アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです   作:スカイキッド

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ラヴァーナル戦開始です
それと、今回4000文字なんでいつもより長いです

追記:タイトル間違えてました。「代償」→「代行」
 


第49話「神罰の代行」

 

 

 空が黒く染まるという、ラヴァーナル復活の兆候が発生し、すぐさまアメリカが打ち上げた多数の偵察衛星から情報が届けられる。

 

 各偵察衛星から世界中の地上を撮影した写真がデータとして届けられ、その中の日本の東、大東洋を写す写真には、今まで存在していなかった大陸の姿が写し出されていた。

 

 

 ラヴァーナル帝国が復活した。

 

 

「作戦開始、繰り返す、作戦開始!」

 

 世界連合軍総司令官を務める米軍大将によりその指示が飛ばされた直後、すべての弾道ミサイル、巡航ミサイル、そして『神の杖』が発射への準備を整え始めた。

 

「目標、ロメオ・エコー(Ravernal Empire)の主要戦略拠点」

 

 すぐに在日米軍基地、航空自衛隊基地、ロデニウス大陸・フィルアデス大陸・グラメウス大陸の飛行場から巡航ミサイル搭載のB-52J、B-1Rが飛び立つ。

 大東洋沿岸に展開した何十隻ものイージス駆逐艦、ミサイル巡洋艦がVLSの蓋を開放し、そこから射程数千kmのトマホークミサイルが姿を現す。

 

 この異世界に持ち込まれた何百発もの弾道ミサイルが発射可能な態勢となり、軌道上の攻撃衛星『神の杖』は目標地点の地上施設に向けて正確な照準を定めた。

 

「洋上の全艦艇、トマホーク発射準備完了」

「空軍および空自の部隊、巡航ミサイル発射地点へと展開した模様」

「『オーディン(神 の 杖)』全機、照準よし」

 

 次々に司令部へと飛び込んでくる報告、ラヴァーナルが復活してから20分ほどが経過している。

 

 米軍大将は僅かに考え込む。

 ラヴァーナル帝国の人間――光翼人とは何の対話をすることもなく、いきなり帝国を滅ぼす勢いで攻撃を仕掛けることになる。

 

 別に自分たちは彼らを恨んでるわけでもない。憎んでるわけでもなければ、怨んでるわけでもない。

 そもそも直接会ったこともなく、話し合ったこともなく、大して知りもしない。

 

 そんな相手なのに、いきなり攻撃してもいいのか――いや、それは大丈夫か。大将は自らの不安を比較的早いうちに打ち消した。

 

 すでにラヴァーナルと光翼人に関する情報はすべて集まっているし、そしてそこから勘案された結果は、光翼人は話も通じない、精神的に野蛮な民族であるということ――

 話が通じる前提で考えてはならない、地球での価値観が、ここでもすべて通用するわけではないのだ。

 ラヴァーナルは人間ですら家畜化するような種族で、奴隷が貰えなかっただけで核戦争すら起こすような国である。情けも容赦も、彼らにかける必要なんて微塵もないだろう。

 

「攻撃を開始せよ」

 

 だから、彼は、そう短く伝えた。

 

 

 直後、弾道ミサイルの固体燃料に炎が灯り、巡航ミサイルが噴煙を撒き散らし、軌道上の神の杖が次々に金属棒の投射を開始した。

 

 戦闘機、攻撃機、爆撃機、駆逐艦、巡洋艦、戦艦、潜水艦、地上発射施設、攻撃衛星、ありとあらゆる発射用プラットフォームは煙か閃光に包まれ、光の塊をいくつも解き放った。

 

 空軍と空自の戦闘機と爆撃機から巡航ミサイルの曳く白線が吹き伸び、海軍の駆逐艦と巡洋艦が、次々に同じものを発射する。

 

 また、すでに弾道ミサイルの群れは高空よりも高い位置へと突き進み、弓なりの弧を描きつつ、最終的には重力に従い頭を地上へと垂れ初める。

 

 すでに神の杖から射出済みだった200はくだらない数の金属棒は、成層圏へと突入する過程で弾頭を真っ赤に輝かせながら落下を続けていた。

 

 圧倒的な数による破壊の暴力が、復活を果たした超古代文明のもとに迫りつつあった。

 

 

 

 

 ラヴァーナル側は異変を察知していなかった。

 

 無事に復活に成功し、ビーコンや僕の星がいくつか見当たらない、グラメウス大陸の魔王ノスグーラと交信が出来ないなどのアクシデントは起きていたものの、事態は概ね順調であった。

 

 あとは僕の星から送られてくるデータを元に現在のこの世界の状況を把握し、再び帝国軍を派遣して世界を服従させるのみだ

 

 帝国政府と帝国軍が世界を再支配し、『恐怖』を撒き散らすための準備を始める最中、光翼人たちは復活記念とばかりに外へ出て、祭りや宴をしようとその準備を始める。

 

 祭りをしようとするのは、一見したら人間社会でもみられるような光景だが、その中にはエルフや人間などの非光翼人の奴隷たちが当然とばかりに虐められる光景があり、かなりの違和感を醸し出している。

 

 彼らは他種を奴隷にし、そこらの虫ケラと同等、いや、それ以下の存在として扱っており、一万年前に同じ世界から連れ去られてきた奴隷たちは、彼らに虐められ、または虐殺されていた。

 

 光翼人らはそれに何の不思議も抱いていない――むしろ奴隷を虐めるのは当然とばかりに殴り、蹴り、叩き、斬りつけ、締め付け、踏みつけ、そして最終的にその命を奪う。

 

 それが光翼人だった。

 高度な文明を築きつつも彼らは、精神的に非常に未熟であった。

 本能的に自分達を崇め、本能的に他種に対して『恐怖』を撒き散らすことを無上の喜びとしている、そんな野蛮な民族だったのだ。

 

 そんな矢先、光翼人らは異変に気づいた。お祭りを始めようとしていた光翼人も、役所に詰めかけた帝国政府の役人も、出動準備を始めた帝国軍人たちも、空を見上げ、唖然とした。

 

 まるで流れ星のような、いくつもの“なにか”が空、いやさらにその上に広がる宇宙から、燃えるように輝きながら降り注いでくる。

 宙からポツポツと現れたそれらは白線で紺色の空にストライプを描き、それだけで空を埋め初め、その様は非常に幻想的であった。

 

 まさか神々により星が落とされたか――そう考える者もいたが、それらの正体を彼らが把握する日は、永遠に訪れそうもなかった。宇宙空間から放たれた金属棒は次々にラティストア大陸に突き刺さった。

 

 およそマッハ10におよぶ高速で地面に突撃した金属棒は、その運動エネルギーを発散させんとばかりに地面を抉り、周囲に衝撃波を撒き散らす。そしてそれは、核爆発相当の威力を解放した。

 

 大陸各地の都市で、施設で、基地で、街で、港湾で、沿岸で、同じように金属棒が突き刺さり、衝撃波が周囲にあったあらゆるモノを消し飛ばしていく。

 

 彼らが見たらコア魔法の爆発と勘違いするであろう光景が、そこにあった。

 

 ラヴァーナル帝国は米国による金属棒の連続攻撃に無力であった。金属棒は電磁波を放出しないため探知も迎撃も極めて困難であり、それどころか帝国にはBMD――ミサイル防衛という概念が存在していなかった。

 

 まさか自分たちが奴隷として虐めてる下等種族が、自分たちの持つコア魔法と同等の攻撃を仕掛けてくるとは微塵も思っていなかったし、だとすればコア魔法から自分たちを守る手段も考えてなかったからだ。

 

 光翼人たちと共に攻撃に晒されている奴隷たちには申し訳ないことだったが、軍事目的のための致し方ない犠牲――コラテラルダメージと考えれば、まだ少ない犠牲ではあった。

 

 金属棒による攻撃から遅れて、フィルアデス大陸、ロデニウス大陸、グラメウス大陸から大量に打ち上げられた通常弾頭型・核弾頭型の弾道ミサイルが、金属棒で壊滅的被害を負ったラティストア大陸に降り注ぐ。

 

 このときラヴァーナル帝国の大地には、首都から大都市、地方都市にいたるまで、片田舎の偏屈な街や各地の村々でさえ一発たりとも攻撃を受けていない土地などなかった。

 

 少なくとも首都を含めた40個の都市が更地となり、軍事力の8割が無力化されていた――残り2割は攻撃を免れた地下施設か、洋上の艦艇か、海中の潜水艦か、上空飛行中の軍用機か、僻地にある警備隊の詰め所などだった。

 

 ラヴァーナル帝国は約2億1000万の人口を抱えていた――奴隷は含まれてない――が、弾道ミサイル攻撃が収まったころには8000万人弱しか残されていなかった。

 

 すぐに残存していた帝国軍の部隊は緊急出撃を始めようとしたが、弾道ミサイル着弾から10分も経ったころ、低空飛行でラティストア大陸に接近していた数千の巡航ミサイルの大群が、遅れに遅れて到来する。

 

 運良くスクランブル発進できた帝国空軍の戦闘機の中には、巡航ミサイルの迎撃に成功した機体も存在していたが、全体からすれば雀の涙ほどの、悲しすぎるほど少ない数であった。

 

 都市部は更地と化し、集落という集落には巡航ミサイルがぶちこまれ、森林地帯は大火災を引き起こし、沿岸は照準のズレたミサイルの着弾で起きた津波に飲み込まれており、もはや大陸に無事な場所なんてもう数えるほどしか残ってなかった。

 

 嘘だ、そんな馬鹿な、あり得ない、これは悪い夢だ、こんなこと起きるはずがない、違う、これは現実じゃない、なぜ、どうして、まさかそんな、嫌だ、助けて、死にたくない……

 

 その被害を目の当たりにした、生存した光翼人らは口々に呟く。そして悲嘆に暮れるその声々は、大陸全土に木霊した。

 

 だがそれは、彼らが今までしてきた罪を考えたら、十分妥当なものであった。

 

 

 

 

 30分後、焦土と化したラティストア大陸で、飛行中だったために唯一被害を免れた帝国空軍所属のAWACS――もちろん魔導電磁レーダーを搭載する――が、さらなる異変を察知した。

 

 レーダーにいくつもの反応が、ラティストア大陸の外から、海と空を埋め尽くして迫りつつあったのだ。

 アメリカ、日本、ミリシアル、ムー、グラ・バルカスを中心とする、世界連合軍である。

 

 帝国空軍AWACSからの報告は、まだギリギリ生きていた帝国軍通信網で各部隊に伝えられる。すでに上級司令部はほとんどが消滅し、地方の下級司令部が代行して指揮を執っていた。

 

 まだラヴァーナル帝国軍には彼らに抵抗するだけの力は辛うじて残されていたが、その“辛うじて”が、まったくもって長続きしそうにないことは明らかであった。

 

 

 

 かつて世界に『恐怖』を撒き散らした光翼人たちは、その人生で初めて『恐怖』を経験することとなった。

 

 

 




 
どうでもいいけど最近『復活の日』って小説読んでます。日本沈没の作者の作品で最近重版されたんですが、病気が人類を滅亡に追いやっていくまでの過程が恐ろしく丁寧に描かれている良くできた作品です。
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