デジモンアドベンチャー 優しさの少女と転生デジモン   作:Zelf

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どうも皆様、一ヶ月ぶりです。

前回言った通り、今回はタケルとパタモンの回…だったはずなんですが、内容はタイトル詐欺です。なんでこうなってしまったのか。

言うより読んで貰った方が速いと思うので、続きは後書きにて。







第十一話  冒険!始まりの町

「うわぁ~っ!」

 

「皆、しっかり掴まってて…!」

 

「お、おい!このままじゃ…!」

 

 デビモンとの戦いを何とか切り抜けられたのもつかの間、俺と結衣、パタモンとタケルは激しく揺れるベッドに必死に掴まりながら移動していた。完全にベッド任せだし、デビモンの力で何処に飛ばされてるかも分からねぇ…っていうか、不規則に動きすぎて酔いそうなんだが。

 

 

 

「あ、あれ!」

 

「ウ、ウソ……っ」

 

「「うわぁぁぁ~~~!!」」

 

 

 

 

 

 

 …っていうのが、昨夜の出来事。まさか、滝に落ちるとは。ベッドは空中に浮いていたはずなのに滝壺に真っ逆さまになるって、コレ如何に。ホント、わけが分からんベッドだった。デビモンもどういう能力で動かしてたんだか…

 

 幸い、パタモンがタケルを、俺が結衣を掴んで飛んだおかげで無事に済んだ。空飛べるパートナーがいなかったら、ヤバかったなこれ。俺の場合滑空だけど。

 

「ふわぁ~…おはよう、結衣さん。ロップモン」

 

「おはよう。タケル君、パタモン。よく寝れた?」

 

「うん!二人は寝れた?」

 

「ああ。丁度洞穴があって助かったな」

 

「皆疲れてたもんね」

 

 滝の近くにあった洞窟で一睡し、しっかり休めた俺達。朝食も川で捕った魚を焼いて食べた。火起こしは結衣の持つサバイバルグッズで何とかなった。俺もパタモンも火の技は使えないからな、助かった。

 

「さて…これからどうしよっか」

 

「お兄ちゃん達とはぐれちゃった…」

 

「タケル…」

 

「…大丈夫だよ、タケル君。きっと、すぐに皆と会えるよ」

 

「ホント…?」

 

「うん、ホントだよ」

 

 タケルが泣きそうになったのを、結衣が宥める。流石上級生、下級生の扱いに慣れてるな。ここで泣かれたら、俺にはどうしたら良いのかサッパリだからな…

 

 それにしても、ここはどの辺なんだ?ベッドに乗ってる間は海を越えた様子もないから、デスマウンテンに歩いて行ける場所だとは思うが…ここの近くに始まりの町があるんだよな?

 

「こんな時、僕も進化して空をスイスイ飛べたらなぁ…」

 

「進化…ねぇねぇ、君は一体どんなデジモンに進化するの?」

 

「え?何に進化するかなんて、そんなの進化するまで分からないよ。タケルには分かる?」

 

「うーん…」

 

「おいおい、想像通りに進化するとは限らないだろ」

 

「良いじゃない。夢が広がってさ」

 

 そんなこと言ったってなぁ…確かに、どんなデジモンに進化するんだろうって考えるのは楽しい。が、想像が現実になることは殆ど無いだろう。

 

俺?俺はほら、想像っていうより予測に近いし。情報がほとんど無いから“想像”なのであって、デジモンの情報を大体網羅している俺にとっては、自分がどんなデジモンになるのかは“予測”出来る。勿論、外れることもあり得るけどな。想像と予測は違うのさ。

 

「うーん…タブンコンナモン!必殺技は“ブーブーアタック”!ブー!」

 

「……ヤダ」

 

「じゃあ…キットコンナモン!必殺技は“ヒポポタバキューム”!」

 

「…絶対ヤダ!!」

 

 …想像力が年齢通りで、微笑ましい限りだよ。パタモン、気持ちは察するぞ。こんな想像をするタケルのパートナーだからな…自分が間抜けな獣型デジモンに進化するような気がしたことだろう。

 

「プッ…良いね、可愛いよきっと」

 

「もーうっ!結衣も笑わないで!ロップモンはその目やめてよっ!なんかヤダ!」

 

「うーんじゃあ…」

 

「もういいってば!止めて!いいの、もう僕進化なんかしなーいっ!」

 

「あ、待ってよパタモン!」

 

 拗ねてしまったパタモンを追いかけて、とりあえず移動することになった俺達。確か…タケルの気の向くままに進めば良いはずだから、道案内はタケルに任せよう。

 

 

 

 …ダメだ。今まで考えないようにしていたが、どうしても気になる。俺は今、一つ、問題を抱えている。昨晩のデビモンの館の一件について、結衣にどう話したら良いのか分からねぇ……

 

 どう話したらというか…話すタイミングがなくね?この後、始まりの町に着くまではタケルとパタモンがいるだろ?その後は赤ちゃんデジモン達を世話することになるだろうし、エレキモンと一悶着あるだろうし…それでその問題が解決したと思ったら次はレオモンが…レオモン?

 

 …そうか!本来ならレオモンが襲ってくるが、レオモンが無事かもしれないんだ。操られていなければ、そもそもレオモンがここに襲ってこないはず。だったら、太一達と合流する前か、合流した後のデスマウンテンに向かう準備の時間に話せるか?

 

うーん、時間がなぁ…詳しい時間経過が俺にも分からねぇからな。下手したら、もしかするとデビモン戦終わるまで俺達…っていうか、俺は個人的にモヤモヤを抱えたまま過ごさなくちゃいけないのか?それは…やだなぁ。早く洗いざらい話してスッキリしたい…これじゃ俺、犯罪者か何かみたいになってないか?

 

「…ロップモン?大丈夫?」

 

「あ?お、おう。別に何でもねぇよ?」

 

「…何で疑問形?」

 

「いや、その…」

 

「結衣さーん、どっち行こう?」

 

 少し前の方からタケルの声が聞こえてきた。どうやら辺り一面草原で、どこに進むか迷っているらしい。草原の中にポツンと踏切だけがあるのが異様な光景だった。

 

「タケル君に任せるよ。当てもないし…直感でお任せ」

 

「うーん、じゃあ…こっち!」

 

 その後、始まりの町に到着するまでの間、結局結衣と話す暇も無いままだった。あーあ、こんなことなら昨日の夜、寝る前に話しとくんだったなぁ…

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 どうしよう…結局、ずっとロップモンと話すタイミングが見つからないままだ。そのせいでずっとモヤモヤしてる。こんなことなら、昨日寝ちゃう前にロップモンと話しておくんだった。私もロップモンも、疲れが出たのかすぐ寝ちゃったんだよね…

 

 昨日は成り行きで戦ったけど…まだ、手が少し震える。クワガーモンの時はこんなことなかったのに……やっぱり、相手が人型だと…昔を思い出してしまう。戦っている間は気にならなかったのは、ロップモン…トゥルイエモンが一緒にいてくれたから?でも、トゥルイエモンも人型なのに…背丈が私と同じくらいだから?

 

 ううん、それよりもっと気になるのは…ロップモン、貴方はどうして私達だけで戦う選択をしたの?アグモン達が戦えなかったことを知っていたから?だとしたら、何で貴方はデビモンの幻を見抜けたの?何で…だったら、どうして……館に入る前に教えてくれなかったの?

 

 

 

 ………ダメだ。この考え方は、ダメ。ロップモンのことを疑うなんて…彼は、私を助けてくれたんだ。ロップモンには、私達を騙そうとしているような…そういう嫌な感じはしない。そもそも、ロップモンが私を騙して得することが思い浮かばない。

 

「結衣さん、あれ!」

 

「町…?オモチャの町みたいな感じだね」

 

 遠くから見た感じでも、巨大な積み木みたいなものが目立つ町…町?というかどっちかというと、少し遊園地っぽいような…なんだろ、上手く言い表せない。観覧車とかそういう遊具は何もないけど、建物が全部カラフルな積み木で出来た町って言えば良いのかな。そうだ、ショッピングセンターとかにある小さい子用の遊び場エリア…名前が浮かばないや、とにかくあれを町にした感じ。

 

「うわぁ~…」

 

「キレーイ…」

 

「オモチャの町とはちょっと違う…でも、何か色々あるね」

 

「中入ってみようよ!」

 

「そうしよっか。あまりはぐれないようにね」

 

「はーい!いこっ、パタモン!」

 

「うん!」

 

 タケル君とパタモンが走って行った。良い気分転換にはなるかな…って、何か、途中から凄いジャンプ力だったけど。軽く数メートルは飛んでなかった…?あ、この辺の地面、弾む。歩く分には普通に歩けるのに、少しジャンプするとトランポリンみたい。不思議な素材だなぁ…

 

「建物とかも同じ材質なんだ…」

 

「そりゃ、始まりの町だからな。怪我しないような作りなんじゃないか?」

 

「…やっと喋ったと思ったら」

 

 移動中はずっと無言なんだもん…喋ったら喋ったで、ここが何処だったのか知ってるみたいだし。

 

「……ねぇ、聞きたいことがいくつかあるんだけど」

 

「そうか…俺もだ。話しておきたいことがいくつかある。だが、俺達だけの時にしてくれ。今は…」

 

「そっか…うん。分かった」

 

 今はタケル君達から目を離すわけにはいかないもんね。ちゃんと見守ってあげなきゃ…ヤマト君に怒られちゃうよ。

 

 ……ちゃんと、話してはくれるらしい。

 

 

 

 タケル君達に追いついたとき、辺りには大きな卵を持つタケル君。その卵が地面に沢山置いてあって、この卵くらいの大きさの岩も沢山ある。

 

「あ、結衣さん!こっちこっち!」

 

「何かあったの?」

 

「見て見て!赤ちゃんデジモンがいっぱい!」

 

「それにほら!デジタマもあるよ!」

 

「デジタマ?」

 

「俺達デジモンの卵さ」

 

「ひよこさんと一緒なんだって!」

 

「で、この岩が籠なんだな…固そうだな」

 

 タケル君が持っているのが、そのデジタマ…随分大きい。ダチョウとかの卵ってこれくらいの大きさじゃなかったかな。中を覗いてみると、タケル君が言ってた赤ちゃんデジモンらしい子達がいるのが見えた。

 

 か、可愛い…!チョコモンの頃のロップモン達も可愛かったけど、この子達はさらに小さくて…なんていうか、守ってあげたくなっちゃうなぁ……でも、こんな小さな子達が沢山いるなんて、食べ物とかどうしてるんだろう。それにロップモンが言うように、もうちょっと柔らかそうな揺り籠とか無かったのかな?

 

「何これ?」

 

「私をなでなでして…なでなで?」

 

「私って…誰のこと?」

 

「デジタマだろ……ほら」

 

「今、一斉に動いたね…」

 

 デジタマって、意識とかあるの…?少しビックリしちゃった。何十個もある巨大な卵が一斉にガタガタと揺れたら、誰でもビックリ…してなかったね、タケル君。微動だにしてなかった…結構怖いの平気なタイプなのかな、タケル君って。

 

「じゃあ…なでなで」

 

「あ、デジタマに罅が…!」

 

「なでなでなで……」

 

「ポヨォ~!」

 

「生まれた!」

 

 デジタマを上下に真っ二つになるように罅が広がっていき、中から水色のぷよぷよした赤ちゃんデジモンが生まれてきた。スライムみたい…この子も可愛いな。ちょっとチョコモンを思い出すかも…色は全然違うけど。

 

「あ!この子を入れる籠がない!」

 

「どこかに空いてるのは…うわっ!」

 

「ビックリしたぁ…このデジタマの殻が籠になるんだ」

 

「へぇ~、こうなってたんだ」

 

「君、デジモンなのに知らなかったの?」

 

「赤ちゃんくらい小さいときのことは覚えてないよ。タケルは覚えてる?」

 

 …あれ?確か、デジモンって前世の記憶を引き継いでいるんじゃ…?確か、ロップモンの話だとそうだったはず。卵から孵ったばかりだと記憶が曖昧になったりするってことなのかな?

 

 パタモンの質問にタケル君は少し考えて、苦笑いを浮かべながらパタモンに向き合う。

 

「うーん…やっぱり覚えてないかも!」

 

「でしょ~?」

 

「結衣さんは覚えてる?」

 

「ううん、私も。ロップモンは?」

 

「俺もだ。チョコモンの前は覚えてねぇ」

 

 チョコモンの前…それがこの子達ってことだよね?やっぱり赤ちゃんデジモンの頃は前世の記憶を引き継いでいても、ほとんど覚えてないってことなんだ。

 

 ちょっとだけ……疑ってしまった。私に間違った情報を教えて、混乱させようとしてるのかって。そんなことする意味も思い浮かばないのに。

 

「結衣さん、大丈夫?」

 

「え?何が?」

 

「今…悲しい顔してたみたいだったから」

 

「そんなことないよ?うん、全然元気!それよりタケル君、ちょっと周囲を回ってみない?」

 

「周囲って?」

 

「町の中とか、町の近くの森とか。これだけ沢山赤ちゃんデジモンがいるんだから、多分ベビーシッターさんみたいなデジモンがいると思うんだ」

 

「…成る程、ソイツに他の奴らの情報が無いか聞くわけだな」

 

「そっか!お兄ちゃん達がどこにいるのか分かるかも?」

 

 咄嗟に話題を変えたけど…ビックリした。正直、タケル君みたいな小さい子が、そんな気遣い出来るなんて思ってなかった。そんなに分かりやすく顔に出てたのか…気をつけないと。

 

「それじゃ、手分けして探した方が速いんじゃねぇか?この辺は危険も少ないみたいだしな」

 

「それじゃあ…私とロップモンであっち、タケル君とパタモンはこの辺から探してみてくれる?」

 

「うん、分かった!いこっ、パタモン!」

 

「うん!」

 

 町の中を探してくれていれば、多分危険に晒されるようなこともないと思うけど…出来るだけ急いで戻ってこなきゃ。この町そんなに広くないし、一時間もすれば戻ってこれるはず。

 

 

 

「…よく気づいたな、俺の目線に」

 

「うん…自分でもよく気づけたと思う」

 

「何だそれ」

 

 私達が向かう方向を決めたのはロップモン。偶々だけど、ロップモンが会話しながらそっちばっかり見てたから、そこに向かえってことなのかと思ったけど、当たったみたい。

 

 私は歩みを止めず、周囲にも気を配りながら進んでいく。全然デジモンの影も見ないけど…本当にベビーシッターがいるのかも怪しいかも。

 

「…この辺は誰もいないみたいだ。そんなに気張らなくて良いぞ」

 

「……知ってたの?」

 

「…予想はしてた」

 

 今しかない。そう思った私はロップモンを下ろし、しゃがんで目を合わせながら…今まで気になってたことを、聞いた。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「貴方は…何者?未来が、見えてる…の?」

 

 凄く不安そうな顔をした結衣。タケルも言っていたが、酷い顔をしているな…今にも、泣きそうな顔をしている。

 

「一つずつ、答える。俺は…元人間だ」

 

「……………え?」

 

「言っても信じられないだろうが、本当だ。ロップモンとして生を受ける前は、人間だったんだ。普通に暮らしていたら大地震が起きてな?それが神様のミスらしいから転生してくれって頼んだんだよ」

 

「………………………………え?」

 

 ……表情から察するに、理解が追いついてないように見えるんだが。本当のことだから納得して貰うしかないんだが…まあ、続けさせて貰おう。

 

「…でな?俺がいた前世だとこのデジモンの世界は物語になっててな?俺はその物語が好きだからって理由で、この世界に転生させて貰ったんだ。あ、俺がいた前世の世界はお前らのリアルワールドとは違うと思ってくれ。別次元のリアルワールドだと思ってくれ」

 

「……」

 

「おーい、大丈夫かー」

 

「……私のこと、からかってる?」

 

「…現実逃避したくなる気持ちは分からなくもないが、これは全部真面目な話だぞ」

 

 だからあまり言いたくなかったんだよ…ただでさえデジタルワールドに来て、最年長として皆に気を配っているし、トラウマの件もある。これ以上、精神的負荷を与えたくなかったんだ……言わなかった結果、別の不安を与えちまってるみたいだが。

 

 結衣が立ち上がり、頭に手を当てながらフラフラと後ずさりする。

 

「……ちょ、ちょっと待って。理解が追いついてない…え、それじゃあ、私達を騙そうとしていたとか、そういう魂胆があったりとかは…?」

 

「何で俺がそんなこと企むんだよ…逆だろ、俺はお前のパートナーデジモンだぞ?お前を…お前たちを、絶対にリアルワールドに返してやる!そう決めて行動してたつもりだったんだが……」

 

「ロップモン…?」

 

 俺は地面に膝をついて、土下座をする…これ、ただ丸まってるようにしか見えないんじゃ……いや、まあいいか。こういうのは誠意を伝えるのが一番だ。

 

「昨日は…ごめん。変にお前を不安にさせちまったみたいで…さっきも言った通り、俺は物語としてこの世界線のことを知っている。未来を知っているっていうのも、あながち間違っちゃいねぇ」

 

「…えっと……要するに、君の世界線の私達は、あの館に泊まったから、その通りに行動したらああなったってこと?」

 

「…流石の理解力だな。お前、小学生じゃねぇだろ」

 

「失礼な…歴とした小学六年生です」

 

「いーや、俺と同じ転生者って言われた方が納得出来るぞ」

 

「だって…今日ずっと考えてたもん。これくらいは思いつくよ」

 

 俺がそう言うと、結衣はやっと笑顔を見せた。それを見て、俺は少しホッとした。きっと全部は理解したわけじゃないだろうが、とりあえず冗談ではないということを分かってくれただけでも万々歳だ。

 

 結衣は再びしゃがみ、俺を脇に手を入れて持ち上げた。おい、これじゃ俺が赤ちゃんみたいじゃねぇか。

 

「ホント…ずっと、考えてた。ロップモンが色々知ってる理由とか、目的とか…」

 

「…ごめんな。路面電車で泊まった夜のうちに話しておけば良かった」

 

「うぅん。あの時話されても、正直受け入れられるとは思えないよ。ロップモンに沢山助けられた今だから…信じられる」

 

 結衣が、俺をギュッと抱きしめる。そう言ってもらえるのは嬉しい。俺がしてきたことが無駄じゃなかった。間違いじゃなかった。そう思えると、気が楽になった。だが……俺はまだ、言っておかなければいけないことがある。

 

 

 

「……あと、一つだけ言っておきたい」

 

「…何?」

 

 

 

 声が震えているのが…自分でも分かる。

 

 怖い…これからずっと一緒に共に過ごす結衣(パートナー)に、拒否されたら。でも、そんな風に怖がって、また…こんなことがあったら、今度こそ取り返しがつかなくなるかもしれない。それだけは、嫌だ…!

 

 

 

「俺が、転生したのは…デジモンや人間を助けたいと思ったからだ。けど、俺はその時点で矛盾した行動をしちまった」

 

「どういうこと?」

 

「俺が…この世界に来たことで……お前を、巻き込んじまった。俺がこの世界に転生してなければ、お前がデジタルワールドに来る事なんて無かったかも、しれないんだ…!」

 

「…………」

 

「お前が、こっちに来てから、危険な目に遭う必要なんて……本当は、無いんだ。だから、俺は…絶対、お前を――っ!!」

 

 

 

 結衣が俺の背中を、ポンポンと優しく叩く。安心させるように、落ち着かせるように。

 

「大丈夫だよ。正直言えば、まだ気持ちの整理がついてないけど…でも、こっちに来てから嫌なことばかりじゃないよ。太一君達とも仲良くなれたし、普通じゃ出来ない体験も出来たし…」

 

 結衣が腕を伸ばして、俺と目線を合わせる。結衣は…笑ってた。

 

 

 

「君に出会えた…私にとって、それはどんなに危険な目にあったとしても嬉しいことだよ。ちょっと口は悪いけど、優しくて、皆の為になろうと必死で、私の自慢のパートナー」

 

 ……ヤバッ…気を抜いたら、泣きそうだ。今だけ、結衣が女神か何かに見えてくる。

 

 

 

「でも、一つだけ約束。これからはちゃんと私にも相談して。私も貴方を頼らせて貰うから、ギブアンドテイクってことで」

 

「……ああ、分かったよ。これからはちゃんと話す」

 

「ありがとう、ロップモン。それじゃ、いこっか」

 

「ああ」

 

「そういえば、俺を下ろせって言わなくなったね?」

 

「時には諦めも肝心ってことを俺は学んだのさ…」

 

「何でそんな悟ってるの?」

 

「お前のせいだろが!」

 

 そんな軽口を叩きながら笑い合う。今回のことで、ようやく俺は…ちゃんとコイツのパートナーになれたような気がした。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 何か、凄い話だったなぁ……今でも信じられないような話だと思うし、理解しきれない。いや、ロップモンのことは信頼してるけど、とりあえず今は、ロップモンは未来のことを知ってるってことだけ分かってれば良いかな。

 

それより、大分時間使っちゃった。タケル君とパタモンの所に戻らなきゃ。でも、この辺の探索、ほとんど手つかずだ…どうしよう。

 

「戻らないのか?」

 

「だって、まだこの辺探索してないし…」

 

「…多分、この辺に例のデジモンはいないな。きっと今頃、タケル達と合流してるんじゃないか?」

 

「何で…あ、そっか。知ってるんだもんね。この辺のことも分かるの?」

 

「大体な。この町は始まりの町、死んだデジモンがここに集まって、デジタマとして転生する場所だ。で、例のベビーシッター役のデジモンがエレキモンっていう成長期のデジモンだ。町にいなけりゃ、川で魚を捕ってるはずだ」

 

 何か、一つ聞いたら二つにも三つにもなって返ってきたんだけど…物語として知ってる、だっけ?小説とかで有名な作品になったとかそういうことなのかな?何だか、登場人物になったみたいで、変な感じ。

 

「そっか、デジタマが集まる場所だから、始まりの町なんだ…そのエレキモン?ってデジモンは、敵じゃないんだよね?」

 

「そうだな、後々あの二人と仲良くなる…って、何でそう思ったんだ?」

 

「敵だったら、二手に分かれたりしないでしょ?」

 

「成る程、流石。それじゃ、戻ろうぜ。あ、因みにエレキモンはパタモンくらいで、赤いから見たらすぐ分かるはずだ」

 

「分かった」

 

 ロップモンを抱えたままさっきの場所まで引き返す。途中でロップモンが耳を動かしているのが見えた。どうやらロップモンは、周囲の音を探る時に耳をピクピクって動かす癖?みたいなものがあるみたい。これ、本人は気づいてないみたいだけど…

 

 ………可愛いって、思っちゃったんだけど、ロップモンって元人間なんだよね。口調がこんな感じなのは、やっぱり中身が男性で、しかも多分大人の……?

 

 …あれ、中身が大人の男の人って想像しても、何とも無い。もしかして、私、ちゃんと理解出来てない……?いや、でもやっぱり私にとっては、ロップモンはロップモンだ。本人もあんなに笑ったり泣いたり、感情豊かだし…何というか、子供っぽい?感じがするし、前世がどうというのは気にしないでおこうっと。私のパートナーは現在進行形で可愛いです。

 

「…どうやら、あっちで一悶着あったみたいだ」

 

「二人が危ない?」

 

「ああ、どうやら戦ってる…んぐ!?」

 

 エレキモンが良いデジモンだとしても、私達を見て敵だと思ってしまう可能性が高い。早く、タケル君達を助けに行かないと!

 

 始まりの町の中を駆け抜けて、さっきのデジタマが沢山ある場所が見えてきた。すると、建物の陰からパタモンと赤いデジモンがゴロゴロと転がってきた。きっとあれがエレキモンだ。

 

「タケル君!パタモン!」

 

「結衣さん!」

 

「あのデジモンは?」

 

「分かんない、急に飛びかかってきたんだ!」

 

「おい、エレキモン!」

 

 ロップモンが飛び出し、取っ組み合いをしている二体に声をかけた。それを見たエレキモンは、パタモンと距離をとってこちらを睨む。やっぱり、敵だと思ってるみたい?

 

「チッ、仲間がいやがったのか!」

 

「俺達はお前に聞きたいことがあるんだ!話を聞いてくれ!」

 

「ハッ、俺がいない間にベイビー達をかわいがってた、の間違いだろ!?“スパークリングサンダー”!!」

 

「“プチツイスター”!」

 

 エレキモンが毛を逆立てて、バチバチと電気を溜め始め、ロップモンに放電して攻撃する。でもこうなることを予想していたロップモンは、体を回転させて起こした竜巻をぶつけて相殺した。

 

 いけない、このままじゃエレキモンと戦うことになってしまう…ロップモンも上手く話し合いに持ち込めなくてイライラしているようだし、ここは私が!

 

 

 

「おい、攻撃して来んなって!ちょっとは落ち着いて話をだな!」

 

「お前だって攻撃してんじゃねぇか!話がしたいってんなら、お前が攻撃すんなってんだ!」

 

「無抵抗で攻撃当たれって言ってんだろ、それ!」

 

「ロップモン!ちょっとストップ!」

 

「なっ…!」

 

 エレキモンとロップモンの間に割り込むように、両手を広げてエレキモンと向き合う。気が立ってる相手に刺激しちゃダメだ。本当は良いデジモンなんだ、ちゃんと説得すれば争う必要なんてないはず。

 

「お前…死にたいのか!?」

 

「結衣!」

 

「勝手に町に入って、赤ちゃんデジモン達と接触してしまったことはごめんなさい。ここが始まりの町だなんて知らなかったの。もうこっちには争うつもりなんてないから、貴方もどうかこっちの話を聞いて…!」

 

「……エレキモン、俺からも頼む。こっちは話がしたいだけなんだ」

 

 すぐ横に立つロップモンが、エレキモンを真っ直ぐに見つめてそう言った。でも、私には何だか、エレキモンが攻撃しようとした瞬間に迎撃してやる!って気合いが入ってるようにしか見えないんだけど…

 

 エレキモンは周囲の赤ちゃんデジモン達の様子を見渡す。それで少し緊張がほぐれたのか、力を抜いたような仕草をした。分かってもらえたのかな…

 

「……分かったよ、悪かったな。ここんとこ妙なことが続いてて気が立ってたんだ」

 

「ふぅ…良かったぁ」

 

「全く…ヒヤヒヤしたぞ」

 

「ありがと、ロップモン」

 

「君、エレキモンって言うんだよね?僕はタケル、こっちが結衣さんで、パタモンと、ロップモン!」

 

「おう、タケルとユイサンだな!俺はエレキモン、よろしくな!」

 

「いや、結衣だけだからね?」

 

 名前がユイサンだと思われた気がするけど、エレキモンはなんか、首を傾げてる。頭に“?”が浮かんでるように見えるのは気のせい?

 

 

 

「それで、エレキモン。聞きたいのは――」

 

「結衣、待ってくれ!この足音…!」

 

 

 

 また耳をピクピクさせて、勢いよく振り返ったロップモン。見ているのは、私達が来た方向の森の中。良く見ると、そこには。

 

 

 

「………嘘だろ」

 

「あれって!」

 

「……レオモン?」

 

 立派なたてがみを靡かせて、一歩ずつ、ゆっくりと。こちらに近づいてくるレオモンの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




パタモンとエレキモンの可愛らしい相撲対決は描写されず!というね…流れで書いてたらこうなってしまった。

サブタイも、本来は「冒険!パタモンと僕」なんですが、変更しました。だって、主人公は結衣とロップモンだし、原作は大人になったタケルが書いた小説、ということだから”僕”と入っているワケですしね。ギリギリ許されるサブタイトル詐欺をしました(?)

そして、今の内に告知を。再来月、十二月の投稿なんですが、以前予告していた通りに毎週更新をするつもりです。12/6の日曜日から、四週連続更新です。数ヶ月前にやってみたい~とか言っておいて、今年にやらないというのはどうかと思った次第です(笑)

さて、告知も済んだ所で、毎度恒例となりつつあるアニメ感想のコーナー。ここから下は作者が感想を書くだけのコーナーなので、読みたくない方はここでブラウザバックを推奨します。今回も読んで下さった方、ありがとうございました!
































はい、それではアニメ感想。今回はアイズモンとの遭遇~レオモン回までですね!

先日、新たなデジモンとして出てきたアイズモン。最初出てきた時はデジモン図鑑に以前から載っていたシェイドモンだと思ったんですけどね、見事に裏切られました。まさかオリデジを新たに追加してくるとは…やりよる。

データを蓄えた分だけ強大化する、ということで、成熟期とは思えない強さでしたね。まさか全員集合しないと勝てないとは…しかも、やった!と思ったらオロチモンに進化したり、さらにその後もこれまたオリデジのニーズヘッグモンになったりと。ちょっと引っ張りすぎかな~って感じは正直思いましたね。

そして、もう進化も出来ない程力を使い果たし、それでも進む太一とヤマト。そしてそして、ついにまた見れました、オメガモン!ここは展開が予想通りだったのでちょっと嬉しかったり。オメガモンが謎のバリアを使いまくってたのは良く分かりませんでしたけど…あれ、何だったんだろ。最初はグレイソードで切り裂いたとかそんな感じだと思ってたんだけど違ったっぽい。マントの力?それともタケルとヒカリの力が関係してたりするんでしょうか?

後は砂の幻影でしたがデビモンだったり、レオモンの活躍だったりと、楽しいのが盛りだくさん!レオモン、今回は死から逃れてくれ…!

あと、驚いたのはタケルでしたね。何で実験動物みたいになってんの?ってなりました。そしてここまで引っ張って、パタモンはまたしてもデジタマからっていう…大変だけど、頑張れタケル。テイルモンはそんなことなってないよな?また闇サイドで活動してたらどうしよう…

そして、かなり今更ですけど…エンディングの光子郎とテントモンがテカテカ歩いてる所で笑ってしまうのは自分だけでしょうか…(笑)



と、こんな感じで今回の感想は終わりにしたいと思います!お付き合い頂き、ありがとうございました!また次回も読んで下さると嬉しいです!また来月、お会いしましょう~!



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