アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです   作:スカイキッド

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総合評価が……総合評価2000pt到達しましたーッ!! ようやくですよ、ようやく! 人生で初めてですよこんなに高い評価になったの! それもこれも読者の皆様のお陰ですよ! 今後とも本作をよろしくお願いします!!
 


第47話「6年後に向けた軍拡」

 

 

 

 『神の杖』――

 

 ――米国が計画していた核兵器に代わる戦略兵器である。タングステンで出来た大重量の金属棒を、宇宙空間から地上に向けて発射し、落下する速度で莫大な運動エネルギーを生み出し目標を破壊する兵器だ。

 

 投下された金属棒の落下中の速度はおよそマッハ10に到達し、地上に激突すればその破壊力は核爆弾に匹敵する。それどころか地下数百メートルまでのありとあらゆる物を破壊できる恐ろしい兵器だ。

 

 しかしこの兵器は宇宙条約の第4条、平和利用の原則「地球軌道に大量破壊兵器を乗せてはならない」により配備禁止も同然の状態だった。

 

 ……だったのだ。

 

 米国は神の杖 ―― KB-1攻撃衛星、通称『オーディン』を惑星αという()()()()()()()()()()()()()ことで宇宙条約をくぐり抜けたのだ。

 

 開発自体は2015年から――日本の転移直後に発生した、中華人民共和国の台湾侵攻と北朝鮮の南進による第四次台湾海峡危機・半島危機により――急ピッチで進められている。

 

 ワームホールを通じてオーディン攻撃衛星と金属棒の誘導を行う専用衛星を惑星αこと異世界に運び込んだ米国は、それを『X-37C宇宙往還機(スペースプレーン)』で異世界の宇宙軌道に投入した。

 

 さて、ところでKB-1攻撃衛星は何を攻撃対象としているか、疑問に感じる者もいるだろうが、もちろんそれはラヴァーナル帝国である。

 

 魔帝ことラヴァーナル帝国に関する調査もだいぶ進み、アニュンリールでの大規模な調査によって魔帝の存在するラティストア大陸の復活する場所、そして復活する時間も判明した。

 

 魔帝の復活場所は日本列島の南東、ロデニウス大陸の真東にある『大東洋』と呼ばれる大海のど真ん中である。

 時間はビーコンの解析、エモール王国での占いの結果、中央暦1650年――西暦2026年の9月から12月の間とされた。

 

 ちなみに魔帝復活を支援する魔帝復活ビーコンは地上の他にも宇宙空間の『僕の星』なる魔帝製人工衛星にも搭載されているようである。

 これは異世界版ブラックナイト衛星とでも呼べる代物で、魔帝が1万年前に打ち上げ、今も35基がメンテナンスフリーで飛び続けているとのことだ。

 

 現在魔帝復活の阻止のため、世界中に散らばってるビーコンの回収活動が行われており、宇宙空間の『僕の星』も米空軍のX-37C宇宙往還機が参加して回収活動が行われている。

 日本もこの回収活動に参加しており、日本製の大型無人宇宙往還機――『らいちょう(サンダーバード)』という名前らしい――を投入していた。

 

 しかしいくつかのビーコンはいくら調査しても位置が判明しておらず、またいくつかの『僕の星』は極軌道を周回しているため回収が困難であったため、ビーコンを全て回収、破壊して魔帝の復活を阻止することは難しいと考えられている。

 

 よって魔帝の復活直後に、先程の『神の杖』を含む、弾道ミサイルや巡航ミサイルなどあらゆる長距離攻撃をラティストア大陸へと投射し、復活した直後の魔帝の戦力を大幅に削ぐことが想定されている。

 

 一応、米軍が核兵器のみでこれを無力化する作戦案もあったのだが、その場合は惑星αの環境への影響が激しすぎる。

 核の冬が発生した場合、星全体が氷河期に突入し、核爆発で大量発生したCO2による温暖化で数年以内に気候は元に戻るが、それまでに大半の生物が死滅することが予測されたのだ。

 

 よって核兵器は必要最低限の使用とされる。

 

 それ以外は基本的に通常弾頭の長距離兵器を大量投射し、その後魔帝への空爆や艦砲射撃による直接攻撃、その後上陸作戦に出ることとされた。

 

 この空爆と艦砲射撃には、米軍はもちろん日本国自衛隊、さらにミリシアル、ムー、グラ・バルカスなどこの世界の主要国も参加予定である。

 とりあえず持てるだけの火力をぶつける、そうなっていた。

 

 そのためにこの世界の国々や日本は、魔帝戦に備えて兵器開発や準備を行っている。

 

 日本は防衛予算を奮発した。

 陸自は装甲車輌1000両、回転翼機300機の増産と隊員数の大規模な増強を実施した。

 空自は2024年までに次期主力戦闘機F-3を配備することを決定、またP-1改造の戦略爆撃機、C-5級新型輸送機の開発を急いだ。

 海自は2025年までに規模を7個護衛隊群にまで増強し、60000t級の空母、原子力潜水艦の建造、DDG・FFM・SSの量産を始めた。

 

 また、ムー国は空母機動部隊戦力の強化、ラ・カサミ改級戦艦――日本で改造され、護衛艦化されたラ・カサミ級戦艦――の量産を行い始めた。

 これにはムーとリーム王国の間で起きたとある出来事が関係していた。

 

 数ヵ月前のことだ、リーム王国周辺では海賊行為が多発していた。

 この海賊行為にはムーの輸送船も被害に遭い、ムーはこれの対応のため第三文明圏に展開していた機動部隊と、日本で改造工事を終えたばかりの『ラ・カサミ改』を派遣した。

 

 その際、海賊行為がリームの私掠行為であることが判明したことでムーはリーム王国に宣戦布告、『ラ・カサミ改』とムー機動部隊はリーム王国軍との間で戦闘状態に突入。

 リーム王国は米パ戦争(米国とパーパルディアの戦争)後のドサクサに紛れて、パーパルディアから最新戦列艦や竜母、さらに新兵器として開発中だった装甲艦、ワイバーンオーバーロードを入手し、軍事力を強化していた。

 

 空母を含めた機動部隊と『ラ・カサミ改』からなるムー海軍艦隊、戦列艦や竜母に装甲艦など第三文明圏では比較的新兵器な装備で武装したリーム王国海軍は、アワン王国の沖合いにて激突した。

 が、もちろんムーに敵うはずもなく、アウトレンジ攻撃でリーム艦隊は瞬く間に壊滅、その後報復攻撃としてリーム王都に艦砲射撃が実施され、リーム王国は降伏した。

 

 ――その際、ムー艦隊の撃破スコアの七割以上が『ラ・カサミ改』単艦によるものであり、『ラ・カサミ改』の圧倒的な戦果に惚れ込んだムー軍上層部は、日本に更なる戦艦の改造を求めたのだ。

 

 またこの他にも、ムーのある技術士官が日本で手に入れた設計図を元に開発されたジェット戦闘機、震電改(エンジンは米国から購入した)、日本から購入したコンテナ船を改造した巨大空母なども建造中だ。

 

 ムーだけでなく、ミリシアルでは米国と日本での技術支援で開発したエルペシオ4、ジグラント4――最高時速1080キロ――や、ジビルの搭載が可能な爆撃機の配備が始まってる。

 

 またグラ・バルカス帝国では、旧日本軍幻の富嶽にそっくりの、グティーマウン型超重爆撃機の大量生産が始まってるらしい。

 グティーマウンはB-36相当の性能であり、グラ・バルカス帝国の技術力では明らかにオーパーツなのだが、どうやって開発したかは不明だ(噂だと技術者に天啓があったのでは、とされてる)。

 すでに200機が生産済みで配備されたらしく、あと400機は作るつもりらしい。

 

 もちろん米国はこれらと共同作戦を行うために演習や、IFFの輸出、T-45やT-7A改造のCOIN機の貸し出しを行っている。

 米国、日本、ミリシアル、ムー、グラ・バルカス、この異世界の国々も魔帝の復活に備えた準備を急いでいた。

 魔帝――ラヴァーナル帝国の復活は6年後だ。

 

 

 




今回解説が多いのでご注意下さい。
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解説
・神の杖
米国の開発してる、宇宙空間から金属棒を撃ち込む運動エネルギー兵器。着弾地点は核爆発並みのエネルギーにより破壊されるが放射線被害は起きない。宇宙条約を避けるため、惑星αにて配備される。通称は某FPSゲームからパクった。本作での正式名称はKB-1攻撃衛星。

・僕の星
「ぼくのほし」じゃない、「しもべのほし」。魔帝復活ビーコン搭載の異世界版ブラックナイト衛星。概要は原作と@ウィキを参照。

・ブラックナイト衛星
地球版僕の星。1万3千年前から地球の極軌道を周回している宇宙人の人工衛星。フィラデルフィア事件並みに胡散臭いのはご愛嬌、あとネーミングセンスもう少しどうにかならなかったのか。

・らいちょう
原作六巻で登場が決定した日本製の大型無人宇宙往還機。

・ラ・カサミ改
原作五巻で活躍した、日本で護衛艦化されたラ・カサミ。本作では他の艦も日本で改造予定。概要は原作五巻と@ウィキ参照。ちなみに日本はグラ・バルカス→アメリカ経由で購入したヘルクレス級戦艦1隻も護衛艦化改造中。

・リーム王国
ハイエナ国家(直球)。ちなみにパ皇から入手した装甲艦はオリジナルで、英国のウォーリア的な物を想像してる。

・震電改
原作にも出てくるムー製震電。ただしエンジンは日本から買えず、アメリカからF404エンジンを購入して載せた。エンジン以外の概要は原作か@ウィキ参照。

・エルペシオ4、ジグラント4
エンジンのバイパス比と機体形状直せば良いらしいし、とりあえず直した機体。直すために一から再設計して完成したが、性能は十分。

・グティーマウン型超重爆撃機
見た目と性能が富嶽相当の爆撃機。最新戦闘機がゼロ戦レベルの国が産み出したオーパーツ的存在。きっと天啓があったに違いない(適当)
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今回解説がクソ長くなってしまいましたね……スミマセン

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