アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです   作:スカイキッド

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今回は閑話的な立ち位置ですかね。
 


第19話「帝国技官の衝撃と行動」

 

 

 ほぼ同じ頃。

 

 

 この惑星α――異世界の中で西も西の場所に存在している第二文明圏と呼ばれる地域。

 世界に三つある文明圏の一つで、ムー大陸全域とその周辺海域の島々からなるこの地域の更に西、そこにちっぽけな島国が存在する。

 

 その国は名をグラ・バルカス帝国という。

 

 ムー大陸の北西、西の果てに突如として現れたこの国は周辺の諸国を圧倒的な軍事力と技術格差であっと言う間に配下に収め、第二文明圏全体に対して宣戦を布告するなどかなり滅茶苦茶な事をしている。

 

 にも関わらず、この国の軍事力と技術力は相当に高いのか、すでに西方世界の多数の文明圏外国家が制圧され、世界でも特に力のある列強国の一角とされるレイフォルをもわずか5日間で滅ぼし植民地化するなど、その力は計り知れない。

 

 ところが――この国の正体、それは東にて転移した日本国と同じように、突如として異世界から転移してきた、()()()()である。

 実際、中世~20世紀前後の文明力の国が多い第二文明圏国家の中で、彼らの文明力はたた唯一20世紀半ばを行っている。

 日本同様にいきなりこの世界に飛ばされてきたグラ・バルカス帝国は、自分たちよりも文明レベルの低いこの世界で戦争を幾度も起こし、侵略した相手国を蹂躙し、そこを植民地とするなど、とにかく暴れまわっていた。

 

 さて、そんな国には奇妙な特徴がある。

 

 それは彼らの保有する兵器が、何故か大日本帝国陸海軍の持つそれとそっくりなものばかりなことである。

 例えば、彼らの海軍が持つ超大型戦艦『グレードアトラスター』は細部を除けば戦艦大和に瓜二つだし、戦闘機『アンタレス』はゼロ戦に酷似している。

 戦車だって、九七式中戦車チハの擬きもいれば九五式軽戦車の擬きだっている。

 

 ただしその中には戦中に完成せず幻に終わった超重爆撃機『富嶽』の擬きが(量産体制に入ってないとはいえ)開発されているなど、細かな差異も存在している。

 

 いくら文明レベルが第二次世界大戦程度とはいえ、なぜ日本軍のそれと似てしまうのかは全くもって謎である。

 少なくとも一つ言えることは、この世界では他文明と比べても比較的に軍事力と技術力の高い彼らの侵略を、今のところ止める手段は無いということだけだった。

 

 

 

 

 そんな彼らだが、彼らも彼らで少なからず焦りを感じていた。

 

「なんだ、これは……?」

 

 グラ・バルカス帝国首都は帝都ラグナの一角、官庁街に連なり摩天楼を形成するビルディングの一つである技術研究所本部ビル。

 帝国軍における各種武器兵器の研究、考案、設計、試作などを行っている施設で、その中の部署の一つ、帝国軍内でも実用前段階にある各種技術を研究する、先進技術実験室。

 先程の呟きが漏れたのは、この部署に所属する技師カンダルの口だった。

 

「これは戦車なのか……?」

 

 彼は数枚の写真を眺めていた。

 それは彼の帝国大学時代の同級生である情報局職員のナグアノが送ってきた、パーパルディア皇国という東の国で帝国のスパイが撮ってきた写真だ。

 

 パーパルディア皇国はこの世界における列強国の一つで、一年半前から日本というさらに東の島国――情報局の見解では日本は帝国と同じ転移国家の可能性があるらしい――と戦争していた。

 が、突如参戦したアメリカとかいう国――こちらも転移国家らしいがどこに本土があるのか判明していない――に国土をボッコボコにされ、1日で降伏したらしい。

 

 まぁ、1日で国家が降伏した例は自分たち帝国の戦争におけるレイフォルの件もあり、特段おどろかされるようなことではない。

 問題は、皇国に派遣されていた帝国のスパイから送られてきた、アメリカ軍の上陸部隊を撮影した写真だ。

 

「この戦車……近くに立つ人間の大きさから考えるに、帝国軍のワイルダー重戦車より大きい……主砲の口径長も長いな……口径は100mmはあるんじゃないか? まさか艦砲を載せてるんじゃ……」

 

 その写真には近代火器で武装し迷彩服を纏った多数の兵士と、複数台のトラックや装甲車、上陸用舟艇らしき小型船舶、そして戦車のお化け――M1エイブラムズ主力戦車――が写っていた。

 

「もしや戦車ではなく、これは自走砲なのか? いや、しかし……」

 

 第二次世界大戦時相当の戦車しか知らない帝国軍人にとって、その写真に写る米軍の戦車は化物(バケモノ)そのものだ。

 帝国軍の主要な戦車であるハウンド中戦車(チハ中戦車擬き)ですらM1戦車から二周りも小さいのだ。これが戦車だと言われても、そうそう信じられないだろう。

 

「もし、もしもこんな戦車と帝国軍の戦車が正面きって戦えば勝ち目はない……! もしかしたら戦車のみならず、アメリカの軍の兵器は我が軍のそれよりも優越してるのでは……!?」

 

 もし仮に、この世界が史実(原作)通りの歴史を辿れば、皇国に現代戦車は上陸しなかったし、それをグ帝のスパイが目撃することもなかっただろう。

 だが皇国に米軍の最新戦車が上陸してしまったこの世界では、そういうわけにもいかなかった。

 歴史は着実に変わりつつあった。

 

「急いでこれに対抗する兵器を立案せねば!」

 

 カンダルは急ぎこの写真にあるような戦車のオバケに対抗する兵器を開発すべく動いた。

 それは彼の愛国心から沸き上がる無謀な衝動か、はたまた技術者としての対抗心からか、それは分からない。

 

 彼は上層部に理解させるのは難しいと判断しつつもこれを連絡し、同僚仲間と共にこれに対抗する手段の考案を始め、他の部署にも戦車と戦闘機、爆撃機を中心に新型を開発するよう根回しした。

 

 真に残念だったのは、その行動が国家としてではなく、彼個人としてのものに限定されてしまったことだった。

 

 




 
ちなみに本作ではワイルダー重戦車はミツ-104(英国が日本陸軍の重戦車として考えていた架空車輌)相当の車輌と仮定してます。

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解説
・ミツ-104
日本陸軍が開発した、とイギリス軍が考えていたらしい架空の多砲塔重戦車。陸軍版の戦艦ヒラヌマ。

―スペック―
重量:29t
速度:40㎞/h(整地)
武装:
75mm砲×1門
37mm砲×2門
その他機関銃複数
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