アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです   作:スカイキッド

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グティマウン、書籍には登場しないのか…
 


第41話「島嶼制圧」

 

 

 4月23日――

 

 皇国海軍の壊滅から49時間後、皇国周辺の制海権が確保されたことで、ついに米陸軍と海兵隊が行動を開始した。

 

 彼らはAFVなどの車輌、弾薬その他物資とともに海軍の揚陸艦、輸送船の中に詰め込まれ、洋上を突き進んでいる。

 

 彼らが向かうは、アニュンリール皇国領であるブランシェル大陸周辺の島々である。

 彼らの任務は、ブシュパカ・ラタン島を除くすべての皇国領の島々に上陸作戦を施行、これを制圧することだった。

 

 この皇国周辺の島々を制圧し、今後の皇国本土制圧における前線基地をそこに構築することが作戦の狙いである。

 飛行場を建てれば継続的な皇国本土への空爆が可能になるし、物資集積所を建てれば今後皇国本土への上陸作戦も可能となる。

 そのための前線基地を建てるべく、米陸軍と海兵隊は動くこととなった。

 

 それに上陸作戦というものは、米軍にとって最大の十八番でもあった。

 

 

 

 

 作戦はまず島嶼内にある皇国軍施設への空爆、艦砲射撃による制圧作業から始まった。

 

 黒煙が立ち上ぼり、火焔が噴き延びて、鼻腔を刺激するような硝煙が充満して、雨のように砲爆弾が降り注ぐ。

 島に近づいたアーレイ・バーク級駆逐艦、タイコンデロガ級巡洋艦、ズムウォルト級駆逐艦、インディペンデンス級LCSの艦砲射撃だ。

 島に近づいたそれら海軍船舶は主砲である5インチ速射砲、3インチ速射砲、6インチ砲、またはトマホークによる攻撃を行っていた。

 

 また今回の作戦でも前回同様、改タラワ級ロケット砲艦が参加し、M26A2クラスターロケット弾による大規模面制圧を実施している。

 このほかにも、USSモンタナ――戦艦グレードアトラスターも参加し、46cm砲による艦砲射撃を行っていた。

 

 改造を終えたこの戦艦はUSSミズーリ同様に、半アーセナル・シップ艦化されている。今回、モンタナは他のイージス艦から情報を受け取り、ピンポイントでの正確な艦砲射撃をしていた。

 

 海上からの攻撃は熾烈だったが、上空もまた然りであった。

 海軍のF-4、A-6は、海兵隊のF-35B、AV-8BハリアーⅡ攻撃機と共に島々へのピンポイントでの空爆を施行していた。

 JDAM、ペイブウェイ、バンカーバスター、世界トップクラスの命中率を誇るそれらの誘導兵器は、上空から正確に皇軍施設を叩き潰した。

 

 島々にある皇国軍の水際の陣地を、海岸の要塞を、対艦用の砲台を、それらありとあらゆる施設を吹き飛ばさんばかりの砲爆弾が襲来し、全てを吹き飛ばして行く。

 それこそ、もはや無駄弾としか思えないほどの密度での攻撃である。

 

 

 島内の塹壕に待避した皇軍兵士は、何もかもが粉砕されまくったことで士気は崩壊寸前であった。

 だがやがてピッタリと、空爆と艦砲射撃は納まった。

 いったい何故攻撃が止んだのか、不思議に思った兵士らが塹壕から頭を出してきたが、その時になりすべてを悟った。

 

 多数のボートや海面を走る装甲車――装甲車が海面を走る?――が、白いスモークを曳きつつ海岸に迫っていたからである。

 洋上の揚陸艦から発進した米海兵隊の硬式ゴムボートやAAV7水陸両用装甲車は、スモークを展開しながら海岸へと上陸を開始した。

 

 海岸に乗り上げたAAV7が車載の40mmグレネードランチャーと12.7mm重機関銃で弾幕を形成し、後部ハッチから海兵隊員を次々に吐き出して行く。

 ボートから、AAV7から降りた海兵隊員らは一気に分散し、皇国軍との戦闘を開始した。

 

 さらに遅れて揚陸艦から展開したLCACが海岸に到着すると、LAV-25装甲車、陸軍のM1A2エイブラムズ主力戦車も展開する。

 対する皇国軍も、地下防空壕に待避させていた戦車やゴーレムを展開させたことで戦車戦が発生、戦闘はさらに苛烈なものへと変貌した。

 

 魔帝時代に造られた強固な地下防空壕は、地中貫通爆弾の直撃にも耐え、中に待避させていた兵器たちを空襲から乗り切らせたのだ。

 

 皇国陸軍の主力戦車たる、リグリー魔導戦車は魔帝製の戦車を改良再生産したもので、地球における第二世代主力戦車に該当する性能を持っていた。

 サイドスカート付きT-62の車体にPL-01の砲塔を載せたようなそれは、51口径114mm砲を搭載、重量は41トンにもなる。

 しかし複合装甲ですらない装甲は薄く、魔帝オリジナルの搭載する自動装填装置は使用できない、FCSも無いなど、酷いものである。

 

 とはいえ、そんな駄作戦車であろうが、自動式魔導銃を装備する歩兵や、対戦車ロケットなり大口径機関砲なりを抱えたゴーレムと現れれば厄介極まりないのは事実であった。

 

 だからこそ、米海兵隊は陸軍のM1A2主力戦車、M2ブラッドレー歩兵戦闘車などを筆頭に、周囲に歩兵を散開させて対戦車・対歩兵戦闘を実施する。

 

 アメリカ軍・アニュンリール皇国軍双方の砲弾が飛び交い、全速力で疾走する戦車が交錯し、曳光弾を交えて弾幕が伸びる。

 リグリー魔導戦車の砲塔が高く吹き飛び、心臓部を撃ち抜かれたゴーレムが崩れ落ち、魔光弾を浴びて履帯の千切れたM1戦車が停止する。

 

 両者一進一退の攻防、このまま戦局が変わることはないかのように思えた。

 もちろん、そんな事ある筈もない。

 米軍と皇軍の両者の鼓膜に、遠くから何かの音楽が流れ始めた。

 

 

 何事かと、空を見上げた兵士らが目にしたのは、ロービジ仕様の白い星を機体に浮かべた、ヘリコプターの大編隊であった。

 

 洋上の空母や強襲揚陸艦から展開した、米海兵隊のヘリコプター部隊である。

 

 数十機におよぶ米海兵隊ヘリの大編隊は、機体に取り付けた大型のスピーカーからワーグナーを、ロックンロールを、合衆国国歌を、海兵隊讃歌を大音量で鳴り響かせながら襲来した。

 

 そして島上空に飛来するや、AH-1Z攻撃ヘリがヘルファイア対戦車ミサイルを、UH-1Y汎用ヘリがロケット弾やM134ミニガンを乱射しまくった。

 

 次々とリグリー魔導戦車が、軍用ゴーレムが、そして皇国軍兵士らが吹き飛んでいく。

 対空砲や機関銃が反撃をしようとしたが、射撃を開始した途端に光弾で位置がバレ、すぐさまミサイルの嵐が吹き荒れ沈黙していく。

 

 心強い歩兵の味方である戦車が次々に殺られた途端、すでに士気が崩壊寸前であった皇国軍兵士らは、この瞬間完全なる限界を迎えた。

 

 彼らは武器を捨て、海兵隊に対して降伏を宣言した。

 このような光景は、同時に上空作戦を仕掛けられた皇国領の他の島々でも繰り広げられることとなった。

 

 

 ここに、戦闘は終結した。

 しかしまだ、戦争は終わっていない。

 

 




解説
・USSモンタナ
元はグラ・バルカス帝国の戦艦グレードアトラスター。米海軍に鹵獲され、ミズーリ同様、火器管制を他艦が行う半アーセナルシップへと変貌した。
主砲のFCSの調整?日本より人材も資金もあるんだし何とかなるでしょ(適当)

・リグリー魔導戦車
皇国陸軍の主力戦車。重量41トン、114mm砲搭載。見た目はT-62の車体+サイドスカート+PL-01の砲塔。装甲は非複合装甲、自動装填装置なし、非分離弾薬式、FCS未搭載とかなり中途半端な性能。
えっ、魔帝は戦車持ってない?でもカルアミークから出てきたから……(震え声)

・軍用ゴーレム
特に考えてないが、対戦車魔光砲、魔導ガトリング式機関砲を持って防弾装甲施したロボットを想像してる。でも身長高いからただのいい的。
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