渋谷凛の弟はお世話になる。   作:IOTR

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凛と清

「未央、おはよう。早いね。」

「おはよう、しぶりん!たまたま早く来ちゃった!卯月はまだかな。」

 

未央が言った瞬間、未央の後ろのドアが開く。

 

「…あれ?凛ちゃん未央ちゃん早いですね!」

 

未央の影から卯月が覗く。

 

「次のお仕事まで結構時間あるのに、みんな揃っちゃったね。

「珍しくみんな早いね…。いつもは未央がギリギリなのに。」

「失礼しちゃうなー!今日はたまたま早く目覚めちゃっただけ!そういえば、しぶりんも早いほうじゃ無いでしょ?どうしたの?」

「まぁ、そうだけど。」

 

凛は頬をかき、言った。

 

「今日は清に起こされちゃって…いつも、もう少し遅く起きるんだけど、今日は余裕が出来ちゃったんだ。」

「おー、清くんは早起きなんですね!」

「いや、昨日、朝にお仕事があるって話したからだと思うよ。それに、いつもは清も遅いし。」

「それって、しぶりんを心配して起こしてくれたってことだよね!いいね!愛されてるね!」

「そんなことないよ…。」

 

凛はそっぽを向きながら、顔を赤らめた。

なんだかんだで嬉しいようである。

その微笑ましい様子を見て、未央は不意に気になった。

 

「そういえば、清くんとしぶりんは家でどんな感じなの?ベッタリ?」

「え!?…いや、そんなことはないと思う…よ?」

「いやいやー!今の間は怪しいぞー!」

「是非、家での様子を聞かせて欲しいです!」

 

未央がはやし立て、卯月が追い打ちをかける。

凛は少し躊躇ったあと、家での様子を話し始めた。

 

 

 

《休日の朝》

「おはよう。」

「おはよう姉さん。」

 

凛は先に起きていた弟に挨拶する。

互いに微笑みあい、仲睦まじい様子に、見ていた両親の顔が綻ぶ。

「おはよう、お父さん、お母さん、ハナコ。」

両親と、駆け寄ってきたハナコに挨拶しながら、凛はテーブルへと向かう。

少しの眠気を残しながら朝食を食べ、少しだらける時間ができる。

清が少し先に食べ終わり、ソファーにもたれながらゲームで遊んでいると、食べ終わった凛が隣に座り、清を持ち上げて、自分の足の間に座らせる。

清は何も言わないが、少し安心した顔をして、ゲームを続ける。

そんな清の頭をゆっくりと撫でながら、ソファーに上がってきたハナコを撫でた。

ハナコが行ってしまうと、凛は清の邪魔にならないよう、清の腕の下から軽く抱きしめ、頭を首筋にコツンと当てる。

「姉さん、少しくすぐったい。」

 

清の首筋に吐息が当たる。

こうして抱えてもらうとキヨにとっては安心感があるのだが、どうしても、こそばゆい。

清は少し身じろぎした。

 

「ふふっ、ごめんごめん。」

 

そう言って、凛は清を1度ぎゅっと抱きしめたあと、立ち上がり、ハナコの散歩の準備をはじめた。

清はゲームを切り上げると、上着を羽織り、散歩に行く準備をする。

 

「「いってきます。」」

 

そう言って2人はドアを開け、ハナコと一緒に散歩をするのだった。

 

 

昼下がり。

 

 

昼食を食べたあと、2人は店のお手伝いをしていた。

 

「ありがとうございました。」

 

凛は自身がおすすめした花束を買って、嬉しそうなお婆さんを笑顔で見送った。

一息ついたあと、ふと清が目に入った。

そこには、お客さんにお父さんのサポートを受けながら、花のアドバイスをする清が居た。弟が頑張っている姿を見た凜は自然と笑みが浮かんだ。

お客さんは無事、要望に合う花を見つけられたようだった。

 

 

一日の長い仕事が終わったあと、閉店準備を行い、凛は一息ついた。その時、同じように一息を着く清と目が合い、笑いあった。

ひとしきり笑ったあと、凛が微笑みながら言った。

 

「今日、お客さんにちゃんと説明できてたね。よく出来てたよ。」

 

そう言って凛は清の頭をゆっくりと撫でた。

清は少し目をみはったあと、恥ずかしさと嬉しさが混じった顔で笑った。

 

「…見てたの気づかなかったよ。…まだまだ、父さんや姉さんに頼ることがあると思うけど、よろしくね。」

 

そう言って清はちょっと頭を下げた。

凛の清の頭を撫でる手はなかなか止まらなかった。

 

 

夕食を食べ、お風呂あがり。

リビングで凛を含めた346のアイドルが多数出ているバラエティを見終わった清は、当たり前のように清を足の間に置いている凛に言った。

 

「姉さん、マッサージするよ。」

「いいの?じゃあ少しやってもらおうかな。」

「じゃあ姉さん、うつ伏せになって。」

 

そう言われて凛は寝転がった。

寝転がった凛を、声をかけてから清は小さい手でほぐし始めた。

凛がアイドルを始めてから少し経った頃、体が凝ったと零した時があった。その時に清がマッサージをしたことから、時々行われているのであった。

凛の背中に小さい手が、拙いながらも凛の体を解していく。

少し指で押されるだけで、気持ちよさが訪れるのである。

凛の吐息と、清の吐息の微かな音だけが響く。

凛はその心地よい空間に微睡んでいくのであった。

 

 

 

目を覚ますと、ブランケットが体にかけられており、テーブルには書置きがあった。

 

「姉さん、毎日大変だと思うけど、アイドル、学校生活。全部応援してるよ。姉さんの頑張ってる姿が1番好きだから、しっかり休んで明日からも頑張って。 清

 

P.S風邪とか引かないように、体に気をつけて。」

 

 

その書置きを見て、凛は心の奥がじんとするのを感じた。

こんなに応援してくれる弟がいるのだ。明日からも頑張ろう。

凛はそう決意したのだった。

 

リビングを出た時、清と会ってしまい、清の顔が茹で上がってしまったことはご愛嬌である。

 

 

 

 

 

 

 

「えー、いいなー!互いに信頼し合ってる感じがするよー!あと、やっぱりベッタリだったね!」

「家でも仲がいいんですね!羨ましいです!私も弟が欲しくなりました!」

「こんなの普通だと思うけど…。」

 

凛はやはり恥ずかしいのか、2人と目を合わせない。

未央と卯月は顔を輝かせ、若干興奮していた。清がとても可愛く思えたのである。

 

「それにしても、マッサージねぇ…」

 

未央はニヤリと笑い、わざとらしく肩を回しながら言う。

 

「あー、私も随分と肩がこってきたなー!そうだ、今度清くんに揉んでもらおう!」

「なっ!?」

 

凛は驚きの声を上げる。

 

「いいですね!私もやってもらいたいです!とても、気持ちいいそうですから!」

「卯月まで!?」

 

凛は未央と卯月を混乱したように交互に見たあと、一際大きな声で言った。

 

「清は私の弟だから!渡さないからね!」

 

真っ赤になりながらそう言い放ったのであった。

 

 

 

この出来事のあと、この言葉は2人にもしっかりと覚えられ、仕事に向かう車の中ずっといじられつづけてしまった。

そのため家に帰ったあと、清を抱きしめる力が少し強くなった凜であった。

 

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