アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです   作:スカイキッド

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オリジナルで小説描いてみたいと思う今日この頃。でも作品のストーリーや世界観のアイデアが全く浮かばん……!
 


第26話「サチュレーション・アタック」

 

 

 グラ・バルカス帝国海軍東征艦隊所属の空母機動部隊は輪形陣を組み、カルトアルパス沖合いを遊弋していた。

 

 彼らの誇る空母は艦隊の中心に配置された6隻のペガスス級正規空母――旧日本海軍の翔鶴型空母に酷似している――、250m以上の長い船体、帝国海軍航空隊の艦載機80機以上を載せられる巨体であり、護衛艦艇と共に艦隊を組んで航行する姿は、見る者に圧倒的な存在感をもたらす。

 

 艦隊の旗艦を務める戦艦ベテルギウスの艦橋から、艦隊司令のアルカイドはその姿を眺めていた。いや、というよりは艦隊全てに視線を渡らせてるとも言える。彼はただただ、周囲に警戒の視線を巡らせている。

 

(考えすぎだったかな……)

 

 とはいえ、そんな最中でも人間というのは考え事をついついしてしまうものだ。彼は先ほどからカルトアルパス攻撃艦隊の規模が増やされた理由が、敵が自分たちよりも強力なのでは、と疑っていた。

 

「司令! 大変です!!」

 

 アルカイドのもとへ部下の参謀が慌てた様子で駆けてきた。

 

「レーダーが……レーダーが使用不能になりました」

「なんだと? レーダーが?」

 

 アルカイドは思わず聞き返した。レーダーが使用不能になったということは、レーダーで敵を探知することや、レーダー照準による精密射撃も出来なくなる――つまり軍艦としての能力の大幅低下を意味している。

 

「はい、水上レーダーも対空レーダーも全て……レーダースクリーンが真っ白になって何も映らなくなったそうです」

「故障か?」

「いえ、技師が数分前から何度も点検してますが、全く改善しません」

「ちっ、このタイミングで……レーダーの修理急げ! 代わりに見張りの数を増やし、僚艦との連絡も密にするんだ」

 

 アルカイドは参謀に指示を出す。彼は、自艦のレーダーが使えない現状、艦隊の他艦からレーダー情報を受け取って行動するしかないと考えた。さすがにレーダー照準射撃は不可能だが、敵の大雑把な位置を捉えることは出来る。無いよりはマシ、そういうつもりである。ところが現実はそこまで甘くなかった。

 

「それが……無線通信も使えません」

「無線もか!?」

「はい、先ほどからスピーカーがノイズしか発しません。現在は発光信号で交信していますが、他艦も同じ状況とのことです」

 

 返ってきた言葉にアルカイドは思わず嘆きたくなった。これではまともな戦闘は出来そうにない。アルカイドがそう思い浮かべた直後、見張り員の艦内無線を通したくぐもった声が響く。

 

「右舷より何かが高速で接近!! 距離――」

 

 見張り員の半ば叫ぶような報告の声は、残念ながら最後まで続かなかった。

 

 直後、艦隊の右翼を航行していた、エクレウス級駆逐艦キタルファが閃光に包まれた。遅れて轟音と衝撃波が、アルカイドの座乗するベテルギウスのもとへ届いた。

 

「なっ――」

 

 アルカイドが恐る恐る閃光を放った駆逐艦の方を見ると、船体を真っ二つにへし折られ、火炎と黒煙を噴き伸ばしつつ急速に沈没していく船の(むくろ)だけが、そこにあった。

 

「く、駆逐艦キタルファ、轟沈!!」

 

 さらに遅れて見張り員が叫んだ。

 

 

 米海軍航空隊所属、F/A-18Fの放ったハープーン対艦ミサイルの初弾は、終末誘導の段階で自らのレーダーを作動させて目標を探索、もっともレーダー波反射の大きい目標――要するに艦隊の中で発射母機から一番近い位置にいた駆逐艦キタルファに狙いをつけた。

 

 敵のレーダーによる探知を避けるため、レーダー波が乱反射する海面すれすれを飛行するようにプログラミングされたハープーンは、マッハ0.85の高速で超低空を飛翔、照準をつけるため目標の手前で一度上昇し、そこから急降下してキタルファに突っ込んだ。

 

 ハープーンが命中したのは、キタルファの魚雷発射管だった。重量500kg以上の塊が亜音速で突っ込んだ発射管には大穴が空き、その内部に装填されていた何本かの魚雷がへし折られ、そしてハープーンの弾頭が発射管下部に到達した直後、弾頭が炸裂した。

 

 魚雷発射管に直撃弾を受けたキタルファは、ハープーンの弾頭に仕込まれた100kgの炸薬が炸裂したことによる内部からの爆発により魚雷発射管に装填された4本の魚雷の合計1トン近い炸薬を誘爆させ、キタルファが船体中央から真っ二つにへし折れる程の大爆発を引き起こした。

 

「な、何が起こった!?」

 

 駆逐艦が海面の下へと転針していく様子を目にし、アルカイドは反射的に叫んでいた。士官の一人が彼の叫びに答える。

 

「攻撃です! どこからか攻撃されました!!」

 

 そんな事は分かっている。そうじゃなくて――アルカイドはそう叫ぼうとしたが、しかしそれに答えられる者はいないはずだと思い至り、口をつぐんだ。

 

 まさか事故ではないと思うが、しかし付近には敵の航空機や艦船は見当たらず――もっとも、レーダーは使用不能なので目視によるものだが――、潜水艦による攻撃? いや、キタルファは船底ではなく上部から吹き飛んでいたように思える。見張りは直前に何かを叫んでいたが、いったい――

 

 現実がアルカイドにそれ以上考える暇を与えることはなかった。

 

「右舷より先ほどの何かが多数さらに接近!!」

「い、いかん!! 回避運動をとれ! 空母からは迎撃機を上げろ!!」 

 

 彼の命令は艦内電話を通じて艦内に、探照灯の発光信号を通じて艦隊各艦に届けられた。

 命令は正確に伝達された。

 艦内に緊迫したブザーが鳴り響く。

 水兵たちも慌ただしく持ち場についていく。

 艦隊に含まれる6隻の空母は加速し、次々に戦闘機の発艦準備を始め、上空警戒中の戦闘機も索敵範囲を広くしようとした。

 だが全て遅かった。

 

「何か――いや、敵弾、来ますッ!!」

 

 見張りが叫んだほんの寸刻、ベテルギウスの右を走るペガスス級空母アルゲニブを閃光が包み込んだ。

 

 3秒間のうちに、空母アルゲニブには2発のハープーンが命中した。1発はアイランド型の艦橋の基部に命中し炸裂、アイランドを甲板に打ち倒したうえで大量の破片を飛行甲板に並べられた艦載機へ撒き散らし誘爆を引き起こしたほか、アイランドにいた士官連中を皆殺しにした。

 

 もう1発は飛行甲板中央の艦載機エレベータを突破し、格納庫内部で炸裂、艦内に置かれた大量の航空燃料と航空兵装を一斉に誘爆させた。艦内部で瞬間的に発生した巨大な爆発エネルギーは出口を求めて艦内を駆け回り――瞬間、アルゲニブは風船のように内部から破裂する形で大爆発した。

 

「アルゲニブが――」

 

 自身の目の前で空母が吹き飛ばされるのを目にし、たった今沈もうとしているフネの名前をアルカイドが口にした直後にも、地獄は連続して艦隊の各艦に到来した。

 

 急速に迫る謎の存在に対し、すべての艦が血眼になって対空砲火を打ち上げたが、目視による照準で亜音速の目標を迎え撃つのは不可能に等しかった。

 

 奇跡的に、1発のハープーンの側面を40mm機関砲弾が掠めたのを除き、対空砲火がハープーンに当てた命中弾はなかった――側面を掠めたハープーンも結局、大したダメージとはならず、最期まで自らの役割を全うした。

 

 空母アルゲニブが大爆発を起こしてから10秒の間に、30発以上のハープーンが艦隊の各艦に連続して着弾した。艦隊全周の駆逐艦が次々に吹き飛ばされ、やがて艦隊内部にいた大型艦も次々に犠牲となった。

 

 タウルス級重巡洋艦エルナトの特徴的な上部構造物が直撃を受けて吹き飛ばされ、キャニス・メジャー級巡洋艦テラ・バーカが魚雷発射管に直撃を受けて誘爆、艦中央部から真っ二つにへし折れた。

 さらに3発のハープーンを受けた空母サダルバリが横転沈没し、重巡洋艦アステローペが命中弾を受けた後方の上部構造物を大爆発させた。

 

 艦隊の他の護衛艦艇や空母も次々に船体や上部構造物から火を吹き上げ、それらは1分もしないうちに瞬く間に海底へと引きずり込まれていった。

 6隻いた空母のうち4隻はすでに海中へと突き進み、残る2隻も辛うじて浮いていたが、激しく炎上する飛行甲板が空母としての能力を失ったことを端的に物語っていた。

 

「何が……いったい何が……」

 

 アルカイドは目の前の光景に全く理解が追い付かなかった。

 船体の小さな駆逐艦はほぼ一撃で吹き飛ばされ、大型な重巡洋艦や航空母艦ですら、1発でも受ければ大破は確実、数発受ければ簡単に沈んでいく。

 こんな光景は、彼の知る戦場ではなかった。

 

「こんな、こんなことがあり得てたまるかぁぁぁッ!!!」

 

 彼が叫んだ直後、彼の乗る戦艦ベテルギウスの右舷と前部より強烈な閃光が発生し、かと思えば次の瞬間にアルカイドは後部の壁へ叩きつけられていた。

 

 朦朧とする意識のなかでアルカイドが目にしたのは、ベテルギウスの前部から巨大な火焔が噴き延びる様だった。直後、艦を再び衝撃が襲い、同時にアルカイドの意識は永久に途切れた。

 

 戦艦ベテルギウスは、3発のハープーンを受けた。最初2発が命中、そのうち1発が二番砲塔右側面の甲板に突っ込み、炸裂した。爆炎と破片は数門の副砲を破壊すると同時に副砲弾火薬庫に勢いをめり込ませ、火薬庫誘爆を引き起こさせた。ベテルギウスは相当運の悪い箇所に命中弾を受けてしまった。

 

 そこへ偶然――ベテルギウス側からすれば不幸極まりないことに、もう1発のハープーンが着弾した。傷口から突入したハープーンは艦内奥深くで炸裂、爆発のエネルギーは艦内の水密扉を幾つも突き破りつつ駆け巡り――数瞬後、主砲弾薬庫にも火の手が回ったことで、ベテルギウスは大爆発、やがて轟沈した。

 

 グラ・バルカス帝国海軍東征艦隊所属の空母機動部隊は、米海軍航空隊に属するF/A-18F戦闘攻撃機18機の放ったハープーン合計72発による飽和攻撃を受け、旗艦ベテルギウスと空母6隻含め全滅するに至った。

 

 運良くハープーン迎撃に上がれた2機と、上空の警戒にあたっていた6機のアンタレス戦闘機がいたが、彼らの母艦が失われた以上、もはや大した脅威にはなり得なかった。

 

 

「戦艦撃沈」

 

 この戦果に米海軍は大いに沸き上がった。米海軍が最後に戦艦を撃沈した1945年以来、70年以上成し遂げることが出来なかった大戦果を再び手にしたからだ。

 

 米海軍の士気は絶好調である。

 続く彼らの目標はグレードアトラスター――戦艦大和もどきが率いる艦隊である。ちょうどこの時、カルトアルパスにはグ帝の攻撃隊が突撃しようとしていた。

 

 

 




対艦飽和攻撃の描写は佐藤大輔作品を参考にしました。対艦飽和攻撃を書いてる作品を他にあまり知らないので……
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