アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです 作:スカイキッド
あーそうそう、今回はちょっと気合い入れて3500文字で書いてみました。しばらくの間文字数が多くなりますが、ご了承ください。
2020 4/4 追記
戦艦コルネフォロスをバルサーに変更。
「ミリシアルの艦隊はたいした事なかったな」
グラ・バルカス帝国東征艦隊司令官のアルカイドは、カルトアルパスに向けて僚艦と共に大海原を突き進む東征艦隊の旗艦、戦艦ベテルギウスの艦橋から海を眺めていた。
アルカイドは先ほどの戦闘を思い返す。カルトアルパスを急襲する任務を任されている東征艦隊は、先ほどマグドラ群島沖にて神聖ミリシアル帝国の艦隊と戦闘を行っていた。マグドラ群島はカルトアルパス西方に存在する島々で、情報局によるとミリシアル最強の第零式魔導艦隊が訓練地としていた。
詳しい敵戦力構成は不明だったのだが、東征艦隊は万全を期して戦艦4隻をここへ投入。東征艦隊が連れてきたヘルクレス級戦艦の2隻が、ミリシアル戦艦へアウトレンジから41センチ砲弾を一方的に叩き込み、敵の反撃手段を完封。
さらにここへ東征艦隊の各空母に属する戦闘機アンタレス、爆撃機シリウス、雷撃機リゲルなどからなる数百機の空母艦載機が投入されたことでミリシアル艦隊は全滅、グラ・バルカス艦隊は損害なしの圧勝となった。ミリシアルの第零式魔導艦隊を撃滅させた東征艦隊は現在、途中沖合いでカルトアルパスを出た戦艦グレードアトラスター率いる混成艦隊とつい先ほどに合流していた。
だがすでに艦隊は二つ――グレードアトラスター率いる水上打撃部隊と空母率いる機動部隊に分かれ、別々に航行している。水上打撃部隊は他国への心理効果を狙ってカルトアルパスに直接殴り込み、それを空母機動部隊が援護し、またカルトアルパスへ空襲を行う予定である。
艦隊編成
空母機動部隊
戦艦:オリオン級高速戦艦ベテルギウス/旗艦
空母:ペガスス級6隻(マルカブ、アルゲニブ、エニフ、ホマン、マタル、サダルバリ)
重巡洋艦:タウルス級3隻
巡洋艦:キャニス・メジャー級1隻
駆逐艦:エクレウス級4隻 スコルピウス級7隻
水上打撃部隊
戦艦:超大型戦艦グレードアトラスター ヘルクレス級大型戦艦2隻(ラス・アルゲティ、バルサー) オリオン級プロキオン
重巡洋艦:タウルス級2隻
巡洋艦:キャニス・メジャー級2隻
駆逐艦:エクレウス級5隻
備考ながら、これらの艦艇は何故か旧日本海軍の艦艇と形状や性能が酷似しており、オリオン級は金剛型戦艦、ヘルクレス級は長門型戦艦、ペガスス級空母は翔鶴型空母、そしてもちろんグレードアトラスターは戦艦大和という具合に似ていた。
「空母艦隊より報告、空母全6隻より攻撃隊の発艦は完了したとのことです」
いつの間にかアルカイドのもとへやって来ていた参謀が、アルカイドに報告する。
「報告ごくろう。それにしても、やっぱり空母は6隻も要らなかったんじゃないのか?」
アルカイドは参謀への返事と共に浮かんだ疑問を口にする。今回のカルトアルパス急襲、本来の予定では空母はペガスス級正規空母が4隻だけの参加だった。戦艦もグレードアトラスター含め3隻だけが参加するはずだった。
それがいつの間にか、情報局が他所に発し続けている異様なまでの警告を海軍上層部が真に受け取ったことで、空母は6隻に、戦艦は41cm砲を搭載するヘルクレス級戦艦2隻が追加されて5隻にまで増えていた。
「いくら重要な作戦だからって、強襲でもないのに空母は6隻もいらないだろう。戦艦だって当初の作戦通り3隻だけで十分なはずだ」
「上からの命令です。我々はそれに従うしかないでしょう」
アルカイドの疑問に、参謀は肩を竦めて答えた。
「しかしだな。先ほどのミリシアルの艦隊はこの世界最強だというのに我々には大した傷も与えないで全滅した」
「あれは弱かったですね」
「ああ。あの程度なら当初予定の戦力ですら滅するのは可能だったろう。というよりも、それは出撃前から言われていたことだ。にも関わらず艦隊規模は情報局の警告で当初の二倍にまで増やされた。いったい、情報局は何を恐れてるのだ?」
はっきり言って過剰な数で見合わない量の戦力を投入することは、いろんな意味で無駄でしかない。燃料、弾薬は余計に消費され、指揮系統は整ってなければ混乱する――なのにそれをさせた情報局はアルカイドにとって不審でしかなかった。
アルカイドは情報局がスパイ経由で届けられたM1エイブラムズ戦車の存在が陸海軍に警告を繰り返させていることを知らない。
「さあ。もしかしたらアメリカと日本が関係してるのでは?」
「それってあの我々と同じ転移国家とされてるあの国か? なら情報局は彼らの何を恐れてる?」
参謀は再び肩を竦める。
「さっぱり見当がつきませんな。例えば何かしら強力な兵器でも持ち合わせてたとか。とりあえず今は職務を全うしましょう。我々がやるべきは、上からの命令に従って動くことです」
「それもそうか」
アルカイドは、とりあえず今は考えないことにした。今考えたところで、答えは全く思い浮かばないからだ。なに、カルトアルパスを攻撃すれば、答えはすぐに分かる筈だ。
ところ変わって米艦隊。
イージスシステムを搭載するミサイル巡洋艦、ミサイル駆逐艦、ミサイル戦艦と数隻の補助艦艇が輪形陣を組み、その中核に空母を配置する形で空母打撃群を形成していた。
軍艦としては最大級のサイズを誇る空母、ジェラルド・R・フォード級原子力航空母艦。70機の航空機を搭載できるその能力は、言わば洋上の空軍基地である。そしてそのネームシップ――1番艦である『USSジェラルド・R・フォード』の4つの電磁カタパルトには、4機の戦闘機が並べられていた。
「艦載機の発艦を急がせろ!」
「邪魔な機体は退かせ! 急げ!」
色とりどりの作業着を着た甲板作業員や甲板士官が発艦準備を進めていた。作業をする彼らの横をすり抜け、カタパルトに固定された機体の後ろに後続機が待機する。
『Cleared for take off』
『Roger,cleared for take off』
カタパルトに固定され、発艦許可を得られた機体が、甲板士官の「GO!」のハンドサインと共に蒼空へと投げ出された。
4機が順々に投げ飛ばされ、その間に空いたカタパルトには新たに別の機体が固定され、それらも4機ずつ蒼空へと投げ出されていく。そして、一個飛行隊全12機が全て離艦すると、編隊を組んで飛び去っていった。続けてさらに二個分隊規模の艦載機が発艦を始める。
空母から発艦したのは、
1970年代後半に初飛行したF/A-18Dレガシーホーネットをベースに拡大発展型として開発・配備されたこの機体は、ベース機よりも優れたステルス性、大型化された機体、強力なエンジン、8tにまで増加された兵装および燃料ペイロード、先進アビオニクス、最新のレーダーを搭載することを特徴としている。
彼らは今回の対グラ・バルカス空母艦隊への対艦ミサイルによる飽和攻撃の任務を任されており、機体の翼下に4発ずつのハープーン対艦ミサイルをぶら下げていた。航続距離を極端に縮める限界搭載である。
射程200キロ以上の空対艦ミサイル計72発による、敵艦が発射母機を探知できないような圧倒的遠距離からのアウトレンジ攻撃。彼らを援護するEA-18Gグラウラー電子戦機はすでにECM(電子妨害)を開始しており、おそらく敵はレーダーどころか無線すら使えないはずだ。
「目標、レーダーにて確認」
母艦上空に展開した早期警戒機E-2DアドバンスドホークアイのAPY-9レーダーはグラ・バルカス空母艦隊の全艦艇22隻の姿を完璧に捉え、その情報はデータリンクによって18機のF/A-18Fに共有されていた。すでに距離200キロ以内、HUD(ヘッドアップディスプレイ)に表示された情報は、ロックオンが完了したことを告げていた。
「シェリフ・リードより各機へ、ハープーン発射用意」
「シェリフ・リードより各機、攻撃開始! 攻撃開始! シェリフ1、FOX3、FOX3!!」
編隊長がFOX3――ミサイル発射の符丁を口にすると共に、編隊長はトリガーを引いた。直後、ミサイルのジェット燃料に火が灯り、ハードポイントの鉤爪から解放されたハープーンが機体から放たれた。
『シェリフ2、FOX3!FOX3!』
『シェリフ6、FOX3!』
『ストーク10、FOX3!』
編隊麾下の機からも一斉にハープーンが射出される。合計72発のミサイルが、敵空母艦隊へと向かった。搭載する高性能コンピュータと後方のE-2Dの計算によりミサイルは正確に誘導され、敵軍の空母目掛けて真っ直ぐ飛翔する。
数分後、レーダースクリーンの中で空母を示す輝点と、ミサイルを示す輝点が重なりあった。
補足
グ帝艦船と酷似してる旧軍兵器
グレードアトスター - 戦艦大和
ヘルクレス級戦艦 - 長門型戦艦
オリオン級戦艦 - 金剛型戦艦
ペガスス級空母 - 翔鶴型空母
オリオン級重巡 - 高雄型重巡
巡洋艦 - 阿賀野型軽巡
駆逐艦 - 陽炎型駆逐艦
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12時にもう1話投稿します