デジモンアドベンチャー 優しさの少女と転生デジモン   作:Zelf

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間違って別の投稿作品に投稿してしまった…すぐ気づけて良かった。ふぅ、アブね。

一ヶ月ぶりです、今回大事な回ですが、ちょっと自信ない…書き直すこともあり得るかもしれません(-_-;)




第十二話  エンジェモン覚醒!

 おいおい、まだ夕方と言うには早すぎるだろ…!何でレオモンがこの町まで来てるんだよ!?

 

「レオモンだ…!」

 

「タケル!」

 

「…全員下がってろ。エレキモンもだ」

 

「何でだ?レオモンは良いデジモンだぞ?」

 

「デビモンがデジモンを暴走させる黒い歯車を操っているの。最後にレオモンと別れた時、デビモンとの戦いの最中だったから…」

 

 レオモンが操られているという確証はない。断末魔が聞こえなかったから、大丈夫だったと思いたいが…万が一を考えておくべきだ。多分、操られてたら白目になると思うんだが…見えないんだよな、微妙に距離があって。数十メートルくらいか?レオモンの“獣王拳”なら射程圏内、こっちが不利だ。

 

 俺が一歩前へ出て、結衣がデジヴァイスを構える。レオモンはそれを見て…こっちに向かって両手をゆっくりと頭の上へと上げた。良かった…レオモンは、無事だったんだな。

 

「レオモン…!」

 

「あれって…!」

 

「…ああ。正気みたいだな」

 

 俺と結衣が警戒を解いてレオモンの方へ歩き始めると、後ろにいるタケルとパタモンが走っていってしまった…近づいても大丈夫って判断が速すぎだろ!もう少しだけ慎重に動いてくれねぇかなぁ。

 

 俺達もやや駆け足でタケル達を追いかける。レオモンもこちらに近づき、先に到着したタケルとパタモンを優しく受け止めた。

 

「レオモン、無事だったんだね!」

 

「あぁ、君たちも無事で何よりだ。他の子供達は?」

 

「バラバラに飛ばされちまったからな…まぁ、あの山にデビモンがいるのは分かってるしここら辺にいれば集まれるだろ」

 

 始まりの町にいれば、だけどな。原作で太一組と光子郎組が集まれたのって奇跡じゃね?レオモンと戦ってたのに気づいたからかもしれないが、それでも奇跡的な集合だったのは間違いない。

 

「じゃあ、ここで待ってれば…」

 

「お兄ちゃん達に会えるの!?」

 

「そういうことだ」

 

「やったね、タケル!」

 

「うん!」

 

「問題は、どれくらい飛ばされているかなんだよな…」

 

 あの超巨大デビモンは黒い歯車が十分に集まった状態だ。今はまだ力が集まりきってない状態なんだから、原作より早い段階で仕掛ければ、当然原作よりもデビモンの力も弱まる。俺達が登り始めたのに合わせて黒い歯車を集め始めたら負けるけどな…

 

 けど、俺達も集まるまで時間がかかるよなぁ。流石にアイツらが飛ばされた詳しい場所までは把握してないし、俺達がいるこの始まりの町もムゲンマウンテンの麓に近いが、ムゲンマウンテンから見てどの方角にいるのかも分からないしな。

 

 そういえば、レオモンが操られていないっていうことは…光子郎達はレオモンとは遭っていないんだよな。じゃあ、ケンタルモンの暴走を止めた後のレオモン遭遇イベントは回避出来てるってことか。それなら、もしかすると少しは早く合流できるかもしれない。

 

「ロップモン、どうするの?」

 

「そうだな…そりゃ、全員合流する方が良いんだが、デビモンの想定より早く奇襲をかけるべきかもしれない」

 

「でも、デビモンとトゥルイエモンが戦った時は勝てそうだったよ?」

 

「いや、奴はあの時、まだ本気ではなかった。それに、島中に蔓延っている黒い歯車を集めれば、相当な力になるだろう。私とロップモン、パタモンが束になっても勝てるかどうか…」

 

 レオモン、俺はともかくパタモンは戦闘要員に加えないでくれ。まだ進化出来ないし…いや、進化の為にも連れて行かないといけないっていうのは、そうなんだが……

 

 ダメだ、どうやったらエンジェモンを死なせないで済むのかが分からない。パタモンが進化するってことは、他の奴らは全員、原作通りにデビモンに一掃され、タケルとパタモンが狙われてしまう状況になってしまっていることだろう。そんな状況になったら、力尽きただろう俺にエンジェモンを助けられるとは…正直思えない。

 

 かといって、俺達全員が何とかデビモンを倒せたとしても、パタモンが進化出来るようになるのはいつになるか分からなくなるんだよなぁ…これは、一人で考えても駄目なパターンだな、きっと。早速だが結衣に相談させてもらうとしようか…ん?

 

 結衣に何かしら合図を出そうと思ったら、結衣が俺のことを見つめていた。目が合うと結衣が頷いて、レオモンの方へ顔を向ける。

 

「…レオモン、とりあえず太一君達が集まるまで待ってみようと思うの」

 

「そうだな…だが、余り遅くなってはこちらが不利だぞ」

 

「うん、分かった。じゃあ、それまでタケル君達と一緒にいてくれない?私達、町の外に探索に行こうと思って」

 

「それなら私が行こう」

 

「結衣さん、僕も手伝う!」

 

「レオモンはここで体を休めてて。タケル君達は太一君達とすれ違いになっちゃうと困るから、ここにいて欲しいの。大丈夫、暗くなる前には戻ってくるから」

 

「う、うん…分かった!」

 

「それじゃ、お願いね!」

 

「おっ、おい?」

 

 結衣は流れるように俺を拾い、駆け足で町の外の森へと向かう。段々俺を抱えるまでがスムーズになってやがる…しかし、結衣が何も言わずに察してくれるのは助かったな。これで心置きなく相談できる場をいつでも作ってくれる。

 

 

 

 

 

 

 森を歩きながら、結衣が俺に話しかけてきた。

 

「ロップモン、あれで大丈夫だったかな?」

 

「ああ、丁度話したいこともあったしな。よく分かったな?」

 

「真剣に何か悩んでるみたいだったから」

 

「上手く説得も出来てたしな。助かったぜ」

 

「えへへ…ん、んっ!それで?何を考えてたの?」

 

 少し照れ笑いをした後、咳払いしてから本題に入る結衣。俺は軽く深呼吸して、考えをまとめる。

 

「ハッキリ言うと…太一達はデビモンに勝てなかった。バードラモン、イッカクモン以外の四体とレオモンが協力して挑み、空達も後から合流した。それでも、蹴散らされたんだ」

 

「そっか、ロップモンはいないんだもんね…どうやって、デビモンを倒したの?」

 

「パタモンが、タケルのピンチに覚醒したんだ。天使型デジモン、エンジェモンとなった」

 

「天使、かぁ…でも」

 

「ああ。それでハッピーエンドならこんな悩んでないさ。エンジェモンは強大になりすぎたデビモンに、子供達七人のデジヴァイスから聖なる力を借り、諸刃の一撃を使ったんだ。それで…デビモンを倒した後、エンジェモンは…デジタマになった」

 

「…ロップモンは、エンジェモンをデジタマにしたくないんだね」

 

「…前に言った通り、デジモンは死んでもデジタマに戻れる。生まれた後も前世の記憶を引き継いでいる…だけど、タケルにはトラウマが残っちまう」

 

 タケルが暗黒の力に対して強い嫌悪感、憎悪を覚える。思い出されるのは02の、デジモンカイザーこと一乗寺賢と対峙した時とか、ブラックウォーグレイモンと戦う時。あの時のタケルは、明らかに頭に血が上っていた。間違ってなかった、とは言えないが…今くらいのタケルならあそこまでの反応はしなかったと思うんだ。

 

「…ねぇ、それってデビモンが暗黒の力を集め終わってたってこと?」

 

「ああ、殆どな。太一達が合流したのは夕方だったんだ。それから話し合った後にムゲンマウンテンを登り始めたから、結局夜になっちまった」

 

「じゃあ、夕方には出発っていうのは間違ってないんだね」

 

「まぁな…けど、それでも勝てるかは分からねぇ。とにかく、エンジェモンを助けるには二択だ。タケルとパタモンを置いていくか、デビモンを何とかして倒すか」

 

「…後者は、漠然とし過ぎだね」

 

「前者はタケルとパタモンは納得しないだろうしなぁ…それに、パタモンの進化チャンスを妨害すると、次はいつ進化出来るか分からねぇんだ」

 

「うーん……それでもどうにかしてタケル君達を危ない目に遭わせないようにするべきだと思う。置いていっても追いかけて来ちゃうかもしれないから、連れて行って安全な場所で隠れててもらう感じかな」

 

 そうか…そうだな。命を守る事の方が大事だよな。エンジェモンに進化出来なかったとしても、俺がその分戦力となって戦えば良い。

 

「となると…デビモンに勝つ為の作戦を立てる必要があるな」

 

「巨大化するんだっけ?どれくらい強いの?」

 

「グレイモン達の必殺技は殆ど効かないな。あとオーガモンがデビモンの体の一部になっていて、死角への攻撃はオーガモンが反撃してくる。デビモン自身の技の威力も上がってるし…あぁ、確か自分を中心に暗黒の力をドームみたいに広げて吹っ飛ばすことも出来たな」

 

「なんか、すごい化け物みたいになってるね…」

 

「言ってて同感だな」

 

 エンジェモンなしでどうやって倒すんだ、これ…オーガモンのせいで死角への攻撃も無効化、そもそもデビモンに攻撃が殆ど効いてないっていう。あれか、眼球に攻撃すれば良いのか?眼球はどんな生物も鍛えることは出来ないって聞いたことがあるし……あの姿なら、目からビームとか出せそうだな。

 

「…オーガモンが、死角を守ってるの?」

 

「ん?ああ、取り込まれてるんだ。確かレオモンがデビモンの背後に攻撃を仕掛けたら叩き落とされてた。オーガモンもパワーアップしてて、“覇王拳”でレオモンを遠くまで吹っ飛ばしてたな」

 

 それでレオモンが合流したのって、デビモンが倒された後だからな。取り残されたオーガモンに脅してたのを覚えてる。

 

「…ねぇ、わざわざオーガモンに守らせてるってことは」

 

「…!死角なら、効くかもしれないってことか?」

 

「かもね。だったら、オーガモンさえ何とか出来れば…」

 

「そういえば、オーガモンがエンジェモンにビビって逃げた時、デビモンに穴が空いていたな…」

 

「それだよ!オーガモンを追い払えれば、何とかなるかも!ほら、体内からドカーン!みたいな」

 

 体内から爆殺って、なんかのアニメに影響されてないか?コイツ。

 

「な、中々エグい発想するな…よし、俺はデビモンの体を攻撃しながら飛び回ってみる。そうすればオーガモンが出てくるだろうし、レオモンもオーガモンが潜んでいると分かれば狙ってくれるはずだ」

 

「分かった…私も出来るだけ観察してみるね。絶対、デビモンを倒そう」

 

 少しだけ光が見えてきた気がする。気がつけば、町の反対側にまでぐるっと大回りで移動していたようだ。結衣が少し歩くスピードを速めて、俺は出来るだけ音に集中しながら探索する。

 

 

 

「…!この音…」

 

「…向こう?」

 

「ああ、一体だけだな」

 

「行こう」

 

 何か、大きな…といってもグレイモンほどではないが、足音が聞こえる。俺の耳で聞こえるってことはそう遠くない、近くの森だな。結衣達人間よりも大きいのは間違いない…二足歩行のようだけど、人型か?真っ直ぐこの始まりの町へ向かってる。

 

 けど、誰だ?本来ここで戦うはずのレオモンは始まりの町にいる。他に俺達と敵対している、人型のデジモンって…いや、まだ敵対しているデジモンとは限らないか。とにかく、結衣達を呼び戻しておく必要があるな。

 

 。今気づいたが、レオモンと足音が少し似ているというか…似たような体型か?レオモンみたいな大きさのデジモンって…あ。

 

「デジモンだよね…敵なの?」

 

「多分だけど…オーガモンかもな」

 

 アイツの存在、忘れてたな…原作でもレオモンと戦った時に一緒にいたっけ。人質とってたけど太一にあっさり奪い返されてたし、レオモンが強化されて、デジヴァイスで正気に戻された途端に逃げてったのを今思い出したぞ。前にデビモンの館で聞いたアイツの足音と比べても、まず間違いない。

 

 結衣が足音を出来るだけ殺しながらオーガモンがいるであろう方向へと向かう。やがて、緑色の体がすぐに見えた。やっぱりオーガモンだったな…よし、ここは進化して先手必勝で叩く!

 

「結衣、行くぞ」

 

「うん」

 

「ロップモン、進化――っ!!トゥルイエモン!!」

 

 今、ここでオーガモンを捕らえるなり無力化させることが出来れば、デビモンの攻略がしやすくなる…ん?いや、デビモンの所へ返した方が良いのか?じゃないとデビモンの体に穴が空かないし…まぁ、撃退するのは可能だろう。戦いに気づいてレオモンも気づいて駆けつけてくれるかもしれないしな。

 

「お、お前は!」

 

「悪いが、話す時間はねぇよ!“忍迅拳”!!」

 

「がはぁっ!?」

 

 ”忍迅拳”は、高い跳躍力を活かした拳法だ。オーガモンが戦闘態勢に入っていない内に、オーガモンの後ろに回り込んで拳を二回、蹴りを二回打ち込んで、最後の回し蹴りでオーガモンを数メートル吹っ飛ばす。

 

「よし、一気に…?」

 

 オーガモンにそう言い放ち、“兎角鉄爪”を展開する。必殺技で終わらせようとしたその時、俺の耳がこちらに飛んでくる飛来物の風切り音を捉えた。一瞬そちらに気をとられたせいで、オーガモンは隙を突いて俺に拳を向ける。やべっ!

 

「“覇王拳”!!」

 

「チッ…!」

 

 結衣を抱えて跳び回避する。着地しオーガモンに向き直ると、さっきの飛来物がオーガモンの体に吸い込まれていく所だった。ま、まさか…!?

 

 

 

「ぐ、ググ…ッ、ウガァァァッ!!!」

 

 オーガモンの体が、少しずつ大きくなっていく。肌が緑色から紫色に、白い髪が黒くなっていく。

 

 コイツ、原作のレオモンみたいに黒い歯車でパワーアップしやがった…!

 

「これって…!」

 

「“覇王拳”!!!」

 

「危ねぇっ!」

 

オーガモンの“覇王拳”をギリギリ躱し、そのまま木々を薙ぎ倒していった。まずいな…結衣にデジヴァイスを翳して貰おうと思ってたけど、これじゃ下手に近づけねぇ。下手に喰らったらやられる。せめて、動きを止められれば……

 

 

 

「“ココナッツパーンチ”!!」

 

「グ…アアァァッ!!」

 

「トゲモン!?」

 

 空から降ってきたトゲモンが、オーガモンに拳を叩きつける。オーガモンの足が地面にやや沈むが、オーガモンはトゲモンを弾き飛ばす。

 

 トゲモンが来たということは、カブテリモンも上空にいるはずだ。だったら、何とかなる!

 

「結衣、デジヴァイスを!隙を見てアイツの懐に飛び込むぞ!」

 

「うん…お願い、トゥルイエモン!」

 

 原作のレオモンと同じ状態なんだとしたら、結衣一人だけのデジヴァイスじゃ足りないかもしれない。太一とヤマトが二人がかりでレオモンを元に戻していたからな。

 

「カブテリモーン!!突撃だっ!!!」

 

 チャンスは、カブテリモンの突進攻撃をオーガモンが受け止めた瞬間だ。その一瞬で俺が飛び込んで結衣がデジヴァイスを翳し、カブテリモンの頭の上にいるはずの光子郎にもやって貰えば良い。ケンタルモンのいる遺跡でデジヴァイスが聖なるデバイスであることを既に知っている光子郎なら合わせてくれるだろう。

 

カブテリモンがこちらに近づいているのを音で感知し、俺はオーガモンの周りを跳び回って攪乱する。

 

「セイヤァァーーっ!!」

 

 カブテリモンの頭突きがオーガモンに命中する。しかしオーガモンは受け止め、地面に電車道を作りながら後ずさるも、やがて静止した。

 

 俺は横からオーガモンに近づき、抱えていた結衣がデジヴァイスをオーガモンに翳す。

 

「光子郎君っ!」

 

「は、はい!」

 

「グギャァアァッ!!!」

 

 察してくれた光子郎もデジヴァイスを翳し、二つの光がオーガモンを飲み込む。これで、オーガモンは正気に戻――

 

 

 

「ギャァァッ!!!」

 

「うおっ!?」

 

 受け止めていたカブテリモンを横に振り回し、俺達を攻撃してきやがった!大きく跳躍して躱し、カブテリモンはそのまま投げられてしまった。あと一歩だったのに…!

 

 オーガモンは俺達に追撃する…のかと思ったんだが、背を向けて猛ダッシュでムゲンマウンテンへと行ってしまった…あの野郎、逃げやがった!!

 

「待ちやがれ、テメっ…!」

 

「トゥルイエモン、待って!追いかけない方が良いよ!」

 

 結衣に静止され、少し冷静になる。元々アイツは今は悪いデジモンだし、正気に戻した所で協力してくれるというわけではない。これでデビモンに弱点が出来るというのも分かる…それは分かっているんだが、何かこう、モヤモヤする!オーガモンってあんな、負けそうになったら逃げるような奴だったか!?……いや、よく考えたらメタルエテモンとかから逃げてることの方が多かったか。

 

 一度深呼吸し、結衣を地面に下ろす。俺はロップモンへと退化し、さっき吹っ飛ばされたカブテリモンの方へと走っていく結衣を追いかける。丁度、カブテリモンもテントモンに戻ったみたいだな。

 

「光子郎君、テントモン!大丈夫!?」

 

「はい、大丈夫です。テントモンが庇ってくれましたから」

 

「いたたぁ…びっくりした」

 

「ミミちゃん!大丈夫!?」

 

「結衣センパーイ!!会いたかった~!!」

 

 カブテリモンにミミも乗ってたのか。よく考えたら、トゲモンに乗ってるわけないか…ってかお前も乗ってたならデジヴァイス使えよ。三人がかりなら何とかなったかもしれないのに…結果オーライだから、良いか?

 

「よしよし…二人とも、無事で良かったよ。他の皆は?」

 

「さっき上からガルルモンらしきデジモンを見かけましたよ」

 

「ホント?じゃあ、早くタケル君に知らせなきゃ…二人とも、一緒に来て」

 

「ハーイ!」

 

「ミミ~、置いてかないで~」

 

 とにかくこれで、太一組と光子郎組が合流したな。これでデビモンのいるムゲンマウンテンへと向かえる…絶対、全員揃ってデビモンを倒してみせる。

 

 

 

 

 

 

 光子郎からの情報通り、太一組が先に始まりの町に来ていた。ヤマトがタケルを抱きしめ、タケルも安心出来たようだな。

 

 空と丈はやっぱりいないが、俺達は話し合いを始めた。色々、情報を共有する必要もあるからな。

 

「いつの頃からだったか…噂が流れ始めた。世界が暗黒の力に覆われた時、別の世界から選ばれし子供達がやって来て、世界を救うというものだ。今のファイル島は、まさに暗黒の力に覆われている。そこに、君たちが現れた」

 

「それで俺達が、選ばれし子供達ってわけか」

 

「だけど証拠はないんだろ?」

 

「選ばれし子供達は、デジモンを進化させる力を持つという。君たちのようにな」

 

「この世界…デジモンしかいないなら、私達が人間っていうことが証拠かもね」

 

「もしそうだとしたら…暗黒の力を消滅させれば、僕達はこの世界にとって不必要なものとなる」

 

「何言ってるの?光子郎君」

 

「つまり、元の世界に戻れるかもしれないってことですよ!」

 

「ホントに!?」

 

「だがその為には…」

 

「暗黒の力の中心にいる、デビモンを倒さなければならない」

 

「やろうぜ、皆!アイツを倒さなきゃ、俺達は生き延びることは出来ないんだ!」

 

 全員が元の世界に帰る為に、デジモン達は元の世界に返してあげる為にと奮起する。こうして俺達は、再びムゲンマウンテンを登ることにした。

 

 ムゲンマウンテンに出発したのは夕方だが、原作よりは早いはず。だが、ムゲンマウンテンを登っている最中に、黒い歯車がムゲンマウンテンの頂上に集まっていくのを何度も目にした。あまり時間は関係無いのかもしれないな…俺達が登りきるより、黒い歯車が集まりきる方が早い。

 

 こうなると、デビモンが原作通りに強化されるのは間違いないよな…結局、オーガモンを追い出してデビモンに弱点を作るしかないな。

 

 

 

 レオモンの案内でデビモンの住処へと向かい、いよいよその場所が見えてきたその時、空がどんどん暗くなる。まだ日が沈むには少し早いはずだが…

 

「な、なんだ…!?」

 

 地面が揺れ始めたその時、デビモンがいるだろう住処をぶち壊して現れたのは、超巨大なデビモン。

 

「キャァーーッ!な、何アレ!?」

 

「デビモンなのか!?」

 

「何であんなに大きいのよ!」

 

「幻覚とかじゃないですか?前みたいに」

 

「いや…あれは、暗黒の力で巨大化しているのだ」

 

 デビモンが飛び立ち、俺達がいる山道のすぐ横の崖下に着地した。といっても、デビモンが巨大すぎて俺達が見上げる形になっている。

 

「アグモン、進化だ!」

 

「うん!」

 

「いや…違う!デジヴァイスを出せ!!」

 

 俺が叫んだ直後、デビモンが振り向いただけで風圧で吹っ飛ばされる。そしてデビモンは右手から暗黒の力を放出して俺達を包み込む。範囲から外れていたレオモンだったが、左手からの力の放出で俺達と同じように身動きを封じられてしまった。

 

 しまった…先に進化しておけば良かった!

 

『愚かな!お前たちは全てここで滅ぶ運命(さだめ)だ!!』

 

「“ハープーンバルカン”!!」

 

「“メテオウィング”!!」

 

 その時、多数のミサイルと火の玉がデビモンに襲いかかる。危ねぇ…ちゃんと空達が間に合って良かった…

 

「皆ーっ!今のうちに進化よーっ!!」

 

「アグモン!」

 

「うん!行くぞ、皆!」

 

 

 

「アグモン、進化――っ!!グレイモン!!」

 

「行けーっ、グレイモン!」

 

「ガブモン、進化――っ!!ガルルモン!!」

 

「頼むぞ、ガルルモン!」

 

「テントモン、進化――っ!!カブテリモン!!」

 

「お願いしますよ、カブテリモン!」

 

「パルモン、進化――っ!!トゲモン!!」

 

「頑張って、トゲモン!」

 

「ロップモン、進化――っ!!トゥルイエモン!!」

 

「お願い、トゥルイエモン!」

 

 

 

 皆が一斉攻撃を仕掛けている…が、やっぱり聞いていない。グレイモンとガルルモンの攻撃は掻き消され、カブテリモンとトゲモンの攻撃は意に介さず、トゲモンとカブテリモンを殴り飛ばす。

 

「いやぁ、トゲモン!!」

 

「カブテリモン!!」

 

 背後を見せたデビモンに、すかさずレオモンが飛びかかる。それに合わせて俺も必殺技の体勢に入った。

 

「甘いぜ、レオモン!!」

 

「何!?」

 

「“巌兎烈斗”!!」

 

「オラァッ!!」

 

 オーガモンとレオモンの間に入り込み、高速回転でオーガモンを攻撃する。オーガモンは“骨棍棒”を使って受け止める。

 

 

 

 さっきみたいな黒い歯車での暴走状態ではないが、力はそれ以上に感じる…だが、一点集中で攻撃すれば!

 

「うおおおおっ!!!」

 

「お、りゃぁっ!!」

 

「なっ…!?」

 

「ハッ、軽いんだよ!!“覇王拳”!!」

 

「ぐあぁっ!」

 

「お前もだ、レオモン!!」

 

「ぐっ…!」

 

 俺の渾身の一撃が…オーガモンの“骨棍棒”の一振りで弾かれた…!?“覇王拳”も、さっきより威力が…!

 

 崖の上へと吹っ飛ばされたが、何とか体勢を立て直せた!オーガモンは…足下に行ったか。レオモンも吹っ飛ばされてしまうだろうが…今は、デビモンの死角を狙う!

 

「巌兎――」

 

『貴様には借りがあったな…』

 

「ぐああぁぁっ!!?」

 

「トゥルイエモーーン!!」

 

 振り向いたデビモンの右手に掴まり、強く握りしめられる…!くそっ、抜け出せない…!

 

『ふんっ!!』

 

「かはっ…!」

 

『“デスクロウ”!!』

 

「く、あ、がぁぁっ…!!」

 

「止めて…止めてーーっ!!」

 

 

 

 崖に叩きつけられ、“デスクロウ”をまともに、連続で受け続けた俺は…情けないことに、一番最初に成長期へと退化してしまった。まだ、グレイモン達は戦ってるのに…俺は、力尽きてしまったらしい。

 

 やっぱり、ダメなのか…?成熟期に進化出来るようになっても、俺は…エンジェモンを、救えないのか……

 

『最も小さき選ばれし子供よ。お前さえいなくなれば、もう恐れるものは無いのだ!“デスクロウ”!!』

 

「逃げろ、タケル!」

 

『何…!』

 

 タケルが…狙われている。助けなくては…助けるんだ。俺は、まだ…………

 

 

 

『この、くたばり損ない、共がぁぁーっ!!!』

 

 デビモンの暗黒の力で弾き飛ばされ、ついにグレイモン達も動かなくなってしまう。そして、デビモンの魔の手がタケルへとゆっくりと伸びていく。

 

「“エアショット”!“エアショット”!“エアショット”!!」

 

 パタモンは、涙を流しながら抵抗し続ける。しかし、デビモンに効くはずも無い。そんなことはパタモンにも分かっている。それでも…タケルを、守ろうと必死で戦う。

 

「パ、タ…モン」

 

「パタモーン!」

 

「タケルーーっ!!」

 

 

 

 デビモンの手に掴まれたその時…手の中から、光が放たれる。あまりの光の強さに、デビモンは手を離してしまう。

 

 

 

「パタモン、進化――っ!!エンジェモン!!」

 

 

 

 俺の目の前には、天使がいた。白い六枚の翼を持ち、聖なる力をその身に宿す天使。

 

「パタモンが進化した!?」

 

「エンジェモン…」

 

「タケルの、デジモンなのか…?」

 

「まるで、天使…!」

 

「パタモンが進化した!」

 

「……ロップモン」

 

 皆の声色が明るくなっている中、結衣の俺を呼ぶ小さな声は未だに悲痛なままだ。当然だ、この先を既に知ってしまっているのだから…エンジェモンの、死を。結衣ですらこんなに悲しんでいるんだ…タケルに心の傷が出来てしまうのは当たり前だろうな。だから、何とかしてやりたいと願っていたのに。

 

 

 

 何か、本当にもう他に出来ることは無いのか…!俺にしか出来ないことが…何か、なにか…!

 

『おのれ…もう少しだったのに!』

 

「お前の暗黒の力、消し去ってくれる!我が元に集え!聖なる力よ!!」

 

 

 

 エンジェモンがその手に持つロッドを掲げると、子供達のデジヴァイスから光が集まり、エンジェモンへと注がれていく。グレイモン達は一斉に、成長期へと退化していく。

 

 聖なる力が目の前のエンジェモンに集まっていくのを感じる…身を滅ぼす程の力。これ以上集まれば、エンジェモンの身が持たないのは火を見るよりも明らかだった。

 

『貴様、何をするつもりだ!?止めろ、そんなことをすれば、お前もただでは済まんぞ!!』

 

「だが、こうするしかないのだ。たとえ我が身がどうなろうと…!」

 

「エンジェモン!!」

 

「デビモン…お前の暗黒の力は大きくなりすぎた。この世界から、消し去らねばならん!!」

 

「させるかよぉっ!!」

 

 

 

 オーガモンが、エンジェモンの聖なる力に弾かれ、デビモンに風穴を空けて去って行った。それを見たエンジェモンは、右手に力を溜め始める。

 

 エンジェモンのその光を見て、俺は直感した。エンジェモンが集めたこの進化エネルギーは、元々俺達の体に流れていたものだ。だったら、俺にもその力を扱えるはずだ。さらに言えば…俺は、エンジェモンと同じ(・・)可能性を持っているのだから。出来ないなんてことはない、はずだ。

 

 

「エンジェ…モン……待て、よ」

 

「ロップモン…?」

 

 俺は無意識に、エンジェモンに身を投げ出していた。トゥルイエモンから退化したことで、自分の体の形に出来ていた凹みから出れたみたいだな…

 

 エンジェモンの頭の上に掴まり、俺はエンジェモンの中に流れる聖なる力に集中する。膨大なエネルギーを、自分をエンジェモンの体の一部のように、自分とエンジェモンの体を循環させるんだ。

 

 エンジェモンが死んだのは、この膨大な力を体に流し込み過ぎたからだ。エンジェモンの体が力の奔流に耐えきれずに崩壊したんじゃないかと思う。だったら、サブタンクとして俺が力を肩代わりして、且つ力の循環を手伝ってやれば…体が崩壊することも、ないかもしれない。

 

 

 

「ロップモン、何を…!」

 

「お前を死なせない、為に…俺も、一肌脱いでやるよ……!」

 

「だが、それではお前も…!」

 

「一人だったら、死ぬだろうな…だから、二人でやるんだよ。死なない為にな!」

 

「…!そう、か…分かった。頼む、ロップモン!!」

 

「おう!!」

 

 エンジェモン、お前だって…大切な人(パートナー)の悲しむ顔は、見たくないだろ?

 

 

 

「エンジェモン!!」

 

「ロップモン…っ」

 

「大丈夫だ、タケル」

 

「俺達を信じろ、結衣!」

 

 

 

「“ヘブンズナックル”!!!」

 

 

 

☆☆☆

 

 エンジェモンの拳から放たれた力は、凄まじかった。デビモンどころか、ムゲンマウンテン全体を覆うくらいの聖なる力だった。これが、自身の命も賭けた一撃なんだ。

 

 私は、何も出来なかった。デビモンの圧倒的な力の前に、為す術も無く倒されていく皆を…ロップモンを見ることしか出来なくて。私達が立てた作戦も、無意味だった。

 

 パタモンがエンジェモンに進化した時は、もう諦めるしかないのかと思ってしまった。でも、ロップモンは諦めていなかったんだ。必死に考えを巡らせて、自分に出来ることを、精一杯やったんだと思う。

 

『愚かな…私よりも強い暗黒の力が、海の向こうに広がっているというのに…終わりだよ、お前たちは。ハッハッハッハ…ハッ…』

 

 デビモンはそんな感じのことを言って消えていった。でも、私達はデビモンなんかより気がかりなことがあったんだ。

 

 

 

「エンジェモン!エンジェモン!!」

 

「ロップモン…そんな……っ」

 

 エンジェモンが私達の元に下りた瞬間に膝をついた。私とタケル君は一目散に駆けつけた。エンジェモンに泣きながら抱きつくタケル君と、ぐったりしているロップモンを抱きしめる私。

 

 エンジェモンだけじゃなく、ロップモンまでデジタマになってしまうんじゃないかって…死んじゃうんじゃないかって、どうしても考えてしまう。涙が、止まってくれない。

 

 

 

「ゆ、い…」

 

「ロップモン…置いて、いか、ないで……っ」

 

「…バカ、だな……ちょっと、寝るだけ…だ……」

 

「エンジェモン!エンジェモン!!」

 

「タケル…大丈夫、また…すぐに話せるさ」

 

 

 

 エンジェモンのその言葉を最後に、エンジェモンとロップモンの体が光り、どんどん小さくなっていく。

 

 やだ、やだ、やだ…!!もう、誰も、いなくならないで……っ!!

 

 

 

「これ、は…」

 

「ポヨ~」

 

「ポヨモンと、ココモンだ…デジモンの赤ちゃんだよ」

 

「力を使い果たしちゃって、赤ちゃんまで退化しちゃったのね」

 

 タケル君の手には、始まりの町でも見たクラゲのようなデジモン、ポヨモンがいた。元気に飛び跳ねている。そして、私の腕には…チョコモンよりもさらに小さい、三本角と尻尾が特徴的なデジモンがいた。

 

「ココ、モン……?」

 

「……(ニコッ!)」

 

「良かっ、たぁ~……」

 

 私は、初めて…自分より年下の子達が見守る中で大泣きした。

 

 

 

 …お帰り、ココモン!

 

 

 





お知らせです!来月は毎週更新月間です!日曜更新予定ですので、よろしくお願いします!

では、ここから先はアニメ感想コーナーです!ネタバレ嫌な方はブラウザバック推奨です!読んで下さり、ありがとうございました!











































はい、それではアニメの感想やっていきます!今回はできるだけ短くします、間違って投稿してしまったので二回目だから疲れた笑(自業自得)

最新話はダンデビモンの回ですね、アグモン暴走回!ムゲンドラモンになるか…ってところでトコモン頑張って、何とか正気に戻ったアグモン。ウォーグレイモンもチラ見せでしたね~…早く戦ってる所が見たい。というか、その前の太一死すって次回予告は某カードゲームアニメを思い出しましたね…まあ、目の前で太一さん食われたわけだから、そう思ってしまってもしょうがないと思います。寧ろ何であれで太一さん生きてんの?って思ったり…あと、パタモンがとても可愛い。

古参デジモンや新デジモンもどんどん出てくるのが嬉しいですね~。賛否両論あるかと思いますが、やっぱり嬉しいものは嬉しいなと思っちゃう。

気になる点としては、デビモンとエンジェモンの関係性。これは後々語られるとは思いますので、楽しみに待つとして…あとは敵側がよく使ってるあの黒いガスみたいなもの。あれってXウイルスなのかな?と思ったりもしてます。メタルグレイモンX(ウイルス種)とかワーガルルモンXの装備っぽいんですよね、アルタラウスとかサジタリウスが。アルタラウスはもうまんまです。しかしそうなると、なぜ敵側はゼヴォリューションしてないのかっていう疑問が出てきてしまいますが笑

と、いった感じで終えたいと思います!この先の展開がどうなるのか、気になりますね~…光ちゃんはいつ来るんだろうか。テイルモンも出てきてませんし…まさか、エテモンとかヴァンデモンとかも出てこない…ですよね?一体何話になるんだ…

それでは、ここまでお付き合い頂きありがとうございました!次回は十二月の第一日曜日にお会いしましょう!




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