アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです 作:スカイキッド
第45話「彼を知らば百戦危うからず」
中央暦1644年10月20日
アニュンリールと米国の戦争が終結してから半年が経過し、米国は
例えば、ワームホールを通じて地球からCIA、NSAといった諜報機関および国務省の職員が次々と現地に派遣され、各地で魔帝に関する情報の収集にあたっており、アニュンリールに数十名の人員が派遣されている。
アニュンリールに派遣された人員の多くは現地人らの協力のもとラヴァーナルの遺跡の調査にあたっており、ラヴァーナルの軍事施設、魔導サーバー施設、さらにインフラや研究所跡地などを調べている。
技術に関してはマルチコプターを運用してたり、半完全環境都市を都市部に形成していたり、パルカオンを収容可能かつ地中貫通爆弾の直撃にも耐える巨大地下ドックを整備してたりと、一部が突出して優れていた。
だが軍事技術に関してはそうではない。
軍事施設に派遣された人員のいくらかは皇国軍の協力のもと魔帝製の魔導兵器の調査にあたっている。魔導戦車、軍用ゴーレム、魔導艦艇、戦闘機、爆撃機、VTOL機、回転翼機、さらにパルキマイラ、パルカオン等々。
戦闘機は皇国製のラフシーズは大した性能ではなかったものの、魔帝オリジナル――博物館で時空遅延式魔法を施し保存されてた1万年前の骨董品――は地球における初期の第4世代ジェット戦闘機に相当することが判明した。
工業地帯は破壊してたとはいえ、米軍が民間施設への破壊を行わなかったのが功を為した。もし民間施設への攻撃も行ってたらこの博物館も破壊され、この魔帝製戦闘機を調べることも敵わなかっただろう。
丁寧なことに博物館にはその戦闘機――レイカーという名前らしい――のカタログスペックや各種の説明、1万年前に魔帝軍で運用されてた頃の飛行映像が残されていた。
それらを勘案したレイカーのスペックは、速度マッハ2.0、レーダーは探知距離120km、固定武装は20mm魔光砲1門のみ、ステルス性は全く考えられてないが、射程70kmのSARH式空対空ミサイルほか最大7.5トンの武装を搭載するマルチロールらしい。
射程180kmのAMRAAM空対空ミサイルを搭載する米軍戦闘機相手には大した敵とはならないだろうが、それでも今までの敵と比べたら脅威的だろう。
レイカー戦闘機だけではない、魔導艦艇も対空戦能力は「貧者のイージス艦」と言われるスプルーアンス級駆逐艦と同程度、リグリー戦車も湾岸戦争時のT-72程度には強いらしい。
どれも米軍の兵器と比較すれば今ひとつ――米海軍イージス艦はスプルーアンス級の倍の戦力にはなるし、湾岸戦争時の米陸軍M1A1戦車連隊はイラク軍のT-72戦車旅団と戦闘した際にほぼ損害なしでこれを壊滅させている――といったところである。
以前ミリシアルの軍の装備を調べた際にラヴァーナル帝国軍の兵器のレベルが1970年代アメリカの軍事技術力とほぼ同等、という仮説はやはり正しいのだろう。
ただ電子戦の技術や対潜技術は発達途上など一部はガバガバだ。
1万年前に世界最強として君臨していた魔帝には電子戦を行う相手も、敵となりうるような強力な潜水艦を有する相手もいなかったせいでそれらを発展させることが出来なかったのだろう。
パルキマイラがそれの良い例で、あれは敵制空権下での戦闘を想定しておらず――つまり敵戦闘機が現れない前提である――ただ弱者を上空から一方的に叩くためだけに造られた妙な存在だ。
パルカオンは敵艦隊を単艦で殲滅することを目的に造られたので少々異なるものの、防空能力の強さ以外はレールガン搭載のただデカイ武装空母なだけで、対潜能力も貧弱であり対処可能だろう。
ただそれでも魔帝を侮れない点が存在している。それは光翼人ゆえの残虐性と、核武装している点だ。
魔帝は確実に大陸間弾道ミサイルを保有しているらしく、単弾頭弾だがその射程は一部の文献によると最大で50,000km以上におよぶ。
しかも以前も述べたと思うがラヴァーナル帝国は進み過ぎた文明ゆえ、かつてはこの世界をすべて支配していたらしいが非常に傲慢だった。
そのため支配下に置いた他種族を家畜以下の存在として扱い、他国に奴隷の差し出しを拒否されると核戦争を起こしたというのだ。
こんな傲慢を通り越して理不尽な国なのだ、仮に復活してくれば理不尽な要求を寄越してきて、それを断れば戦争を起こし、そうなれば問答無用で各地に核ミサイルを撃ち込むだろう。
となると話し合いはまずあり得ない。
であれば、復活した直後に先制攻撃を仕掛けた方が妥当だろうか。
ラヴァーナルに関する情報はワームホールを通じ次々とアメリカ本国に届けられ、CIAやNSA、ペンタゴンなどで精査されたのちホワイトハウスの大統領の下へと届けられていった。
結果として大統領は決断した。
ラヴァーナル帝国が復活した直後に、ラティストア大陸へと先制攻撃を仕掛け、圧倒的な物量を投射してラヴァーナルの国力と戦力を激減させることを。
これを念頭に置いて
米軍が異世界に投入可能な全戦力、なんなら日本国自衛隊やミリシアル、ムー、グラ・バルカスなど惑星αの国々の軍隊を投入してでも、復活した直後のラティストア大陸に総攻撃を仕掛けてラヴァーナルを一気に叩き潰す。
米軍主導による対ラヴァーナル戦争計画
――計画名『神罰の代行――Acting for Punishment』はこの時から本格的に策定が進められた。
解説
・レイカー戦闘機
魔帝製のジェット戦闘機。ア皇の博物館に飾られていた。性能は初期型F-15と初期型F-16を足して割る2した感じ。
・マルチコプター
市販ドローンみたいなプロペラ多数のヘリのこと。
・湾岸戦争のM1A1とT-72の戦闘
73イースティングの戦いとかのこと。多国籍軍のM1とチャレンジャーがイラク軍のT-72やT-55と戦闘し、圧倒的性能差で多国籍軍の一方的な勝利に終わった。イラクと多国籍軍の被害比率が戦車30以上撃破:偵察車1撃破とか頭オカシイ。