デジモンアドベンチャー 優しさの少女と転生デジモン   作:Zelf

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毎週更新三回目です!

今更ですが、小説の概要欄変更し忘れてたので直しました(汗

ずっと忘れてた…失礼しました!

今回、本来のサブタイトルを変更しております。それではどうぞ。




第十五話  グレイモン対グレイモン!

 コロモンの村から、どういう原理か北の山中へと移動した私達は、コロモン達と別れてそのまま内陸の方へと向かうことにした。この広大なサーバ大陸、紋章が各地に散らばっているのなら、海辺よりは確率が高いという判断。

 

 山を抜けた辺りで、コロモンの村まで見ていたような砂漠地帯へと景色が戻った。同じ砂漠ではないとは思うんだけど…こうも砂漠が続いていると、水も消費が激しくなるし食料も心許なくなってくる。せめて、どこかにオアシスのような所で水の補給が出来れば良いんだけど。

 

「グレイモン達がさらに進化するには、どうすれば良いんだろうな?」

 

「どうしたの?突然」

 

「だって、紋章を手に入れたんだぞ?」

 

「けど、紋章で本当に進化出来るのか?」

 

「出来るさ、な?アグモン!」

 

「え?う、うん」

 

「シャキッとしろよ、シャキッと!今んところ、もう一段上に進化出来るのはお前しかいないんだから!お前が先頭に立って、頑張ってくれなくちゃ!」

 

「頼りにしてまっせ~」

 

 太一君がアグモンを叱咤しているけど…プレッシャー与えてるだけに見える。アグモンはまだ自信がなさそう。いきなり紋章があるんだから進化出来るって言われても、実感湧かないよね…

 

「で?どう思う?」

 

「これまでの進化で分かってるのは、進化には大量のエネルギーを消費していることですね。つまり、腹ペコの状態だと進化出来ませんでした。それと、パートナーが危険になった時です」

 

「成る程、しかしそのエネルギーってのも、もう一つ上に進化するんだからな。相当なエネルギーがいるんだろう、な?」

 

 これまでデジモン達はご飯を食べていないと技も使えていなかったし、成熟期からさらに進化するっていうことは、さらにエネルギーを消耗するっていうのは納得できる。それと、これまでの皆の進化した時を思い返すと、やっぱりそれぞれ危険な状況だったと言える。つまり、大体は敵に襲われている時だった。

 

「それはちょっと違うと思うぞ」

 

「どういうことですか?」

 

「進化にエネルギーがいるってのはそうだろう。でも、俺達はそれだけじゃないと思う」

 

「え?でも、ご飯食べてないと戦えなかったし…」

 

「そりゃそうだ。だけど、進化出来るようになる前と、進化が出来るようになった後で食事量は変わってないだろ?」

 

「確かに、一日に何度も進化出来るようになっても倍の量が必要ってことは無かったな」

 

「自分のことなのに良く分かってないってのも変な話だけど…多分、俺達は進化する為に適した体になってる。だから、食事量に関してはこれまで通りでも問題は無いはずだ」

 

 つまり…何度も進化を繰り返すうちに慣れた(・・・)ってこと?でも、そう考えると一日に何度も進化出来るようになったのはそう表現するのが合ってるかも。確か、アグモンはグレイモンに進化出来た日、シードラモンと戦ったあの夜は進化しようとしても上手く出来てなかった。

 

「っていうことは…俺達がさらに危ない目に遭ったら」

 

「太一君、それはダメだよ。これ以上危険な目になんて遭うなんて」

 

「結衣先輩の言う通りだわ。馬鹿なことは考えないで!」

 

「あ、ああ…」

 

 これまでもデジモンに捕まったりしていたんだけど…これ以上に危ないって、それもうデジモンに食べられたりしているんじゃ…?そんなことになる前に、私は止める…危ないことに自分から向かっていくのは、間違ってる。

 

「とにかく、飯はいつもより多めに食べとく方が良いだろ?」

 

「話が戻ってるぞ、太一…」

 

「初めてグレイモンに進化した時もさ、アグモンに戻ったらすぐに腹減った~って言ってたんだ。つまり、慣れるまではエネルギーは必要ってことだろ?」

 

「…あー、まあ、その通りだ。でも、食べ過ぎていざという時に戦えないってのは止めてくれよ」

 

「それもそうだな…」

 

 チョコモンがこういうこと言う時って、大体この先に良くないことが起きようとしている時だと思う。つまり、アグモンが、食べ過ぎて戦えないってことがあったのかな?

 

 でも、太一君ってそんなことしないような…リーダーシップはあるし、思いついたことも何でもやってみるってタイプだとは思うけど、私達が危険な目とか、無茶なことはさせないように気をつけてる。それは、アグモンだって同じだと思うんだけど…

 

「あ、あそこ!」

 

「オアシスだ!」

 

「お水が飲める~!」

 

 

 

 進行方向にオアシスを見つけ、一度ここで休憩することになった。太一君とアグモンは、さっきのチョコモンの注意に従って、無理矢理ご飯を食べさせ続けるということはしてないみたい。でも…

 

「アグモン、次に戦うことになったら俺達だけで戦うぞ!」

 

「えぇ!?」

 

「ちょっと!何言ってるのよ!」

 

「そうすれば、グレイモンがさらに進化出来るかもしれない。だろ?」

 

 何だか、焦ってるように見える。エテモンの力がどれ程のものなのか良く分からないけど…でも、あのデビモンより上ってことは間違いない。デビモン自身がそう言っていたんだから。ということは、今の私達が束になっても勝てないってこと…焦るのも、当然かもしれない。

 

「トコモン、行くぞ!」

 

「うん!」

 

 こっちはこっちで、トコモンとチョコモンがご飯を食べ終わった後、戦闘訓練をし始めた。まあ、やってることはランニングみたいなものなんだけど…トコモンはともかく、チョコモンは跳ねてるよね、あれ。

 

「何してるんだ?」

 

「今ね、トコモン達が早く進化出来るようにって頑張ってるんだ!」

 

「チョコモンが言い出しっぺなんだけど…意味あるのかはちょっと分からないけどね」

 

 チョコモン曰く、デジモンも人間と同じでトレーニングで強くなったりするらしい。皆は日々、旅をしながらいざという時戦ったりもしてるから、実戦で強くなってるけど、幼年期の二人にはそれも難しい。だから、チョコモン考案のトレーニングをしてる。

 

「“ダブルボブル”!」

 

「プゥッ!」

 

 今度は、木に技を当てる特訓。他にも、体当たりだったり、互いを狙って回避兼狙いを定める特訓とか、色々やってた。途中、何でかあみだくじ?みたいなものも地面に書いたりしてたけど…チョコモンはすぐに断念してた。一体何だったんだろ?

 

「お、おい皆!僕のタグが…」

 

「何かに反応してる!」

 

「近くに、紋章があるんですよ!」

 

「本当か!?」

 

 丈君の言葉を聞いて、太一君が単眼鏡で周囲を見てみる。すると、何かを見つけたみたい。

 

「あ、何かあるぞ…建物みたいだ。大きいぞ」

 

「きっと、そこに紋章があるんだ!…うわぁーっ!」

 

「…?何でこんな所にケーブルが?」

 

 丈君が急に転んだ…ゴマモンが、丈君が躓いたと思われる黒いケーブルを見つけたみたいだけど…ここ、砂漠だよね?しかも、このケーブルって凄く、長い……?どこまで続いてるんだろ、これ…?

 

「それじゃ、行くぞーっ!」

 

「あ…丈君、大丈夫?」

 

「あ、ああ…それより、皆を追わないと!急ごう!」

 

 ケーブルのことが少し気になったけど…今は先に行ってしまった皆のことを追いかけることにした。

 

「結衣ーっ」

 

「あ、チョコモンお帰り」

 

 足下にやって来たチョコモンを拾って、皆と無事に合流。進んでいった先に見えてきたのは、ローマのコロッセオみたいな大きな建造物だった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 今回、暗黒進化を止められるかどうか、正直分からん。

 

 まだ結衣にも何にも伝えてないからっていうのもあるが、何より太一の暴走もやや出始めている。正直、エテモンの姿も見ていないからそこまで危機感を持ってないはず、と思っていたんだが、太一は結局周りが見えなくなっているように感じた。エテモンの脅威はそこまで感じていないが、デビモンの強さは身に沁みているからな…気持ちは分かるんだが、出来れば今回は暗黒進化させてしまう前にケリをつけたいっていうのが本音だ。

 

 スカルグレイモンにトラウマを覚えてしまう奴もいる…タケルとかな。この暗黒進化の件は、後々太一の教訓としても残るかもしれないが…元々太一は、無鉄砲ってわけじゃない。勇気と無謀は違うというのは、太一ならちゃんと理解出来ると思う。さらに、スカルグレイモンは皆の不安の要素にもなってしまう。確か、ミミとかも今回の件から最初は紋章を手に入れることにさえ悲観的だったはずだ。

 

 というか、個人的にもスカルグレイモンは怖かった。アグモンの痛々しい姿なんか見たくねぇ。ただ、太一が自分から敵に突っ込んでいったら、ほぼ確実に暗黒進化するだろうな……よし、決めた。そん時は多少強引にでも止めるか。

 

 

 

 というわけで今回俺がやることは、全部で三つだ。一つ、丈の紋章を原作より早く見つけること。二つ、エテモンがあの画面に現れた時に、ゴールに逃げ込まないように全員を誘導すること。三つ、敵のグレイモンを太一達にだけ戦わせないことだ。

 

「手がかりはこのタグだけだし、紋章は僕とゴマモンで探すよ!皆は休んでて!」

 

 まずは丈の紋章を見つける。確か、丈の紋章はサッカーゴールの真下にある岩だったはずだ。えーと、あのモニターから逃げたんだから…あっちのゴールか。

 

「チョコモン?」

 

「俺達も手伝おうぜ、結衣」

 

「うん」

 

「俺も探す!」

 

 丈とゴマモンの後を、俺と結衣、太一とアグモンがついていく。今回は食べ過ぎで動けないという状況は何とか回避出来たからな、アグモンも当然太一と一緒に動ける。ってなると、アグモンだけが戦うって状況になるのも回避出来るはずだ。

 

「丈君、どう?」

 

「うーん…こっち?いや、こっちかな?」

 

「太一の紋章は洞窟の壁だった。丈のも壁とか床の一部だったりするんじゃねぇか?」

 

「成る程…確かに」

 

「よーし、じゃあ手分けしてそれっぽいのを探そうぜ!」

 

「ああ」

 

 …って、あれ?な、何で全員いるんだ?確か、サッカーボールを見つけて遊ぶはずじゃ…

 

「あ、サッカーボール!」

 

「これは…普通のサッカーボールだな」

 

「うん、おかしい所もなさそう」

 

 そ、空がサッカーボールに興味を示してもサッカーしようって提案をしないだと…!?な、何でだ?ここで原作乖離する原因が分からん!

 

「ねぇ、お兄ちゃん!皆でサッカーしたら楽しそうだね!」

 

「そうだな…でも、今は丈の紋章を探すのが先だ。結衣さん達も探してるんだし、終わったらにしよう」

 

「うん!」

 

 あ、もしかして最年長の結衣が探すの手伝ってるから、遊んでるのも申し訳ない的な?いや、でもコイツらってそんな先輩を見習う、みたいな考えあったか…?個性の塊ぞろいだし、そんな感じ一切無かったような気がするが。

 

「サッカーってなんや?」

 

「あのボールを使ったスポーツのことですよ」

 

「皆、丈君が言ったように手がかり少ないし、休んでても良いんだよ?」

 

「皆で探した方が早く見つかりますよ」

 

「そうそう!」

 

 まあ、少し取り乱したが…確かに全員で探せば、誰かしら丈の紋章を見つけてくれるかもしれない。俺も参加して、結衣に手伝って貰いやすくなる。

 

 それに、ばらけて探していればエテモンが現れた時にゴールに閉じ込められることもない。何か他の仕掛けがあったりするかもしれないが…そっちの注意もしておいた方が良いか?

 

「結衣、俺達はこっちを探すぞ」

 

「あ、待って」

 

 飛び跳ねてゴールの所まで向かい、結衣は俺の後ろをついて来る。よし、他の奴らも皆上手く散らばったみたいだ。今の内に、結衣にも簡単に計画を話した方が良いな。勝手に行動したらまた色々と言われそうだし。

 

「結衣、ちょっと耳を貸してくれ」

 

「…どうしたの?」

 

「この後、エテモンがあのモニターに映される。その後、奴の手下のグレイモンが襲ってくるから、全員で協力して倒すぞ」

 

「分かった…太一君、無茶しないと良いんだけど」

 

「太一に無茶をさせないのが最優先だ。もし太一が暴走した場合、アグモンが間違った進化をすることになるんだ…」

 

「間違った、進化……うん、分かった。頑張るね」

 

「よし。あ、それと丈の紋章はこの真下のはずだ」

 

「ここ?」

 

 よし、とりあえず疑問は置いといてくれたか。後でちゃんと説明しなきゃな…あー、毎回こんなこと考えてるな、俺。出来ればちゃんと結衣に一から全部話してやりたいな…どこか、タイミングを見てじっくり話さないと。タケルが未来で書く小説、あれが欲しくなるな…

 

 そんなことは置いといて、結衣がゴールの真下の岩盤をひっくり返…そうとしたが、持ち上がらない。まあ、どう見ても重そうだもんな…

 

「結衣先輩、どうしたんですか?」

 

「あ、空ちゃん。ここ、凹みがあるから持ち上げられるんじゃないかと思って…」

 

「それなら手伝いますよ」

 

 空とヤマトが来て、結衣と三人がかりで力を入れて持ち上げる。今更だけど、ヤマトって結衣には敬語使ってるんだな…ちょっと新鮮だ。丈は何で敬語を使われてないんだろうか…威厳が無いのか、そうか。

 

「あ、これ…!」

 

「丈!こっちに来てくれ!」

 

「どうしたんだい?」

 

「これ、紋章じゃないかな?」

 

 地面の岩盤をひっくり返すと、そこには不思議な模様が描かれている。近くの岩盤も全員でひっくり返していくと、その模様が明らかになっていく。

 

「タグが反応してる。これがもし、紋章だとしたら…」

 

 丈がその模様の上にタグを置くと、タグと同じように紋章が光り始めた。眩しいくらいに強くなった後、光が小さくなっていき…タグの中に黒い紋章があった。

 

「うわっ!?」

 

「きゃあっ!?」

 

 丈がタグを手に持った瞬間に、下の足場が崩れた。紋章のあの岩が、この脆くなった足場に覆い被さっていたから今まで崩れてなかったんだな…というか、これ人工的に作られた穴じゃないか?真下に、かなり深くまで正方形にくり抜いたような感じだな。あ、横穴が上にある。

 

「大丈夫か!?」

 

「お兄ちゃん!」

 

「あ、ああ…大丈夫だ!」

 

「ビックリした…」

 

「やったぞ、僕の紋章だ!」

 

 落ちたのはヤマトと空、丈と結衣の四人とそのパートナー達か。他の奴らは、さっきまでいた場所にいるな。あ、これ…ヤバくないか?

 

 

 

『オ~ホッホッホッホ!!アチキってグレイト~?』

 

「何だ!?」

 

 パラパラッパラ~♪という軽快な音の直後、オネェみたいな声がコロッセオ中に響き渡った。予感的中じゃねぇか!この上に太一達がいるってことは、ゴールに捕まっちまう…!

 

「おい、何だお前!」

 

『始めましてね、選ばれし子供達♪アチキはエテモン、ってもう知ってるかしら?』

 

「こいつがエテモン!?」

 

「あれがデビモンより強いデジモンなの?」

 

「変なサングラスしてるし…」

 

『本当はサーバ大陸に来た日の内に倒しちゃうつもりだったんだけどねぇ、生憎、今は遠いところにいるのよ。ほら、スターって忙しい商売だからぁ』

 

「…おい、急いで上に戻るぞ!」

 

「ああ」

 

 落ちた奴らで協力し合って、何とか横穴に辿り着き進んでいく。その先はコロッセオの観客席の所で、外に出て見たら太一達はゴールの所より少し前にいた。良かった、警戒しようとして数歩前に出ていたんだな。おかげで誰も閉じ込められていないし、エテモンも罠を作動させていないようだ。

 

『きっと驚くわよ~!イェイイェイイェイ~!!』

 

「今のは…!?」

 

「お、おい、あれ!」

 

 丈が指差すのは、太一達がいる方とは反対側のゴールの方。ゴールの後ろの観客席から現れたのは、黒い首輪をしているグレイモンだった。よく見ると、あのグレイモンは太一のグレイモンとは違って、頭の甲殻に黒い斑点模様が付いている。

 

「あれは…」

 

「グレイモン!?」

 

『驚いてくれたようねぇ!ン~、なんて心憎いアチキの演出!さぁ、始めるわよ!イッツショータイム!!』

 

 敵のグレイモンが観客席を破壊し、ゴールを踏み潰して雄叫びを上げた。それに対抗して太一とアグモンが一歩前へ出る。アイツら…一騎打ちするつもりだな。

 

 

 

「行くぞ、アグモン!」

 

「おう!アグモン、進化――っ!!グレイモン!!」

 

 グレイモンは、敵のグレイモンに真っ直ぐに突っ込んでいく。そのまま取っ組み合いになり、グレイモンが頭突きをするが、相手もグレイモンだ。同じ固さを持つ甲殻を持っている為、弾かれて怯んでしまう。その隙を突いた敵のグレイモンが尻尾を使ってグレイモンの横っ腹を攻撃する。

 

 さらに追撃として、懐に入って強烈な頭突きを顎に喰らうグレイモン。その勢いのまま太一達がいる方へと吹っ飛ばされ、太一達は何とか横に跳んで回避したが…グレイモンは、ゴールを背中で潰した。その際に、ゴールネットに流れていた高圧電流を浴びてしまう。あのトラップ、作動させていないわけじゃなかったのか!

 

「進化するんだ、グレイモン!」

 

「ガブモン!」

 

「来るなっ!グレイモンを進化させるチャンスなんだ!頼むから邪魔しないでくれ!」

 

「アイツ…!」

 

 この勝負、一対一ならこっちの方が不利だ。グレイモンが普段通りだとしても、敵のグレイモンの方が経験は上だ。グレイモンとして生きた月日が長い。戦いも、ファイル島のデジモンより陸地もデジモンの総数も多いサーバ大陸の方が多いだろう。俺達は、成熟期に進化出来るようになってからまだ一ヶ月も経っていないんだ。

 

 今も、こっちの攻撃は躱され、敵の攻撃は次々と当たっている。たまにこっちの攻撃も当たるが、先にダウンするのは間違いなく太一のグレイモンの方だ。このまま見てるわけにはいかない。

 

「…皆、行こう。これ以上、見てられない」

 

「でも結衣先輩は…」

 

「こっちの心配は良い。お前らはグレイモンの加勢に行ってやってくれ!」

 

「…行こう。ガブモン、頼む!」

 

「ピヨモン!」

 

「ゴマモン!」

 

「ガブモン、進化――っ!!ガルルモン!!」

 

「ピヨモン、進化――っ!!バードラモン!!」

 

「ゴマモン、進化――っ!!イッカクモン!!」

 

 ガルルモン達が加勢に行っている間に、俺達は太一達の方へと回り込む。いざという時は、俺も進化して加勢に――

 

 

 

「“メガフレイム”!!」

 

「“メガフレイム”!!」

 

「何っ!?」

 

 

 

 二体のグレイモンの“メガフレイム”が、コロッセオの中央でぶつかり合う。結果、大爆発を起こしどちらのグレイモンも吹っ飛ばされる…が、やはり太一のグレイモンの方が大きく吹っ飛ばされていた。敵のグレイモンが数メートル程度なのに、太一のグレイモンは観客席まで飛ばされている。その余波で、ガルルモン達は近づけずにいるようだ。

 

 それにしても、あの敵のグレイモン…あんなに強かったのか。原作だと不調のグレイモンとの戦いだったからそこまで強く感じなかったが…本当に戦い慣れている。

 

「グレイモン!!」

 

「太一!!」

 

「待て、危険だ!!」

 

 太一がついに、グレイモンの傍まで走り出す。このままだと、太一は自らを危険に晒すだろう。

 

 

 

「……チョコモン」

 

「…結衣?」

 

 

 

 その時、俺が見たのは…結衣の、怒りの表情。そして、今まで聞いたことがないくらいに冷たい声だった。背筋が凍り付くというのは、こういう感覚なのかと思うほどに。

 

 

 

「太一君を、止めて」

 

 俺のことは一切見ていない。見ているのは、グレイモン達の戦いの最中に飛び込もうとしている太一のみ。

 

 

 

…ダメだ。結衣に、この感情を露わにさせてはいけない。そう直感した瞬間、俺は結衣の腕の中から跳びだした。

 

 

 

「チョコモン、進化――っ!!ロップモン!!」

 

 

 

 ロップモンに進化した俺は、太一の方へと一直線に走る。敵のグレイモンは今、立ち直ったガルルモン達が抑えている。流石に三対一ともなれば確実に倒せるだろう。

 

 俺はその戦いに身を投じようとしている太一の進行方向に狙いを定める。当たらないようにしないとな。

 

「“ブレイジングアイス”!」

 

 久しぶりに放った冷気弾。それが一直線に太一の目の前の地面に突き刺さる。それに驚いた太一は、足を止めて俺の方を向いた。

 

「な、何するんだ!」

 

「お前こそ、何をするつもりだ」

 

「何って…戦いに行くんだよ!」

 

「パートナーも無しにか?」

 

「何言って…グレイモン?」

 

 太一のグレイモンはまだ、起き上がれていない。起き上がろうとしているが、連続でダメージを受けたせいか痛みに耐えている。

 

「肝心のグレイモンがあのザマだ。お前のせいでな」

 

「何だって…?」

 

「事実だ。前にも言ったはずだぞ、太一。俺達デジモンはお前たち人間のパートナー次第で力が発揮できるか決まるって…グレイモンは、力を発揮することも出来ずに、同じグレイモンに負けたんだ」

 

「太一君」

 

 後ろから結衣が歩いてやって来た。太一はそれを見て、顔を俯かせる。結衣が怒っているのが分かったからだろう…太一の目の前までやって来た結衣は、太一の左頬を右手で――

 

「っ…!」

 

「昼間に、言ったよ。自分が危険な目に遭うのはダメだって」

 

「…けど、結衣さん!早く、グレイモンを進化させなきゃ…」

 

「焦る気持ちは分かる。でも、それとこれとは別。私達が危険な目に遭うのが進化に繋がるなんて、私は思ってない。私達が危険な目に遭った時にデジモン達が進化してくれるのは、私達を助けたいって気持ちが強くなったから…私は、そう思ってる」

 

「俺達を、助ける…?」

 

「グレイモンは、これまでいつも太一君を助けたいと思ってた。なのに…こんな方法、間違ってる。グレイモンを、良く見て………貴方は、何も感じない…?」

 

「たい、ち…」

 

「グレイ、モン……」

 

 ボロボロになったグレイモンを見て、太一は声を震わせていた。ようやく、暴走も終わったか。自分がグレイモンに酷いことをしたと、自覚してくれたようだ。

 

 と、その時、太一を見ていたグレイモンがゆっくりと起き上がった。

 

「グレイモン!?」

 

「太一…僕は、まだ、戦える!」

 

「グレイモン……」

 

「どうする、結衣」

 

「…うん。太一君、もう大丈夫だよね?」

 

「…ああ!!」

 

「じゃあ、行こう!」

 

 敵のグレイモンに向き直った俺達。ガルルモンがスピードで攪乱し、バードラモンとイッカクモンが空からの攻撃で、敵のグレイモンが回避と防御を繰り返すうちにどんどん追い込まれていく。その先は、丁度エテモンが映るモニターの方だった。

 

 そういえば…あのモニターをぶち壊せば、エテモンのネットワークを妨害出来るはずだったな。

 

「…行くぞ、グレイモン!!」

 

「おう!!」

 

 太一の声に反応して、グレイモンが敵へと真っ直ぐに突っ込んでいく。先程は弾かれてしまったが、グレイモンはさっき敵がやったように顎に頭突きして怯ませた。

 

「太一!」

 

「悪い、皆!もう大丈夫だ!力を貸してくれ!!」

 

「太一…ええ!」

 

「一斉攻撃だ!!」

 

「グレイモン、上に飛ばせ!!」

 

 グレイモンがさらに体勢を低くして、頭に敵のグレイモンを乗せて、そのまま上に吹っ飛ばす。敵のグレイモンがエテモンの顔と重なった所で、太一が叫んだ。

 

「今だ!!」

 

「“フォックスファイアー”!!」

 

「“ハープーンバルカン”!!」

 

「”メテオウィング“!!」

 

「“メガフレイム”!!」

 

 四体の攻撃が重なり、敵のグレイモンは爆散した。勿論、エテモンのモニターも巻き込んだ大爆発を起こして。

 

 

 

 

 

 

 コロッセオを後にして、俺達はまた旅路に戻った。

 

 今回は、何とかスカルグレイモンに暗黒進化させずに済んだ。これで他の子供達も、完全体への進化に対する不安も少なくなることだろう。何より、太一とアグモンが間違わずに済んで本当に良かったと思う。

 

「皆、ごめんな…俺、焦ってた。早くもう一段進化しないとって…でも俺、ちゃんと周りが見えてなかったんだ。一人で背負い込んだ気になって…アグモンのことも、見えなくなってた」

 

「太一…」

 

「結衣さんも、ごめん…あれで、目が覚めたよ」

 

「私こそ、偉そうなこと言って…太一君、ほっぺ痛くない?叩いちゃってごめんね」

 

「良いって、あれくらいの方が目も覚めるってもんさ!」

 

 結衣が、あれだけ怒るとは思わなかったけど…そこは、今は良い。結衣のことは結構知ったつもりだったけど、まだ知らないことはこれから知っていけば良いんだもんな。

 

 それより、あれでエテモンのネットワークにダメージがあったのかだけが不安要素だな…どこかで確かめるべきだな。

 

「ロップモンに進化出来たんだね!」

 

「ああ。お前もやろうと思えば進化出来るはずだ」

 

「楽しみだね、トコモン!」

 

「うん!」

 

「…それにしても、結衣さんって怒るとあんなに怖いんですね」

 

「お前もそう思ったか」

 

「普段優しいから、尚更怖いわね…」

 

「今後、出来るだけ彼女の逆鱗に触れないようにしよう」

 

「…?皆、どうしたの?」

 

〈何でもないでーす!〉

 

「??ロップモン、聞こえたでしょ?何て言ってたの?」

 

「いーや?空耳じゃないか?」

 

 そんな他愛ない会話をしながら、俺達は歩みを進めたのだった。

 

 

 





本来は第十六話「暗黒進化!スカルグレイモン」の内容となります。暗黒進化を回避したので、サブタイトルも自然と変更の流れに。自分で考えたというか、ありそうなサブタイトルにしただけですね。

それでは、今回はこの辺で!次は来週の27日に更新予定です!

ここから下はアニメ感想コーナーですので、アニメネタバレ回避したい方はブラウザバック推奨です。ここまで読んでくださり、ありがとうございました!











































さて、では今回の感想のコーナーやっていきたいと思います。

今回は「脱出 燃える密林」の感想です!まず、言いたいことが一つ。



ロップモンきたぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!!!可愛いーーーーーっ!!!!



…失礼しました。感情が荒ぶりました(笑)

いや、ロップモンマジで可愛かった!めっちゃマイペースなあの子、守りたい(切実)

まだ荒ぶっております…ふぅ。さて、落ち着きましたところでちゃんと感想書いていきます。

と、言っても…今回って光ちゃんが攫われてからほとんど、野生のデジモンたちに絡まれてただけなんですよね。弱肉強食要素が強すぎると、殺伐としてて大変。でもデジモンって元々こんな感じなんだろうなぁっていう感想。

あと、割と新しめなデジモンであるタンクドラモンが予想を遥かに超えてデカかった。タンクモンの進化系だから、タンクモンより少し大きい、大きくてもメタルグレイモンと同じくらいだろうと考えていたんですがね…メタルグレイモンが可愛く見えるデカさ。そして機械な体だけあってめっちゃ硬いし。

そうだ、デカさといえば…逆にガルダモンが小さくなってる気がしませんか?メタルグレイモンより小さかったけど…無印だとガルダモンが一番デカい印象だったので、少し違和感。

あと、個人的にはメタルグレイモン達がちゃんと強くなってるんだなって思いましたね。どこが?って思う方もいるかもしれませんが、メタルグレイモンとガルダモン、タンクドラモンはともかく、同じ完全体のメガドラモンをワンパンでしたよ?ちゃんと完全体の中でも中盤より上の力をつけているのは確か。

そして!そしてですよ、なんと次回がついに!待ちに待ったウォーグレイモン回!これはテンションが上がる!来週がこのサブタイトルだけで一気に楽しみになりましたね!

と、長く語ってしまいました!今回はここまでとしたいと思います。ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございました!来週もよろしくお願いいたします!

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