塾からの帰り道、清は何度目になるか分からない溜息をつきながら歩いていた。
これは、塾の成績が悪かった訳ではない。清は、姉の凛について頭を悩ませていた。
最近、清から見て凛が落ち込んでいるように見えるのである。
それも、清が話題に出るたびに顕著に出るように思うのだ。
まさか嫌われたのではないか、清は落ち込んだ。
しかし、日々の会話やスキンシップには違いは見られない。
それどころか少し多く取ろうとしてくるほどである。その事がさらに清を混乱させるのであった。清は凛と会うことが気まずく若干、ほんの若干ではあるが、避けていた。
清は姉をこれ以上落ち込ませたくはなかった。
「はぁ…。」
清はもう一度、下に向かって大きくため息をついた。
すると、前から明るい声が聞こえてきた。
「あれ…!清くーん!久しぶりだねー!」
「本田さん…!?」
清は思いがけない声に顔を上げて驚愕する。
未央は満面の笑みを見せるが、清の呼び方を聞いて、からかうように言った。
「あれ〜?私のことはなんて呼ぶんだったっけ〜?」
「…み、未央ちゃん、お久しぶりです。」
清は顔を赤らめながら、言った。
清の顔を見て、未央は腰に手を当て、笑顔で満足そうに頷いた。
それから未央は清に尋ねた。
「私はこれから346プロに行くんだけど、清くんはどうしたの?」
「今、塾からの帰りです。これからお仕事ですか?」
「うん!そうだよー!…うーん、そうだ!一緒に行かない?しぶりんもそろそろお仕事終わる頃だと思うしさ!」
未央はそう言って、清の手を引いた。
「えっ!?」
清は手を繋がれたことに気が動転すると共に、柔らかく暖かい手の感触に赤面しながら、未央の手に引かれていくのだった。
少し落ち着いた清は、前にもこんなことがあったようなと思い出しながら、未央と喋っていた。
未央が話す話には主にニュージェネレーションズという、未央、卯月、凛の3人での話が多く、清は話で聞く姉の姿が元気そうで自然と頬が緩んだ。それを見て、未央は嬉しそうに笑った。
なお、頭を撫でたり、抱きついたりということがあったが、割愛させていただく。
そうしているうちに、346プロダクションに着いた。
すると、清と未央に気づいた緑の事務服に身を包んだ女性がこちらに小走りで近づいてきた。少し焦ったようにその女性は未央に話しかけた。
「未央ちゃん!プロデューサーさんが待ってますよ!
…あれ、そこの男の子は?」
「!?ごめんなさい!すぐ行きます!」
未央はハッとした顔で、スマホの時間を確認する。
急いで、清の方に向き、清を女性の前に移動させた。
「清くん、あとはこのちひろさんに説明して!最後まで案内できなくて、本当にごめん!
ちひろさん、この子清くんって言ってしぶりんの弟だからー!」
そう早口で言いながら、急いで未央は走っていった。
残された2人、清と千川ちひろはその去って行く背中を見つめながら、暫し呆然とするのであった。少したって、ちひろが清の目の前で膝をおって、自己紹介を始めた。
「…改めまして、千川ちひろです。346プロダクションにてアシスタントをしてます。」
「…えっと、僕は渋谷清と言います。小学3年生です。今日は姉さんがそろそろお仕事が終わると聞いて、み…本田さんに連れてきてもらったんですが…」
「ああ!凛ちゃんの弟さんでしたか!ちょっと待ってください。…今、少しお仕事が長引いているそうなので、もう暫くかかるそうです。」
「そうですか…では、家で待つことにします。ご迷惑をおかけしました。」
そう言って清は礼をした。
清は凛に会うのが少し気まずかったのだ。
先程はなし崩し的に連れてこられてしまったが、会えないならば帰っていた方がいいだろう。 と清は考えた。
しかし、
「いえ、それでは悪いですから。...そうだ!少しの時間ですから事務所で待ちましょう!」
ちひろは、笑顔でいい、清の手を取った。
清は逃げられないことを悟り、凛と話すことを考えると胸が痛むのであった。
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