転生したので反則技で魔法少女のお手伝い/敵することにした   作:絶也

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ここからやっていく。モチベーションの問題で小分け。
リリカルなのはへの理解度が低いので面白くないけど自己満足。
あと転生描写省いてます。多分後々やります。


1話 転生者で転校生になることにした

暗い部屋の中、知らない天井を見る自分が居る。

俺は天坂帝翔、年齢は7歳。異世界転生者だ。

転生するに当たって、不自然なくその世界に…俺が望むものに溶け込もうと思ったらこう選んでいた。

 

……使う魔法とか、そういうのが選べるのは予想してたが、まさか環境レベルで選べるとは…神様とかいうのは、加減を知らないのだろうか。神様だからこれくらい出来る、と言われれば返す言葉もなくなるが。

 

父親、母親は都合で海外、一緒に暮らしてた親戚も既に居なくなって一人暮らし…この方が何かと都合がいい。この上で生活に不自由しない環境が選べなかったら不自由この上なかったので助かる。

 

そんな訳で1人しか居ない静かな家、夜の闇に包まれている部屋の中でベッドから起きる。手の中にある確かな感触を確かめた上で、開いてそれを確認する。

 

小さな宝石のような紫の輝きが、夜に溶け込んでいてもわかる。

俺が選んだ、俺のデバイス。

 

「──これからよろしく、クロッカス。」

 

宝石が光り、何語かわからない言葉を返してくる。それが挨拶の言葉を表しているのは、わざわざ理解せずとも伝わった。

 

人を救いたい、それと憧れと目的があり、俺はこの世界を選んだ。

が、一方で俺という異物が混じり、行動を起こすことで俺の知っている未来がどれほど変わるのか想像もつかない。

 

この辺りは転生者と言うよりもタイムトラベラーになった気分だ。

多分、多少行動して未来を変えても俺の目的にまでは辿り着ける。

が、同時にそれを果たすだけだと意味がないのだ。その為に来る時間まで選び、その為の力を得たのだから。

慎重に行動しなきゃならない。

 

とはいえ、クロッカスや環境を見る限り、選んだものは本当にそのまま反映されているようだ。であるなら、概ね思う通りに行動は出来るだろう。どこかでガッツリ戦える練習をしたいが、おいそれと動けないから不便だ。

 

幸いにして…というのも変だが、時間はある。ひとまず今日は寝て、明日起こることにしっかり備えることにした。

慣れないベッドに潜り込み、瞳と意識を閉じる。

さぁ、夢でなければ動くのは明日からだ。

 

 

 

 

 

そんな訳で、朝が来た。

目覚めた時間は朝の7時30分。自分にしては早起きだと適当に評価を付ける。

軽く二度寝でもするか、と思ったところで、自分の手が目に入る。

どう見ても子供の手、というか腕の長さ。

思考が一瞬停止するほど当惑しかけて、昨日の出来事を思い出す。

頭が痛くなりそうだが、どうやらこのふざけた異世界転生というやつは夢ではなかったらしい。

 

それを認識すると、世界が開けるように情報が頭を駆け巡る。

と言っても比喩表現でしかないが…ともあれ、俺の願いが…この世界に来た目的が、ただのその場の勢いではなかったことを自分で確認して、少しホッとする。

勢いで決めても取り返しがつくものと、取り返しがつかないものが人生には度々あるが、これは明らかに後者だからだ。

つまり、この決断を誰かのせいにしないで済む。それだけでも僥倖だ。

 

これから起きるであろう出来事に考えを寄せようと思ったところで、ふと思い出す。

 

この体は7歳で、俺はもう天坂帝翔としてこの世界に居る。

そうするに当たって、確か俺はなのは達と同じ、私立聖祥大学付属小学校に通うことになったのではなかったか。

 

それを思い出せば、7時30分…つらつらと考えているうちに5分が過ぎて、もう35分か。それはあまり時間のある方ではないなと思い至る。

一旦考えるのは後にして、軽い朝食を済ませて、10年ぶりの小学校登校をするとしよう。

 

軽い朝食を済ませると、準備を済ませて家を出る。20歳を超えているのに、自分の為に小学校の教材や筆箱を用意するというのは何とも新鮮な気分だった。……屈辱に近いものもあった気はするが。

 

聖祥大付属小学校は、劇中を見る限りバス通学だ。しかし、それについての詳しい言及はあまりされていなかった。

というかその辺の面倒なことを1から覚えようとすれば嫌でも目立つ。今までお前はどこに居たんだとツッコまれかねない。

 

そうならない為には、孤立するか不自然をなくすしかない。

ただ、俺自身は良くても目的を思うと孤立はあまり良くないので、これについては転生する時にちょっとした仕掛けを先に打っておいた。

 

 

「いってきまーす!」

 

 

家を出てすぐに、隣の家から快活でまだ未発達な声が聞こえる。不思議と声だけで、見上げれば広がる青空がよく似合っている気がした。

いいや、気がした、じゃない。きっと本当によく似合う。俺はこの声を知っているから。

隣の家から、幼い少女が出てきたのが見えた。

一方的だが、知っている。

 

白く清潔な制服を纏い、あまり長くは見えない髪を、ちょこんとツインテールで結ったこの少女を、知っている。

高町なのは。

この世界で、所謂主人公となる少女だ。

 

そう、これがちょっとした仕掛け。

お隣さんなのだ、俺の家と高町家は。

……お隣と言っても、高町家はかなり大きいのだが。

要は、なのはに先に行ってもらい、バス停まで案内して貰おう、という算段な訳だ。1回覚えればそれで問題ない。

 

そう思って顔を上げると、件のなのはとバッチリ目が合った。

合ってしまった。

 

「(まずい…!)」

 

すぐに顔を伏せ、悪手だったと頭を抱えそうになる。ここは会釈の1つでもして自然に流す場面だったろうが…!

 

「…あのー…?」

 

流石に不自然だったか、なのはが話しかけてくる。初手からこれではこの先が思いやられる。

というか。

 

「(おいおい、なのはは基本的に同学年、居ても女子と話すんじゃないのか、なんで今話しかけられてるんだ俺は…!?)」

 

もう未来が揺れ動いていそうで気が気でない。今すぐにでも家に篭って動く時を待ちたいくらいだ。

というかこの場から消えてなくなりたい。

 

そんなこととは露知らず、なのはは話しかけてくる。

 

「…何年生、ですか?」

 

恐ろしく勘がいい。

…初対面で、しかも知らない相手だぞ。同じ学校でも話しかけないだろ。何の勘が働いてるんだそれ。

 

「……さ、3年生…」

 

「クラスは?」

 

「A組……」

 

「同じクラス…うーん……」

 

神様設定異世界転生だぞ、勘づいてないかこの小学生…!?

でも、大丈夫だ。こういう時の為に、便利な言い分は用意してある。

 

「…俺、転校生なんだ。もしかして、同じクラス?」

 

「あ、そうなんだ!同じクラスなのに覚えてなかったのかなと思っちゃった…」

 

たはは、と苦笑いするなのは。可愛らしくはあるが、正直こっちは何かが変わってしまわないかと気が気でない。

さしあたっては、学校のバスに遅れさせないことだ。ここで乗るバスには、なのはの級友が乗っているはずだから。

 

「…自己紹介とかしときたいけど、話は歩きながらかな。遅刻しちゃうしね?」

 

「うん、そうだね。」

 

快く頷いてくれ、あまり変わらない歩幅で送迎バスの来る場所に一緒に歩く。といっても距離はないのだが。

大人の時の自分、イメージしていた子供の歩幅ともまた食い違った歩行感覚にやや戸惑いはしたものの、今のうちに慣れておけるのはいいことだ。

 

しかし、バスにはなのはの級友が乗っている。それはいい、それ自体は大いに結構だ。問題は…

 

「私、高町なのは!あなたは?」

 

この目の前の主人公だ。なのはと一緒に居ると、1番目立ちたくない所と嫌でも話さなければならなくなる。

かといって、悪印象で突き放す訳にはいかない。まだ早い、というだけでそのうち友好的にはなりたかったから、ある種願ったり叶ったりだ。だから問題なんだけど……仕方ない。

 

「俺は天坂帝翔、よろしく高町さん。」

 

「あははっ、なのはでいいよ。みんなそう呼ぶから。」

 

「…じゃあ、よろしくなのは。」

 

「うん、よろしく。」

 

今このくらいなら、まだ大きく未来を動かすことはないはずだ。起こるべき出会いが起こらない、なんて事態は起こらない。俺が俺として存在している以上、ある程度覚悟はしてるが心臓に悪い。

 

パッパッ!と甲高い音がする。なのはも音源に目を向けたので、俺も見てみる。

わかりやすく聖祥大学付属小学校、と書かれたバスが来た。

出来ることならここで引いて、なのはと別のバスで向かいたいところだが……転校生だと知った以上は友達にも話すだろう。なら、俺がここで引くことは悪目立ちになりかねない。

 

「おはようございまーす。」

「…おはようございます。」

 

元気に、しかし普通の日常として挨拶してバスに乗り込むなのはに、1歩間隔を空けて俺も乗り込む。

 

「なのはちゃん」

「なのはー、こっちこっちー」

 

柔らかな声と、ちょっと鋭そうな性格を感じさせる声がなのはを呼んでいたので、そっちに目を向ける。

なのはが手を振りながら近づいていく1番後ろの席の2人の女の子。

正反対な印象を抱かせるような2人は、なのはの級友…否、親友だ。

 

折角この日常に入れたのだからもう少し会話を聞きたいところだが、正直自分のせいでこれからが変わるかと思うとマジでそれどころじゃない。

2人となのはは軽い挨拶を交わしているようだが、その中でなのはが振り返って俺に手を向けてくる。

 

ああ、ダメだこれ。もう今更なかったことには出来ないわ。

諦めて2人の所に行くことにする。どうして未来を知っているはずの俺が既になのはに振り回されつつあるんだろうか。

 

「この子が転校生?」

 

金髪でやや強い口調と性格を感じさせる女の子が元気に口を開く。当然知っている相手だ。名前は、

 

「あたしはアリサ・バニングス。よろしく。それで、」

 

「わたしは月村すずか、よろしくね?」

 

アリサに促されるようにして、隣に居た柔らかな少女が微笑み交じりに口を開く。

勿論知っているが、それを悟られる訳にもいかない。

というか、割りと緊張してそれどころじゃない。肉体が変わると、好みも引っ張られたりするのだろうか。

ここは愛想良く行こう。

 

「俺は天坂帝翔、よろしく。アリサ、すずか。」

 

ああダメだ、緊張して名前呼ぶ時に顔引きつった。

この子供たち、あまりにも顔がいい。

引きつった顔が引っ掛かったか、アリサが少しむっとしてる。そうだよなそういう子だよな。でもこれ、ただ好きなアニメの可愛いキャラに会って緊張してるだけなんだよなぁ……

 

なのはだけなら不思議とそういうのはないんだけどな。

しかし、転校生相手だからか抑え気味ながら、それでも口を開きそうなアリサに一応先んじて伝えておこう。

 

「ごめん、上手く笑えなかった…苦手なんだ、笑ったりするの…」

 

よし、嘘はついてない。というか治した方が良いと言われてた俺の悪癖だから本当のことだ。

実際仲良くしたくない訳じゃない…というか個人的には近づきたいくらいだから申し訳ないのも事実だ。

 

「ふーん…」

 

結果不完全燃焼になったか、アリサが少し唇を尖らせながら引き下がる。

それを見たすずかがフォローに入ってくれる。

 

「あはは、気にすることないよ。ね?アリサちゃん?」

 

「…そうね、あたしはちょっと気になるけど。」

 

それ、生前、というか前の人生で何回も言われた。まさか1回死んでも尚引きずるとは欠片も思ってなかったが。

 

「もー、アリサちゃんはすぐそういうこと言うんだから〜」

 

どう反応したものかと迷っていると、なのはが笑って流してくれる。こっちの落ち度だったから重ねて申し訳なくなるが、なのはとすずかが上手くやってくれたお陰でどうにか普通のガールズトークで流れてくれそうだ。

取っ組みあって仲良くなっただけあって、互いへの理解度が高い。

 

「ほら、座ろ?」

 

と、バスが動いてるのに俺となのはは立ったままだった。ダメだな、俺だけならともかく、なのはもならそれくらいの気は回さなきゃいけないのに。

 

アリサが少し横に移動し、なのはがアリサとすずかの間に座る。アリサが引っ張りがちだが、なのはが中心といった傾向が強いので当然と言えば当然なのだろう。

 

しかし、お陰で元々通れなかったすずかの隣への道がより行きにくくなってしまった。この流れで座らない訳にもいかず、すずかの隣に行くとアリサを避けたようになる。流石にそれはいただけない。俺は決してアリサが嫌いということはないのだ。

そんな訳でまだ空いているアリサの隣に座る。不興を買わなければいいが。

 

前を通る時、なんとも言い難い視線を向けられた気がしたが、座ってしまえば楽なものだった。

 

「天坂くんはどこから来たの?」

 

「…ん、俺は…少し遠い所から。でも、前からこの街に住んでみたかったから今はわくわくしてる。」

 

「へー、そうなんだ!」

 

すずかが質問してきたので、これについては本心から答える。住んでみたかったのは事実だ。次元が違ってたから諦めるしかなかったけど。聞いたなのはが笑顔を見せて…と、アリサも俺に話しかけてくれる。不機嫌になってないようで何よりだ。

 

「だったら外、見てみなさい。なのはの方ね?」

 

簡潔にそう言われたので、窓の外に目を向ける。

丁度海沿いに走る道だったらしく、恐らくアリサが意図した景色が目に入る。

 

澄んだ青空と太陽の光を受け、輝くばかりの深い青を見せるどこまでも広がるような美しい海。

汚れた海ばかりがイメージになってしまっていた俺は、バス越しだというのにその景色に圧倒されてしまった。

 

「すーごいでしょ!♪」

 

機嫌の良さそうな、どこか自慢げなアリサの声。どうしてアリサが自慢げなんだ、と思いかけて、この街が好きなんだろうなと思い至る。

だから、素直に答えよう。

 

「…ああ、凄い……」

 

もっと気の利いた感想が言えれば良かったのに、咄嗟に頭が回らなかった。それでも気持ちは伝わったのか、アリサの視線がきっと本来の性格通りの優しいものになり、なのはとすずかが回してくれていた気を抜いていったのが伝わってきた。

 

それからはちょくちょく話題を向けられることはあれど、基本的にはなのはとアリサ、すずかが楽しく話しているのを聞きながら、時折向けられる意識に相槌を打つ。良くも悪くもゲスト扱いして貰えてるらしい。

 

……しかし、小学生ってこんな大人びてるものだっけか?小学生怖いな……

 

 

 

長くも短くもない程度の時間を挟み、バスが小学校に着く。

アニメで何度か見た程度、ではあるが、やっぱり清潔な学校だ。

それに空気が心なしか綺麗に思える。ひとえに校内の民度の高さから来るものだろう。

綺麗な街だ。そりゃあ好きにもなるし、誇りに思うこともあるだろうとすんなり納得した。

 

「あ……」

 

と、歩みを進めようとしたところで気づく。俺は転校生だから、なのは達と同じようには行けない。多分、転校生は最初に職員室に行くものだろう。

一瞬悩んだが、流石にこれはしょうがない。というかもう既にそれなりに干渉してしまってるし、この際頼った方がいいだろう。

 

「なのは、アリサ、すずか、悪いんだけどこのまま職員室の案内を頼んでいい?場所わからなくてさ。」

 

バスで狭い空間で一緒に過ごしたおかげか、俺も多少マシに話せるようになってきたらしい。すんなり言葉が出てきた。

 

「あ、そっか。転校生だもんね。」

 

「そうねー、クラスメイトになるんだしそれくらい任せなさい♪」

 

「ちょっと馴染んでたから忘れかけてたね〜」

 

すずかの笑顔のちょっと発言がグサッと来た。

いや、ものの十数分とかしか一緒に居なかったから、むしろ馴染んでただけ凄いくらい、というかこの3人のそういう絆される空気に感謝すべきなんだけど。

 

「今頼れるの、君達しか居ないからさ。…それに、これから頼れる人が増えても、君達と仲良くしたいしね。」

 

つい口調まで丸くなってしまう。これ、本当に体に引っ張られてないか?

多分転生前の俺だったら小っ恥ずかしくて言えなかったような言葉を聞いて、なのはが明るい笑顔を見せてくれる。

 

「──うん!」

 

ああ─本当に、青空みたいな子だな…と、俺はその笑顔を見て思った。




クラス内描写くらいまでは行こうと思ったけど三日坊主なので小分け投稿。
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