アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです 作:スカイキッド
ちなみに今回3000文字になっちゃいました。
2020年4月5日。
万全を期すために長い時間の与えられた、米国による対アニュンリール戦争の準備は、最終段階に入りつつあった。
3月29日、米国大統領により対アニュンリール侵攻が許可され、米軍は行動を開始した。作戦開始期日は東部標準時4月21日夜――中央暦1644年4月20日早朝と決定されている。
当然ながら、作戦に参加する米軍の戦力は圧倒的である。すでにアニュンリール皇国近海には米原子力空母 USSカール・ヴィンソンを含む8隻の空母を主力とした143隻の艦隊が展開し、アニュンリールを包囲しつつある。
米陸軍および米海兵隊の約15万人、空軍および海軍の航空機1,400機もロデニウス大陸やアルタラス王国の基地に展開を完了している。さらにこれを支えるための兵力輸送・兵站に関する準備も徹底され、不安要素はほとんど打ち消されている。
圧倒的な戦力、強大な兵力、山積みされた弾薬、尽きることのない燃料、完璧に用意された兵站物資と輸送手段。ああ、素晴らしい――と米大統領すら感嘆してしまうほどの準備態勢が完了していた。
無論、米国の動きに少なからず気付いていたアニュンリールが、これを無視する筈もなかった。
本来、領内の魔石不足で装備・兵員のかなりの部分を日常的に稼働させることのできないアニュンリールだが、その時は事情が違った。魔石不足を解消するべく東征を準備していた彼らは、数ヵ月前から国外侵攻のために物資を集積し、軍を動員していたからである。
そしてその際、近海の哨戒活動を行っていた哨戒機が、アニュンリール近海を包囲する艦隊の反応を探知した。明らかに自分たちと戦争するつもりの艦隊である。これを受けて皇国軍上層部と皇国政府首脳部が大混乱に陥ったのは、言うまでもない。
これがどこの国の艦隊なのか、というのはサッパリ分からなかったが、明らかにこの国へ侵攻しようとしているのは明白だったため、東征の準備のために稼働状態にあった皇国海軍の艦隊は急ぎ出動した。
ジェット機搭載の空母、誘導魔光弾を搭載する魔導戦艦や魔導巡洋艦、小型艦、さらに潜水艦や海上要塞パルカオンまで、稼働できる艦はすべて投入している。
空軍の保有する『天の浮舟』――ジェット戦闘機や攻撃機の類いも、稼働する機体はすべて武装を施し地上で待機状態に入った。
皇国は魔石不足にあるとはいっても、少ない採掘量からコツコツ溜めてきた魔石の備蓄は大量にあったため、軍隊が全力で行動しても(将来的に備蓄不足に陥ることを除いて)1回くらいなら問題はない。
さて、両軍は互いに互いを視認できない程の距離にいたのだが、すでに2つの国の艦隊は、両者ともに相手を対艦ミサイルと対艦誘導魔光弾の射程へと引きずり込んでいた。
両者の緊張状態が高まるなか、1隻の軍艦が低速で、アニュンリールの外交窓口であるブシュパカ・ラタンに襲来した。ブシュパカ・ラタンに襲来した軍艦から降りてきたのは、米国の外交官を名乗る使節だった。
アニュンリール皇国でも米国に関する噂は聞いていた。列強パーパルディアを一晩で叩き潰し、魔物大陸ことグラメウス大陸を解放、さらに全世界に宣戦布告したグラ・バルカス帝国を瞬時に降伏させた国だからである。
「貴国が保有するすべての魔帝に関する情報の提供、および鬼姫の解放を要求する」
米国の外交官はブシュパカ・ラタンに到着するなり、皇国の大使に開口一番で要求する――アニュンリールが魔帝の末裔であるという証拠と、魔帝復活の支援をしてるという証拠を添えて。
鬼人族の証言、グラメウス大陸にて回収された皇国工作員の書類、ビーコンに関する情報、偵察機の撮影した本土の空撮写真などなど、できる限りの証拠を米外交官は突きつけた。
(この時点で米国は僕の星が魔帝製かつビーコンの役割を果たしてることは確認していない)
皇国大使は自国の正体が完全にバレていることに愕然としつつも、最後まで否定を続けるしかない。だが最後に、米国外交官は一枚の文書を突きつけ、屹然とした態度でこう告げてから立ち去っていった。
「もし我々の要求を呑めないのであれば、2週間後、我々は貴国への侵攻を開始する。要求を呑む覚悟ができたのであれば、魔信で我々にご連絡を。では、これにて」
最初の外交なのに、事実上の最後通牒である。話がトントン拍子で悪い方向に進んでいったことに、皇国外交大使は泡を吹いて卒倒してしまった。だが、この米国の要求は上へ上へと届けられ、ついにアニュンリール皇国の皇帝ザラトストラのもとへも届けられた。
「ただちに戦時態勢へと移行し、すべての皇国軍を戦闘配置に就かせよ」
米国に関する噂は皇帝ザラトストラも聞き及んでいた。だがアニュンリールは誇り高きラヴァーナル帝国の末裔であり、戦わずして屈服などしない、というプライドから要求を蹴った。
皇国にとって近代文明国との戦争は今回が始めてだが、そもそも皇国は強大である、という意識があり、ザラトストラは我が国が負ける筈がないとも思っている。
確かにアニュンリール皇国はこの世界の国家としては国力もあり、空中戦艦パルキマイラや海上要塞パルカオンなどの魔帝製超兵器の存在も考慮すれば、軍事力もたしかに強い。
今回の戦争では相手国たる米国の所在が不明である。積極的に攻勢をすれば相手の罠にかかる可能性もあるため、防戦のち態勢を整え、米国の所在を把握したのち攻勢を開始することでア皇軍部では決まっていた。
しかし、皇国はパルキマイラやパルカオンを再生産する事は可能だが、それらは高コストだし、なにより能力を最大限に引き出して運用する事は出来ない。
魔力量の凄まじい魔帝人――光翼人は、乗員自らを燃料としていたため、魔帝製兵器の能力を最大限に引き出すには乗員の魔力量が影響する。だが度重なる混血により魔力量が薄れたアニュンリール皇国人――有翼人には、それは不可能なことである。
そのため、有翼人は魔帝製兵器の燃料に魔石を使用してるが、その性能はオリジナルの70パーセントが限界だ。
魔帝製の兵器のみならず、制空型天の浮舟――ジェット戦闘機も微妙だ。最高時速500km程度のミリシアルのそれよりはマシで、アニュンリール皇国の戦闘機はマッハ1.5の超音速飛行が可能である。
だが、それでもこちらは魔帝オリジナルを再生産できたわけではなく、劣化コピーの第2世代ジェット戦闘機――地球で言えば60年以上前の旧式戦闘機くらいの性能しかない。米軍の第4、第5世代戦闘機と戦えば喜劇にしかならないだろう。
アニュンリール皇国はこれを2,000機以上所有してるため数では勝る。だが、数ではカバー仕切れない質の差が、両者には存在した。
もちろん、そんなことを皇帝ザラトストラはじめ、アニュンリール皇国の人間は知る由もない。皇国は米国の要求は呑まず、鬼姫の解放も行わなかった。代わりに皇国軍は「攻撃されたらやり返す」ことを前提に完全に展開を終わらせ、攻撃に備えた哨戒網の強化も行った。
だからこそ4月19日夜、米軍がその哨戒網をくぐり抜けて鬼姫を救出したことに、皇国上層部はおおいに混乱する事となった。
航空偵察と鬼人族の証言をもとに鬼姫の監禁場所を特定した米軍は、鬼姫の救出作戦を実行した。
救出部隊を務める米海軍特殊部隊ネイビー・シールズは、原子力潜水艦に乗って皇国の哨戒網をくぐり抜け、そのままボートで皇国に上陸。
鬼姫の監禁場所である沿岸の施設――先進生物研究所を彼らは襲撃し、15分もせず鬼姫を救出して立ち去っていった。
この救出成功から7時間後の4月20日 午前6時、米軍による対アニュンリール侵攻作戦
――作戦名『異界の夜明け――Dawn in a Different World』が始まった。
ダサい作戦名は米国の特権です
いくら特殊部隊でもまともに配置すら判明してない施設で救出作戦なんてしない?いや、そこは、フィクションってことで勘弁してくだされ
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アリガタヤーアリガタヤー