アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです 作:スカイキッド
その日、日本の新聞見出しは一様に同じ文章で埋め尽くされていた。
──「第二次黒船来航」
これは横須賀港に入港した米海軍補給艦の艦名が『USNSマシュー・ペリー』であったことに由来しており、1853年、マシュー・ペリー提督率いる黒船の艦隊──米海軍東インド艦隊は当時江戸幕府により統治されていた日本に開国を求めて来航し、日本の人々を驚かせた。
そして2016年の1月21日、再びの『ペリー』の来航に日本の人々はまたもや驚かされ、その日、在日米軍基地の存在する横須賀港と佐世保港には文字通り多数の米海軍艦艇が来航した。
航空母艦6隻、揚陸艦8隻、輸送船13隻、補給艦3隻、巡洋艦と駆逐艦多数、しかもその艦隊は
日本政府は状況把握のため、すぐさまこの米艦隊指揮官との面会を要請し、米艦隊側も断る必要がないため快くこれを了承、米空母艦隊の艦隊司令官が首相官邸に向かった。
そして、日本政府は全ての事の次第を把握した。
この大艦隊は日本の転移により取り残された在日米軍戦力とアメリカ人旅行客、日本滞在アメリカ人の救助のため(SF映画も甚だしいワームホール――詳細は不明――なるものを形成して)地球からこの世界へとやって来たのだ。
だが日本政府としても、在日外国人と在日米軍の存在は転移後に色々と厄介な問題だった――具体的にどう面倒なのか明言は控える――ため、米国へ帰還させることを了承した。
むろん、日本にいた米国民らは狂喜した。
二度と帰れないと思っていた祖国が、なんと自分たちから軍隊を派遣して助けに来てくれて、そしてそれは在日米軍も同じで、ほぼ全隊員が帰還を希望した。
既存の在日米軍の海軍艦は旗艦『USSブルー・リッジ』、原子力空母『USSジョージ・ワシントン』を始めとして、イージス艦や揚陸艦全数十隻の海軍艦艇が帰還のために出港。
数百機近い空軍機と海兵隊機も、輸送用に引き連れてきた5隻の旧式空母に分解またはそのままの状態で載せられ、そして大勢の帰還米国民ら、そして車輌なども共にすし詰めされて出港した。
代わりに数日後、交代要員となった
彼らは在日米軍を救出してそれで終わりだと思ってたのに、別の部隊が代わりに駐留してくるとは一体――まさかコイツら、この世界で何かやろうとしてるのではなかろうか。
日本政府や防衛関係者がこの米艦隊のことを訝しんでる間、多くの日本にいた在日米国民らも日本から家財一式、家族全員、場合によっては自家用車すらも輸送船に詰め込み、次々に日本を旅立っていった。
一部の米国民は日本への住み込みを決めた者もいた――が、それは例えばこの異世界の方が楽しそうだと思ってる変なヤツや、重犯罪を犯し指名手配中で帰国できないなど、訳アリな事情を抱えていた者たちだった。
さらにこの艦隊はアメリカ人の帰還を中心としていたが――なんと余裕の空いた数隻の輸送船に限り、地球への帰還を希望する在日外国人と日本人も輸送することにした。
彼らはこぞって帰還を希望したが、如何せん数が多すぎたため、百数万人のうち1万人が先行して帰還することとなった。
帰還者と在日米軍の詰め込みが完了した船から随時日本を出港していき、二週間後には最後の米国民らを載せた輸送船の一隻が出港した。
一応、日本政府は米艦隊に出来れば地球に取り残された日本国民らをこちらの世界に連れてきて欲しいと要請し、米艦隊側もこれを大統領に伝えておくと言い残して、去っていった。
まさか、アメリカがこの世界にまで進出してくるとは、日本人は誰も思っても見なかった。
だが日本政府にはもう一つ悩みの種があり、それは先ほどの米艦隊が、フェン沖でパーパルディア皇国の大艦隊を文字通り全滅させたことにあった。
おかげでフェン王国にいた日本人観光客およそ3,000人以上が助けられたのには感謝しているが、パーパルディア皇国は米国ではなく日本により自分たちの軍が大打撃を受けたと勘違いした。
後日、自らのプライドをズタボロにされたパーパルディア皇国により日本へ殲滅戦を宣言、日本は完全に米艦隊からの濡れ衣を被せられる形となったのだ。
そして米国は、日米安保を理由にこれに介入するつもりだった。
米艦隊のせいで日本人観光客が虐殺されなかった代わりにパ皇からとばっちりの殲滅戦させられる日本くん……