アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです   作:スカイキッド

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追記:2020 4/17
艦番号を72に変更


第33話「大艦巨砲主義の再興」

 

 

 2019年4月25日。

 

 カルトアルパスでの戦闘から、丸々1年が経過した頃。

 アメリカが古の魔法帝国――ラヴァーナル帝国に対する警戒を強め始めていたが、このとき地球世界でも軍拡が進んでいた。

 

 具体的にどのような軍拡が進んでいたかというと、この21世紀において地球各国が再び、()()()()()()()()()()()()()()

 

 大艦巨砲主義――それはデカい軍艦にデカい大砲を載せれば、それすなわち最強の軍艦であるという主義だ。

 

 例えば7万トンの船体に46cm砲を載せた旧日本海軍の戦艦大和、武蔵がこれに当てはまる。

 とはいえ20世紀も半ば、航空兵器が主戦力に置き換わりつつあった第二次世界大戦でこれは一気に廃れた。

 

 現在は廃れた戦艦に代わって、空母や原子力潜水艦が大海を支配する時代となっている。

 その廃れた戦艦と大艦巨砲主義が、再びこの現代に甦りつつあるのだ。

 

 

 事の発端は米国が異世界進出米軍の戦力としてアイオワ級戦艦 USSアイオワ、ミズーリを再就役させたことから始まる。

 その後にはUSSアリゾナ、ニュージャージー、ウィスコンシン、マサチューセッツといったアイオワ級・サウスダコタ級の戦艦を4隻を米海軍は再就役させた。

 さらにノースカロライナ級戦艦1隻も再就役可能な状態にまで置いている。

 

 

 この21世紀における戦艦の復活をひどく警戒した国がいた。

 

 

 中国である。

 

 

 大陸国家でありながら現代において世界有数の近代海軍を有するに至ったこの国は、しかしながら近代海軍の誕生からまだ日が浅い。

 

 世界レベルの大型空母もつい最近に導入したばかりであり、当然のことながら、本格的な大型戦艦を運用していた経歴が一度もない。

 そんな彼らは太平洋戦争における日米の戦闘から戦艦の能力を大雑把には予測できても、詳細な戦艦の能力、そして運用性がどれ程なのかは完全に推測出来ていない。

 

 もし自分たちが米国と戦争になった際、最悪自分たちは戦艦と戦うことになるのでは? 

 そうなったとして、自分たちは戦艦相手に勝てるのか……?

 

 戦艦を運用したことがない故に、米国における戦艦の復活に恐怖した中国は、とんでもない行動に出た。

 

 

 21世紀に戦艦を()()()()のだ。

 

 

 2019年、中国海軍(PLAN)は国産大型空母「山東(サントン)」の就役に合わせ、国産かつ中国初の超弩級戦艦「北京(ペキン)」を進水させた。

 

 「北京(ペキン)」は6万トンの船体に40.6センチ3連装主砲3基を搭載、また346B型多機能レーダーとVLS、CIWSなどの近代火器を載せた汎用防空戦艦である。

 設計は、ソ連崩壊時のドサクサに中国が入手したソヴィエツキー・ソユーズ級戦艦の設計図をベースに改設計して造り上げられた。

 

 わずか3年、いくら中国といえどいったいどんな魔法を使えばこんな大型艦をこんな短期間で造り上げたのだ、と問いたくなる規模だ。

 ただその代償として、小型艦艇の建造計画の大半がキャンセルされたらしい。

 

 もっとも、21世紀における戦艦の復活を受け、世界各国は大慌てとなった。

 

 すでに6隻の戦艦を再就役させた米国ならいざ知らず、他の戦艦を持たない国は、この中国の戦艦を大きな脅威と捉えたのである。

 

 

 その結果が、世界規模での大艦巨砲主義の再興である。

 

 

 戦艦を建造するだけの余裕のある国は少なかったが、各国はその代わりとなる艦――例えば巡洋戦艦や砲撃艦、または戦艦に対抗するための艦艇を自国海軍に次々就役させた。

 

 例えば、ドイツとフランスは155mm砲を載せた砲撃型フリゲート艦を就役させ始めたし、ロシアは旧式化しつつあるキーロフ級ミサイル巡洋戦艦の近代化を開始している。

 イギリスの場合、戦艦の代わりに2隻のクイーン・エリザベス級空母の早期戦力化と能力向上を急がせた。

 

 他の国々も戦艦に相当する戦力の拡充を始めていたが、一番無茶したのはインドである。

 彼らは中国に対抗し、国産の戦艦「ヴィカラーラ」を新造し始めたのである。中国と少なからず対立関係にあるインドにとっては、このくらいの艦が必要なのだ。

 もしかしたら長年の対抗相手であるパキスタンに対するための戦力なのかもしれないが、それは分からない。

 

 また日本も、異世界にいるのであまり影響はないのだが、この機会にとムーからラ・カサミ級前弩級戦艦1隻をレンタル、米国からヘルクレス級戦艦1隻(グラ・バルカスからの鹵獲艦)を購入、現在それらを魔改造して十分使える代物にしようと努めてる。

 

 本音を言えば改造より新造の方が安いし、こんなことをするのなら護衛艦を造った方がよろしいのだが、転移後に防衛予算は増額されていたし、それに何事も経験であるということで行われていた。

 改造後はムー海軍に売り付け、試験運用するらしい。

 

 

 もちろん、米国もこの大艦巨砲主義にのめり込んでいた。米国は去年の先進12ヵ国会議にて戦艦グレードアトラスターを鹵獲している。

 7万トンの船体に46センチ砲を持つこの巨大戦艦は、BB-72『USSモンタナ』の名称で米海軍に編入されていた。

 

 運用にはグラ・バルカス帝国海軍が協力しており、多数の人員が帝国から派遣されていて――その代表はミレケネスが務めていた――、主砲である46センチ砲の砲身も定期的に米国が購入する契約を結んでいる。

 

 そしてモンタナは現在、異世界からはるばる地球に曳航され、サンディエゴのドックにて大改造工事の真っ只中にあった。

 今後、アニュンリール皇国やラヴァーナル帝国、さらに中国などの地球国家との衝突に備え、モンタナは近代化改装を行わされている。

 

 新造とは異なり、戦艦の船体と主砲(それも46センチ級)がすでにある。

 それをベースに様々な案のもと――VLS×300セルを載せてアーセナル・シップ化、イージス・システムを載せてイージス艦化、飛行甲板とF-35Bを載せて航空戦艦化、何をとち狂ったか強襲揚陸艦化など多数の改造案がある――どのように改造するか検討中だ。

 

 モンタナ――もといグレードアトラスターが先に攻撃するのはアニュンリール皇国か、ラヴァーナル帝国か、それとも地球の国家なのか、それはまだ分からない。

 

 




 
解説
・戦艦「北京」
中国国産かつ中国初の超弩級戦艦。排水量6万トンで主砲は40.6cm三連装砲3基。ソヴィエツキー・ソユーズ級戦艦をベースに造られた。戦艦でありながら346B型多機能レーダーやCIWS、VLSなどの055型駆逐艦と同じ防空装備を有した汎用防空戦艦であり、その防空火力は異常。ただしコストが高く、建造にあたり055型駆逐艦4隻と052D型駆逐艦6隻の建造がキャンセルされた。

・戦艦「ヴィカラーラ」
インドが造り上げた国産戦艦。2019年4月時点では進水済みで、艤装中。排水量は4万トンで主砲も38cm級と「北京」よりも小柄。また造ったは良いものの艤装関係で問題が発生しており就役はまだまだ先。

・USSモンタナ
元はグラ・バルカス帝国の戦艦グレードアトラスター。カルトアルパスで鹵獲され、米海軍に編入させられた。現在近代軍艦にするための大改造中で、上部構造物の撤去やダメージを受けた船体の修復などの作業をしているが、どう改造するかは検討中。

・ミレケネス
グラ・バルカス帝国監察軍(海軍特務軍)の女将軍。カイザルと共にカルトアルパス強襲作戦の立案をするが、作戦の失敗を受けて皇帝直々に、今の職から解任され、米軍のもとに派遣されて現在に至る。なお、カイザルも同じように処罰を受けている。

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ちなみに中国戦艦とインド戦艦の艦名は日本国召喚ブログのコメント欄にて募集させていただきましたので、ぶっちゃけ命名基準とか無視して適当です。

あと戦艦の改造するくらいなら新造の方が安上がりらしいですね。そこはまぁ、米海軍の46cm砲戦艦というロマン重視ってことで…
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