アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです 作:スカイキッド
構想していた対地球国家戦ですが、先に魔帝戦やってから、外伝という形でまた今度改めてやろうと思います。
第48話「6年後」
中央暦1649年6月1日(2025年)
ラヴァーナル復活の時期と場所の詳細な情報が判明し、惑星α――異世界の国々が魔帝復活に備えた準備を開始してからというもの、時は流れに流れ、実に5年が経過した。
来年のラヴァーナル復活も迫り、各国の準備もいよいよ最終段階に迫っている。
特にミリシアル、ムー、グラ・バルカス、日本など、この世界の主要国はほとんどが戦力を整えつつあった。
ミリシアルは日本とアメリカから持たらされた科学技術を恐ろしい勢いで吸収し――もともと教養を始めとした基礎自体は十分にあった――、そこから生み出した新兵器によって軍隊の近代化を整えている。
すでに魔導式の自動演算装置や魔導電磁レーダーはそれらの技術を応用することで完成し、それを利用したFCS、マジックミサイル――誘導魔光弾も開発が完了した。
ミリシアルの艦艇はこれらを搭載し、戦艦は対艦型誘導魔光弾のキャリアーに、小型艦はミサイル駆逐艦に、双胴空母という奇妙な形状だったミリシアルの空母は、アングルドデッキに単胴、武装は護衛火器のみの、ようやくまともな形状へと変化した。
また航空機――天の浮舟も、対空型の誘導魔光弾を搭載した亜音速戦闘機エルペシオ4、ジグラント4が大半の部隊に配備されている。
これらは海軍の空母にも搭載され、また空海軍機ともに米国製のIFFが搭載されていた。
そして一部部隊はアニュンリールから接収したラフシーズ戦闘機を運用している。少なくとも、5年前と比べたら明らかに成長していた。
ムー国も戦力を整え、戦艦や巡洋艦は多数が日本で改装を受けて『ラ・カサミ改』のような護衛艦となり、空母にはジェット戦闘機『震電改』の艦載改修型が搭載されている。
そしてグラ・バルカス帝国も、グティーマウン型超重爆撃機600機の配備と運用が開始され、日米から持たらされた『主力戦車』の概念から徹底的に設計が改編されたワイルダー重戦車が完成、またグ帝版海兵隊も設立された。
日本も、海自は7個護衛隊群まで規模を増強、60000t級の空母4隻と原子力潜水艦を配備し、陸自は増えた人員で第2空挺団、第2ヘリ団を新設、AFVを4桁単位で増量。
空自はF-3戦闘機を完成させ、F-35、F-15JSI戦闘機の配備を初め、さらに巨大戦略輸送機、P-1改造の戦略爆撃機の配備を完了させつつあった。
また、第2文明圏各国の軍隊に対し、自衛隊が顧問として自衛隊流の訓練を彼らに伝授させている。
異世界の国々は準備を終わらせつつあった。
さて、我らがアメリカであるが、どれほどの戦力を投入するか、今から説明しよう。
予想通りだと思われるが、こちらは異世界の他の国の軍事力全てを併せても到達できないほどの圧倒的軍事力を投入させようとしていた。
海軍だけで8個の空母打撃群、4隻の戦略原潜、650機の戦術航空機が投入され、これに空軍も併せて1800機以上の戦術航空機が投入され、さらに陸軍と海兵隊の兵員約15万も空爆後の上陸作戦に備えて準備が進んでいた。
ハッキリ言ってしまえば、いつも通りであった。
ただし今までの異世界での戦争と比べ、少し異なることが2つばかりあった。
まず1つは、彼らの運用する兵器の更新がほぼ完了していることであった。
今までの戦争では、数の充足のため、航空機の墓場に眠っていたモスボール機を転用したF-4、F/A-18A/B、A-4、A-6など旧式機を引っ張り出して無理やり戦力化していた。
しかし今回は、兵器の更新が進んだことで、それら旧式機は参加せず、ほぼ全部隊がF-22A、F-35B、F-15E、F-16など、地球の部隊と同等の機を(今さら)装備したのだ。
とはいっても、これは空軍と海軍航空隊だけの話であり、陸軍と海兵隊はそのまま、海軍のフォレスタル級、キティホーク級などの旧式空母は代役がいないため、相変わらずそのまま投入されるのだが。
さてもう1つは、通常兵器以外の存在である。
何を隠そう今回は、ラヴァーナルが帰って来た直後に「帰ってくんな」とばかりに先制攻撃を実施、弾道ミサイル、巡航ミサイル、神の杖の金属棒で飽和攻撃を行い、戦争遂行能力を奪うことを目的としている。
すでにラヴァーナル帝国の存在するラティストア大陸の主要都市、軍事施設など戦略拠点、その他重要施設の詳細な位置は、アニュンリールでの情報収集により判明している。
よってミサイルや金属棒はラヴァーナル復活前から、事前にそれらの地域へと照準を合わせている。
使用される弾道ミサイルの数は300発は下らず、神の杖も金属棒を200発、巡航ミサイルに至っては2万発にまでおよぶ。
うち、弾道ミサイルには50発ほどのメガトン級戦略核弾頭が仕組まれている――これが環境への影響を抑えつつの最大の投射量だった。
ちなみにこれには、日本の自衛隊も巡航ミサイル攻撃に限り参加し、空自戦闘機がASM-3改、ASM-2D/L、スタンドオフミサイルを投射する予定である。
魔帝が復活する時は昼間が夜のように暗くなる、という兆候が発生した瞬間から、準備が整い次第、すべての金属の塊がラヴァーナルに指向されることとなっていた。
中央暦1650年1月――。
年が明けてからすぐ、対ラヴァーナル帝国作戦『神罰の代行』の準備は始まった。
主要文明国の船舶や航空機は移動を開始し、復活地点の大東洋沿岸には物資の集積が始まった。特に日本、ロデニウス大陸、フィルアデス大陸、グラメウス大陸には臨時に設置された基地や施設に艦船、航空機、部隊が集結した。
これらは日米主導による魔帝への弾道ミサイル、巡航ミサイル、攻撃衛星による長距離攻撃の後に行われる各国連合による空爆と艦砲射撃。さらに、その後に行われる各国軍連合の上陸作戦に参加するための部隊だった。
3年前の中央暦1647年に実施された先進11ヵ国会議にて結成が宣言された、主要各国の戦力の参加する対魔帝世界連合『世界連合軍』、それが正式名称だ。
ほとんどの国が自国の軍事力の5割以上を動員し、総数では1500万人に上る人員が――ほとんどがグ帝の人員ではあるが――集まり、物資集積や、実戦に備えた訓練など、彼らはその時に備えた。
その指揮官には米軍の大将――グラメウス大陸侵攻作戦でも指揮を執った男だ――が就任し、参謀として世界各国の将校が集められた。
6月にはほぼ全ての部隊が第三文明圏周辺に集結し、復活予想時刻が間近に迫った9月にもなると、すべての部隊がローテーションを組みつつも、臨戦態勢へと突入。
準備はすべて整った。
少なくともラヴァーナルには、かつての罪を償ってもらう必要があり、この世界の国々には、神々による神罰の代行を彼らに下す必要があった。
そして、ついにその時は訪れた。
中央暦1650年11月3日正午――。
その瞬間、星全体の空が、太陽も、星も見えないような暗闇に包まれた。
まるで何もかもを貪欲に吸い込んでしまいそうなその空を見上げた人々は、何が起きたかを瞬時に悟った。
世界連合軍の司令部が設置された日本の在日米軍横田基地で、世界連合軍総司令官の米軍大将はすぐさま指示を飛ばした。
始まったのだ。
明日も更新します。