転生したので反則技で魔法少女のお手伝い/敵することにした   作:絶也

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三人称視点?的なやつ入れていきます。不評なら自分で気に入らない限りやめます。
あと転生パートは毎度のことながら雑です。個人的にどうでもいいと思ってそうですね。多分そのうち全部繋げた番外編の転生パート作ります。


4話 街の危険に向かうことにした・後

天坂帝翔と未だ名前も知らぬ少女、2人の転生者が互いにそれが何かもわからないままに転生するほどに引きずった未練を抱えぶつかった末に、当の少女が意識を失った頃。

この世界において主人公と呼ぶべき少女、高町なのはとより関わる道を選んだ転生者、天坂帝翔は意識を失うことなく、自宅へと帰り着いていた。

だが、そこに思考はほとんどない。

帰巣本能、という言葉がある。

それは動物が持つ、自分の帰るべき場所に帰る本能。

もしかすると、天坂帝翔の足を動かしたのはそんな本能だったのかもしれない。そんなものがなくてはならないほど、少年となった者は追い詰められていた。

 

帰宅し、その扉が閉まりきるのも確認せず階段を駆け上がり、それこそ巣とも言うべき自分の部屋へと到着した彼が最初に行った行動は、ベッドに飛び乗り布団にくるまる、だった。

初めての魔法を使った戦いを終えた健常な少年とは凡そ遠く見える行動にも勿論理由はある。

というより、そこまでで限界が来た。

 

「………ぁぁぁあああああああああいってぇぇぇえぇえええぇえぇええええ!!!!!!」

 

胎児のように身を丸め、絶叫する。くるまり、埋め、外に漏れ出る声を出来るだけ押し殺す処置を取っても尚響き渡るような叫び。

だが、もし一連の戦いを全て観ていた誰かが居たならば、きっとこういうだろう。「そうはならないだろう」と。

だから、一度神の視点で見てみよう。どうして敗北したはずの少女が眠り、勝利したはずの少年が叫ぶことになったのか。

 

 

 

当然ながら、事の発端は天坂帝翔がこのリリカルなのはの世界へと転生する前まで遡る。

 

 

 

 

 

 

『…と、そういうわけですから、バランスについてはこちらで最初からある程度あうように調整されてますのであとはスロットに合うように恩恵を選んでください♪』

 

話しているうちに楽しくなってきたか、声色に変化が見られる金髪美女の女神が気軽に指を鳴らせば、黒一色に光だけがあった世界は一転、さながら電脳空間のような大量のスクリーンに囲まれた海の中に近くさえ思える世界へと変わる。

突然人を超えたそれに放り込まれた笑えない青年、天坂帝翔は溜息を一つ。

 

『このスクリーンが全部転生で得られるスキルってやつか、いよいよキャラメイクみたいになってきたな…』

 

げんなりしながらも、見たい思ったものが勝手に見やすい前まで下りてくるのを見て、思わず感嘆の声を漏らす。

人間は人間なので、便利なものには弱かった。

 

『名前に効果、横にあるのがスロットってやつか。』

 

『合計五つまでですがご自由にどうぞ。条件を言えば絞り込みもできますよ。こういう世界に行く人は結構最初にスロット5を見たりしますね。』

 

『炎熱変換に収束魔法、ベルカ式…いや待てやっぱゲームだろこれ。』

 

参加資格が強い未練を持って死ぬとか鬼畜かよ、と悪態すらつきながら、次々に見ていき、やがて思いついたように口にした。

 

『条件の絞り込みな…できるだけ、というか基本、魔法で人を傷つけないやつがいい。』

 

『あれ、魔法の世界に行くのに戦わないので?』

 

目まぐるしく動き、口にされた条件に従い変わってゆくスクリーンを見送りながら意外そうに尋ねる声は、前例からくるものだ。

故に、それを全く知らない天坂帝翔にとってはどうでもいい話だが、退屈でもあったか返答する。

 

『戦うよ、多分それなりの回数。…回復に修復、悪くはないけど戦いにくいな。』

 

『矛盾してますねぇ…』

 

『してないよ、何も。傷つけず、戦って救う。矛盾なんかない。……なぁ、この時間魔法、ってのは?なのはで見たことないぞ。』

 

『そういうものもあるということでしょう。効力を見ては?』

 

『無機物の逆行、停止、抑制に促進…有機物とか事象に対しても同じ感じか。いいな、これにする。…ん?有機物に先取り、ドクロマークあるな。それに生物には停止が効かない。』

 

『じゃあ最悪死にますね。』

 

『なんの為の転生だよっ!?』

 

『そういうのがいいという人間が結構いまして。まあ、名前から察するに未来の自分の力を借りて、体に負荷がかかる、とかそういうのでしょう。』

 

『ああ…色々腑に落ちたけど、それくらいならいいか。よっぽど変わらない限り使うこともないだろ。』

 

嗚呼、無常なりや人の思考。避けているつもりであっても、転生する前ですらフラグというものは生まれるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アクセラレイター・オルタ!』

 

いっそ儚いような薄黄色の輝きを纏い、剣を携えた少女は明確な殺意を持って、そして正しくこれを必殺と定め、躊躇いすら抱かずその剣を奮っていた。

そして、

 

《Anticipation》

 

天坂帝翔のデバイス、クロッカスがそう言い放ち、少女の意識はこの直後に途切れた。

だが、一方の帝翔はそうではなかった。

背後から、ぐらりと揺れる少女の頭に握った杖の先を向けていた。

 

『勝った…みたいだな。意識と思考の抑制、上手くいってよかった。何よりも先取りが、だけどな…』

 

少女にとってはにわかには信じがたいであろうことに、この時、この瞬間。

天坂帝翔は絶対的でさえあったその速さを超えていた。

Anticipation、つまりは先取り。

その魔法は、どれだけ先か、しかし確かに少女の必殺を超える力を授けたのだった。

ただし。

 

『…ぎっ、つ!?』

 

瞬間的に迸る、というよりはまるで全身を這い、同時に絞め上げたような恒久的な激痛に駆られる。

何の代償もなく、同格であり分野の違う相手と同じ舞台に立ち、相手の分野で、相手の切り札を凌駕する。そんなことが容易くまかり通るほど、世界は甘くできてはいなかった。それは、魔法という超常が存在するこの世界においても例外ではなく。

今回天坂帝翔が支払った代償は、全身に襲い掛かる今すぐにでも叫びだしたいほどの激痛。

 

『クロッ、カスっ、抑制頼む!』

《Yes master》

 

呼応するデバイスが形作る弾、光線と同色の紫の光を持つ魔法陣が足元に現れれば痛みに身悶えるような動作がやや収まりを見せ、落ち着きを取り戻す為の深呼吸を取る。

だがその表情に安堵の色はない。どころか冷や汗が引いていない。

それでもとまるで痛みから逃れるように、あるいはそれが戦いであるかのように口元を引き締め、自分の肉体を引きずるようにして歩きだす。

 

 

 

 

 

かくして、現在。

 

「あああああぁぁっぎ!ぐぅぅぅぅぅ…‼」

 

抑制していた痛みが降りかかったか、自宅はおろか近隣まで響き渡りそうなほどの絶叫を上げる天坂帝翔は慣れるはずもない痛みに身を駆られ続けた末に。

 

「か、ふっ…」

 

せめてもの自己防衛か、その意識を手放したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

目が覚めてみると知らない天井だった。

…どこだここ。物凄い痛みくらいは覚えてるけど、病院か?その割にはなんというか、随分と家庭的な気がするが。

ともあれ、時間経過で消えるものなのか知らないが、とりあえず俺の身体にもうあの痛みはない。

時間魔法の抑制って、和らげるだけでなくならないしある程度経ったら効果が切れて元に戻るのか?だとしたら魔法すらも世知辛いな。

 

そんな風に考えながら軽い溜息を吐くと、

 

「あ、帝翔君起きた?」

 

聞き慣れた声に呼ばれた。

…いや待て。落ち着け俺。確かにここは俺の家じゃない。じゃないが、そんなことがあるのか?

恐る恐る、声がした方に振り向くと、そこにはやはりクラスメイト、というか友達で、この世界の主人公こと高町なのはがコップを持ってこちらに来ていた。

 

「はい、お水をどうぞ?」

 

「あ、うん、ありがとう。」

 

ありがとうじゃねぇよ。

あまりに自然に差し出されたのでつい普通に受け取ってしまった。

待て待てなんだこれ。どういう状況だ?

頭痛がしてきた気がして軽くこめかみを抑えてから改めてなのはを見る。

 

「?」

 

うん、いつものなのはだな可愛い。

じゃないんだよバーカ。

状況を整理しよう。

 

 

俺、意識が飛ぶ。

     ↓

起きたらそこになのはが居る。

     ↓

とうとうナニかやらかした?

 

 

……ふむ、なるほど。落ち着いて考えてみればどうということはない。

 

「帝翔君?いきなり立ったらまだ危ないと思うんだけど…どうしたの?」

 

「いや、ちょっと警察に自首しようかと…」

 

「え?な、なんで?」

 

「なんでってそりゃあ、なのはに…」

 

「私に?」

 

……この反応は何もないやつだ。俺が勝手にアホな誤解してるだけだ。

というか、なんで最初に思考が飛んだんだ心の底から馬鹿だろ俺死ねよ。

一回死んだからここに居るんだった。

 

「えーっと。帝翔君、ほんとに大丈夫?」

 

「ああ、ごめん、なんか今やっと冷静に…大丈夫?何が?」

 

大丈夫かなどと言われることをした覚えがない。

いや違う、そうじゃないな。

一線を越えた訳じゃないし、まして朝チュンでもない。そもそも知らない天井だと言っただろう。

加えて、高町家はお隣さんだ。だとすると、

 

「おお、目が覚めたか。」

 

聞いたばかりのはずだが、随分と久しぶりに聞くような気がする声に振り向いてみれば、ナイスガイなサッカーコーチこと高町士郎さんだ。

であるなら、ここは高町家と見て間違いないだろう。

問題は、俺がどうしてここにいるか、だ。といってもそれも大体わかってはいるが。確証はないから聞きはするけどな。

 

「こんばんはですなのはのお父さん。…すみません、俺、なんでここに居るかわからないんですけど…」

 

「ん、あー、天坂君?は寝ていたから知らないな。その様子なら大丈夫そうだけど、なんにしてもまずはごめんな。」

 

「?」

 

「えっとね、帝翔君。帝翔君のお家から凄い声っていうか、叫びみたいなのが聞こえたから様子を見に行ったんだ。そしたら鍵が開いてて…」

 

「どうするか考えたんだが、なのはが叫び声を聞いたって言うからもし一刻を争うようなら危ないと思って入ったら…」

 

「……俺の意識が飛んでた、と。」

 

「う、うん……。」

 

「で、勝手に入ってごめんな、って。」

 

「いえ、こちらこそご迷惑をおかけしたようですみません。」

 

…なんで今なのはが目をそらした?

少なくともこれまで、俺はそれなりにいい感じの普通のキャラとしていたはずだ。別に勝手に家に入られたからといって、目を逸らされるほどのことはないはずだし、転生前と違って部屋にグッズがあるわけでもない。

引かれることなど何もないはずだ。

 

「いやー、それにしても驚いたよなぁ。中々なさそうな顔して気絶してたから何かと思ったのに何事もないときたもんだ。」

 

なのはがまた顔を逸らした。

いやまさか、まさかだよな。でも大事でなかった以上なくはなさそうだ。

とりあえずこの真偽を確かめる為には、士郎さんに居られるとちょっと都合が悪いな。かといってここは高町家で、士郎さんはその大黒柱だ。こっちから遠ざけられるはずもない。というかそんなことできる立場じゃない。

純粋な善意の下、助けてくれたという状況なのだから。

 

「天坂君。持病とかはあるかな?それとご両親は…」

 

「持病はないです。親は海外です。」

 

「海外?じゃあ家に他に人は、」

 

「居ません。一人で住んでます。」

 

「小学生なのに?」

 

「はい。」

 

なのはには確かこの話をしていたから、ここで嘘をつくこともできない。

しかし参った、俺ならこの話を聞いてお隣さんで一人暮らしの小学生を放っておこうとは思わない。それは多分、痛みからくる叫びだったとはいえ心配で家まで踏み込んでくる士郎さんも同じじゃないかと思う。

そうなったら次に言うことは、

 

「それはいけないな。今日くらいはうちでご飯を食べていきなさい。ちょうどこれからみんなで晩ご飯食べるんだ。」

 

そうくるよな、やっぱり。

さて、どうしたものか。正直、そのお誘い自体はありがたさしかない。ここまで来てるならもう未来が変わる云々は今更でしかないし、もう既に時間帯は夜といっていい。

何よりも、何の他意もなく純粋な善意でそう言ってくれる人のそんな言葉を無碍にしたくない。

ただもうそこまでいくとその善意すらも申し訳なく、受け取りたくないというのもまた本音だ。

どうしたものか…

 

「帝翔君?」

 

……まあ、1度くらいはいいか。今断って帰っても、無用な心配を掛けるだけかもしれない。気遣いを拒んで、その上心配までさせることこそ心苦しいというものだ。

というかなのはにこういう心配そうな顔されて普通に断れる奴は人間じゃない。

 

「すみません、じゃあ…お言葉に甘えさせていただいていいですか?」

 

「んん、任せなさい。母さんにはもうOK貰ってるからな。」

 

さては何がなんでも納得させるつもりだったな?流石高町家、強情さはどの人も変わらない。

さておき、そうなるとあと士郎さんが言ったなのはの母さん以外に、あと2人居るはずだ。なのはのお兄さんと、お姉さん。

 

「ただいま。」

「あれー、なのはのお友達が起きてるね。」

 

噂をすれば、というのは考えただけでも反映されるものなのかと思うほどピッタリなタイミングで2人の男女が戻ってきた。

 

イケメン高身長の世界が違えば主人公してそうな方は高町恭弥、魔法抜きならこの世界でも飛び抜けた実力を持ってる猛者だったはずだ。

もう1人の眼鏡を掛けてる方は高町美由希。ぶっちゃけ影が薄い。が、兄の恭弥に鍛えられてるらしいので現時点で結構な実力者のはずだ。

なるほど、転生前の世界では戦闘民族高町家などと揶揄される訳だ。

 

「すみません、ご迷惑をおかけしてます。」

 

「いえいえ、ご丁寧にどうも。」

 

「アリサちゃんとすずかちゃん以外のお友達の話はあまり聞かないからな。なのはと仲良くしてやってくれ。」

 

どっちも大人びてるな…転生前の俺より歳下の筈だが、さっきまでアホみたいなことで取り乱して自首しようとしてた俺が恥ずかしくなってくる。それは恥じておくべきだな。

それにしても、恭弥は士郎さんによく似ているし、美由希は恭弥と兄妹と言われてすんなり納得出来る。顔立ちは似てるには似てるものの、髪色なんかも諸々含めて見たら末っ子のなのはがあまり似ていないように思える。

 

「あらあら、いつにも増して賑やかな感じね。」

 

が、間違いなく兄妹で高町家の末っ子だ。たった今リビングから顔を出した一家のほんわかお母さん、高町桃子さんがそれを雄弁に物語っている。恭弥、美由希とはそこまで似ていないが、なのはと桃子さんはそっくりだ。お母さん似なんだろう。

 

「母さん、天坂君も晩ご飯を食べていくことになったよ。」

 

「あ。す、すみません、自分で言うべきなのに…」

 

「いいえ〜?ふふ、むしろいつでも来ていいのよ?なのはがお家にお友達を呼ぶことなんてあんまりないし」

 

「そうだなぁ、アリサちゃんかすずかちゃんか、何にしても出掛けることの方がずっと多いからなぁ。」

 

「あ、あはは…」

 

両親が俺にそう言っているのを聞いてなのはが若干どう反応したものか困ってる。うんうん、こういうこと言われてると子供としてはどう反応していいのかよくわからないよな。昔そんな経験があったようななかったような気がする。

 

「それに、さっきちょっと聞こえてたけどご両親は海外なんでしょう?だったら尚更、いつでもご飯くらい食べに来て?」

 

……そうか、これどっかで見たことあるような気がするなーと思ったら、大人になってからのなのはだ。特に意識したこともなかったけど、あれは桃子さん譲りだったのか。このほんわかした空気、なんか断れない強さがある。

 

「うんうん、子供のうちからそれはいけないぞ?子供は甘えてなんぼだ。」

 

士郎さんまで乗っかってきて、しかもこれ社交辞令とかじゃなく多分本気で言ってる。オールマジだ。タチが悪い。でも考えてる事は至極真っ当で、言ってることとしては正しいんだよな。見た目は子供、頭脳は大人の名探偵もビックリな立場の一般人の俺がこの場合はおかしいだけで。

 

「いえ、流石にそこまでお世話になる訳には……」

 

「うちは全然いいんだぞ?」

 

「そうよー?」

 

「父さん、母さん、天坂君が困ってるからそこまでにしてあげなよ。」

 

士郎さんと桃子さんに気分的に詰め寄られてたところを恭弥に助け舟を出された。正直助かった。小学生の押しの強さにもたじろいでたが、元の年齢から見ても普通に歳上の相手だともうただただ断りづらくて困ってたところだったんだ。

 

「えーとねー、天坂君?だよね?」

 

と、そっちをとりなしてくれてる間に美由希の方が俺に声をかけてきた。

 

「あ、はい。合ってます。」

 

「父さんと母さんもああ言ってるし、恭弥も止めたりはしたけど、本当にいつでも来ていいんだよ?一人暮らしってやっぱり色々大変だし、そういうのって高校生になっても中々難しいからさ?」

 

お説ごもっとも。最もじゃないのは俺の年齢だけだった。

 

「それに、なんだかんだ言ってもなのはのお友達が気になるのはみんな同じだからね。」

 

「お、お姉ちゃん…」

 

優しいなぁ高町家…男だからとかじゃなく、純粋に心配で、俺に精神的な負担を負わせずに頷いて貰おうっていう気遣いが伝わってくる。それに、本当に言ってること自体はその通りなんだ。

親になったことはないが、大人になったことはある。あるいは子供でいられなくなっただけかもしれないけど。

それでも、今の俺みたいな立場の小学生が居たら、やっぱり心配になると思う。それが家族の友達だったなら尚更。

 

そう考えると、なんか胸の内は温かくなってきて、そういうのも悪くないんじゃないかと思えてしまう。

 

「…ありがとうございます。じゃあ、本当に困ったりした時はお願いしてもいいですか?」

 

だから、なるべく礼を欠かないように答えよう。なるべくは来ない、という意味合いで。

 

「もちろん♪」

 

「大人な受け答えするなぁ…よしわかった。」

 

士郎さんの感心したような声に思わず身体が跳ねてしまう。

しまった、歴史の影響とかそういうのばっかり考えてたし、3人組見てるうちにすっかり慣れきってて別にいいと思ってたけど今3年生なんだ俺。素面で通すな。素面じゃないけど。

 

「じゃあ、とりあえず今日は食べていくのよね?うんうん、腕によりを掛けて作っちゃうから、期待しててね〜♪」

 

「お母さん、ほんとにお料理上手なんだ♪」

 

機嫌良さげに引っ込んだ桃子さんと、料理の味でも思い出してるのかほんわかした顔のなのはが本当にそっくりで、少し笑いそうになる。

ああ、そんな顔見てればよーく伝わってくるよ。料理が上手いことも、なのはが家族が大好きなことも、愛されてることも、よくよく全部。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「晩ご飯ご馳走様でした。本当に、ご迷惑おかけしてすみません。」

 

夕食を終え少し時間を取って雑談を交えた休憩を挟んでから、俺は家に帰ろうとしていた。

隣だけどな。

 

「いえいえ。またいつでも来なさい。」

 

「初めての男友達っていうから心配だったけど、いい子そうで良かったよ〜。」

 

「お姉ちゃんは心配し過ぎだよー…」

 

「心配があったことは否めんな。杞憂だったが。」

 

「お兄ちゃんまで?」

 

「またいつでもおいでね?お隣さんなんだから助け合わなくちゃ♪」

 

賑やかな見送りに頭を下げ、高町家を後にする。見送ってくれる一家に、団欒の場に交ぜてもらって感じた家族というものの暖かさに名残惜しさを感じるが、家族周りのことは本当に全て自分で決めたことで、言ってしまえば自業自得だ。それを惜しむのも妙な話ではあるが、本当に、それくらい高町家は温かった。

 

「帝翔君!」

 

高町家を出てすぐ、隣の家に歩いていく途中に後ろから聞きなれた声を掛けられる。

振り向けば元気な小さいツインテールをぴょこんと跳ねさせ、なのはが手を振っていた。

 

「また明日ねー」

 

曇りない笑顔で手を振ってくれるなのはに、ほんの少し息苦しさを感じる。俺がここに居ていいのかとか、そういうのだ。

けど、それはこの際気にしないことにしよう。なのはにとっての、ただの友達で居られることの幸せはとても心地がいいから。

 

「…ああ、また明日。」

 

「あ。」

 

軽く手を振り返してから、今度こそ家に戻る。

 

 

正直、転生は半分くらいゲーム感覚が混じっていた。ただそこにある物語に入らせてもらうだけとか、ゲスト感覚みたいな、曖昧なもの。

だが、確かに皆生きている。

これがなのはが魔法少女を続け、管理局に入って守っていたいものなのかと思うと、強く納得した。

 

そうだな。そこまで大胆にはなれない。

けど、ここで生きてる以上もう歴史を変えないとかは俺には絶対に出来ない。

ならもう少しくらい、派手にいこう。

 

そんなふうに考えながら、今夜もまた床に就く。




深夜テンションって怖いですね。なのはの家のくだりを書き始めた夜の自分を助走つけてなぐってやりたい。いい感じにまとまってたら幸いです。

日にち跨いだ上に眠過ぎて何書いてるかわからなくなるね。
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