デジモンアドベンチャー 優しさの少女と転生デジモン   作:Zelf

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先月お休みさせて頂き、ありがとうございました!

そしてお待たせ致しました、今回でエテモン編完結になります!

ちょっとリハビリ的な回になっていて、字数も少し少なめ(九千越え)になっています。




第十九話  完全体進化!メタルグレイモン

 目が覚めた時、そこは知らない部屋の天井だった。辺りを見渡してみると…三辺の壁はピラミッドの壁だったけど、足下の方の壁には大きなモニターとそれを動かす機械があった。部屋にはベッドが全部で四つ…私もベッドに磔にされてるみたいだから良く見えないけど…何とか顔を起こした時に、足下の方のベッドに水色の帽子が見えた。

 

 そっか…私、捕まっちゃったんだ。空ちゃんと一緒に、ナノモンに攫われたんだ。あれからどれくらい時間が経ったんだろう…こうなってしまった以上、太一君達の救出を待つしかない。

 

 ふと、もう一度辺りを見渡す。私と空ちゃんがいるのに、パートナーの二人がいない…つまり、あの煙幕の中、ナノモンが攫ってきたのは私達だけってこと。良かった…ロップモンは無事だったんだ。絶対、ロップモンが太一君達と一緒に助けに来てくれる。私達はそれまで、ただ寝転がっていれば良いだけ…それだけなんだ。今は、まず空ちゃんが無事なのか確認しないと。

 

「空ちゃん、起きてる?…空ちゃん!」

 

「…う、うぅん……あれ、ここは…?」

 

「目が覚めた、空ちゃん?体は何ともない?」

 

「はい…結衣先輩、ですよね?どこに…何、これ?」

 

『ここは、私の研究室だ』

 

目が覚めた空ちゃんが、少しずつ状況を理解して混乱してるみたい。そんな時、部屋全体に響いてきた、機械的な聞き覚えのある声。私はまた部屋中を見渡して、見上げるようにして私の上側を見たときに、巨大なモニターの前に立つナノモンの姿があった。

 

「私達をどうする気!?」

 

『お前たちを使って、エテモンを倒すのだ』

 

「…パートナーもいないのに、私達だけじゃ何も出来ないよ?」

 

『お前たちがこのピラミッド地下にいることは、お前たちの仲間の一人が気がつくはずだ。そうなれば、お前たちを助けに乗り込んでくるに違いない。見ず知らずのデジモンですら助けようとする連中だからな』

 

 …あれ、確かナノモンって元々空ちゃんとピヨモンを攫って、助けが来るのは予想外だったはずじゃ…?

 

「お生憎様!ピヨモン達がいたとしても、パートナーがいなきゃ進化出来ないわ!」

 

『お前たちを使うつもりはない。見るが良い』

 

 そう言って、ナノモンはモニターの方へと向き直る。何か操作をした後、私の頭の上の方にあったオレンジ色の光を当てるバー?が足下の方へとスライドするように下りていった。隣に並んでいた二つのベッドの方も、同じようにバーがスライドする。少しすると、そのオレンジ色の光の場所に何かが形成されていっている。

 

「何よ、これ!」

 

『お前たちをコピーしているのだ』

 

「えぇ!?」

 

『お前たちはまだ紋章の力を全く引き出せていない。だから私がこのコピーを使って力を引き出してやろうというのだ』

 

 ナノモンが近くのスイッチを押すと、見覚えのある形をしたもの…紋章があった。赤い、ハートのような形が刻まれている。でも、出てきた紋章は一つだけ。あれは、多分だけど空ちゃんの紋章かな?

 

「それは、紋章!?貴方が持ってたのね!」

 

『これは…ふむ、こちらか。生憎と一つしかないが、どうということはない。エテモン程度、紋章が一つあれば事足りる…もう片方も使い道はあるだろう』

 

「私と結衣先輩のタグまで…」

 

 私達が眠っている間に取り上げたらしいデジヴァイスと紋章がある。ナノモンにもどっちのか分からなかったみたいだけど。そういえば、前にロップモンが、ナノモンが私の紋章を持っている可能性もあるかもしれないって言ってたっけ。残念ながら、そんなことは無かった。

 

『私はかつてエテモンと戦い、過去の記憶の殆どを失ってしまった。失われた記憶は二度と戻らない。私に出来ることは、エテモンに復讐をすることだ…どんな手を使ってもな!』

 

そう言った後、ナノモンは殆ど喋らなくなった。その間、私は出来る限り空ちゃんを励まし続けた。太一君達が助けてくれる、その希望を捨てないように…最善を尽くす。それが、私に出来る唯一のことだから。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「居場所も分からないんだぞ?ナノモンが行動を起こすのを待つしかないだろ?」

 

「その間に、空と結衣さんに何かあったらどうするんだよ」

 

「ナノモンの目的はエテモンを倒すことだ、だったら俺達が先にエテモンを倒せば、返してくれるんじゃないか」

 

「さっき負けたばっかりなのに…」

 

 スフィンクスの口を通って、昼間にいたデジ文字が描かれている洞窟まで避難した後、太一達は今後どうするかの話し合いをしていた。空と結衣をどうやって助けるのかを。夜飯を食って、アグモン達が眠った後も続けている。

 

「俺があの時、二人を助け出していれば…」

 

「自分ばっかり攻めるなよ!僕達だって…」

 

「何か、何か出来ることはあるはずだ!」

 

「違うわ…私が、空をちゃんと守っていなかったから……空ぁ」

 

「ピヨモン、泣かないで…」

 

「……」

 

 デジモン達でまだ起きているのは俺と、心配で眠れないといった様子のピヨモンのみ。ピヨモンの気持ちは痛いほど分かる…俺も、同じようなもんだから。ナノモンの隠れ場所、何をしているのかが分かっていても…俺には、簡単に割り切れるものじゃないらしい。

 

「皆さーん!分かりました!」

 

 洞窟の中でずっと作業していた光子郎が太一達を呼ぶ。俺とピヨモンもついて行くと、中にはピラミッド内部の地図が空中に映されていた。

 

「ナノモンは何処かに逃げたフリをしてただけなんです。実際には殆ど移動していなかったんです」

 

「それじゃあ!」

 

「まだ、あのピラミッドの中にいるのか!?」

 

「はい。ピラミッドの地下、最も深い部分に隠し部屋が存在するんです。間違いなく、ナノモンと空さん達はそこにいます!」

 

「エテモンの裏をかいたというわけか…」

 

「空が、ここに…皆!危険なのは分かってる、でも俺、どうしても空を、二人をこの手で助けたいんだ!だから…」

 

「分かっているよ、太一!」

 

「俺達だって、同じ気持ちさ!」

 

「空さんも、結衣さんも、ここにいる皆の仲間だもん!」

 

「一緒に助けようよ!」

 

「私も…今度こそ、絶対に空を助ける!」

 

「ああ…ついでに、ナノモンをぶっ飛ばしてやる!」

 

「皆…!」

 

 そうだ、助け出すのは絶対。そのうえで、奴をぶちのめしてやる…絶対に許さねぇ。

 

 全員が眠りについた中、俺は怒りを抑え込むように深呼吸をしながら、何とか寝ようとした…けど、それも上手くいかず、気づいたら朝を迎えることになった。

 

 

 

 正直、体は休めていないと思うが、それ以上に早く動きたくてたまらなかった。朝日が出てすぐ、俺は散歩したり技を出したり…色々やったが、全く気が晴れなかった。これじゃダメだ。そう思って、結局は太一達が起きるまで、座って深呼吸して過ごした。

 

 実は結衣が連れ去られた後、何とかトゥルイエモンの状態を保っていられないかと踏ん張ってみたんだが、結局戻っちまったんだよな…この件が済んだら、常時成熟期になれるように特訓しねぇと。

 

 で、肝心の作戦だが、テントモンが探索に出た結果、ピラミッドの周囲にはティラノモンやモノクロモン、ガジモンなんかがウジャウジャと配置されていて、気づかれずに潜入というのはまず無理だ。なので、ヤマト達が囮になっている間に太一と光子郎、アグモンにテントモン、俺、ピヨモンが一気に潜入するという作戦だ。

 

「二人を助けるのが第一だ、くれぐれも無理な戦闘はするんじゃないぞ」

 

「ああ」

 

「丈さん達こそ、無理な戦闘は避けて下さい。エテモンが出てきたら、皆逃げて構いません」

 

「分かってる。タケルも、良いな?」

 

「うん!」

 

「皆無事で、ここに帰ってきましょ!」

 

 ピラミッドを囲むようにヤマトと丈が配置につくまでの間、俺達は布団代わりに使っていた布を隠れ蓑にして、砂に擬態して待機だ。

 

 数分後、ピラミッドにミサイルが着弾した。別の方向では、青い炎が空に迸っているのが見える。どうやら、二人が動き出したらしい。少しして、エテモンが乗っていると思われるトレーラーがピラミッドから出て行った。

 

「行くぞ!」

 

「気をつけてね!」

 

 ミミやタケルと別れ、俺達は隠し通路からピラミッドへの潜入に成功した。順調に進んでいるが、昨日の戦いの余波か所々崩落している場所がある。ある程度進むと、完全に瓦礫で進めなくなっている場所があった。

 

「一旦、隠し通路から出ないとダメですね…」

 

 …この時に、隠し通路から出たのが原因で監視カメラに映って、エテモンが戻ってくるんだっけか。俺達にとっては不利な展開ではあるが、ガジモンの通報が無いとヤマト達がピンチになったはず。ここは、原作を変えるとか言ってる場合じゃ無い。

 

「…よし、大丈夫そうだな」

 

 隠し通路の外に出て、別の隠し通路に移動して、そのまま慎重に進んでいく。思ったより、所々崩れているんだな…ここだけじゃなく、数回正規の道に出ないと通れない場所が何カ所があった。

 

 

 

 ビーー!!ビーー!!

 

 

 

「な、なんだ?」

 

警報が鳴り響いた直後、隠し通路の外にはガジモンがウロウロし始めた。完全に警戒態勢になっちまったな…しかし、大分進んだことには変わりないはずだ。

 

「気づかれたみたいでんな…」

 

「あともう少しなのに…あの通路を右に行った正面の壁が、ナノモンの部屋に通じる隠し通路になっているんです」

 

「…何か、聞こえない?」

 

「何かって?」

 

「…上だ!避けろ!!」

 

 天井の方から聞こえる、ドゴォン!という破壊音。これは、何者かが一直線にこっちに向かってきているということだ。

 

 太一達が俺の声に反応して上を見たその時、天井が崩壊し…エテモンがやって来た。

 

「うわぁ!?」

 

「見~つけた!ナノモンが何処にいるか教えて貰うわよ!」

 

「太一さん!ここは僕とテントモンで何とかします、早く空さんと結衣さんを!」

 

「テントモン、進化――っ!!カブテリモン!!」

 

「光子郎、頼んだぞ!」

 

 成長期の俺達じゃ足手まといになる…そう考え、ピヨモンに太一達の後を追うように促し、先へ急ぐ。やがて、昨日見た高圧電流が流れている鉄格子の壁の場所まで来ることが出来た。後は…

 

「……」

 

「…僕が先に行くよ!」

 

「待ってくれ、アグモン。二人も」

 

「太一…」

 

「…俺が行く!この壁の向こうには、俺の大切なモノがあるんだ」

 

「…空のこと?」

 

「…ああ、けどそれだけじゃない、俺があの時失ってしまった、もっと大切な何かがあるような気がするんだ」

 

「太一、頑張れ!」

 

 体が小刻みに震えているのが、少し遠くから見ていても分かる。そう…皆、まだ小学生なんだよな。ただの小学五年生だった太一が、命を賭けて、惚れた女を助けようとしている。

 

「ここが正念場だ…太一!」

 

「頑張って、太一!」

 

「勇気を出して!!」

 

「う、うぁあああっ!!」

 

 

 

 太一が、右手を壁に突っ込む。ちゃんと隠し通路に通じていて、さらに…太一の勇気の証を示すように、太一の胸元が光り輝いたのが俺には見えた。

 

「やったぁ!」

 

 アグモンが叫んだ瞬間、後ろの方からカブテリモンとエテモンが通路を破壊しながら現れる。カブテリモンの腕を掴んで、抑え込むエテモン。それを見たアグモンが一歩踏み出す。

 

「アグモン、進化――っ!!グレイモン!!太一、今の内に!ロップモンとピヨモンも!」

 

「…頼む。行くぞ、太一!」

 

「分かった!」

 

 隠し通路を抜けた俺達は、そこで今までの部屋とは違う場所に出た。大きなモニターと機械、部屋に置かれている四つのベッド、そしてその中の二つに寝かされている、二人の少女。

 

「空!!」

 

「ピヨモン!太一!」

 

「ロップモン…!」

 

「結衣…!」

 

 すぐに助けてやりたいが、今はまだ耐えろ…部屋全体を、観察しろ……!

 

「空と、結衣さんが…二人?」

 

『たった今、コピーは完了した』

 

 太一はベッドにいる二人と、ナノモンの近くに立っている二人を見て混乱しているらしい。

 

「…随分と趣味の悪いことやってるなぁ、ナノモンよ」

 

『エテモンを倒すため、そこのピヨモンとロップモン、そしてこのコピー二体を使い紋章の力を引き出してやろうというのだ。光栄に思うが良い!』

 

「何だって…!ふざけるな、それは空と結衣さんの物だ!」

 

 太一がナノモンの傍まで駆け出そうとしたその時、結衣と空が叫んだ。

 

「太一、ダメ!」

 

「ロップモン、ナノモンの下、三発!!」

 

「“ブレイジングアイス”!!」

 

 昨晩、ずっと考えていた。ナノモンがなぜ選ばれし子供だけを攫ったのか。いや、本来は空とピヨモン、結衣と俺…どっちか一組だけなら攫うことが出来た。しかし、あの時は俺もピヨモンも成熟期の姿だったし、大きさ的にも、タイミング的にも捕まえることが出来なかった。だから、二人だけを攫って、俺とピヨモンが助けに来るはずだと予想をつけて、その時に俺達も捕まえるつもりだった。

 

 そうなれば狡猾なナノモンのことだ、部屋の中に何かしらの罠を仕掛けているはず。ナノモンが真正面から俺達を攻撃することは、最終手段にするはずだ。つまり、罠を仕掛けている場合、ナノモンは目の点滅という分かりやすい特徴はあるが、それ以外はノーモーションで発動させることが出来る。成長期に退化してしまった俺達にナノモンを止めるのは無理…だったら、罠が発動する前にその罠自体を攻撃するなりして、何とか突破する必要があった。

 

 

 

 そこまで考えて、一つ、解決策を思いついた。結衣の観察眼なら、どこの罠が作動するのか、分かるんじゃないか?罠の内容が分からなくても、ナノモンが操作するあのモニターには、その罠が作動する場所が表示される、とか。そういった、よく観察しないと見抜けないことも、結衣なら分かるはず。

 

 だったら、俺が部屋に入った時にすることは、ナノモンと結衣、そして部屋全体をよく見ること。そして、結衣の声に耳を傾けることだ。

 

『何…!?』

 

 俺の冷気弾が、ナノモンの乗っている機械に直撃。それによって、中から何かしら飛び出す仕掛けだったのだろうが、俺の冷気弾が蓋をする形になって罠は不発となった。

 

 その間に太一が走り出し、二人のデジヴァイスと紋章(結衣のはタグだけみたいだが)を機械から取り返す。そのまま空と結衣の方に来ようとする太一だったが、ナノモンが目を光らせているのが見えた。確か、この後は…ヤバい!

 

「太一、結衣のを投げろ!」

 

『ふん、もう遅い!』

 

「きゃっ…!?」

 

「太一っ!!」

 

「空!!」

 

「くっ…!」

 

 結衣と空が寝かされていたベッドが消え、穴がそれぞれの真下に一つずつ開く。

 

 太一とピヨモンが空を、俺は結衣を下に突然空いた大穴に落とさないよう必死に掴む。やべ…これじゃ俺も、動けん…!

 

「お、おも…」

 

「ロップモン……」

 

「こ、これは…!?」

 

『エテモンのネットワークを形作っている暗黒の力の中心部だ。そこに落ちれば全ての物が暗黒の力に吸収され欠片も残らない。オリジナルに用は無い、消滅してもらおう!』

 

「そんなこと、させるもんですか!“マジカルファイアー”!」

 

 ピヨモンが太一に空を任せて、ナノモンを迎撃しているが…やっぱりだ、アイツ機械なだけあって固いらしい。全然効いてねぇ…!

 

 穴の底を見ると、巨大なチューブでぐるぐる丸くまとまった物が見えた。それを見ただけで、体にゾクッ…っと、背筋が凍るような感覚を覚える。これが、闇の力なのか…

 

 いや、今はそんなことどうでも良いだろ!まずは、結衣を何とか引っ張り上げねぇと…

 

「くっ……ぐ、ぐぅっ!」

 

「ロップモン…」

 

「ゆ、い!掴め、るか!?」

 

「う、うん!」

 

 ほんの少しだけど俺が持ち上げたことで、結衣はもう片方の手を伸ばして穴の縁を掴んだ。よし、これで俺が離しても大丈夫だろ!

 

「太一、こっちに投げろ!!」

 

「あ、ああ!」

 

「…よし!結衣!」

 

「うん!」

 

 太一が投げたデジヴァイスとタグを、耳でキャッチ。そのまま流れるように結衣に手渡す。それと同時に、デジヴァイスが光を放つ。

 

 

 

「ロップモン、進化――っ!!トゥルイエモン!!」

 

「わっ」

 

 進化した俺は、結衣の手を掴んで引き上げ、そのまま結衣を背負う。また穴を空けられたりしたら面倒だからな。

 

「ピヨモン、進化――っ!!バードラモン!!」

 

どうやら、ちゃんと空にもデジヴァイスと紋章は渡ったらしい。バードラモンが穴の中に足を入れて、すぐに浮上すると、足にぶら下がる太一と空が見えた。

 

『しまった…!』

 

「結衣!口閉じて、しっかり捕まってろ!!」

 

「っ!」

 

 俺は逃げる前に、呆けているナノモンの方へ跳んだ。右手だけ兎角鉄爪を展開し、ナノモンへ振り下ろした。

 

『グハッ…!』

 

「ふぅ……とりあえず、この一発だけはやっとかねぇとな」

 

 怒りが無くなったわけじゃないが、少しはスッキリした。踵を返し、今度こそバードラモンが突き破った入り口の方へ向かう。あそこ、例の高圧電流の隠し通路の筈だが…見事に瓦礫の山だな。壁を破壊した先にはグレイモンとカブテリモン、光子郎の姿があった。で、瓦礫の中に埋もれている、ビクビクと小刻みに震えているのがエテモンだな。

 

「アバババッ!?」

 

 そんな感じの奇声が聞こえた気がするが、無視。エテモンにとっては、どうせ大したダメージにはならねぇだろ。電流でしばらく痺れててくれ。

 

「空さん、結衣さん!」

 

「心配掛けてごめん!」

 

「逃げるぞ、皆!」

 

 目的が達成された今、もう隠密だの何だの気にする必要は無い。正規の道を目安に、一直線に道を作りながら外に出る。

 

「おーい、皆ーっ!」

 

 ざっと見た感じ、作戦通り散らばっていたエテモンの手下達を上手く分散させることが出来たみたいだな。スフィンクス側にいる敵の数は数えるほどで、丁度ヤマト達がこっちに向かってきていた。

 

 

 

 と、その時だった。背筋が凍る感じを背後に感じて勢いよく振り返る。

 

「トゥルイエモン?」

 

「…早く逃げるぞ」

 

 俺を先頭に、ピラミッドから離れヤマト達と合流することには成功した。ただ、移動する間ずっと嫌な感じがして、しかもそれが段々強くなっているように思えて仕方がない。

 

「空さん、結衣さん!無事で良かったぁ~!」

 

「皆、心配かけてごめんね」

 

「エテモンや、ナノモンは?」

 

「まだピラミッドの中みたいだな…早くここから離れよう!」

 

「…なぁ、トコモン」

 

「どうしたの?」

 

「お前は感じるか?あのピラミッドから…」

 

「…う、ん。何か、変な感じ」

 

 やっぱり、トコモンも感じるってことは…間違いない、闇の力とやらが増大してやがる。これはつまり…ナノモンが、あの気持ち悪い塊を活性化させたんだ。

 

「な、何?」

 

「引っ張られてるような…?」

 

「皆!早くスフィンクスへ!」

 

 ピラミッドを中心に吸い込まれていくティラノモンとかのエテモンの手下のデジモン達。俺達は流れに逆らえているが、奴らは多分黒いケーブルのせいで逆らえないんだろう。

 

「何が起こってるんだ!?」

 

「こっちが逃げるのには好都合です!」

 

「見て、ピラミッドが!」

 

 殆どのデジモン達が吸い込まれ…ピラミッドから、禍々しい光が放たれた。

 

「ど、どうなってるんだ?」

 

 

 

 光が収まると、突然ピラミッドが崩壊する。そして、ピラミッドの底…瓦礫の中から現れたのは、ピラミッドと同じくらいに巨大な、塊。さっきナノモンの部屋で見た、あの気持ち悪い塊だった。

 

 さっき見た物と唯一違うのは…その暗黒の力の塊に、エテモンが下半身を取り込まれていることだ。ナノモンが道連れにしようとした結果、エテモンがパワーアップしてしまった…だが。

 

『アハハハッハッハッハ!アチキがこんなことでやられると思ってるの?』

 

「エテモン…!?」

 

『ナノモンが勝手にくたばってくれたわ…次はアンタ達の番よ』

 

「“メテオウィング”!」

 

「“メガブラスター”!」

 

 バードラモン、カブテリモンの技がエテモンの下の塊に当たるが、当たった瞬間にデータ粒子化…見た感じ、吸収されたっぽい。

 

『あら、肩こりに丁度良いわ。これが代金よ、“ダークスピリッツ”!』

 

「うわっ!」

 

 見た感じは前に見た技と変わらないが、バードラモンとカブテリモンの二体を弾き飛ばし、遥か遠くに見えていた山、そして俺達の脱出の手段であるスフィンクスに直撃。すると、直撃した場所に飲み込まれるように…山も、スフィンクスも消滅した。

 

「あぁ、スフィンクスが!」

 

「逃げ道が、無くなった…!」

 

「このままじゃ、この世界全体が無茶苦茶になっちゃう!」

 

「でも僕達が敵うはず無いじゃないか!」

 

 エテモンのパワーアップに、殆ど全員が絶望している…しかし、一人だけ希望を捨てていない男がいた。胸元の輝きを見て、その瞳に光を宿している。

 

 

 

「いや、まだ一つだけ方法は残っている。行くぞグレイモン!」

 

「分かった、太一!」

 

『アハハハ!まだやる気なのね!』

 

「俺は逃げない、絶対に!」

 

 

 

 太一が、紋章をその手に持って掲げながら走る。グレイモンも太一と一緒に。紋章が輝いているのは、俺達からでも確認出来た。

 

「見て、太一さんの紋章が!」

 

「光ってる、紋章が光ってる!」

 

『ハン、無駄だって言ってんで、しょ!』

 

「うおっ…!」

 

 エテモンの“ダークスピリッツ”に吹っ飛ばされるグレイモン。地面に仰向きに

倒れてしまった。

 

「最後まで諦めるな、グレイモン!」

 

「太一の勇気が、僕の体に…力が漲ってくる……!」

 

 

 

 太一の持っている、デジヴァイスと紋章が、オレンジ色の光を放つ。それは今までの進化とは違う、力強い輝きだった。

 

 

 

「グレイモン、超進化――っ!!メタル、グレイモーーーン!!!」

 

 

 

「これは…!」

 

「紋章の力だ…!」

 

 グレイモンの左腕と頭部の外殻、胸部や尻尾の一部が金属へと変化し、背中には紫色に透き通った翼が生える。大きさもグレイモンの何倍にもなり、今のエテモン程ではないにしても、かなり巨大になった。

 

「これが、グレイモンの進化…!」

 

『少しくらい進化したからって、アチキに勝てるはず無いでしょ!』

 

 エテモンの“ダークスピリッツ”を、メタルグレイモンが左腕の“トライデントアーム”で切り裂く。時空を歪ませる程の攻撃を、容易く。

 

『何ですって!?』

 

「グアァァァッ!!」

 

「メタルグレイモン…!」

 

 メタルグレイモンが雄叫びを上げ、エテモンに体当たりを喰らわせる。必殺技を破られたことに驚愕していたエテモンは、その一撃を食らい大きく退く。

 

『…ぬうぅっ!よくもよくも、踏み潰してくれるわ!!』

 

 エテモンの、暗黒の力の大きさに正直ビビっていたが…今のメタルグレイモンには、その闇の力を凌駕する程のパワーを感じる。

 

 そして、ついにメタルグレイモンが決着をつけるつもりらしい。体に聖なる力を宿して、淡く光り始めた。

 

「メタルグレイモンが、光ってる!?」

 

「光のエネルギーだ!」

 

「聖なる力だよ!」

 

 

 

「“ギガデストロイヤー”!!」

 

 

 

 メタルグレイモンの胸部から射出された、二発のミサイル。それが暗黒の塊に直撃し、その爆風で俺達は吹っ飛ばされそうになる。何とか目を開いてみると…暗黒の塊が、さっきの山やスフィンクスみたいに、暗黒の塊が時空の歪みに飲み込まれ始めた。

 

 それに飲み込まれて始めているエテモンと…俺達よりもエテモンの近くにいた太一とメタルグレイモン。

 

『消えたくない、アチキは大スターなのよ!?何でこんな所でぇぇぇ!!』

 

「太一!!」

 

「うわぁっ…!メタル、グレイモン…!」

 

 

 

 時空の歪みに飲み込まれ……俺達の目の前には、砂漠だけが残った。

 

 

 




というわけで、次回は太一達が現実世界にいる間の期間を描写するので、ちょっとダイジェスト的な書き方になるかも。

まさか一回休んだことによって、:の最新話にエテモンが登場してきた後に投稿出来ることになるとは…

来月も通常通り更新予定ですので、次回もよろしくお願い致します!

ここから下は、アニメ感想のコーナーです。ネタバレあるので、嫌な方はここでブラウザバックをお願いします!











































それでは、アニメ感想のコーナーですね。

前回がどこまで語ったか、正直忘れてしまいましたが…確か、衛生狙撃作戦までだったかな?ブリッツグレイモンについては語った記憶があるので、その後からで。

まあ、全体を通して言うなら、光ちゃんとテイルモン加入してからあんまり物語進んでないっていうか、マンネリ感が凄いですよね。一話完結みたいな話をずっとやってるイメージ。このご時世で声優さんも全員集まれる機会があんまり無いとのことでしたが、進展としては、パタモンがエンジェモンにも進化出来るようになったことと、次の目的地にちゃんと向かってることが分かった、くらいじゃないでしょうか?

こんな風に、自分以外にもアニメがつまらないと感じてる方も多いのではと思います。

面白い回もちゃんとありますよ?例えば、丈先輩がまさかのメフィスモンと呪文対決とか、パルモンのアーマー進化(希望のデジメンタルの代わりにパタモンを取り込んだ状態で進化)とか。でもやっぱり、メインのお話が進まないことには何とも…ストーリー的に、アグモン以外のパートナーデジモン達も究極体に進化するはずなので、それを楽しみにして気長に待とうと思います。

個人的には、クーレスガルルモンとか、バンチョーリリモンとかに分岐進化なんてのも考えられるかな、と思ったり。あとは、新しい一枚絵…公式サイトに行ったら見れるんですが、ゴッドドラモンとホーリードラモンが気になるかな。そういえば、メタルガルルモンってウォーグレイモンと同じくらいデカかったりするのか…?

とまあ、ここら辺で感想も終わりにしたいと思います。何だかんだもうすぐ40話くらいですから、ここまで来たら打ち切りにならずに、完結までやってほしいな…と願うばかりです。それでは、来月もよろしくお願い致します!ここまで読んで下さり、ありがとうございました!
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