環いろはちゃんと共依存的にイチャイチャしたい人生だった   作:風剣

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新年あけましておめでとうございます(遅い)
次話以降執筆ペースはもう少しあげていきたいぜ…R18短編も進めたいもんな…


交わしたもの

 

 

 血の臭いが、味が、口のなかにこびりついていた。

 

『けほっ、けほっ。――ぺっ』

 

 軽く咳き込んで吐き捨てた血が、あたりに散らばる鏡の残骸のひとつに付着し赤黒く染める。

 身体中ボロボロだった。

 そして、内外を問わずボロ雑巾のようにされていた身体もすぐに全快する。その程度には、私は治癒の魔法を習熟させることができていた。

 掌を開いて閉じてを繰り返して、指がぜんぶ繋がっているのを確認する。疼くような痛みだけは、まだじんじんと残っているけれど……少なくとも動かすのには支障はなかった。

 

 一帯に散らばる鏡の欠片を踏みしめて、全力の攻撃を交わすなかで抉り取られた鏡層の奥へと進む。

 そこに、半ば埋もれるようにして倒れこんでいたななかさんは。紅く濡れた目元を拭って、私を見ると力なく笑った。

 

『完敗です。……強く、なりましたね』

『ななかさんのおかげです』

『私にできたのは最低限の地力の埋め合わせです。ここまで貴方を押し上げられたのはいろはさん自身の意志の力の賜物ですよ』

 

 最初の1日は一方的に斬られた。ボウガンで得られる程度の距離のアドバンテージなんてないに等しいと思い知らされた。

 2日目からは打撃も交えた『壊す』動きを織り交ぜられ、あらゆる手段で距離を取って最短最速で継戦可能なまでに治癒する動きを追求した。

 5日目でようやく、接近されたあとも食い下がって戦えるようになった。

 

そして、7日目。『全力で殺しにいきます』と宣言したななかさんと戦って、斬られて、蹴られて、殴られて──勝負を決めたのは、機動力を削いで逃げ道を塞いだあとの全力の一矢だった。

 

『治しますね。じっとしててください』

『……ありがとうございます』

 

 ――マギウスに協力すると決めて、魔女守りのウワサとなったシュウくんはきっと私を全力で打ちのめしにくる。

 そして私は、ういを助けだすにあたって絶対にそれを越えなければならなかった。

 

 その為の1週間で。

 その集大成が、いまこの瞬間だった。

 

『……シュウさん、には』

 

 身体の穴を塞ぎ、砕けた拳を修復されるなかで。

 限界以上に身体を酷使してシュウくんを模倣した動きで戦ってくれていたななかさんのこぼす言葉は、強く耳に残った。

 

『もう、貴方しかいないんです』

『別にあのひとは、いろはさん以外はどうでもいいだなんてことを言うひとではないけれど。それでも、いろはさんだけは……あのひとに最後に残った、大切なひとで、だからあのひとは貴方に嫌われてでも救おうとして――けれど、それでは』

『そんな選択ではあのひとは、幸せになれないから。いろはさんが、勝って、証明してください』

 

『シュウさんの傍から、絶対に貴方はいなくなったりしないって。それだけ……それだけで、彼は――』

 

 そこまで言って口を噤んだななかさんは、額から血の伝っていた目元を拭ってはよろよろと身を起こす。不安定な様子に思わず手を差し伸べ支えようとした私に「大丈夫です」と断った彼女は、傷がなくなったのを確かめると少女を見返して微笑みを浮かべていた。

 

『……少し、暴れすぎましたね。あたりの様子をみてきますのでいろはさんは休んでてください』

 

 回復してくれてありがとうございます、と。

 そう告げては刀を手に立ち去っていこうとしていたあのひとが遺したのは、きっと私には効かせるつもりもなかったのだろうと確信できるくらいにか細いもので。

 

 けれど魔法少女の聴力でようやく聞き取れたその言葉に、すべてが詰まっていた。

 

 

『――、……悔しいなあ』

 

 

 きっと。

 それを聞いたから、私は――。

 

 

 

***

 

 

 

「んっ……」

 

 目を覚ます。

 重たい瞼に反して意識は不思議と冴えていた。ふわふわとした温もりのなかでうっすらと目を開いたいろはは、背に回されるがっちりとした腕の感触と、すぐ目の前にあった眠る恋人の横顔にふにゃりと相好を緩めた。

 

「んっ、ぅ……」

 

 同じ毛布にくるまりながら、彼のうえで頬を色づかせながら身を寄せたのは紅い髪の少女だった。

 安らかな表情で寝息をたてる少年は、片腕にいろはを、胸板の上にななかを乗せて眠りについている。2人を抱くシュウも、彼とぴったりとくっつくいろはとななかも纏うものは何一つない──。いろはともども恋人が満足するまでおよそ数時間にわたって散々に鳴かされ、泣かされ、可愛がられた痕跡を残すななかが身動ぎするたびにシュウの胸板のうえで柔らかな膨らみが形を変えるのをまじまじと観察する彼女は、やがて妖しげな微笑みを浮かべてななかの頬をつついた。

 

「なーなーかーさんっ」

「ぅぅ……?」

 

 弱弱しい声を漏らしシュウのうえで身をくねらせた少女。それに反応した少年が眉を顰めては腕の力を強め、ぎゅうと密着することになった桃色の少女は胸の鼓動を高鳴らせながらもシュウのうえで呻くもうひとりの恋人に呼びかける。

 

「ぁ、いろはさん……?」

「しぃーっ、シュウくん起きちゃう。……ななかさん、起きれそう? お風呂一緒に入ろう?」

「んっ……、もうこんな時間ですか。なんとか、動けます。……何でこっそり?」

「シュウくんが起きたら身体を洗うどころじゃなくなっちゃうでしょ?」

「確かに」

 

 小声で囁きあいながらクスリと微笑んだななかは、若干気怠そうにしながらシュウのうえから身を起こすと這うようにしてベッドの隅に置かれていた着替えの衣類を回収する。

 毛布のなかから這い出た彼女の艶めかしい肢体と、その柔肌につけられた痕の数々を目にしたいろはは思わず生唾を呑んだ。

 

「な、ななかさん、すごい痕ついてるね……?」

「……半分くらいはいろはさんですよこれ。歯形はだいたいシュウさんですけど」

「そ、そんなにだっけ……」

「シュウさんに貫かれて余裕のない私を随分と可愛がってくれますよね、いろはさんは……」

「ななかさん反応が可愛いからつい……。そ、それにシュウくんと一緒に意地悪するのはななかさんだってそう変わらないじゃないですかっ」

 

 3人で横並びになってもまだ余裕のあるキングサイズのベッド、そのうえから気配を押し殺して抜け出したいろはとななかは自らの着替えを手に取りながらひたひたとバスルームへと進む。

 声を押し殺して交わすやりとりは15才でするものとは思えないくらいには爛れている。互いの身体についた痕を比べあいながら浴室の照明をつけたいろはは、慣れた仕草で備品のバスタオルを2枚取り出し――ふと寝室の方を振り返って、「あ」と目を見開いては苦笑を浮かべた。

 

「……おはよう、シュウくん。よく眠れた?」

「へっ、シュウさん起き――きゃっ」

「ん、おはよう。いろは、ななか――、おかげさまで、ぐっすりだよ」

「ぁ、ちょ、ちょっとシュウさん……っ」

「ひゃっ……!」

 

 背後から抱きすくめられてはいやらしい手つきで胸を揉まれ、思わず熱の籠った吐息を漏らすななか。紅髪の少女を腕に抱いたままいろはにも手を伸ばし、くびれた腰を引き寄せた少年は2人を伴いバスルームへ足を踏み入れる。

 ――間を置かず響きだす嬌声。「こんなだから起こさなかったのにぃ……」と腰砕けになったいろはとななかを抱えシュウが浴室から出たのは数十分後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 ――ななかと交友を深めともに過ごすようになったシュウがスケジュールをすり合わせるようになって気付いたのは、思いのほか3人で過ごすことのできる時間が限られるということだった。

 

 みかづき荘は多人数での生活故に周囲の目や耳を気にすることなく過ごせる時間は限られ、互いに学業もある都合上スケジュールを擦り合わせてゆっくりと過ごすことのできる日程も場所も少なくなってくる。

 僥倖だったのは、ななかがマギウスの幹部として参加し積極的に活動に取り組んでいたことか。

 

 柊ねむによって幾つかの仕掛けが施されたフェントホープ居住区にあるシュウの部屋は一度入ってしまえばいろいろと()()()()()。家族のいないななかの家でのお泊りを除けば、マギウスでの活動を終えた夜に周囲を気にすることなくゆったりと過ごすことのできるフェントホープの一室は3人の愛の巣も同然に利用されていた。

 その頻度は、およそ1週間に1、2回程度。

 

 有り体に言うならば。

 その密室では、年若き少年少女による、会えなかった間の情欲をぶつけあうような逢瀬がこれでもかというほどに繰り広げられていた。

 

「朝飯は焼肉でいいよな?元気付けるならちょうどいいだろうし」

「……」

「お、ネギある。結構な量だな、使うか……。あとは、まあ……味噌汁はインスタントでいいか」

「「……」」

「……どうしたの、2人してそんなジト目で……」

「誰のせいだと思ってるの……?」

「あんなに激しくシておいて……」

「あんなにイジめて、恥ずかしいことまで言わせて……」

 

 

 ザクザクと音を立てて葱を刻む。

 あまりにも過激なスキンシップはすっかり2人を意気投合させるに至ってしまったらしい。畳みかけるように咎める声に反論を黙らされながらもなんのことやらとそ知らぬ顔でキッチンに立つ黒髪の少年へと向けられるもの言いたげな視線。ほんのりと頬を火照らせた恋人()()から抗議のまなざしをぶつけられながらも構う素振りも出さずにシュウは手早く調理を進めていく。

 

 元々いろはや智江の手伝いをしていたこともあり少年の手際は手慣れたものだった。

 ザク切りしたネギを肉を炒めていたフライパンへと投下、肉汁と絡めながら火を通す。すきやきのタレも遠慮なくぶちまけ味をつけるなかで焼ける肉の匂いがキッチンから漂うなか、横目で食堂に座る少女たちを見やった少年は愉し気に口元を弛めながらフライパンの肉を炒めた。

 

「そうはいってもなあ、2人とも結構ノリノリだったろ。お風呂出たあとだってめちゃくちゃ――」

「だ、だって。私たちをそういう風にシたのはシュウさんなんですからねっ」

「そうだよ。私たちがえっちになっちゃったのだってシュウくんのせいだもん!」

「ななかはともかくいろはがエッチじゃなかったは相当無理あるだろ……」

「えぇー!」

 

 自覚の有無を問わずかつて健全だった青少年の理性を数年かけて苛んできていた淫ピの抗議の声をスルーする。香ばしい匂いを漂わせるフライパンから肉と葱の炒め物を皿に乗せた少年は嘆息しては林檎を手早く切り分けていった。

 

「まあ、気付いたらこんな時間まではしゃいじゃってたもんな。足腰たたなくなっちゃうくらいにしちゃったのは悪かったよ」

「……運ばれてる間も、あんなにまじまじ見られて……本当に恥ずかしかったんですからね」

 

 ホテルフェントホープに点在する居住スペース、豪邸に住まう多くの羽根たちも利用する食堂。その厨房で朝食を準備する少年は、席にいろはと並んで座っては頬を紅くして咎めるように睨んでくるななかに苦笑いを浮かべ恋人たちの前へ朝食を並べた。

 焼肉、ごはん、インスタントの味噌汁、切り分けた林檎。簡単な朝食を食卓に並べた少年は、いろはやななかと向かい合うようにして席に着く。

 

「美味しそう……! ありがとうねっ、シュウくん」

「3人のときはいろはやななかの手料理をごちそうしてもらうことも多いし、このくらいはな。少し遅めの朝ご飯だ」

 

 あの旅行を経て、ななかと関係を築いてから1ヶ月が過ぎた。

 新たにひとり、恋人が増えた日常。様々な意味合いで一線を越えて以降の日々は、概ね平穏といえるものだった。

 

「……シュウさん、あとでトレーニングに行く予定ですよね? 私もお付き合いさせていただいても良いですか?」

「ン? そら喜んで。また少し()るか?」

「ふふっ、そうですね。私もここのところ負けが続いてますし――一度、白星をもぎ取らせていただきたいものです。…………夜の意地悪の、仕返しも兼ねて」

 

 午前10時。ななかのチームメイトがフェントホープに潜入し、3人を追ってやってきた広間でリーダーを半裸に剥いて押し倒していた不埒者をしばき倒す数時間前のことだった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「……それで」

「……」

「……」

「……」

 

 胡乱なものを見る目で見下されながらかけられた言葉には一切の温度がない。

 恋人と並んで正座になる少年は、盛大に張られた頬がひりひりと痛むのを自覚しながらチャイナ衣装に変身して己を殴り倒した蒼い髪の魔法少女の言葉を待つ。

 

 鍛錬中との話を聞いてトレーニングルームへと訪れた矢先に遭遇した淫行。現行犯のスケコマシを取り敢えず張り倒し、目をぐるぐると回して混乱しながらも庇おうとしたななかを怒気混じりのひと睨みで黙殺し、慌てふためくいろはを宥めひととおりの事情を聴きだした美雨の表情は呆れまじりだった。

 

「トレーニングついでに近接同士で組手をしていたら話の流れで次に勝った方がスイーツを奢るって話になって」

「うん」

「その一戦の途中、追い詰められたななかが自分の服をはだけての色仕掛けで動揺させて勝利」

「え、ええ」

「それにキレた桂城がリベンジマッチを申し出、押し倒したななかをひん剥いて、そこにワタシたちが遭遇したと……」

「……まあ、それで間違いはないな」

「…………………………アホなの?」

 すいません……、いや本当にごめんなさい……。

 

 平身低頭で謝り倒す2人の姿に、少女は頭痛を堪えるように眉間を抑え嘆息する。

 責の割合としては現行犯である点も踏まえ8:2といったところだろうか? いやもう雑に5:5でいいかもしれない──。そんな益体のない思考さえ浮かんでしまう程度にはうんざりさせられてしまっていた美雨は、ほとほと呆れたように息を吐いてはじろりと色ボケを見やる。

 

「まったく、うちのリーダーがどんな男とくっついたかと見に来てみれば随分とまあ誑かされて……。いや寧ろ誑かした側かこれは? 本当、ワタシなんか情けなくなってきたヨ」

「うっ……」

 

 ただでさえ羞恥で真っ赤になっていたななかが気まずそうに身を揺らした。

 耳まで赤くして俯く彼女は仲間の呆れ声に最早何も言い返せないようだった。シュウとしても助け船はだしたいところだったが……自分の立場でいけしゃあしゃあと美雨を宥めようとするのも逆効果かと思い直す。

 

「ななかが男を作ろうとどんなふしだらな関係を築こうと好きにしたら良いネ、身内とはいえそんな束縛なんかしないヨ。とはいえ──それにだって限度はあるネ」

「弁解のしようもございません……」

 

 眉を顰め首を振る美雨の横ではななかに負けず劣らず顔を紅くしたあきらとかこが黙り込んでいる。

 いくらなんでも年頃の少女たちに刺激が強すぎたのだろうと一目でわかる姿だった。トレーニングスペースの片隅で観戦していたいろはもまた、これには擁護も弁解もしきれずに気まずそうに身を揺らす。

 

 ――それにしても。まさか本当に、環いろはが『2人目』を容認しているとはネ。

 

 自分たちのリーダーの人間性を信用していないわけではなかったが、外野で推測された限りの状況からみても恋人が既にいる異性と交遊を深めた時点で円満な関係を築いているとは想像し難かった。ガールズトークを通してななかのことはいろはも認めていると伺っていたものの、実際は昼ドラじみた状況となっている可能性もあるとみていたが……少なくとも目の前の3人からは互いを出し抜かんという悪意や虚言の気配は感じ取れない。

 

 果たして彼らがどのような経緯でそのような関係性を築くに至ったのか、興味は尽きなかったが――こうも爛れた色恋沙汰は長い話になると相場は決まっている。美雨は溜息をつくと早めに落としどころをみつけ収拾をつけることを優先した。

 

「そもそもの話、アナタ等3人とも不用心すぎネ。ここ、聞いた話が確かならマギウスに所属してれば誰でも使えるらしいじゃない。そんなところで辱め合おうだなんて正気の沙汰じゃないヨ」

「うす……」

「その通りです……」

「ごめんなさい……」

 

 いろはまで謝ることはないんじゃないかと内心で思いながらも、美雨の指摘は至極真っ当なものである。シュウとしては最早頷くことしかできなかった。

 

「ワタシたちが来たのはななかが付き合い始めた相手の様子を見に来たかっただけネ。今回の大惨事を除けばななかがリーダーとして何かしら不手際を働いたわけでもなし、これ以上の説教はやめにするヨ。今後は人目につくところではしゃいでるのを見ないで済むことを祈るよ」

「本当に気をつけます……」

「……桂城シュウ、ちょっとツラ貸すネ」

「あ、はい……」

 

 引け目が大きいのか縮こまるななかへの注意を終えたチャイナ魔法少女に声をかけられ、緊張した面持ちになりながら立ち上がったシュウに「確認したいことが少しあるだけヨ」と言い添えた美雨は彼を連れ少女たちから距離を取る。

 

「まず、確認するヨ。……ななかのことは遊び?」

「いいや、遊びなんかじゃないよ。……本気で好いてるといっても説得力なんかないのは百も承知だけど、あの娘は……いや、いろはもななかも、心から大切に想ってる。ずっと一緒に居て欲しい(ヒト)だ」

「フゥン? や、そういうことならそれで構わないヨ、その言葉が本当かどうかはこれからじっくり判断させてもらうし……それじゃあ、もうひとつ」

 

 

「――更紗帆奈。この名前に覚えはあるネ?」

「……ああ。()()()()()()()()()()

「…………へえ」

 

 僅かな沈黙。見定めるようなまなざしでじいと見つめる少女は、やがてこくりと頷いては背を翻し離れていく。

 

「わかった、聞きたいことはもう聞けたしもう良いよ。手間を取らせたネ」

「……や。気にしないでも――」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「……」

 

「無理に真偽を糺そうとは思わないヨ、あの場に居合わせることのなかったワタシにはどちらが正しいのかなんて判別できないし。ただ……」

「――ワタシより年下のくせして、たまに腹にどれだけのものを抱えてるかわからなくなることもあるけど……ななかは私たちの、大切な仲間ネ。だから……くれぐれも、あの娘の気持ちを裏切るような真似はしないように、お願いするヨ」

「……わかってる」

 

 それで言いたいことは終わりだったのか、少女たちのもとに戻った美雨は仲間と苦笑を浮かべ合いながら談笑し頬を紅潮させるななかと何事かを言い合う。

 一体なにを吹き込まれたのか真っ赤になって美雨に詰め寄る紅髪の少女と、その様子を眺めてクスクスと微笑む桃色の髪の少女。恋人たちの様子を眺めていた少年は、小さく息をついてはぽつりとつぶやいた。

 

「……わかっているさ」

 

 

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