アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです 作:スカイキッド
皇国艦隊が対艦誘導魔光弾――対艦ミサイルによる飽和攻撃を開始してきたと同時に、米艦隊はイージス艦、および防空警戒のE-2Dホークアイのレーダーでそれを捉えていた。
速度はマッハ0.9、発射弾数は605発。
2,000個以上の目標を同時に追跡可能なAN/APY-9レーダーを持つE-2Dホークアイが防空警戒をしていたからこそ、全てのミサイルを捉えることが出来ていた。
迎撃はすぐに始まった。
警報が発令され、直ちに全兵装使用自由――オール・ウェポンズ・フリーが発令される。
タイコンデロガ級巡洋艦、アーレイ・バーク級駆逐艦、ズムウォルト級駆逐艦の合計56隻の米イージス艦が目標を捕捉し、各々が迎撃すべき獲物を割り当てる。
データリンクにより照準が重複しないよう目標を割り振られたイージス艦はVLSを開放、夜を迎えようとしている暗色の空へ次々にスタンダードSM-6艦対空ミサイルを発射した。
1秒に1発のペースでSM-6が白煙と炎を盛大に噴き上げつつ、VLSから急速に蒼空へと舞い上がっていく。あらゆるイージス艦から発射されたそれらは、目標向けてマッハ3の高速で飛翔していく。
数十秒後、撃ち上げられたSM-6の第1波は、次々に近接信管を作動させ、爆発に敵ミサイルを巻き込む形で叩き落とした。次から次へと夜空に爆発が起き、洋上の夜空にいくつもの閃光が巻き上がる様は、迎撃地点から離れた米艦隊からも確認できた。
正直なところ、米海軍将兵らはこの対艦ミサイルの飽和攻撃を乗り切ることが出来るか否か不安であった。なにせ米海軍は飽和攻撃を想定した迎撃訓練はしていても、実際にそれを受けた事がないからだ。
さらに言えば、その飽和攻撃の想定はどんなに多くても200発程度が限度、しかしこの時やって来たのは3倍の600発以上という大群であった。いくら艦隊にイージス艦が多くとも、不安は不安である。
だが迎撃そのものは上手く進んでいた。艦隊とミサイルの距離が50kmを切った時点で、ミサイルの半数以上は打ち落とされていた。
それでも爆発は段々と米艦隊の方向へ近づいていたが、さらに爆発が艦隊へ近づくと、米艦隊に含まれるアイオワ級戦艦 USSミズーリが対空レーザー砲SACOILを照射し、迎撃を開始する。
他のイージス艦からのデータリンクを受けて照準を行うそれは、薙ぎ払うとはいかずとも連続してミサイルを叩き落としていくため、今回の迎撃戦闘において絶大な威力を誇った。
他にも制空権確保に動いていたF-35B/C、F/A-18F、F-14Fなどの戦闘機群も、皇国軍の対艦攻撃機に対する迎撃を中断、AMRAAM中距離AAMでミサイル迎撃に動いていく。
それでもミサイルが艦隊へ近づくと、今度は各艦の主砲たる単装速射砲が火を噴きはじめる。
ミズーリ以外の戦艦4隻もその戦闘に参加し、副砲兼両用砲の127mm砲(改装時にMk45に換装済み)を発射する。
SM-6、ESSM、AMRAAM、砲弾、対艦誘導魔光弾、戦闘機、攻撃機、爆撃機、レーザー、爆発、破片、衝撃波、ありとあらゆる物が入り乱れるこの夜の空で、延々と繰り広げられる必死の防空戦。
暗い空が爆発に照らされる。
ミサイルの来襲、接近、発射が止むことはなく、永遠の時が流れていたかのようだった――だがそれも、30秒以内に完全な決着が付いていた。
その瞬間、レーダー・スクリーン上で、すべての敵ミサイルを表す輝点が消失した。
その瞬間すべての米艦艇の艦橋で、CICで、甲板で、あるいは艦内厨房で、米海軍水兵らは歓声を上げた。世界最大規模となる対艦ミサイルの飽和攻撃を、ただ一隻の被弾艦も負傷者も出すことなく、完璧に成功させたからだ。
「さあ諸君、反撃の時間だ。痛いのをブッ喰らわせてやろうじゃあないか」
迎撃を成功させた米艦隊はお返しとばかりに反撃の準備を開始する。1分後、全艦の対艦ミサイルの発射準備が完了。その報告を受けて、艦隊司令はただ一言、力強く命じた。
「
瞬間、艦隊各艦のミサイル・ランチャーが煙と炎を噴き上げつつ、一斉にミサイルを射出した。
米艦隊の水上戦闘艦艇から、ありとあらゆる対艦ミサイルが飛び出した。
ハープーン対艦ミサイルの他にも、VLSからの発射が可能なLRASM対艦ミサイル、小型艦搭載のNSM巡航ミサイルなどなど。
タイコンデロガ級巡洋艦、アーレイバーク級駆逐艦、ズムウォルト級駆逐艦、インディペンデス級LCS、フリーダム級LCS、改タラワ級ロケット砲艦、対艦ミサイル攻撃が可能なあらゆる艦艇から、それらが飛び出していた。
恐ろしいまでの数の対艦ミサイル、白い尾をひき飛翔するそれらは、夜空でエンジンを微かに光らせつつ、亜音速で飛翔していく。
そしてそのような対艦ミサイルの射出に伴う光景は、途切れることなく連続して行われる。
特に猛烈な射撃を行っていたのは、グラメウス大陸侵攻の際にも活躍した、改タラワ級ロケット砲艦 USSナッソー、USSペリリューの二隻だった。
かつてグラメウス大陸にM26A2ロケットの嵐を降り注がせた改タラワ級の二隻は、空へと多数の弾体を打ち上げていた。
しかしこの時二隻が打ち上げているのはM26ではなく、ノルウェー製の対艦巡航ミサイルNSMである。
二隻は今回の海戦においてミサイル発射機のうち20基にNSM対艦巡航ミサイルを搭載し、対水上戦闘の火力支援として参加していた。
その射撃の勢いたるや凄まじく、まるで打ち上げ花火の大会が大目玉を迎えたときのような規模で、花火の代わりに対艦ミサイルを発射していた。
この他にもUSSアイオワ、ニュージャージー、ミズーリ、アラバマ、モンタナの5隻の戦艦も、それぞれが搭載する16発のハープーン対艦ミサイルを発射している。
さらに上空ではハープーン、JSMなどの空対艦ミサイルを装備したF/A-18、F-4、A-6、A-4等180機の艦上攻撃機が同時に対艦ミサイルを発射、攻撃を行っており、その規模たるや正に「数こそ正義」。
このとき米海軍がアニュンリール皇国海軍向けて発射した対艦ミサイルの数は、1,219発という驚異の4桁代にまで到達していた。
そのうち9割以上が正常に作動し、皇国艦隊へと一直線に突き進んでいた。
皇国海軍は、自分たちの放った攻撃の倍数の反撃を乗り切らねばならなかった。
改タラワ級ロケット揚陸艦くん、久しぶりの登場です。
NSMってHIMALSでも発射可能らしいから、MLRSでの発射もワンチャン可能な筈。
MLRSの発射機だけガン積みした改タラワ級くんは対艦ミサイルキャリアーとして運用したら凄いことに……