渋谷凛の弟はお世話になる。   作:IOTR

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清、他プロのアイドルと遭遇する

僕は346近くのコンビニでココアを飲みながら、姉さんを待っていた。

帰る時間がたまたま合ったので、ここで待ち合わせをしている。

だけど、先程「忘れ物したから、もう少しだけ待ってて」と連絡が来たため、飲み物を買って外で飲んで、時間を潰している。

それにしても…

 

「…遅いなぁ。」

 

つい口に出る。しかしまだ5分も経っていない。

僕ながら心配症だと思うけど、姉さんは事件とか事故とかに巻き込まれてないだろうか…。

そんなことを考えて、ソワソワしていると…

 

「ねえねえ、そこの君、ちょっといいかな?」

 

女の人に話しかけられた。その声に振り返ると、

見たことがある顔だった。最近は姉さんの影響で、アイドル番組を多く見るようになったため、知っているアイドルも増えた。

しかし、こんな所にいるはずないと思い、少し自信がなく、声が震える。

 

「……星井美希さん…!?」

「えー!ミキのこと分かるのー!?変装してるのにー!」

 

星井美希さんは、口に手を当てて驚いた。

星井さんはキャスケット帽に、丸眼鏡をかけて、ネックウォーマーで口元を隠していた。しかし、金髪は見えているし、真近でみたためわかってしまった。

 

「結構この変装自信あったのに、誰にもバレてなかったからなんか、残念なの。」

「いえ、たまたまです。なにか、用ですか?」

 

残念そうに帽子の端をつまんで、いじける星井さんに僕は尋ねた。

すると、星井さんは少し驚いた顔をして、僕の前にしゃがんだ。

 

「346プロダクションまで行きたいんだけど、迷っちゃって、案内してくれるの?」

「はい、案内しますよ。」

 

姉さんはまだだし、連絡をして、プロダクションで待っててもらおう。ケータイでメッセージを送る。

「姉さん、346プロに行きたい人がいたから案内してくるよ。

だから、346プロでちょっとまってて。」

「わかった。気をつけてね。待ってるから。」

よし。

 

「じゃあ行きましょう。」

「それじゃ、しゅっぱーつ!」

 

 

そう言って星井さんは僕の手を取った。

突然のことに体が固まって、顔が赤くなる

つい恥ずかしくなって俯いてしまった。

 

「ミキのこと興味無いみたいだったから、すこし悔しくなっちゃったの!びっくりしたかな!あはっ☆…あれ、どうしたの?」

 

そう言って心配そうに星井さんは顔を覗き込んでくる。

目が合う。星井さんは僕の顔をみて、ニヤッと笑った。

そのまま僕の手を握りながら、どこか上機嫌で歩き出すのだった。

 

「ミキのこと知ってたけど、あまり、取り乱さなかったからファンじゃないの?」

「いえ、いつもテレビで見てます。生っすか!サンデーとか、歌番組のライブとか。」

 

顔の赤いのを誤魔化しながら話す。

 

「んー、ミキのことあまり好きじゃない?」

「いや、ライブの時のダンス、ビジュアルは共に素晴らしいですし、3人で活動される時も、他の人のさり気ないフォローや、注目の集め方、司会の進行などを完璧にこなしていて、凄いです。」

 

これは本心である。星井さんはとにかく上手い。何事もそつなくこなしているのにそれを感じさせない才能があり、僕はそこをすごいと思う。もちろん、歌もダンスも素敵だし、パフォーマンスは人を惹きつけて離さない。完璧なアイドルだと思う。姉さんも負けてないけど。

 

「へー、そこまで見てくれるのは、ミキ嬉しい!」

 

さらにぎゅっと手を握ってくる。僕は、嬉しさとよく分からないもので、顔が真っ赤になりながら歩く。

アイドルと手を繋いでいるという状態に、気が気でないまま、どこか上の空で会話していると、346プロダクションに着いた。

僕が思わず、フーっと一息着くと、

 

「んー?そんなにミキと離れたかったのー?」

 

ぎゅっと、わざとらしく星井さんは体を寄せてきた。おっきいおっぱいが腕に、押しつぶされた凄いものが当たる。

顔が否応なしに熱くなり、やめてくださいとも言えず、あわててしまう。

 

「あはっ☆」

 

星井さんは、少し笑ったあと腕を解放した。

 

「君はいいファンなの!とても楽しかった!最後に君の名前を聞いてもいい?」

「っ!はい。僕の名前は渋谷清といいます。ずっと応援してます。」

「いい名前なの!…んー、最後にいいかな?」

 

星井さんは一瞬僕の後ろを見て言った。

 

「はい?」

「ミキのこと可愛い?」

「…」

 

…言葉につまる。可愛いのは確かなんだけど、面と向かって言うのは恥ずかしい。

しかしこの間も、じっと僕を見つめてくる…。

 

「……か、可愛いです。」

 

恥ずかしさで消えてしまいたい…。僕は両手で顔をおおった。

星井さんは満足そうに笑って、

 

「清!またね!」

 

そう言って星井さんは去っていった。

…嵐のような人だったな。

 

「清!」

 

星井さんが去っていった逆の方向から、聞き馴染みのある声が聞こえる。姉さんがこちらに走ってきていた。

 

「姉さん!」

 

僕が駆け寄ると、姉さんは笑顔で言った。

 

「美希とあってたみたいだけど楽しかった?」

「え!?」

「ふーん、清は私より、美希の方がいいんだ。あんなに嬉しそうだったもんね。いつもすごいなって呟きながら見てたもんね。」

「えっと、見てたの?」

「美希、可愛いもんね。」

「うっ、ね、姉さん、ごめんなさい。」

「別に謝って欲しいわけじゃないよ、ただ、言うべき言葉があるんじゃない?私はどうなのかな?」

「姉さん…、姉さんは最高の姉で、最高のアイドルで、僕の中で一番です。今日は全身のマッサージもします。だから…」

姉さんが怒ってるのに動揺して、目が潤んできた、声もちょっとうわずる。

「あー…私も悪かったよ、言いすぎた。キヨが私を大事に思ってくれてるのは知ってるから。ごめんね。」

 

そう言って僕を抱きしめる。安心する香りが鼻をくすぐる。

その匂いに心から安心する僕がいるのだった。

 

 

 

「今度ミキとは、きっちり話し合いをするから。」

そう言って姉さんは拳を握りしめるのだった。

またねってそういう意味だったのか…




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