アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです   作:スカイキッド

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今日は12時にもう1話投稿します。


第42話「神々の落星」

 

 

 4月27日

 

 開戦から1週間が経過していた。

 米軍による皇国周辺の島嶼への上陸作戦が行われてから2日が経過しており、連日連夜、米空軍による空爆と米海軍によるトマホーク攻撃が行われていた。

 

 米軍は皇国周辺の島々に飛行場を設置、そこを拠点に航空部隊を補給させていたため、皇国本土は連日連夜の攻撃を受けている。

 だが、未だに皇国が降伏する気配はなかった。

 

 そのため米国は“ある兵器”の実戦テストも兼ねて、その“ある兵器”を皇国に使用することを決定した。

 

 

 

 

 

 

「戦況は……最悪か」

 

 アニュンリール皇国皇帝ザラトストラは、皇国各地から入ってくる戦況報告を聞いて、皇城オラタナ城の私室で頭を抱えていた。

 皇国はすでに、末期の状態になりつつある。

 

 海軍は先の海戦により壊滅、唯一その海戦で無事だった空母はドックに船体を横たえていたところに空爆を受けて地上で破壊されていた。

 活動中だった潜水艦21隻もすべて消息を眩ましていたし、残る数隻の駆逐艦と巡洋艦は、洞窟型の地下ドックに待避してから出られなくなっている。

 

 空軍も制空権を奪われているために動けず、また戦力の85パーセントを喪失している。

 残りの15パーセントは地下基地に待避した回転翼機とVTOL機だけだ。

 

 陸軍は辛うじて他の軍よりは損害が少ないが、それとて全部隊のうち40パーセントが消失していた。

 先の島嶼への上陸における損害や、基地へのトマホーク攻撃、移動中の空爆を受けての被害である。

 

 また海上要塞パルカオンは12隻中8隻が損害を受け、うち1隻は自沈、2隻は放棄され、残る5隻は修理のため洞窟型の地下ドックに船体を横たえている。

 空中戦艦パルキマイラも、今のところ損害は受けていないのだが、制空権が早々に奪われたため出撃の機会を失っていた。

 

 空中戦艦と名前にはあるが、実態はパルキマイラは対地用のガンシップとして設計されているため、友軍による制空権が確保されていない現状での出撃は危険でしかなかった。

 

 

 対する米軍の被害は、確認できる限り今のところほぼゼロ。皇国軍は何も出来ていないのだ。

 

 また、米軍は都市部への攻撃をチラつかせるかのように連日連夜、都市部・工業施設へのビラ撒きを行っている。

 おかげで地方への疎開を目的に皇国人たちは魔導車で高速道路から、鉄道で都市部から、そして徒歩で道から、あらゆる手段での都市部からの脱出を図っており、交通の混乱も起きていた。

 

 いくつかの都市では避難に伴う混乱と事故により、総計して数千人の死者が発生している。

 攻撃を受けずにこれなのだから、もし攻撃を受けたとしたら、いったいどれだけの死者が出るのだろうか。

 

「皇国が戦争を生き延びる術は……いや、ないな」

 

 ザラトストラ自身も、それは分かっていた。圧倒的戦力の米軍相手に勝つ手段なんて無いのだと。

 だが降伏だけは受け入れられない。

 光翼人、そして魔帝の末裔であるというアニュンリール皇国人としての誇りが、それを妨げていたからだ。

 

 皇帝として、皇国人として、光翼人の末裔として、せめて一矢報いてからでないと――

 ザラトストラがそう考えていたところ、扉がノックされ、彼の相談役の男が飛び込んできた。冷や汗か、顔面が酷くびっしょりである。

 

「陛下、突然申し訳ございませんが一大事です」

 

「どうした。何かあったのか」

 

 ザラトストラは問い返す。何かあるのだから飛び込んできたのだろうが、問い返さずにはいられなかった。ザラトストラは何か嫌な予感がしてならない。

 

「もしかしたら……もしかしたら、我々は神と戦争しているのかもしれません」

 

「どういう意味だそれは?」

 

「伝承の通りになりました。我々は神と戦争してるとしか考えられません」

 

 訳が分からない、そう言いたげな表情でザラトストラは問い返すが、男も酷く慌ててるようで、何を順番に話すべきか定まっていないようである。それほど常識外のことが起きたのだろうか。

 

「ひとまず落ち着いてくれ。そして、何があったのか、順番に説明してくれないか?」

 

 ザラトストラにそう言われてからようやく、男も自身の様子をある程度理解出来たようで、「すみません」と一言伝えてから深呼吸をする。やがて、ゆっくりと口を開く。

 

「ご無礼をお許しください。では、順番に説明させて頂きます」

 

 男はようやく説明を始めた。

 

「先日、米国から魔信によりあるメッセージが届けられました」

 

「なんだそれは? 余は聞いてないぞ」

 

「申し訳ございません。敵の欺瞞情報と決めつけられ、陛下の元に届けられる前に処理されていたのです」

 

 そう言って懐をまさぐると、男はそのメッセージが書かれているらしき一枚の紙をザラトストラへと差し出す。

 そこにはこう書かれていた。

 

 

『警告する。我々に降伏せよ。さもなくば明日正午、怒った神々は大陸に星を落とす』

 

 

 ――怒った神々は大陸に星を落とす。

 それはこの世界の住人なら誰でも知ってる、古の魔法帝国の伝承の一節だ。

 かつて魔帝は神に弓を引き、神々の怒りを買った。そして怒った神々は、魔帝の存在するラティストア大陸に星を落とした。

 

 星を落とすなんて諸行は、おそらく神でしか出来ないであろう、

 だが、これがなんだと言うのだろうか。未だ、ザラトストラは理解に苦しむ。

 

「陛下、これから私が伝える内容は、信じられないことかもしれませんが、すべて事実です」

 

 男は紙を仕舞いザラトストラに対する説明を続ける。ザラトストラも、どんなことを言われるのか、心構える。

 

「それを踏まえた上で、よくお聞きください」

 

「うむ」

 

「我が国に星が落とされました」

 

「は?」

 

 

 男の言ってる意味がさっぱり分からず、ザラトストラは呆けた声を出してしまった。それに構わず、男は説明した。

 

 

「アメリカは、時間通りに星を落としてきたのです」

 

 

 

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