対魔忍独立遊撃隊『ソレスタルビーイング』   作:自己満足です

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ドラマCD聞いて、もっともやりたかったネタです(笑)

3月18日
タイトル変更


1年前──
第4話「チョリースと鋼鉄と、ハムの人 Ⅰフェーズ」


──2年前。

 

怪我により1週間の間、意識を失っていたふうま天音の回復を待って会合を開き、その場で()()()()()()()()()()()()()()()()()が戻って来たい、との意思を確認した。

 

当初の会合に参加する予定であったふうま天音や佐郷文庫、佐郷鶴たちはそのまま刹那の力になることを望み、卍鉄に付いていた者たちの1部は前線から引きたいとの嘆願を受けた。

 

天音たちはともかく、卍鉄に従っていた抜け忍たちが、刹那に投降した理由はあった。

 

卍鉄を本心から慕っていた者たちは米連に残っている若干数だけであり、対魔忍の里に強襲をかけた今回は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を連れてきていたのだ。

 

だからこその投降である。

 

それらの事情を聞いた刹那は、彼らのそれぞれの願いを全て聞き届ける事とした。

 

その決定を知った時子からは、心配のあまりに苦言を呈していた。

 

 

「御館様。 天音たちはともかく、卍鉄についていた者たちを信用し過ぎではありませんか? もし、米連と繋がった者がいれば寝首を掛かれるかも知れません。 そうなっては──」

 

「駆逐するまでだ」

 

 

刹那がまるで感情を見せずに、ピシャリと断言した。

 

それは反論を許さない、という断固とした意思の現れ。

 

時子はそれ以上は無駄と悟り、話を進めた。

 

 

「問題は・・・・校長、にはどう説明しましょうか」

 

 

五車学園校長は最強の対魔忍にして『炎獄の鉄拳』とも呼ばれる井河豪鬼が務めていたが、弾正との戦いで病状に伏せていた。

 

そのため実質校長不在が永らく続いていた。

 

だから井河アサギが20歳になったのを気に、血筋及び実力共に五車学園の校長として相応しいと、対魔忍幹部会議で就任が決定した。

 

それが1ヶ月前のことだった。

 

 

「手は考えてある」

 

 

刹那は2年前、アサギとの戦い後に目を覚まして彼女から謝罪を受けていた。

 

その折に──出来る範囲ならば何でも願いを聞き届けたい、と彼女から言われていた。

 

しかし刹那は互いに譲れない思いのために戦っていただけであり、謝罪の必要はない、と断った。

 

だが、アサギは一向に引かず。

 

どうしたものかと考えた刹那は、『借り』という形で決着させた。

濁して終わらせるつもりだった刹那であるが、思わない形で『借り』が役に立つことになった。

 

結果──

 

アサギは刹那に借りを返し、()()()()()()()()()()()()を経て天音たちは元の鞘に戻った。

 

反逆という大罪に対して、自宅謹慎というあまりにも軽い罰の裏には、2人の間に()()()()()があった。

 

それは1年後に、果たされることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

第4話「チョリースと鋼鉄と、ハムの人 Ⅰフェーズ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑橋学園。

 

関東にある男女共立の新設高校。

 

そこに()()()がやって来ることになっていた。

 

 

「ねえ、亮子聞いた?」

 

 

腰まで伸びる髪に涼しげな顔立ち。

 

学園内でもトップ3の美少女と名高く、さらにグラビアアイドルのような曲線美を合わせて持つ少女──『甲河アスカ』が振り向いて友人に話し掛けていた。

 

その際に──制服を押し上げる乳房が揺れた。

 

それは17という年齢相応の瑞々しさと、年齢からは不相応な大きさを備えていた。

 

「聞いたわよ、スカちゃん~。 転校生は確か~・・・・聖栄(セイエイ)セツナくんだよ~」

 

 

ぽやっとした雰囲気の山本亮子が、のんびりとした口調で言った。

 

 

「前々から思ってたけど、その呼び方・・・・何とかならないの?」

 

「いいじゃない、可愛いんだから~。 ──それよりさあ~、スカちゃんってば、あの石山くんとデートなんだって~?」

 

アスカは石山という名を聞いて、先日デートを申し込んで来た同級生の顔を思い出していた。

 

名前は──『石山拓斗』。

 

そこそこ整った顔立ちのチャラい見た目だが、話術が巧みであるために女子の評価は半々に別れる。

 

色恋方面では悪い噂が絶えない男だ。

 

アスカがそんな男の誘いを受けたのは、()()()()()()()適当に応えた結果であった。

 

 

「んー、私としては特にそんなつもりじゃなかったんだよね。 あいつ、()()()()()()()()()の時間が迫っていた時にしつこくって。 追っ払うのに渋々了承したの」

 

 

アスカは亮子に、制服の袖をめくり上げて()()を見せた。

 

彼女は3年前に──()()()()()両上腕の中心から下部、両太股の中心から下部を切断しなければいけなかった。

 

そして大学病院から定期なデータ取りを協力する変わりに、最新式の義手・義足のメンテナンス込みで無料で使用出来ている。

 

容姿もさることながら、彼女の()()()()()は非常に目立つため、同級生だけでなく、上級生、下級生問わずに広く学園に知れ渡っている。

 

 

「なるほど~。 スカちゃんが石上くんみたいな人の誘いを受けたのは意外だったから~、納得だよ~」

 

 

亮子はおっとりしていても、ネジの抜けた弛い思考の持ち主ではない。

 

しっかりと人を見る目はあるからこそ、石上の女癖の悪さも認識している。

 

 

「その話はどうでもいい。 それより──」

 

 

アスカと亮子が雑談を交わしていると、二人の見知らぬ少年が入って来た。

 

「ねぇ、君・・・・転入生?」

 

アスカが聞いた。

そうするとどこか仏頂面に見えた表情は、パッと輝き()()()()()()()()()()()()で応えた。

 

 

()()()()()! 転校生のセツナで~す! よろしチョリース♪♪」

 

「チョリ・・・・ス?」

 

 

思ってもいない返しにアスカはきょとん、とした表情になった。

 

さらに周りのクラスメイトの視線も集めていた。

 

「数十年前に~、ギャルなど若者の間で流行し~、流行語大賞にもノミネートされた言葉だよ~」

 

 

亮子はのほほんと返した。

 

 

「・・・・なんで知ってるのよ?」

 

「さぁ~?」

 

 

二人や周りの人間の反応からセツナはやべぇー、と舌を出した。

 

 

「ちょいちょい~、俺っちをそんなガン見すんなよ♪ そんな注目されると照れちゃうチョリよ! ──それよりも君たち、俺っちのクラスメートになっちゃう~? なっちゃうわけ~?」

 

「よ、よろしく」

 

「よろしく~」

 

 

話し掛けた手前、無視する訳にはいかないアスカはとりあえず愛想笑いで、亮子は笑顔を崩さずに返した。

 

「えっ! やっちまった! これはやっちまった系~? ヤベェ~~♪ 俺っちはヒッソリと~溶け込みたかったなぁ~♪ アッハハハハ♪♪」

 

「・・・・イヤ、無理でしょ・・・・」

 

 

アスカはその意味不明なテンションのセツナに、すかさずツッコミを入れた。

 

 

「っていうかぁ、やっぱし俺っちの涌き出るぅ~、魅力? オーラが~、生まれ付きでディスティニー的に~装備されてるわけだからやっぱし無理チョリかなぁ~?」

 

「・・・・亮子、コイツ殴っていい?」

 

ピキっと、顔に怒りマークを浮かべたアスカ。

 

 

「止めてあげて~。 アスカのパンチはシャレにならないよ~」

 

 

亮子はどうどう、とアスカを抑える。

 

 

「アッハハハハ♪ 言われちゃってるよ、俺ぇ♪ マジ、やっべえチョリ~♪」

 

 

セツナは()()()()()()()()()()()()()()()、ハイテンションで自己紹介をして窓際の最後列の席に座った。

 

(ヴェーダ内にあった内偵調査使用疑似人格タイプRー35。 果たしてこの()()()()・・・・これは任務に向いているのか・・・・? いや、それよりも任務に集中すべきだな)

 

 

聖栄セツナことふうま刹那は、自己暗示を利用して操っている人格タイプRー35を人格表面に出しながら、意識化では本来の人格で思考していた。

 

 

(首尾はどうだい)

 

 

リボンズが脳量子波により刹那と交信してきた。

 

通常ならば視界範囲でしか成り立たない脳量子波による交信だが、脳量子通信を補助する機能もあるGNリングで繋がっている二人は、範囲5㎞以内で交信できる。

 

セーフティハウスとして所有しているマンションの一室に、リボンズは待機していた。

 

 

(・・・・悪い、としかいえない。 だが幸いにも()()()()との接触は何とか出来た)

 

(・・・・まあ、疑似人格Rー35なら当然そうなるね。 ──とにかく、それを押した()()()()()にも考えがあるようだし、何とかやってみてくれ)

 

(了解した・・・・)

 

 

──キ~ン、コ~ン、カ~ン、コ~ン~♪

 

リボンズとの交信が終わったタイミングで、ホームルーム開始の合図のチャイムがなった。

授業では個人タブレットやパソコンを使用したりと最新式のやり方を採っているが、何故かチャイムは古めかしいチャイム音が流されている。

 

── ガラガラガラ! ガシャンッ!!!!

 

 

教室のドアを無駄に力強く開け放ち──

 

 

「諸君! 朝の挨拶、つまり『おはよう』という言葉を慎んで送らせてもらおう!!」

 

 

何だが訳の分からない独特の言い回しで登場してきた教師がいた。

 

癖っけのある金髪に、童顔気味の端正な顔立ちで、スーツを着た彼は青年実業家のような雰囲気だ。

 

 

「「「「おはようございます!」」」」

 

「既に私は挨拶をした!」

「分かってま~す」

 

 

亮子が馴れた様子で返す。

 

彼女は実はクラス委員長である。

 

 

「むっ!! そこに居る君っ!! そうか、君か!」

 

 

彼の目線はセツナに向いた。

 

 

「君が噂の新着任者か!! ──よくぞ来た! 君の着任をクラス一同、そして担任であるこの私──()()()()()()()()()が歓迎しよう!!」

 

「チョリ~ス」

 

 

セツナは軽く挨拶(?)を交わした。

 

 

 

「ぐっ!? い、今なんとっ・・・・!!」

 

 

グラハムは衝撃を受けたように仰け反った。

 

 

「チョリース♪」

 

 

──チョリース♪ チョリース♪ チョリース♪

──チョリース♪ チョリース♪ チョリース♪

──チョリース♪ チョリース♪ チョリース♪

 

グラハムの脳内に、セツナの『チョリース』がエコーする。

 

 

(ああっ! な、何という心揺さぶる響きだ!!)

 

 

震える声で、グラハムは聞いた。

 

 

「しょ、少年っ!! ──『君の名は』!?」

 

「チョリース!」

 

 

セツナが答えになっていない、答えだったので、変わりに亮子が答えた。

 

 

「聖栄セツナくんで~す」

 

「チョリース♪」

「な、何と魅力的な挨拶だ!!」

 

「・・・・イヤ、ウザいだけですよ。──というか挨拶ですか、それ?」

 

 

アスカがウンザリしたような顔で言った。

 

 

「う、ウザ!? チョリース!!?」

 

 

セツナががっかりしたように、落胆した表情を浮かべていた。

 

 

「そうか、自己紹介がまだだったな! 私の名はグラハム・エーカー! ご覧の通り()()だ!」

 

「教師ですよ~」

 

「チョリース!」

 

グラハムはぐっ、と膝を着いた。

 

 

(ああっ! 奪われたっ! そうだっ! 奪われてしまった!!)

 

 

「聖栄セツナ!! 私はキミという 存 在 (チョリース)に心奪われた男だっ!!」

 

 

グラハムの意味不明発言&テンションは今日に始まったことではない。

 

赴任して来てからわずか1週間。

 

生徒たちは深くツッコまないという、スルースキルを獲得していた。

アスカは諸事情で接した日数が足らず、亮子はクラス委員長として会話に巻き込まれている。

 

他の生徒たちは、獲得した高レベルスルースキルを発揮してまるで空気のように存在を消している。

 

 

「ハム先生~。 その発言は()()()()()って、言ってます~」

 

「・・・・え? 亮子、誰が・・・・?」

 

「カタギリ先生。 メッセージを送ったら返事が来たよ~。── どうやらハム先生の悪い面が出てるみたい~。 ハム先生が暴走してるって、伝えたら自習だって~」

 

 

相変わらず口調とは裏腹に、行動は早い。

 

キーボードの上で動く手は速いし、ブラインドタッチでメッセージを打っていた。

 

 

「・・・・いいの、それで・・・・?」

 

「それがハム先生だよ~」

 

 

その一言納得してしまった。

 

アスカは自分もだいぶこのクラスの、グラハムのノリに馴れてきた事に苦笑してしまった。

 

 

「少年、君の趣味はなんだ? 私はガンダムだ!」

 

「チョリース!?」

 

「ふむ、君はチョリソーが好きか! 益々気に入った!!」

 

「チョリース?」

 

「だが、戦場ではこうはいかんぞ!!」

 

「チョリース!」

 

「後を着けろ! ハワード、ダリル!!」

 

「チョリース♪」

 

 

二人のカオスなやり取りに、完全に見学者のアスカと亮子。

 

 

「・・・・会話が全く噛み合ってないんだけど?」

 

「それがハム先生の真骨頂だよ~」

 

 

 

 

 

 

 

転入後──たった1週間で一躍有名人となった聖栄セツナ。

 

ぶっ飛んだ言動からはまったく想像出来ないが、学業や運動に関して高い能力を示し、再びクラスメイトたちを驚かせたりもした。

さらに彼が、かなりの美形であることにも周りは気が付いた。

 

そのため、()()()()()()()()()()()()()()()とも裏では言われていた。

 

そんなこんなで──2週間が経過していた。

 

 

「苦労してるな、刹那」

 

 

刹那は、セーフティハウスのマンションの一室に来ていた。

そこにはリボンズではなく、欧州系の容姿を持つ20代中盤の青年がいた。

 

名を──ニール・ディランディという。

 

GN粒子を扱える人物で、リボンズがスカウトした人物だ。

 

彼もまた、刹那やリボンズと同じく前世の記憶を持つ。

 

刹那にとって、ニールは()()()()()()()()()に大きな影響を与えた兄のような存在だ。

 

彼は家族と出かけた先でテロに巻き込まれて重症を負った。

 

さらに悪いことに、脳に損傷を受けて植物状態となって脳死判定を受けた。

 

それを受けて家族は、ドナー登録をしていた彼の意思を受けて延命処置をせずに、移植手続きを進めた。

 

彼の入院先では臓器摘出が出来なかったため、臓器摘出が可能な病院に運ばれることになった。

 

だが彼が救急車で搬送される途中に、飲酒運転で暴走する車に衝突されて、追い討ちをかけるように悪いことは連鎖して2台は炎上した上に、車体が爆発してしまった。

 

その結果──救急車及び追突車に乗っていた全員が死亡し、爆発と炎によりそれぞれの死体は1部しか見つかっていない。

 

故に──ニール・ディランディは()()()()()()()()()()()人物となっている。

 

そうした事はテロによりニールの存在を知ったリボンズは極秘裏に接触し、彼がGN粒子に覚醒する手助けをしたことから始まった。

 

GN粒子を制御・生成できるようになったニールはイノベイターに進化した。

 

同時に肉体機能も拡張し、増大した肉体の自己修復能力により脳の損傷が修復され、意識を取り戻した。

 

同時に前世を思い出した。

 

そしてテロの裏に()()()()が関与していることやその恐るべき暗躍をニールは知り、家族や友が生きる世界を守るために──『歪み』を破壊するために刹那の仲間に加わることを承諾した。

 

そこで、同じく前世の記憶を持つ戦術予報士──『スメラギ・李・ノリエガ』に()()()()()を依頼。

 

──シンプルに行きましょう。

 

スメラギの考えたプランの巧妙な所は陳腐なシナリオではあるものの、例えこの件を怪しんで調べて見ても『真実』と『ヴェーダによる巧みな情報操作による嘘』の混合により、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()として説明がついてしまうことだろう。

 

そうして──テロの後の()()()()()()()()()()()()()()()()()()が起こり、ニールは刹那たちと合流した。

 

「・・・・今回のバックアップは、ロックオンか・・・・」

 

酷く疲れた様子の刹那は、ニールをコードネームである『ロックオン』と呼んだ。

 

刹那にとってロックオンとは、ニールと彼の双子の弟──ライル・ディランディの二人を示す。

 

前世ではニールが戦死し、その後に知り合ったライルの方が付き合いでいえばずっと長い。

 

けれども、刹那の中ではロックオン、というコードネームはニールを強く想像するものである。

 

今世で再開した時も、彼の事を『ロックオン・ストラトス』と自然と呼んでいた。

 

 

「ははは。 さすがの刹那も精神的にまいっているな」

 

「・・・・スメラギは・・・・何故、Rー3号を選んだ。 ・・・・Rー1号、Rー2号では何故ダメなんだ・・・・? このミッションは・・・・」

 

「おいおい、お前さんが弱音を吐くとはな。 よっぽどまいってんな・・・・」

 

 

ニールは刹那が静かだが、心にとてつもない熱さと強靭な意思を秘めた少年であることを、そして普段はあまり表情を変えずに感情を読み取りづらいのをよく知っている。

 

それにも関わらず、明らかに疲弊した様子で弱音を吐くなど、前世も含めて見たことがなかった。

 

 

「ミス・スメラギとヴェーダの予報では、1ヶ月以内に()()()()()はずだぜ。 あと2週間だ。 ──()()()()()に備えるのを忘れるなよ、刹那」

 

「・・・・ああ」

 

「それと、今後の指示なんだがな。 ──二人をデートに誘え」

「・・・デート・・・・?」

「くっくくく。 デートだよ、刹那」

 

 

ニールはニヤけ顔で、刹那の目を丸くした顔を見ていた。

 

 

 

 

 

 

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