アメリカ合衆国も日本国召喚に全力出演したいようです   作:スカイキッド

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第9話「リメンバー・ロサンゼルス」

 

 第二次フェン沖海戦のドサクサに紛れ、パーパルディア皇国の戦列艦3隻が、地球へと繋がるワームホールを通過してしまった。

 

 それは単なる偶然に過ぎなかったし、その戦列艦たちもワームホールを潜ろうとして潜った訳ではなかった。

 

 一方的過ぎるアウトレンジから繰り出される米艦隊からの砲撃を回避するため、右往左往と回避機動を取っていたら、いつの間にかワームホールの入り口に近づいてしまったのだ。

 

 そして戦闘に集中している米艦隊はこれに気付かず、また戦列艦隊もそのままワームホールに呑み込まれ──そのまま地球へとやって来てしまった。

 

 何が起きたか把握できてない戦列艦隊だったが、付近を航行し、しばしして近くに陸地を見つけると、そこを侵攻目標であるフェン王国のニシノミヤコと勝手に判断し、そこへ向かった。

 

 実際にはこれはニシノミヤコではなく、ワームホールから比較的近いアメリカの大都市ロサンゼルスだったのだが、彼らがそんな事知る由もない。

 

 皇国艦隊の人間はほとんどが直接ニシノミヤコを見たことが無かったし、高層ビルによる摩天楼も独特な地形と捉えてしまっていたため、ロサンゼルスがニシノミヤコなのか疑いもしなかった。

 

 付近にワームホールの入り口を監視する艦艇はいなかったのか、という疑問も出るだろう、いや確かに周辺には中露の潜水艦や民間船を警戒して、米海軍のフリゲート3隻とアーレイ・バーク級駆逐艦が1隻いた。

 

 だが突然ワームホールの中から現れた時代錯誤も甚だしい戦列艦にどう対処できようか(この時はまだワームホールの先で空母艦隊が戦闘状態に陥ったことをこのフリゲートの乗員は把握してなかった)。

 

 考えてもみてほしい、友軍空母艦隊の入っていったトンネルからしばしして近世の戦列艦が出てくるのを。地球外なのでエイリアンならまだ分かるが戦列艦とは。

 

 また戦列艦隊側も、先のフェン沖でこちらに虐殺を仕掛けてきた米空母艦隊の艦艇と似たフリゲートから逃れようと、一目散に逃げ走り――そしてたまたまロサンゼルスに到達した。

 

 そういう訳で、パニックに陥りながらも、戦列艦隊は当初の作戦を遂行すべく、フェンの――もといロサンゼルスの海岸を砲撃した。

 

 当時は1月、普段なら大勢のビーチ客もごく少数のサーフィン客を除いていなかったが、戦列艦による一斉砲撃は少なからぬ被害をロサンゼルスの市街に生み出し、少なからず負傷者を出した。

 

 無論、すぐさま急行したフリゲートと沿岸警備隊のバーソルフ級巡視船による57mm砲の砲撃で三隻とも撃沈された。

 

 沈む船から海に飛び込み、市街地に逃げ込んだ皇国兵(マスケット銃で武装)もいたが、彼らは緊急出動したロス市警特殊部隊SWAT(あと勝手に加勢した地元ギャング集団ら)により全員制圧か逮捕された。

 

 幸いなことに全体的には大した被害ではなかったが、このロサンゼルス砲撃事件は米国が直接攻撃された事件として、アメリカ国民にとって9.11以来の衝撃となった。

 

 まぁつまり――米国を怒らせてしまった。

 

 米政府はこれを『太平洋地域の()()()()によるテロ攻撃』として対海賊戦争の実施を国民に主張、世論もかつての太平洋戦争における「リメンバー・パールハーバー」と同じように、「リメンバー・ロサンゼルス」のスローガンの下にこれを支持した。

 

 アメリカは民主主義の国であり、これによって議会で大規模な海賊掃討部隊が決議、部隊編成がされた──が、これは米政府の作戦でもあった。

 

 つまり対海賊部隊と称した、惑星αへの増派部隊派遣であり、惑星αに救出部隊を送ることが決定したときから、米政府はあるとき唐突に気がついた。

 

 

──地球と似たような環境をした惑星α。これってフロンティアじゃね?

 

 

 という訳で先行する救出部隊とは別に、フロンティア開拓を行うための追加兵力を米政府は欲した。

 

 そう、もしかしたら地下資源、人材資源、新たな市場の宝庫かもしれない惑星αを、ただ在日米国民と日本人を連れ帰るだけで放っておくのは勿体無いではないか。

 

 だとしたら惑星αを米国(ステーツ)開拓地(フロンティア)とすれば、かなりの儲け話となるのではなかろうか。

 

 米政府には日本転移後に滑落した経済を回復させたい件もあったし、まぁそれに、ワームホールから出てきて早々に空母『ロナルド・レーガン』率いる艦隊が戦列艦200隻とドラゴン250匹に襲われれば、当然のように戦力も追加しておきたくなるものだ。

 

 そんな事があって、惑星αに派遣する戦力の追加配備が決定した。概要としては主に海軍から空母1、戦艦2、イージス艦10隻以上、艦載機200機、陸軍と海兵隊からはそれぞれ一個師団、空軍からも200機近い航空機の派遣が決定した。

 

 だがそれは増援というより、もはやフロンティア開拓のための戦力だった。

 

 もちろん民主主義に則り、正式に()()()()()()という形で国民から同意を得た状態であった。

 

 




アメリカは民主主義の国だからね、しょうがないね。
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