デジモンアドベンチャー 優しさの少女と転生デジモン 作:Zelf
ちょっと遅刻しました、申し訳ありません!
コロッセオでエテモンの手下のグレイモンと遭遇し、何とかグレイモンの暗黒進化を防ぐことに成功し何とか事なきを得た俺たち。そこまでは良かったんだが、ほぼ手掛かりが無い状態でどこに進んだらいいのかも分からず、とりあえず砂漠地帯を進み続けていた。
「空…大丈夫?」
「何とかね…」
「光子郎はん…へこたれたらあかん」
「あ、ああ……」
「ヤマト…」
「俺のことより、お前こそその毛皮じゃ暑いだろ?」
「ああ、俺なら大丈夫…」
皆かなり参ってるな…以前、ファイル島のサバンナ地帯でやった俺の冷気弾で作った保冷剤作戦もやってるんだが、ここはあそこよりも暑いせいかすぐ溶ける。俺自身、毛皮のせいでかなり暑い…やっぱ、ロップモンって暑い場所の方が苦手なんだな……
「ロップモン、大丈夫?」
「お、おう…お前こそ、大丈夫か?」
「今のところは…でも、早く休める場所を探さなきゃ」
「だなぁ…」
皆で励まし合いながら進んでいるが…例の巨大サボテンはまだか……あれ?違うな、一回巨大サボテンの蜃気楼を見てからコカトリモンの船か。暑すぎて一瞬考えが回らなかった…ここらでまた氷を作っとくか。
「皆、また氷作るぞ」
「助かる~!」
「頼むよ、ロップモン!」
「大丈夫なの?ロップモンの体力は…」
「まだ大丈夫だ。ブレイジング――」
「あーっ!!」
「…っとと…!な、なんだ?」
「あれ!!」
ミミが突然叫ぶから、技出す前に態勢を崩しちまったじゃねぇか。ミミは前を指差して固まってるし…ああ、蜃気楼の巨大サボテンを見つけたのか。蜃気楼って、原理をよく理解してないんだが…全員同じ蜃気楼を見るってあり得るんだろうか?幻なんだろ、あれ。
「よーし、皆!あのサボテンの陰に入るんだ!」
「私もあのくらい大きなサボテンになりたーい!」
太一がそう言ったのを皮切りに、全員がサボテンの下に走っていく。俺は走ってないが…俺は。結衣に捕まったから、俺たちもちゃんと太一達について行ってる。
「…!皆、ストップ!」
「え?」
「あ、あれ…?」
結衣が静止をかけたのと、太一が異変に気付いて足を止めたのはほぼ同時。俺は結衣の頭の上にジャンプして着地し、サボテンに影が無いのが見えた。
〈日陰がなーい!?〉
「蜃気楼、だった…」
全員がその場で座り込んでしまう。やっと休めると思って体力消費してでも向かったのに、これじゃあな…俺ですら分かってて落胆しちまってる。あー、水を飲みてぇ…
『選ばれし子供たちよ…選ばれし子供たちよ』
と、その時だった。急にエコーがかかったような声が聞こえた。この声は…
〈ゲンナイ!?〉
ファイル島でデビモンとの戦いの後に出てきた、あのUFOみたいな謎の通信装置がどこからか現れて、ホログラムのゲンナイさんが出てきた。この装置、今何もない所から出てこなかったか…?これも蜃気楼の一種か?地面から出てくるような音もしなかったし…
「やいジジイ!お前の言う通りタグに紋章をはめ込んで敵と戦ったけど、何も起こらなかったぞ!」
「このタグと紋章で、本当にイッカクモン以上に進化なんてできるのか!?」
「そもそも、紋章ってもう少し効率的な探し方ないんですか?」
『落ち着け、選ばれし子供たち…望むと望まざるとに関わらずタグと紋章はいずれお前たちのものとなる。タグと紋章はお互いに惹かれ合う性質を持っておるのじゃ』
「本当なのか…?」
…原作とは違う内容の責め方してるな、太一達。まあスカルグレイモンになってないから、紋章があっても進化出来ないのでは?っていう疑問が出てくるのは当たり前か。つーか結衣もちゃっかり質問してるし。確かに、タグと紋章が共鳴し合うにはそれなりに近くないとダメみたいだからなぁ…闇雲に探すのは骨が折れるってもんだ。実際は…まあ、次々と見つけていくから心配いらないんだが……結衣の紋章はどこにあるか分からんからな、ゲンナイさんが何か知ってる可能性もあると思う。
『グレイモンが進化しなかったのは、その時ではなかったからじゃ。たとえタグと紋章を手に入れても正しい育て方をしないと』
「正しい育て方?」
『そう、正しい育て方をしないと正しい進化もしない!』
「正しい育て方ってなんだよ?」
『選ばれし子供たち、正しい…て方を考える…じゃ……れが…』
「ゲンナイ!…あのジジイ、いつも訳の分からないことばっかり言いやがって!」
また通信妨害か…今で言うと、ナノモンの仕業か?それとも、ヴァンデモンの手下でナノモンみたいな機械に強い敵っていたっけ…?まあ、ゲンナイさんの通信装置ってボロそうだしな、妨害が無くてもあまり期待できねぇし。多分。
「正しい育て方だって」
「俺たち、正しい育て方されてるのかな?」
「ガブモン、ちょっと待て!」
「僕、自信無い…」
「こらこら光子郎はん、何ゆうてまんねん」
「オイラは?」
「僕も全く、これっぽっちも自信無い。自信ゼロパーセント」
「おいおい…」
正しい育て方か…なんかなぁ。後々を知ってるからかもしれないが、デジモンって育てるって感じあんましないんだよなぁ。ゲームとかじゃ育成がメインと言っても過言じゃないが、アニメの場合デジモンと一緒に成長していくから、育成って言葉にしっくり来ない。というか…子供たちがデジモンたちをちゃんと育成しようって考えたこと、無いんじゃないか…?
正しい育て方っていうのも、ゲンナイさんのでまかせだしな。後にデジモンに正しい育て方なんて存在しないって言ってたし。進化に良し悪しは無い、ってな。悪そうな奴がいいデジモンだったり、良いデジモンっぽい奴が悪い奴だったりもする。そこは人間も同じだ。正義とか悪とかはっきり分けれる話じゃないんだ。
「…ん。皆、気をつけろ!こっちに何か来てるぞ…かなりデカい」
「何かって、なんだよ?」
「敵なのか?」
「まさかエテモンが!?」
「分からない…足音じゃないんだが、かなり大きな物がこっちに向かってきてる」
「大きいって、どれくらい?」
「……多分、もう見えるんじゃないか?」
俺が見た方向に全員が振り向く。まだ少し距離がある…はずなんだが、途轍もなく巨大な船が砂漠の中を突き進み、こっちに向かってきているのが見える……あれ、これヤバくね?
「軍艦だ!?」
「いいえ、豪華客船よ!」
「どうして砂漠の中に豪華客船が!?」
「…あれって、本物……?」
「言ってる場合か!全員走れ!!」
プオォーーーッと汽笛(?)を鳴らしながら、スピードを落とすことなくこっちに向かってくる。このままじゃ轢かれることに気づき、全員で船の進行方向に重ならないように大急ぎで走る。結衣の頭にしがみつきながら後ろを見ると、さっきまで俺たちがいた場所を通過してしばらくして、船が急ブレーキをかけて停止した…いや、ブレーキ遅っ!俺たちがいるの、見えてたよな?
「ハァ、ハァ…」
「危なかった…」
「あ、あれ!」
タケルが指差したのは、停止した豪華客船の甲板から顔を覗かせた、船員っぽい服を着たヌメモンだった。そういえば、なんでこの船のヌメモン達はあの服着てるんだ?デジモンでああいう服系のアクセサリーつけてる奴、こいつらくらいじゃないか?
「ヌメモン!」
「なんでヌメモンが…お日様の下って苦手じゃなかった?」
「さぁ…それは俺にも分からんが、渡りに船ってこのことじゃねぇか?太一、頼んでみてくれよ」
「あ、ああ…ヌメモーン!船で休ませてくれないかー!」
「ヌメェ…」
露骨に嫌そうな顔しやがった…アイツ、俺達を轢こうとしておいてなんだあの態度。流石に腹が立つ…後でアイツら襲ってきた時に出来るだけ痛めつけてやろうか。
「ヌメモンのことなら私に任せて!ヌメモーン!アタシ達、疲れてるのー…この豪華船で、少し休ませて?お・ね・が・い!」
「ヌ、ヌメェ~!」
ミミが前に出て、ヌメモンにぶりっ子~な喋り方したら、船から階段が伸びてきた…良いのか、ヌメモンよ。こんなわがまま姫にそんな簡単に…ま、良いか。楽出来るなら楽させて貰おう。
☆☆☆
豪華客船で休ませてもらうことになった私達は、内装の豪華さに驚かされた。一流ホテルさながらの設備。あ、ビリヤード台とかもある…やったことないけど、他にも色々あるみたい。
太一君と丈君は、ゴマモンの提案で甲板にあるプールに。ヤマト君とタケル君、光子郎君は食堂に行くって言ってた。で、私は…
「結衣先輩!早く行きましょ!」
「早く早く!」
「二人とも、そんなに引っ張らなくても」
空ちゃんとミミちゃんに連れられて、個室についてるシャワールームでお風呂に入ることに。久しぶりのお風呂だからか、二人ともはしゃいでる。あ、そうだ。こういう時っていつも…よし。
「うおっ!?」
「どうしたの、ロップモン?」
「結衣先輩、ロップモン連れてくんですか?」
「うん。前は一緒に入れなかったし」
「でも…」
この二人、前にデビモンの館でお風呂入った時…まぁ、あれも幻覚だったから実際は入ってないんだけど、その時にロップモンだけ男湯で、私がロップモンも一緒に入りたいって言ったら渋ってたんだよね。でも、やっぱり私だけパートナーとお風呂に入れてないってちょっと寂しいから、今回こそは一緒に入るんだ。
「お、おい。空達が嫌がってるだろ、離せって…」
「そんなこと言って、ロップモンが恥ずかしいだけじゃないの?」
「何言ってんだ…この際、それでも良いや。ほら、俺は外で待ってるから――」
「ロップモン、生意気な弟だって思ったら可愛く見えない?」
「あ、確かに!口調もそんな感じだし!」
「私、一人っ子だからそういうの分からないですけど…そう考えると可愛く見えますね」
「な、なに!?おい、誰が弟だ!」
「それに、ロップモンもちゃんとお風呂入った方が良いよ。前は幻だったんだし」
空ちゃんとミミちゃんの同意も得られたことだし、ピヨモンとパルモンにロップモンを捕まえてもらって、六人でお風呂に入った。デジモンって、数えるときの単位って人でいいのかな?良いよね、人みたいに個性あるし。
服を脱いでいる間に、ロップモンが逃げようとしたからしっかりとホールドしておく。それでも逃げようとするけど、私が怪我しないようにしてるから力出し切れてないみたい。そのまま浴場へ。
「はい、目閉じて」
「俺はガキじゃ…っ!」
「はいはい、ちゃんと洗おうね」
「どこからどう見ても…」
「姉弟って感じですよね!」
「やっぱり砂だらけだねー…はい、終わり」
泡を流した瞬間、ロップモンは湯舟のお湯にダイブ。ダイブする時に耳を持ってたのが可愛さポイント高い。本人気づいてないと思うけど。すぐにお湯から浮かんできて、大の字でプカプカと浮いてる。さらに高得点。恥ずかしさはもうなくなったのかな?
「はぁ~…良い湯だ~」
「良いなぁ…パルモン、早く洗っちゃお!」
それぞれお風呂を満喫してる。次いつお風呂に入れるか分からないもんね…ただでさえこの砂漠地帯は暑いし、靴の中砂だらけになっちゃうし…早く砂漠地帯から抜けてほしいな。まさか、サーバ大陸全部砂漠、とか言わないよね…?
「…二人とも、髪長くて羨ましい」
「空ちゃんだって、すぐに私達くらいの長さにはなると思うよ?」
「そうですよ!それに空さんの髪だってキレイだもん!」
「あー…でも、サッカーする時邪魔なんですよね…ヒラヒラ動くの気になっちゃって」
「それはわかるかも。でも、だったらお団子とかにしちゃえば?」
「それはちょっと…」
そんな他愛ない話をしてると、いつの間にかもう洗い終わっちゃってた。最後に湯舟に入ると、ついため息が口からこぼれちゃう。
「気持ちいい~!」
「ホントね~」
「私たちも!」
「ほら、ロップモンもこっち」
「あー…」
…ずっと入ってるけど、もしかしてのぼせてる?ロップモン、暑いの苦手みたいだから…でもどうなんだろ?顔色じゃ分からないし…
「ロップモン、大丈夫?」
「おー、大丈夫ー…」
「あんなに嫌がってたのに、大分満喫してるね」
「そりゃーなー………ん?」
いきなりロップモンが起き上がって、湯舟から出た。そして耳をピクピクとしてる…何か、近づいてる?
「…まずいな」
「どうしたの?」
「敵だ。この船の船長のコカトリモンが何か企んでやがる」
「コカトリモンですって!」
「知ってるの?ピヨモン」
「鳥なのに飛べないのが悩みの種のデジモンよ」
「そいつが言うには…エテモンに連絡をとろうとしたけどダメだったらしい。この前のコロッセオで通信機に異常が出てるみたいだな」
「ロップモン、それ全部聞こえたの?」
「ああ。コカトリモンがこの船のヌメモン達に連絡する為のパイプがいくつもあるみたいだ。それが響いて所々聞こえたって感じだ。全部聞こえたわけじゃないが…ほら、そこの窓からならヌメモン達が何か言ってるだろ?」
湯舟の上の方にあった換気用の窓かな?そこを開けると、ピヨモンが外に意識を集中させてみる。
「…ホント、何か騒いでるわ」
「それじゃ、早く逃げないと!」
とりあえず湯舟から出た私たちは、ひとまずバスタオルを体に巻いて、シャワールームの扉を少しだけ開けて確かめてみる。すると、もうヌメモンが部屋の中にいた。
「…駄目、もうヌメモンがいる」
「悪いな、俺がちゃんと警戒しておくべきだった。他のヌメモン達も向かってきてるぞ」
「ど、どうするの?これじゃ着替えてる時間が…」
「他の出口は…あ」
空ちゃんが何か思い浮かんだみたいで、シャワールームにある窓によじ登ろうとしている…って、え?
「そ、空ちゃん!私達、今バスタオルしか…」
「ヌメェ~」
「ヌメモン達が…!」
「結衣先輩、覚悟を決めて下さい!」
「せめて下着くらい…」
「パルモン、デジヴァイスとって!」
「ええ!“ポイズンアイビー”!」
パルモンが手の触手を伸ばして、私達の荷物からデジヴァイスだけを取る。ヌメモン達は…気づいてないみたい。
「さ、今のうちに!」
「うぅ…こんな格好で出るなんて」
「結衣さん、急いで!」
「なんで二人とも平気そうなの…?」
二人の度胸がすごい…でも、確かにつべこべ言ってる場合じゃない!最年長の私がしっかりしないと!
そう覚悟を決めて、シャワールームの窓から廊下に脱出する。幸い全員が脱出するまでヌメモン達に見つかることはなかったけど、どこに行こう…?
「これからどうするの?」
「コカトリモンを倒すんだ!そうすればヌメモン達は逃げ出すはずだ!」
「じゃあ、船長室に向かおう…出来るだけ一目を避けて」
「分かりました!」
廊下を裸足で走り、甲板の上の方にあるはずの船長室に向かう。その途中で、鶏みたいな姿をしたデジモンが立ちふさがるように現れた。
「コカーッ!見つけたぎゃ!」
「「コカトリモン!」」
「こいつが、エテモンの仲間!?」
「あ、太一さんと丈先輩の紋章!」
「他の選ばれし子供たちは捕みゃーて日干しにしたぎゃ。もう少ししたら選ばれし子供たちの干物が出来るがや」
「ひどい…!」
「デジモン達は?」
「ワシの力で石にしたがや。漬物石くらいには使えるぎゃ?」
「“ブレイジングアイス”!」
「コカーッ!?いきなり何するぎゃ!」
ロップモンがコカトリモンに向けていきなり冷気弾を撃ったけど、コカトリモンは後ろにジャンプして躱した。
「うるせぇ!俺達を轢こうとしたくせに、白々しい!そもそも敵なんだから攻撃するのは当たり前だろうが!」
「え…あれって、私達を狙ってたの?」
確かに、ブレーキかけるの遅いような気がしたけど…でも、コカトリモンが船長なら狙っててもおかしくない。
「許せない!“マジカルファイアー”!」
「“ポイズンアイビー”!」
「“プチツイスター”!」
「コカーッ!」
コカトリモンは皆の攻撃を翼で弾いたり躱したりして対処した。その後、翼をガッツポーズするみたいにして力を溜めて…これ、何かするつもりじゃ?
「避けろ!」
「“ペトラ…ファイアー”!」
「きゃあっ!」
コカトリモンの目から緑色の光線が出て、ロップモン達は咄嗟に回避。光線が当たった木の床が、その当たった場所だけ石みたいな色になった。そういえば、さっきコカトリモンが自分の力で石にしたって…こういうこと?
「二人とも、甲板に!」
「「はい!」」
こんな狭い廊下で戦ってたら、あの光線に当たってしまう可能性が高い。進化しても戦いやすいように、広い場所に行かなくちゃ…!
コカトリモンは私達の後を追いかけてくるけど、今のところ追いつかれる心配はなさそう。さっきの光線攻撃もしてこないし…あの光線はさっきみたいに踏ん張ってからじゃないと出来ないのかもしれない。
何とか甲板に辿り着いた私達は、後ろのコカトリモンに向き直る。これだけ広ければ、思う存分戦えるはず!
「コカーッ!追い詰めたぎゃ!」
「ピヨモン、進化よ!」
「うん!ピヨモン、進化ーーっ!!バードラモン!!」
「と、飛んだぎゃ!?」
ピヨモンがバードラモンに進化して、空高く飛ぶ。そして翼に力を溜めて、羽ばたいた。
「“メテオウィング”!」
「コカーッ!?」
翼から放たれた炎を、コカトリモンはさっきみたいに後ろにジャンプして躱すけど、今はかなり慌ててるように見える。
「コカトリモン、本当に飛べないのね!」
「パルモン、チャンスよ!」
「うん!パルモン、進化ーーっ!!トゲモン!!」
パルモンがトゲモンに進化して、コカトリモンに接近していく。バードラモンとトゲモンがいれば負けないと思うけど…
「結衣!」
「ロップモン?」
「俺達も、やろう!」
「でも…!」
「大丈夫だ、絶対!もう二度と、あんなことは起きない!だから…頼む!」
…私、まだ怖がってる。トゥルイエモンに進化させて、戦わせることを。またデジタマに戻っちゃうかもって、不安になってる。初めてデビモンと戦った時なら、こんな風に思わなかったのに。
でも、このままじゃダメだ。このままじゃ、ロップモンにも、皆にも迷惑をかけちゃう。
「ロップモン…約束して。絶対、私のところに無事で帰ってきて」
「結衣…おう!約束する!」
「……うん、じゃあ、行くよ!」
デジヴァイスを強く握りしめて、ロップモンに翳す。するとデジヴァイスが光って、ロップモンが進化を始めた。
「ロップモン、進化ーーっ!!トゥルイエモン!!」
久しぶりに見た、ロップモンの成長した姿。卯人と呼べる姿になった彼は、握りしめた右拳を見つめている。その仕草で、何となくクワガーモンと戦った時のことを思い出した。初めてロップモンに進化したあの時も、ああやって体の調子を確かめてた。
「…よし!」
「“メテオウィング”!」
「コカッ!?しまったぎゃ!」
「トゲモン、上に飛ばしてくれ!」
「任せて!“チクチクバンバン”!からの~…“ココナッツパーンチ”!!」
「コカ~ッ!?」
トゲモンの連続攻撃、針を飛ばしてからのアッパーでコカトリモンが上に飛んでいく。そのコカトリモンの真下に、トゥルイエモンが待機していた。ピョンピョンと上へ上へと向かい、コカトリモンが飛んでいく先にあった船の煙突(?)に先回りしたトゥルイエモンは――
「これでも、食らえっ!!」
「コギャッ!?」
渾身の右ストレートがコカトリモンにヒットし、コカトリモンは船の前方の砂の山へと飛んで行った。
「「やったーっ!」」
「ふぅ…」
「…まだだ」
「え…?」
聞こえてきたのは、コカトリモン…ではなくてトゥルイエモンの声。まだって…あんな一撃入れて、まだ追撃するの?それはいくらなんでも…!
「トゥルイエモン、どうするつもり?」
「ん?もちろん、コカトリモンをこのまま轢いてやるんだよ!俺達を轢こうとした恨み、忘れてないぜ!」
「いくら何でもやりすぎじゃない?」
「何言ってんだ!危うく皆船に潰されるところだったんだぞ?それに、今轢いたとしても砂に埋もれて死なないって、多分!」
「多分って…」
「それより、お前ら早く服着てこいよ。ピヨモンとパルモンは他の奴らを助けに行ってくれ。俺は操舵室行ってくる」
「分かったわ!」
いつの間にか退化してたピヨモンとパルモンがトコトコと走っていった。
うーん、やっぱりちょっとやりすぎな気も…?でも、皆が危ない目にあったのは間違いないし、そう考えると、ちょっと痛い目見て反省してもらった方が良い…のかな?
とにかく、いつまでもこんな格好でいるわけにはいかない。そう思って、空ちゃん達とさっきのシャワールームに向かうことにした。
☆☆☆
コカトリモンを原作とは違う形でやっつけたのには、ちゃんとした理由がある。アイツって簡単にはやられず、またこの豪華客船で襲ってくるからな。アイツを船から追い出して、また襲われないようにする必要がある。またあの砂漠を走り回るのはごめんだ。
あと、船を何とか動かせればあの砂漠を歩かなくて済むっていう考えもあるが…つーかどっちかというとそっちの方がメインかもしれない。せっかく風呂でさっぱり出来たからな。
風呂…最初は遠慮するつもりだったんだが、結局強引に連れていかれてしまった。今、俺はデジモンなんだから、性別の無いデジモンには性欲なんかないんだが、やっぱり前世云々があるから、罪悪感が半端なかった。でも、まあ…久々の風呂は、気持ちよかったのは間違いない…リラックスしすぎてコカトリモンの通信、所々聞きそびれたし。水の中だと音が上手く聞こえないことって、あるよな?
「って、何考えてんだ…それより電源はっと」
ロップモンに戻った俺は操舵室で、機械の電源を入れるボタンを探していた。とはいえ、全然分からないっていうのが本音なんだが。船なんか操作したことなんてねぇし…あ、これか?
ポチッ。ギギ、ウィーーン…
「お、動いた?じゃあ、後はアクセルか」
「ロップモン!」
「お、結衣。太一達も無事だったか」
「ああ。ヌメモン達はもう船から出て行ったぞ」
結衣が捕まっていた太一達も助け、全員でここまでやってきた。結衣が俺の前でしゃがみ、いつものように拾いあげる。
「ロップモン、トゥルイエモンに進化出来たんだって?」
「おう!」
「僕も早く進化したいな~…」
そういえば、トコモンはずっとトコモンのままだな…戦う機会が殆どなかったからか、それともエンジェモンの時の聖なる力を集め過ぎた弊害なのか…でも、原作よりは早くパタモンになれるはずだ。
「そうだ、光子郎。ここの機械動かせねぇか?全然進んでくれねぇんだ」
「船を動かすんですか?でも…」
「そういう時は、叩けばいいんだよ!」
「止めろ、太一!それで前にアンドロモンが暴走したんじゃないか!」
「そうなのか?太一!」
そんなこともあったなぁ…あの時は太一がアンドロモンを叩こうとして、皆で止めて、そしたらアグモンが…
ガァン!
「っておい!お前何叩いてるんだ!?」
「へ?」
デジャブが起きた…アグモンが、またしても船の機械を叩いた。コイツ…失敗から学んでないのか?
それが切欠だったのか…機械から変な音がし始めて、船が徐々に進み始めた。
コカァー………
「今、何か聞こえなかったか?」
「キノセイジャナイカ?」
「なんで片言なの…ごめんなさい」
結衣が敵に拝んでる…まあ、死んでないって!きっと、多分、恐らく。原作で船と共に爆散するよりはマシ…なはずだ。きっと生きてるよ、うん。あれはきっと断末魔じゃないんだよ。ただ叫んだだけ。
「ねぇ、これどこ向かってるの?」
「さぁ…?」
「それより、速くなってないか?」
「……これ、止め方分からないんじゃない?」
〈あ………〉
結衣の一言によって、危機的状況に陥ったことに気づく子供たち。だーから機械を叩くなんて良くないんだって言ってんだよ。
「どうやって止めるんだよ!」
「光子郎君、どう!?」
「駄目です…制御できなくなってます!」
「あ、あれ!」
「巨大サボテン!?」
「また、蜃気楼!?」
「いや、影がある!」
進行方向にあったのは、数時間前に見た蜃気楼と同じような巨大サボテン。しかし今度は影があり、このままだとあのサボテンに激突…このままだと、爆散するの俺達じゃね?
仕方ない…ブレーキが利かないなら、機械をぶっ壊すか船から飛び降りるしかない!
「光子郎、これぶっ壊したら止まると思うか?」
「壊す…いえ、そんなことしたら船を止める手段が無くなります。機械トラブルであちこちに不具合が生じるかも…」
「ってことは、壊すより飛び降りた方が良いな…皆!あのサボテンにぶつかる前に降りるぞ!」
「テントモン、お願いします!」
「ガブモン!」
「ゴマモンも!」
光子郎、ヤマト、丈の三人がデジヴァイスを取り出し、成熟期へと進化させる。それぞれバラバラに乗せてもらい、豪華客船から飛び降りる。豪華客船はそのまま巨大サボテンに衝突し、巨大サボテンは大きくしなる。そして元に戻る反動で、豪華客船は上空へと吹っ飛ばされた。
「蜃気楼じゃ、なかった…」
「本物の巨大サボテンだ!」
カブテリモンの上で、一緒に乗っていたミミとパルモンが喜んでいる。吹っ飛ばされた豪華客船は、船体が真っ二つに折れ曲がってしまい、やがてサボテンの上の方で爆発した。
「危なかった…」
「な、何?」
ミミの方を見ると、ミミが首から掛けていたタグが光っていた。タグが勝手に浮かび、さっきの巨大サボテンに向いている。すると巨大サボテンの一番上の部分に蕾が出て、その蕾が花咲いた。その花の中から出てきたのは、雫みたいな形の模様が刻まれた石盤。
「紋章だ!」
紋章がミミのタグと同じ光を放ち、徐々にミミの方へと小さくなりながら近づいていく。タグに収まるサイズになる頃には、タグの真横に紋章があり、すぐにタグの中に填まった。
「これがゲンナイさんが言ってた、タグと紋章が惹かれ合うってことなんだ…」
「紋章…私、パルモンを正しく育てられるかしら…」
「み、ミミ…」
ちょっと内容薄い気がするけど…気にしないで下さい。
今回で、今年の更新は最後!来月からはまた十五日の更新に戻りますのでお間違いのないようにお願いいたします!
毎週更新やってみて思ったのは、今月やらなければ良かった、ですね(笑)
次の毎週更新はいつになるのかわかりませんが、ちゃんと前書きか後書きでお伝えします。
では、今年最後のアニメ感想のコーナーをやっていきたいと思います!ネタバレ嫌な方は例のごとくブラウザバックでお願いします!読んでいただきありがとうございました!良いお年を!
さて、それでは今日のアニメの感想をやっていきましょう!
前回に引き続きロップモンの尊さを感じながらお送りしております。やっぱりロップモンは聖なるデジモン関連のデジモンでしたね!予告でそんな描写があったし、次回が楽しみ。
今回はついに、ウォーグレイモン登場回!!
進化シーンがマジでカッコよかった…いや、カッコよすぎです。
それだけに、進化までの過程がちょっと微妙な感じになってしまったのは自分だけでしょうか?なんか太一さんの勇気を感じることが出来なかった…勇気っていうより、不屈って言った方がしっくりくる気がしました。
っていうか、ウォーグレイモン大きすぎませんか?シルエットの時点でも思ってましたが…無印の大人より少しくらいの大きさでヴェノムヴァンデモンくらいの巨大な敵を倒すのにカッコよさを感じていたんで、ちょっと残念。メタルガルルモンもあんな大きさになったりするのだろうか…
一方で光ちゃんは未だテイルモンと出会えず。テイルモンの声優さんの声が聴きたいなぁ…
と、今回はこれで感想コーナー終わりにしたいと思います!来年もまた、よろしくお願いいたします!