アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです 作:スカイキッド
ラヴァーナル帝国、帝都ラヴァーナ。
かつて魔帝の名で世界中を恐怖で支配し、その名を星の裏にまで轟かせた国の首都は、中央に位置する皇城を中心として、地球の大都市と比べても非常に発展していると言えた。
地上高1500mにもなるハイパービルディング状の皇城ラヴィ城を中心として、同心円状に超高層ビル群や官庁施設、高層住宅からなる摩天楼が広がり、さらに各種エネルギーや水道、食料の循環機構を備えた完全環境都市を形成している。
帝都の郊外へはクモの巣状に幹線道路と高速鉄道が張り巡らされ、人口は1000万人、万を数える商業施設がひしめき、他にも近衛軍が控えているなど、ラヴァーナル帝国の経済・文化・政治の中心地だった。
……中心地
いま、帝都ラヴァーナはまさしく“カオス”な状況の真っ只中にあった。
帝都はすべてが炎に包まれ、高さ1500mの皇城ラヴィ城は中央からバッサリへし折れていた。いくつもの巨大な炎の竜巻が荒れ狂い、高層ビル群は倒壊して瓦礫となり、黒煙は蒼天をどす黒く汚している。
その下の大通りで、逃げ場と助けを求めてさまよう光翼人の姿があり――いや、この時点ですでにその人影すら数えられるだけしか残されていない。人口は1000万から190万ほどにまで激減している。
アメリカによる『神罰の代行』作戦で帝都ラヴァーナは金属棒6本、通常弾頭型弾道ミサイル7発、巡航ミサイル500発近い着弾を受け、インフラの壊滅、行政機能喪失といった壊滅的な被害を被っていた。
そんな地獄の上空をいくつもの影が過る――アメリカ、日本、ミリシアル、ムーなどからなる世界連合軍の航空戦力である。さらに洋上からも、世界連合軍の艦隊――総数数百隻の大艦隊が迫りつつあった。
帝都ラヴァーナだけではない、この他にもいくつものラヴァーナルの都市で、軍事施設で、港湾で、このような世界連合軍のラヴァーナル襲来の光景は広がっていた。
彼らの目的は、金属棒・弾道ミサイル・巡航ミサイルの攻撃の後に空爆、艦砲射撃を実施し、可能な限り、ラヴァーナル帝国の国力を削ぎ落とすことであった。
アメリカの戦略爆撃機が、日本のジェット戦闘機が、ミリシアルの空中戦艦が、ムーの爆撃用飛行船が、グラ・バルカスの超重爆が、エモールの風竜が、その他の国々の様々な竜が襲来する。
そして洋上の戦艦、護衛艦、空母、ミサイル駆逐艦、改造戦艦、戦列艦、総てを纏めると千を超える数の艦艇が海を埋めつくし、あらゆる文明の兵器が入り交じり、空と海一面に広がっていた。
米空軍戦闘爆撃機による軍施設への精密爆撃。自衛隊機によるピンポイント爆撃。ミリシアルによる大型弾ジビルの投下。グ帝超重爆による都市部への無差別爆撃。ムー戦闘機による地上への機銃掃射。
特にグ帝超重爆による無差別爆撃は効果があり、グティーマウン型超重爆撃機600機による都市部への絨毯爆撃は、いくつもの都市を焦土へと変えた。無論、他の魔法文明国だってその役割を十分果たした。
エモールの風竜による地上への魔法攻撃。その他の国々のワイバーンによる地上への火炎弾攻撃、せめて光翼人はすべて滅ぼさなければ――特に現地人は恐怖と共に地上攻撃を実行した。
かつての光翼人による蛮行を、悲劇を、惨劇を、繰り返さないために、そして平和を手に入れるために、様々な国の様々な軍隊が一つの国をオーバーキルと言わんばかりの勢いで攻撃する、正に“カオス”であった。
その“カオス”の中に、勇猛果敢にも突撃する機影――ラヴァーナル帝国空軍戦闘機レイカーの編隊の姿がある。僻地の地下格納庫に格納されていたために弾道弾や金属棒の直撃を避け、離陸に成功した機体だった。
レイカーのパイロットである光翼人たちは、誘導魔光弾を都市の上空に現れた敵に向け手当たり次第に放った。
――薄汚いウジ虫どもめ、偉大なる我らが魔帝を侵した罪は大きいぞ。
この機に及んでもなお、光翼人らは隙あらばいつでも世界を再支配してやる、という野望に燃えていた。だがそんな野望が長続きするはずもなく、彼らの乗る戦闘機は直後に爆散した。
米軍は制空権の確保にバカみたいな数の戦闘機を投入しており、魔帝機は運良く離陸に成功したところで、上空の制空権は変わらず米軍側にあり、速攻で中距離誘導弾のアウトレンジ攻撃で敗北してしまった。
洋上でもラヴァーナル帝国海軍の潜水艦が世界連合軍艦隊に攻撃を仕掛けていたが、こちらも米軍や自衛隊の対潜哨戒網に引っ掛かり無力化されている。
このように散発的にラヴァ―ナル帝国軍による抵抗作戦が行われ、帝都ラヴァーナでも近衛軍が対空砲火を行っていたのだが、それらは指揮系統の混乱と、そもそも帝国軍そのものがほぼ消滅してたため、無いも等しい。
金属棒は魔帝の主要な軍事基地であれ、秘密基地らしき場所であれ、手当たり次第にあらゆるところに着弾し、空中戦艦パル・キマイラも、海上要塞パルカオンも、コア魔法の発射施設も破壊されていたため、まともな抵抗なんて出来るわけがない。
また、ラヴァ―ナル帝国軍の抵抗が散発的になったことを受け、ラティストア大陸各地の沿岸では陸上部隊による上陸作戦も開始されている。
基本的に装備の性能面ではアメリカ海兵隊、兵士や兵器の数ではグラ・バルカス軍が大半を占め、その他にも日本の水陸機動団、ミリシアルとムーの陸軍も上陸作戦には参加している。
上陸作戦はほとんど抵抗なく、無事に大半の部隊がラティストア大陸への上陸に成功し、そして、生き延びていた現地住民からの手厚い
「大陸から出てけ野蛮人!」
「奴隷は奴隷らしく俺たちに跪いてろ!」
「奴隷のくせに生意気だぞ!」
「蛮族は大人しく私らの靴でも舐めてな!」
民間人の光翼人らにそうやって罵声を浴びせられながら、上陸部隊は上陸した。呆れた、この期に及んでコイツらはまだそんな傲慢なことを言えるのか、これが光翼人なのか。
呆れながらも、上陸部隊は民間人の保護を開始した。が、普通に攻撃魔法で襲いかかってきて、魔法が切れても石を投げたりして闘ってくるものだから、仕方なく、上陸部隊は実力を行使せざるを得なかった。
恐怖しようが、絶望しようが、光翼人は上等種として下等種を跪かせなければならない、彼らの精神と本能は、その根底から普通の人間と比べて狂っていた。
そんな民族でも丁寧に対応しつつ、そのようにして上陸した世界連合軍は、核弾頭着弾地点を避けつつ、巡礼するようにラティストア大陸各地を行軍した。
途中、帝国軍の生き残りを掃討し、生存していた光翼人を取っ捕まえながらも、行軍はゆっくりと、しかし着実に行われた。
中央暦1651年2月10日――。
世界連合軍の行軍開始から3ヶ月、年が空けてようやく、ラティストア大陸は全土が世界連合軍の手に堕ち、金属棒、弾道弾、巡航弾の攻撃を生き延びた光翼人らはすべて制圧されていた。
金属棒・弾道弾・巡航弾の総攻撃を生き延びた大半の光翼人は、世界連合軍上陸部隊の上陸後も最後まで抵抗を続けたが、そのために世界連合軍の手で抹殺せざるを得なかった。
保護された光翼人らも、各国の研究施設に移送されるなどして、いまやほとんど残されていない。また、世界連合軍ももうほぼ解散となり、臨時で駐留することとなった平和監視軍を除いて、すべて彼らの本国へと帰還している。
また、まだまだやるべきことはいくつも残されていたが、今までの苦労と比べたら、それも大したものではなかった。
少なくとも、この世界は、平和を勝ち取ったのである。
魔帝戦が終了しました。原作で言うなれば物語終了であり、一応本作はここで一段落ついたことになります。
ですが悪しからず。まだ本作は対地球国家戦が残っています。今はまだ描いていませんが、時間があったら描いて投稿してみたいと思います。
完結したわけではございませんが、ここまでご愛読頂いた読者の皆様に感謝をさせてください。
ありがとうございました。
P.S.
本作は一時的に完結したという形を取らせていただきます。また新話を投稿したら連載再開とさせていただきます。