渋谷凛の弟はお世話になる。   作:IOTR

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2月25日加筆。


弟登場。

渋谷凛には弟がいる。

その事実は、2人を驚かせた。

 

「えっ!しぶりんって弟いるの!?」

 

プロダクションの一室のソファーでニュージェネレーションズの3人がなんでもない雑談をしていた時、偶然兄弟の話題になった。

その時、メンバーの1人である渋谷凛が弟が1人いるとこぼしたのだった。

新田美波に弟がいることは聞いたことがあるが、凛に弟がいるなど聞いたことがなかったため、2人は大きく驚いた。

 

「うん、そうだけど…言ってなかった?」

 

凛は対面のソファーで、不思議そうにすました顔で首を傾げた。

 

「初めて聞いたよー!えー、みたいなぁ!」

 

「私もです!凛ちゃんに弟さんがいたなんて!きっと、凛ちゃんに似てかっこいい子なんですかね?」

 

「いやいや、しまむー、きっとしぶりんの熱血な所を受け継いだ熱い子…かもしれないよー!」

 

凛と島村卯月と本田未央は弟を想像し、キャッキャと騒ぎ出す。

 

「多分すぐ来るから、少し待ってて」

 

凛は少し頬を弛めながら、優しく言葉をこぼした。

その言葉の意味を2人が探ろうとする─その前に

 

ガチャ

 

そう音がして、入口のドアが開く。

そこから現れたのは、小学生くらいの男の子であった。

二人から見たその少年は、ストレート気味で、ところどころ跳ねている黒髪に、同僚に似た落ち着いた瞳をした男の子だった。手には手提げカバンを持っている。

 

「…こんにちは。姉の忘れ物を届けに来ました」

 

少年は少し緊張気味に言った。

未央と卯月は目を輝かせて、その少年に近づき、目の前でしゃがんだ。

 

「か、かっわいー!この子がしぶりんの弟!?名前は?」

「確かに似てますねー!この瞳とかそっくりです!何年生なんですか?」

 

未央と卯月は興奮した様子で話しかける。

清は、目を逸らしながら答えた。

 

「…渋谷 (しん)です。3年生です」

 

清は少し詰まりながら話す。目は絶対に合わそうとしない。

 

「あららー?…嫌われちゃったかな?」

「いきなりごめんなさい。怖かったですよね?」

 

2人はしょんぼりとする。そんな二人を見た凛がソファーから立ち上がりドアまで歩いていく。

 

「照れてるだけだよ、いつもテレビ見ながらキラキラした目をしてたから」

 

そう言いながら、清の後ろに周り、微笑みながら頭をやさしく撫でた。

 

「ほら、いつも見ている2人だよ、言いたいこと言ってごらん」

 

凛がそう言われた清は、少し身動(みじろ)ぎしたあと、顔を染めながら2人の顔を見た。そして、

 

「…いつも見てます、本田さんは元気いっぱいで、島村さんは笑顔で、2人ともとても見ていて楽しくなります、いつも元気をありがとうございます。2人とも大好きです」

 

そう言って清は頭を下げた。

彼は彼なりにに精一杯の気持ちを伝えた。言葉はつたないが、思いが乗った言葉だった。

その言葉を聞いて2人の表情は花が咲いたように明るくなる。

そして感極まった結果──

 

「そんなこと言ってくれるなんて嬉しいよ!清くん!」

「ファンからの言葉はうれしいですね!ありがとう、清くん!」

「えっ」

 

清に抱きついた。

 

 

清の顔は突然2人の熱い抱擁を受けたことにより、恥ずかしさに赤く染まった。

憧れのアイドルである2人に抱き着かれるとは、清は夢にも思っていなかった。

姉以外の、女の子の甘い香りや、果実のようなさっぱりとした匂いがして、清の頭は、いっぱいいっぱいになった。

さらに、追い打ちをかけるように、柔らかい体や、鼻先をくすぐる髪が彼を襲った。

今まで感じたことがない感情に彼は、顔を熟れたトマトのようにして固まってしまった。

 

 

「はい、そこまで。これ以上清を困らせないの」

 

凛が2人を清から引き剥がす。清はほっとしたような、残念なような複雑な気分になった。とりあえず、助けてくれた姉に礼を言った。

 

「ありがとう、姉さん」

 

凛は少し口元を弛め、どういたしましてと小さく呟いた。

 

「にしても…清くん可愛いね!ウチの弟と全然違う!」

 

未央が言う。

 

「そうですね、とっても可愛いです!」

 

そう言って卯月も笑った。

そして2人は抱き着いた時とは違い、ゆっくりと手を伸ばし、清の頭を撫でた。

清は心地よい感覚に、頬が緩むのを感じながらも、男なのに可愛いと言われた事実にもやもやし、複雑な表情になっていた。

一方、頭を撫でられて、複雑な表情をしながらも、緊張が解けた弟の姿を見て、うれしいと思う反面、凛は弟がとられるような気がして寂しくなった。

 

「多分もう来ないから」

 

そう言って凛は弟の頭を、雑に撫でた。

その顔は2人が姉弟であると強く感じさせた。

卯月と未央はそんな様子に笑いながら、

 

 

「たまにでいいからさ!一緒に遊ばせてよ!ね?」

 

「時々でいいですからー!」

 

そう言いながら五分ほど説得をし、次の日程を決めるのであった。

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