんでもするって言っちゃダメだからな、特に男と魔女には。俺にも割りと本気で言っちゃだめだぞ、前魔女に操られたときみたいなことは序の口だからな」
「う、うん……、でも別にシュウくんになら……」
「ほんとそういうとこだぞ??」
頬を染めて呟くいろはに半ギレ気味に返す。今度そういう欲を煽る発言したら本気で襲うからなと心に決めつつ、メッセージ画面を開いた端末をいろはの座る席に乗せた。
「ぇ、これ……?」
「連絡を取れた魔法少女。残念だけど願いを忘れるなんて事例に心当たりはないみたいだなあ。魔法少女とか個人の付き合いが多くなりがちだからなかなか参考になる情報が集まらないのが難点だね」
「凄い……私が実際に会えた他の魔法少女なんて黒江さんくらいなのに……」
「SNS便利だぞー、専用のタグ使えば普通に魔法少女と話せるからねぇ」
「へえ……私も始めた方がいいかなあ」
「やめとけ」
「?」
「やめとけ」
真顔でやめた方がいいと言ってくるシュウに首を傾げつつも、メッセージ欄をスクロールするいろはは、画面に表示されたある文面に気付くと頬を赤く染めた。
「……その、この惚気話とか嫁自慢って」
「あぁ……まあ定期的に呟いてるからね、うん」
「そぅ、なんだ……うぅ……」
真っ赤になった顔をあげることもできずに俯く少女に苦笑し、彼女の見ていたグループトーク欄を確認する。『聞きたいことがあるんですが』と言っただけなのに『TLに流されるのも迷惑なのにこっちにまで嫁自慢してくるのやめろ』『また惚気話???』『コーヒー要るような話です?』などと散々な言われようだった。
通知音。シュウが端末をいじるが、すぐに首を振る。自分の携帯だと気付いたいろはは画面を一瞥すると、先程のぽんこつぶりが嘘のようにすっくと立ち上がった。
「黒江さんから?」
「うん!」
よしきたとロッカーから大きいバットケースを引っ張り出して担ぐ少年と並んで、いろはは昨日共闘した魔法少女のもとに向かう。
そこで――ふと、疑問が脳裏を掠めた。
(さっきのメッセージ欄、何人か何ヶ月も前から連絡取らなくなってるけれど、どうしてなんだろう――)
喧嘩でも、しちゃったのかな?
そう思ったが――多分聞いても、シュウは答えてくれない気がした。
***
ガタンゴトンと電車が揺れる。
帰宅者のラッシュに直撃する時間帯よりはやや早いものの、既に授業や業務を終えた学生やサラリーマンは車内にかなり見受けられた。
魔女の棲まうとされる電車。その最後尾の、比較的乗客の少ない車両に、自分たちはいた。
いろはと同じく、魔法少女としての衣装ではなく制服で電車に乗り込んでいた黒髪の少女──黒江は、今回の魔女討伐に当たって協力を要請していた宝崎で活動する同胞と共にやってきたシュウを見上げると怪訝そうに眉を潜めた。
「……その、桂城くん、だったよね。昨日も結界内にいたの見かけたけれどどうしてここにいるの……? 環さんをサポートしているとは聞いているけれど流石に戦えないんじゃあ……」
「んー? そういう能力なんだよ、いろはと俺で二人で一つ、ステータス向上的な」
「……なるほど?」
嘘である。恋人と共に魔女と戦うにあたってそのくらい役に立てれば良いなあとは願っているが残念ながらそこまで人間はやめていなかった。
シュウの説明にこそ首を傾げられたものの黒江は普通に納得したようだった。そんなことはないよねと言いたげに目を見開いて驚くいろはの視線をスルーしつつ、肩に大型のバットケースを背負う少年は自身の戦力としての客観的な評価を共有する。
「流石に魔法少女ほど強くはないにせよ使い魔くらいなら普通に倒せるし最低限の自衛はするよ。足手まといには……なるかもしれないがそこはいろはがサポートしてくれるから気にしないでくれ。基本的には近づいて殴って逃げて撹乱するから隙を突いていろはと一撃をいれてくれると助かる」
「――」
……自分と、同じ年頃の男の子が。魔法少女にしか倒すことはできないと思っていた魔女を相手に、当然のように突っ込んで攻撃すると宣うのに、黒江は僅かに瞠目して――胸の内にこみ上げた黒い感情を呑み込んで、冷淡な眼差しで少年を見上げる。
「……そう。戦えるのなら別に構いはしない、魔女と戦える戦力が増えるのなら願ってもないことなのだし……。いろはさんも、来てくれてありがとう」
「ぇ? いえ、魔女を放っておくわけにはいかないですし……! でもここ、確か魔女がだいぶ見つけづらいんですよね……?」
黒江と並ぶようにして扉の前に立ついろはの言葉に、黒髪の少女はこくりと頷く。
「魔女がいるのは間違いないけれど、結界が巧妙に隠されている。気配も薄いし魔女が現れてもいないのに乗客の前で魔法少女になるわけにもいかないから後手に回るしかない……」
この電車に姿を隠した異形がいることも知らず無防備に過ごす乗客。格好の獲物を結界に引きずり込まんと狙う魔女が現れるのを待ち迎撃するのが最適解であると。そう語る黒江に、いろはと顔を見合わせたシュウは渋い顔になった。
――昨日の時点で、いろはと黒江は魔女と接敵している。学業もある以上は長時間張り込んで魔女を見張るのも難しいし、顔の割れた魔法少女が結界付近に居座っているのを悟られれば別の場所に移動されることもあるかもしれない。通学にあわせ警戒するしかない辺りつくづくままならぬものであった。
車両の電光掲示が瞬く。
「……」
「……」
「……」
最低限の情報共有を終えた3人を沈黙が包む。
元々黒江も無用な会話を是とする性分ではないのだろう。シュウは自分たちの降りる駅が間近に近付いていることもあり繊細な事情を持っていることの多い魔法少女相手にこれ以上声をかける意義を感じておらず、そしていろはは――共闘する機会の限られる魔法少女と少しでも交流をはかりたいのか、生来の内気さを発揮し一周回って微笑ましく思えるくらいの覚束なさを見せながらもめげずに黒江に声をかけていた。
最近は宝崎で魔女を見かけなくなってきたこと。
自分たちの活躍のおかげで魔女から皆を護れていると思うと嬉しく思うこと。
シュウのサポートを受けて魔法少女としての技能の応用を模索していること――。
そこまで話したところで。走りながら揺れる電車の扉に背を預けた黒江が、小さく問いかける。
「環さんと、桂城くんは……やっぱり、付き合ってるの?」
「ぇ? は、はい……」
「確か小学校卒業する少し前辺りからだったな……、魔法少女やってるの知ったのが半年前だし本当にあっという間な……」
「……そうなんだ」
良いなあ。
「え――?」
以前いろはに自分を助けてくれているという少年の話を聞いたときの口ぶりと、いざ並んで現れた2人の様子を伺って。実際にいろはから、赤くなりながらも確かに頷いて肯定されて。
そう呟いた黒江の横顔を、いろはは見るが――シュウを見上げる彼女の黒い瞳は、酷く陰鬱で。力なく息を吐いた少女は御しきれずに溢れ出す感情に困惑しながら、自身の叶えた願いについて語る。
「好きな人と付き合いたい……それが、私が魔法少女になるとき叶えて貰った願い」
「それ、は……」
「その人とは……結局別れたけれど。それでもあの時の私にとってはそれが何よりも大切だったし、一番の願いだった」
だから――少し羨ましくて、妬ましいと。魔法少女になんてならなければよかったと零しながら。
自分と違って、恋愛のためなんかに願いを使う必要なんてなかっただろうことも。魔法少女なんてやっていることが知られればそのまま縁を切られてもおかしくなかっただろうに、それでも危険を顧みず自分を支えてくれる人がいることも。本当に羨ましいと視線を向ける黒江に、いろはは何も言えなくて。
そこで。無言で話を聞いていた――迂闊に口を挟めば煽っていると受け取られてしまってもおかしくないと判断していた――シュウは、自分たちの降りる電車の駅の看板が閉じられた扉の向こうで通り過ぎていくのを目撃した。
「ぁ……」
「確か今の、いろはさんたちが降りる駅じゃあ……」
「あはは……降り損ねちゃいましたね」
z……、
「……ねえ」
「『神浜市に行けば、魔法少女は救われる』――こんな噂を、聞いたことある?」
沈黙、そして、驚愕。訝し気に通り過ぎて行った駅を見送っていたシュウは、その言葉を聞いて目を見開いた。
不意に黒江が口にした文言の内容を判じかねたのか、いろはの反応は薄いものだったが、それは――シュウと時折情報をやりとりすることのあった魔法少女が、
「それ、は」
「……シュウ君、知ってるの?」
「……あくまで噂にすぎない、その筈だ。だけど何人かの魔法少女は夢に現れた女の子に言われたその話を信じて本当に神浜市に向かっている、らしい」
z……ザザ……!
そう、噂だ。あくまで噂にすぎない、その筈なのに――いっそ盲目的なまでに信じ込み、実際に向かうというのは……あまりに、理解しがたいことではあった。
それはいろはも同様であったようで。目を見開いた彼女は、黒江の方を向くと困惑しながら噂の真偽を問い質していた。
――確認しなければならないことができた。
制服のポケットからスマホを取り出してSNSアプリを開く。かつて接触した魔法少女とはSNSを通じ知り合ったこともあり、基本的なメッセージのやりとりもそれを通じたものだったが……開いたメッセージ欄には、相変わらず既読がついていない。
『夢の少女の噂、あるいは神浜市の魔法少女や魔女についての詳細が知りたい』
素早く入力し、メッセージを送って――、そこで、自嘲気味に苦笑する。
ほぼ音信不通になった魔法少女に今更連絡などしても欲しい情報などくるはずもない。酷ければ亡くなったかもしれない魔法少女の関係者からの詮索も有り得る――。幾ら彼女が神浜市に行ったかもしれないとしても、黒江の言葉に過敏になりすぎだと自省し端末を切って。
背負うバットケースの中に納められた得物が、内側からがたがたと音を鳴らして跳ねた。
――今更来たかと鼻を鳴らす。自分たちが目当ての駅で降車してからであればまだ袋叩きにならずに済んだろうにと思考を巡らせ、
……待て。
そもそも、停まっていたか?
「――俺たちが乗ったのは間違いなく、各駅だった……よな」
「え?」
「……魔女?」
『私語厳禁』『私語厳禁』『私語厳禁』『私語厳禁』『私語厳禁』『私語厳禁』『私語厳禁』『私語厳禁』『私語厳禁』『私語厳禁』『私語厳禁』
それまで何事もなく終点や次に停まる駅を示していたのが一斉に切り替わる電光掲示。バットケースのファスナーを開いて得物を取り出せるように手を突っ込んだ少年は――そこで、気付く。
「ま、ずっ」
ゆらりと、席から立った乗客たち。
瞳から光を喪った、明らかに正気ではない彼らが――動きを止めた3人に向かって、一斉に押し寄せた。
「っ」
「きゃっ!?」
一般人である彼らに対し危害を加える訳にはいかない。魔法少女に変身することもできぬまま押し寄せてくる乗客たちに圧迫され苦し気に呻く少女たち。
彼女たちを庇うように乗客との間に身を滑り込ませたシュウだが、一瞬の押し合いで圧を抑えきれないと判断すると反転、いろはの腕を掴んで人の波に逆らわないようにして移動――電車の壁に少女を挟む形で密着する。
いろはの頭の横、車掌席付近の壁に手をついた直後、息をつく間もなく背後から圧し掛かる重圧。
「っ、これは……!」
圧し潰されるようなことはない、が……息苦しさと閉塞感があまりに激しい。背後から乗客が迫ることで伝わる人の熱に不快感を煽られ眉を顰める。
都内の電車は通勤ラッシュになるとそれこそ寿司詰めだとか言われるくらいに混み合うらしいが……こういうのを通勤通学の度に耐えなければいけない都民いったいなんなのだろうか、修羅の民なのかと唸る。
今のところこちらを強引に引っ張ってきたりはしておらず、押し寄せる乗客からいろはを庇うのも腕2本で十分事足りているが――乗客ごと魔女の結界に引きずり込まれたら、乗客ごと噛み砕くようにして魔女に襲われたらと嫌な想像ばかりが脳裏を
「しゅ、シュウくん?」
「いろは、いつでも変身できるようにしてくれ、あとできれば――いろは?」
そこで、気付く。
背後からの圧迫は腕を壁についてやりすごせているからまだ零距離というほどでもないが……それでも、十分に近い。それこそもしこのままシュウが押し込まれたら唇と唇がふれあいそうなくらいで、俗にいう壁ドンに近い体勢で少年と密着するいろはの顔は既に真っ赤だった。
「俺まで恥ずかしくなるからその反応やめてくれ……あと魔女が出てきたときに備えて今のうちにしてほしいんだけど」
「ご、ごめん! でも、ぃ、今……? それは良いけど、その、大丈夫なの?」
「普通に平気だけどメンタルしんどい……圧……あっ来るかなこれ結界に引きずり込んでくるぞ――」
不快な圧迫感に耐えながら、車両に満ち満ちる魔女の気配に意識を向けると、首に細い腕が絡みつき――唇に、柔らかい感触。
背後から圧し掛かっていた重圧が、嘘のように軽くなった。
「……その。楽に、なった?」
「――それはもう。大好き。愛してる」
「……もう」
電車が止まった。結界内に取り込むまで魔法少女を押し留める役割を果たした乗客の姿が消えていく。停車した駅にまとめて打ち捨てられていく。
そして、少女たちは既に結界のなかで。
彼女たちと同じく結界の中に引きずり込まれ……その段階でいろはと引き離され、先程と似たような――しかし魔女のおどろおどろしい魔力に満ちた電車の車両に立つ少年は、毎度毎度キスの度にテンション上げすぎるのも考えものだと苦笑しながらも、浮き立つ気持ちを抑えられぬままファスナーを開いたバットケースから得物を引き抜く。
本来は隠蔽の施された鈍器。それを見て人が連想するのは、釘打ちバットだろうか。
木製のバットに打ちつけられているのは角であり、鱗であり、爪であり、牙であり――いろはの討伐した魔女やその使い魔からはぎ取った使えそうな部分を無秩序に打ちつけたそれは、おおよそ本来の外観からかけ離れた異形を醸していた。
少女の口づけと、■■■の加護。
……後者に関しては、良い思い出はなかったが。まあこの2つが揃えば――いろはの足手まといになることは、そうそうない。
「さて……やるか」
異形の棍棒片手に悠々と立つ少年の前に現れたのは、魔女の使い魔だろうカエル……いやトカゲか?とにかく両生類に昆虫の羽根を取り付けたような小型のキメラ。
群れを成す使い魔に余裕綽々の態度で近寄り、バットの振り抜きで蹴散らそうとして――全力で横に飛ぶ。
直後に車両内を蹂躙する桃色の掃射。不意の範囲攻撃に使い魔たちは為す術なく薙ぎ払われていった。
「シュウくん、大丈夫!? ……大丈夫?」
「……あっ、はい。うん、大丈夫大丈夫」
車両の席をクッションにできなければ派手に頭を打つところだった。背後からぶちこまれた矢の連射をかいくぐり座席に身を預け息を吐いた少年に、結界突入時点で引き離されてから全力で駆けつけてきたのだろういろははきょとんと首を傾げた。
・少女の加護
それは魔法少女として振るわれる力の一端か、大切な人を思う真摯な懸想が為す奇跡か。
ともあれ独り戦わせることを憂い立ち上がった少年に対しいろはのキスは確かな力を発揮する。
効果は弱体解除と精神弱体耐性付与。
基本使い魔程度に操られたりはしないシュウだが、それでも一般人より多少マシくらいなので魔女に「活きのイイ獲物が迷い込んできたな」程度にでも認識されればそれだけで一般人と同じように操られたりするので対魔女戦においては必須級といえる。
その効果を2人が認識したのは結界に入った瞬間操られたシュウにいろはが襲われたとき。