対魔忍独立遊撃隊『ソレスタルビーイング』   作:自己満足です

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3月18日
タイトル変更


第6話「チョリースと鋼鉄と、ハムの人 Ⅲフェーズ」

セツナと別れたアスカと亮子は、話題の恋愛映画を鑑賞した。

 

上映時間は2時間ほどであり、アスカは思ったより楽しめていなかった。

 

 

「どうだった?」

 

「ん~。 イマイチかな~」

 

「だよね。 ──フツーの恋愛物。特に変わったところ無し」

 

「いい感じのご都合主義だったね~」

 

「・・・・こんな感想しか出てこないなんて、私たちヤバいかもね。 劇場にいた同じ歳の子たちは、感動して泣いていないにしても、大概はうるっときてたみたいだし」

 

「う~ん、いいんじゃない? どうせフィクションだし~」

 

 

亮子は特に考えることなく、サラッと流した。

 

 

(・・・・ほんと、亮子のこういうところは助かる。 やっぱり恋愛物の良さって分からない・・・・)

 

 

エドウィン・ブラックに敗れた戦いの後に、アスカは精神的に壊れていた事があった。

 

四肢をもぎ取られてまるでダルマのような状態で、アサギに発見されるまで丸1日放置された。

 

アスカは全身が()()()()()()()()()()()()まみれの裸の状態で、さらに彼女の()()()()()()()()──というアサギが発見した状況証拠から凌辱されたことは間違いなかった。

 

不幸中の幸いか、ブラックに与えられた肉体的・精神的なダメージが大きすぎて、凌辱の記憶はほとんど無かったが。

 

──そうですか。

 

誰とも知れぬ男たちに処女を奪われ、散々好き放題にされたということを伝えられても入院中のアスカはさして心を動かされなかった。

 

四肢を奪われ、食事や着替えどころか、排泄も入浴も、何も1人で出来なくなった。

 

それを悲しいとも、悔しいとも思えなくなっていた。

 

日々無気力で過ごし、死のうとも、生きようともしない無為に過ぎしていた。

 

そんなある日──

 

──私と来なさい、アスカ。 もう一度戦う力をあげる。

 

『裏切り者』としてアサギに教えられていた、紅蓮の色をした髪を持つ()()()()()()が現れた。

 

その彼女からの差し伸べられた手を、アスカは握ることは出来なかったが、必死に声を張り上げて答えた。

 

──行きますっ! 私に、力を下さいっ!!

 

アスカは迷わず仮面のくノ一に付いた。

仮面のくノ一は、米連の防衛科学研究室(DSO)の日本支部の所長であった。

 

DSOは、現代科学技術と魔界技術を融合した兵器開発を主としている。

 

そこでアスカは──再び戦う力を取り戻した。

 

それが──普段は()()()()()に偽装しているが、DSOの技術の結晶である戦闘用義肢(アンドロイドツール)であった。

 

アスカはアンドロイドツールという強力な武器を手に入れ、さらに元々優れていた対魔粒子の扱いや風神の術、体術にも磨きをかけ、4年間で米連の極秘エージェントとして多くの任務を達成してきた。

 

実績と経験により、アスカは失ったものを徐々に取り戻し、実力も付けた。

 

今ではエドウィン・ブラックへのリベンジさえ、望むようになるほど回復を見せていた。

 

ただその代償に、アスカは()()()()()()()()()()()()を修復できていないことも自覚していた。

 

(普通の学生生活面・・・・そうしていれば、普通に恋できたのかな?)

 

 

アスカは男という存在と恋に落ち、恋人になり、やがて結婚する。

 

そういうビジョンがまるで浮かばない。

 

それは無意識であっても、凌辱のキズが自然と男を遠ざけているために、年頃となっても『初恋』さえも経験していないためであろう。

 

アスカの同年代たちの標準を遥かに越えたスタイルだけでも性欲盛りの男子たちの目を集めるのに、おまけに顔立ちまで整っているために、性的な視線をさらに集める結果となっていた。

そういう相手には──()()を覚えてしまうのだ。

 

普通の女性が男に襲われたりしたならば脅え、嫌悪、憎悪を覚え、酷い者でも殺意を覚える事はあるだろう。

 

しかし実際に何の罪も犯していない男に、()()()()()しようとする者はいない。

 

だが──アスカは違った。

 

アスカは()()()()()()()()ことや、男に対して脅えてはいられないという環境もあり、男に対する感情は殺意という形まで一気に昇華されてしまったのだ。

アンドロイドツールを装着して1年目では、性的な目線を送っただけで半殺しにした男たちの数は軽く二桁に届く。

 

2年目、3年目、4年目と、時を重ねる事に自制は効くようになっていったが、不躾な男には心の中では常に殺意を抱いている。

 

 

(聖栄セツナ・・・・彼は何だか他の男とは違う気がする・・・・)

 

 

言動からはチャラいどころかぶっ飛んだ感じを受ける少年であるが、同じくチャラい男──石上と同じような存在だと思っていた。

 

()()()()()()がやたらと間合いに入らせるため、徐々にだがアスカはセツナを観察し出した。

 

そして──気が付いた。

 

いくら親友とも呼べる亮子が気を許しているとはいえ、殺気さえ抱く男という存在のセツナを受け入れているのか。

 

──瞳の奥の光。 濁ることなく、ひたすら何かを求めているような不思議な光。

そんな瞳を出来るのは、ただ性欲に支配されて愚かな考えしか出来ない者には決してできない。

 

アスカはセツナの秘密が知りたくて、ふと、セツナを目で追っている時があった。

 

 

(どうしてだろう?)

 

 

アスカは胸に覚えた、少しの『違和感』に不思議と温かさを覚えていた。

 

 

 

 

 

 

第6話「チョリースと鋼鉄と、ハムの人 Ⅲフェーズ」

 

 

 

 

 

 

「だ~ん、だだん! だんだん、だ~ん、だだん!!── 武○介入!!!」

 

 

男がメロディーを口ずさんでいた。

 

アスカと亮子がその前を通り過ぎた時──

 

 

「おいおい、美人の姉ちゃんたちよぉ!! 無視してんじゃねぇ、よ!!」

 

「はぁ? 何言ってるのよ」

 

 

アスカは絡んできた男に、言い返した。

 

 

 

 

「俺を誰だと思ってるんだぁ!? 」

 

「あなたは・・・・ナンパ番長ね~」

 

「ナンパ、番長? ・・・・亮子、知ってるの?」

 

「ぜんぜん~、ただのカンだよ~」

 

「鋭過ぎるでしょ!?」

 

「オラァッ! 俺を無視すんなや!! いきなりぶっこまれたオリキャラなんやから、自己紹介ぐらいさせろや!!」

 

 

2人はどうぞ、とナンパ番長の言葉を待った。

 

彼はゴホンっと、一つ間をおいて話だした。

 

 

「ナンパとケンカをするために生き! そして死んでいく! タイタン一本の(おとこ)!! ロリこそ至高!! それが──ナンパ番長だ!!」

 

「・・・・もうツッコミどころが満載過ぎる」

 

「キャラ絞ってこないとすぐにボツになっちゃうよ~」

 

「なるほどなぁ! しかし! 俺は難しいことは考えられないっ!! 何故ならバァカだからだぁっ!!」

 

「それって堂々と言うこと?」

 

「あぁんっ!? 生意気なんだよ、()()()がっ!!」

 

「はあぁぁぁっ!?」

 

 

どうでも良い男のナンパは簡単に無視できる。

 

『ババア』呼ばわりされて看過できるほど、気の強い10代後半の乙女(アスカ)は達観はしていなかった。

 

 

「そういうあんたはただの変態じゃない!」

 

「なぁあにいいぃぃっ!? 変態ではない、変態紳士だぁっ!!」

 

「同じじゃないっ!」

 

「なんだとぉぉっ!? こうなったら貴様らまとめて叩きのめしてやるうぅぅっ!!!」

 

「やれるものならやってみなさい!!」

 

「いや~、巻き込まないで~」

 

 

2人と巻き込まれた1人の間に、緊張感が走る。

 

 

「殺ってやるぜぇっ!! 俺は生きるぜぇっ!! 他人の血肉を喰らってでもなぁっ!!」

 

「もうハレ○ヤ感が半端ない~」

 

 

亮子は割りと余裕な様子。

 

「いっちまえよぉっ!!」

 

 

ナンパ番長が拳を握り締め、アスカに突進しようとする。

 

その時──

 

 

「待ちたまえ!」

 

 

──ガラッ!

 

2階にある喫茶店の窓が開く。

 

──スタッっ!

 

誰かが飛び降りてきた。

 

何者かが2人の間に、華麗な着地を決めたのだった。

 

その人物は──

 

「誰だっ! てめぇはっ!?」

 

「問われたのならば答えよう! 我が名はグラハム・エーカー! この度昇進して上級大尉となった!」

 

 

グラハムは腕組み、ニヤリと笑った。

 

 

「いや、先生ですから~」

 

「ナンパ番長とやら。 この度の行いの一部始終、しかと見させてもらったぞ」

 

「・・・・なら、早く助けに来なさいよ」

 

相変わらず突如として、ラブコメ主人公もビックリの難聴(?)になる男──グラハム。

 

アスカや亮子のツッコミは聞こえていない、ようだ。

 

 

「なんだこのKYで、バァカはっ!! 調子くれてんのかっ!! あぁっっ!!?」

「その通りだ」

 

 

ナンパ番長の言に、意外にもグラハムは肯定する。

 

 

「私はKYだ。 つまり空気が読めず、すこぶる調子にのっている。 なおかつ我慢弱く、人の話を聴こうともしない。 属にいう──嫌われ者だ」

 

 

グラハムは難聴ではなく、ただ聴かないようにしていただけのようだ・・・・。

 

 

「そこまで言わなくても~・・・・」

 

 

さすがに哀れに思ったのか、涼子がフォローを入れた。

 

だが──

 

 

「だが! そんな私でも、吐き気のする悪は分かるっ! そして、それを見て見ぬふりも出来やしない! ──対峙させてもらうぞ! ナンパ番長!!」

 

 

グラハムのテンションはアゲアゲだ。

 

「自分に酔ってるんじゃねぇ! このナル野郎がっ!! 鏡見たことあんのかっ!!」

 

 

ナンパ番長がいい具合に言い返したが──

 

 

「その言葉はそっくりキミに返そう!! その()()では、私を掴まえることはできんよっ!!」

 

 

グラハムの反撃にナンパ番長はぐっ、と黙った。

 

(そう、ナンパ番長はメタボだったのです~。発言はハレ○ヤや感が半端なかったですが、メタボで顔もイケメンには程遠いのでした~。 体型でもイケメン具合でも、ハム先生には100対0ぐらいで負けていますね~ )

 

「聴こえてるぞっ!! 」

 

 

亮子の心の声は、どうやら普通に声に出ていたようだ。

 

 

「バァバアッ、その2っ!! このKYをぶっ潰したら、真っ先に──」

 

「あんた、前を向いた方がいいわよ」

 

「ああんっ!? 」

 

 

亮子に気をとられていたナンパ番長は、アスカの言葉で眼前に迫るグラハムの()()にようやく気が付いた。

 

 

「グラハムチョップッ!!」

 

「ぐあっ!?」

 

 

鋭い手刀が──

 

 

「グラハムパンチッ!!」

 

「おぐっ!?」

 

 

重い拳が──

 

 

「ハムキックッ!!」

 

「うぐっ!?」

 

 

疾い脚が──

 

 

「グラハムチョップッ! チョップッ! チョオオオオップッッ!!」

 

「ぐあああああああああああっ!!!」

 

 

左右の鋭い手刀が()()()()()に炸裂した。

 

 

「なっ、なんだ、この理不尽なっ・・・・強さ、は・・・・」

 

 

ナンパ番長はそう呻くのが精一杯だった。

 

 

──バタンッ!!!!

 

 

防御力だけはやたら高そうなメタボボディが、グラハムの猛攻を受けて重そうな音をたてて地面に沈んだ。

 

コンクリート道路ではあるが、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ふっ、これが()()()()()()()()()の実力だよ」

 

 

グラハムがニヤリ、と笑った。

 

 

「・・・・わけ、わか・・・・んねぇ・・・・ぞっ・・・・」

 

 

ナンパ番長は力尽きた。

 

 

「ハム先生~! ありがとうございました~」

 

「今回は助かったわ」

 

 

2人はそれぞれ礼を言う。

 

 

「少し待ちたまえ。 ()()()()()()──せやっ!!」

 

「あふんっ♪」

 

 

さらにチョップを叩き込んだ。

 

ナンパ番長はさらに力尽き、どこか恍惚とした表情で気色悪い声を上げた。

 

 

「ハ、ハム先生~・・・・」

 

「・・・・やり過ぎ」

 

 

グラハムの追撃に、若干引き気味の2人。

 

そこへ──

 

 

「君たち、危ないところだったね」

 

「カタギリ先生」

 

 

長身で、知的な容貌さをさらに引き立てるようにメガネをかけた男──ビリー・カタギリが現れた。

 

 

「偶然、僕たちが通りかかってよかったよ。 ここは自分に酔っているグラハム先生に任せて行こうか。──知り合いだと思われても困るからね」

 

 

ビリーが苦笑した。

 

 

 

「そうですね。行きましょう」

 

 

アスカがそれに笑顔で答えた。

 

 

(スカちゃん?)

 

 

アスカの笑顔とは裏腹に、彼女からいつもと違う()()を亮子は感じていた。

 

3人が去って行っても、グラハムの『トドメ』は終わらない。

 

ナンパ番長を立ち上がらせると──

 

「堪忍袋の尾が切れたっ!」

 

 

容赦のないグラハムパンチッ!

 

 

「あふっ♪」

 

──・・・・・・・・

 

「今の私は! 阿修羅する凌駕する存在だっ!」

 

 

非情なるハムキックッ!

 

 

「アフンッ♪」

 

──・・・・ム・・・・

 

「ハワードとダリルの仇っ!」

 

 

無情なるグラハムエルボーッ!

 

 

「オフッ♪ ザクッ♪」

 

──・・・・ラ・・・・ム

 

「プロフェサーの仇っ!」

 

 

強烈なグラハムチョップッ!

 

 

「おうっ♪」

 

──・・・・ハ・・・・ム

「藤◯さんと、神○さんと、吉○さんの仇っ!!」

 

 

 

しつこいぐらいのグラハムパンチッッ!!

 

 

「オウッ♪ オオッ♪ グフッ♪」

 

──・・・・ラ・・・・ハム

 

「そして、これが私の分だあぁっ!!」

 

 

目覚めるような踏み込みの後、まるで雷のような鋭いアッパーが放たれた。

 

 

「グラハアアアァムッ・スペシャャャャルッ・アッパアアアアアァァッ!!!」

 

「おおおおおおおおおんっ♪♪」

 

 

グラハムの渾身の一撃で、100㎏を軽く越えている巨漢が見事に空を舞った。

 

なんの防御も回避もなく受けた一撃により、ナンパ番長はさすがにノックアウトした。

 

フルボッコにされたナンパ番長だが──

 

──ビクンッ♪ ビクンッ♪

 

ヨダレを垂らし、恍惚の表情を浮かべて気絶していた。

 

彼はきっと、別の世界の扉が開けたことだろう・・・・。

 

 

「身持ちが堅かったな! ガンダム!」

 

「いや、彼はナンパ番長らしいよ」

 

 

グラハムにツッコミを入れたのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だった。

 

「それはともかく、僕が喫茶店で君の代金を払っている間に不味いことなったようだね」

 

「狐に化かされた、ということかな。 いかんせん、()()()()()がキツ過ぎたようだが」

 

「・・・・分かっているなら、止めてくれても良かったんだよ」

 

「彼女には悪いが、少年の疲労がピークに達している。 ──そろそろ、()()()()には退場して頂くとしよう」

 

 

グラハムは先ほどまでとはうって変わって、その瞳には獰猛な光を宿していた。

 

 

「カタギリ。 フラッグの調整を頼む。 ガンダムばかりにいい格好をされては、フラッグファイターの名が泣いてしまう」

 

「了解だよ。 やっぱり設定は──」

 

「最高のスピードと剣を。──無論、パイロットへの負荷は無視してもらって結構」

 

「任せてくれ。 ガンダムではなく、フラッグを選んでくれたグラハム(親友)の期待に応えて見せるよ」

 

 

臨時教師ではなく、技術者としての自信に満ちた笑みをビリーは浮かべた。

 

 

「ならば私は、その想いを超える戦場での働きをご覧に入れよう」

 

 

グラハムは傲ることも、力むことも、謙遜することもなく、自然な調子で言った。

 

 

 

 

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