デジモンアドベンチャー 優しさの少女と転生デジモン   作:Zelf

22 / 26
投稿が遅れてしまい、誠に申し訳ありません!

正直投稿出来ないかと思っていましたが、ギリギリ間に合ったので許して下さい…!




第二十二話  輝く翼!ガルダモン

 ヤマト達と合流した俺と結衣は、これまでの経緯をお互いに伝えながら、太一達との合流地点を目指して移動していた。途中一回野宿して、今は山を下る道を進んでいる。

 

「じゃあ、ロップモンも完全体になったのか」

 

「結果、このザマだけどな」

 

「でもカッコ良かったよ、アンティラモン」

 

「いいなぁ~…パタモンも早く進化出来ると良いね!」

 

「うん!」

 

 エテモンとの戦いが終わるまでずっとトコモンだったが、太一達と合流する前にパタモンに進化出来ていたらしい。まあ、ピコデビモンとの戦いに関してはそんなに変わってなかったみたいだが…変化があったとすれば、先に進化していたことで、あの忘れキノコのことが判明した瞬間にアグモンと一緒にボコったらしい。

 

 俺の予想としては、正直エテモンの戦いの時にパタモンになっていてもおかしくないと思っていたんだけどな…俺がエテモンとの戦いの時にもう成熟期まで進化することは出来てたわけだし。やっぱ戦う機会が無かったのが原因か?

 

「で、お前らも幼年期ってことは、完全体になれたってことだな」

 

「ああ!」

 

「わてもやるときはやりまっせ!」

 

「それにしても、結衣さん達がいなくなったのにはそういう理由があったんですね。探し出せれば良かったんですが…」

 

「結衣さん達がいなくなったから、僕達いっぱい探したんだよ!」

 

「ごめんね…でも、皆元気そうで良かったよ」

 

「それで、何でお前らはバラバラになってんだ?」

 

「結衣さんがいなくなってから、俺が提案したんだ。太一や結衣さんを探すなら手分けして探した方が見つかりやすいだろうって。でも、それから皆分かれて行動することが多くなって…最終的に残ったのは、俺とタケルだけだった」

 

 なるほど…どうやら、バラバラになった経緯に関しては変化が起こってるみたいだな。原作だといなくなったのは太一だけだし、一番最初に別行動をしたのが空だったはずだ。それから一人ずついなくなってくって展開で…そういや、それにもピコデビモンが一枚噛んでたな。丈あたりは原作通り騙されてそうだが…

 

「それじゃあ、私達が原因で離ればなれになっちゃったんだね…」

 

「ま、そんな気にしなくて良いんじゃないか?太一も戻って来たって話だし、そっちでも他の奴らを探してるんだろ?」

 

「ああ、今は太一と丈が俺達とは別の仲間の所に行って、この道を下りた山の麓で合流することになってる」

 

 話ながら進んでいる間に、目的地と思われる山の麓は、もう目と鼻の先だった。具体的な場所は分からないが、山を下った所にある森のすぐ傍に湖が見えた。かなり広く、海と言われても信じるくらいだ。そして、その湖の真ん中辺りに、森の方へ直進する何かが見える。

 

「なぁ、あれって太一達なんじゃないか?」

 

「え?」

 

「きっとそうだよ!早く行こう!」

 

「待て、タケル!そんなに慌てると転ぶぞ!」

 

 タケルを先頭に、俺達は駆け足で山を下っていく。見えていたのはスワンボートで、距離が近づくにつれてボートの上に乗るミミ、そしてボートを必死に漕ぐ太一と丈の姿が見えた。

 

「おーい!」

 

「ヤマトだ!」

 

「結衣さーん!会いたかった~!」

 

「ミミちゃん、元気そうで良かった!」

 

 太一達が岸に上がる頃に丁度合流し、再会を喜び合う子供達。やっぱ、空はいないみたいだな…ちゃんとこの近くにいてくれれば良いんだが。

 

「コロモン、元気そうだな」

 

「うん!皆もね!」

 

「あら、少し見ない間に、小っちゃくなっちゃったのね」

 

 まあ、パルモンの言う通り、再会したら半数が幼年期になってるわけだしな。幼年期の状態で会うのが、何だか懐かしく感じる。

 

「空は?」

 

「いや、俺達は会わなかった」

 

「そっか…アイツ、どこ行っちまったんだ?」

 

「アタシ…空さんに会ったかも」

 

「え?」

 

「どこで会ったんだ?」

 

「ゲコモンの城…もしかしたら、夢だったかもしれないけど」

 

「そんなことあったんだ」

 

 そうか、ミミは確か、ゲコモンとオタマモンが住んでいる城で姫様になっていたんだっけな。アニメでも、ミミが歌うシーンが印象的だったのを覚えている。あのシーン、生で見てみたかった…というか、ミミがアニメのエンディング曲を歌うのを聴きたかった…!いつか頼んだら歌ってくれねぇかな。

 

「実はさぁ、僕にキノコ食べちゃダメだって教えてくれた声も、なーんか空の声に似ていた気がするんだよなぁ」

 

「ホントかよ?」

 

「でも、それなら何で空さんは僕達の前に出て来ないの?」

 

「考えても仕方ないさ…俺達は空じゃないんだ。まず、本人を捕まえようぜ」

 

「まるで鬼ごっこみたいだな!」

 

「こっちの方角ですね」

 

 全員でデジヴァイスの反応を見ながら、空がいるだろう場所へ向かう。結衣のデジヴァイスを見せてもらうと、どうやらちゃんとこの森の中にいるみたいだ。だとすると、原作と同じような展開になる可能性が高いかもな…いつでも戦えるように準備しておこう。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「おーい、空~!」

 

「空さーん!」

 

「ねぇ、今日はもうこの辺にして、休む場所を探さないか?暗くなってから奥地に入り込むのは危険すぎるよ」

 

「ハァ、ハァ…アタシ疲れた…」

 

「でも、もうこの近くにいるはずだ」

 

 合流してから数時間、森の中をずっと探し続けているけれど、私達はまだ空ちゃんを見つけることが出来ていない。デジヴァイスの反応では近くにいることは分かっているんだけど…空ちゃんも、私達に出会わないように動いているみたいだった。それ程、私達に会いたくないってことなのかな…

 

「あ!」

 

「どうしたの?」

 

「何か聞こえる!」

 

「空さんかも!」

 

「チョコモンは?」

 

「悪いが、今の俺じゃ聞こえん」

 

 あ、そっか。ロップモンじゃないと聞こえないんだよね。昨日初めて完全体に進化したばかりで疲れているだろうし、幼年期でいてもらうのも良いと思っていたけど、進化してもらった方が良いかな…?

 

 

 

 そう思っていた時、私の耳にも、ブゥーン…という音が聞こえてきた。その音はどんどん大きくなって、聞こえてくる方向を見ると、こっちに真っ直ぐに飛んで来る蜂のようなデジモンがいた。

 

「伏せて!」

 

 体当たり攻撃を躱した私達だけど、蜂のようなデジモンは空中で大きく旋回し、私達の方へまた狙いを定める。チョコモンを見て、小さく頷いたのを確認した私は、チョコモンを地面に下ろしてからデジヴァイスを構える。

 

「チョコモン、進化――っ!ロップモン!“ブレイジングアイス”!!」

 

 冷気弾が飛んでいくけど、敵は紙一重で攻撃を躱して、こっちに向けてお尻…正確には、お尻にある針を向けた。太さから見て、針というか…どちらかというと棘って表現する方が正しいかな。

 

 その棘をわざわざこちらに向けるような不安定な体勢をするってことは…

 

「ロップモン!」

 

「おう!パタモン、俺と同時に攻撃してくれ!」

 

「うん!」

 

「“ブレイジングアイス”!」

 

「“エアショット”!」

 

 パタモンの空気弾が加わったことで、さっきより数段早い冷気弾が蜂のデジモンを襲う。蜂のデジモンも、予想した通り棘をこちらに何発か飛ばして、ロップモンの冷気弾に当てて攻撃を凌いだ。どうやら、そんなに命中率は高くないみたい。

 

「この間、ゲンナイさんに貰ったデジモンアナライザーで…ありました!フライモン、昆虫型デジモン、成熟期。タイプはウイルス。必殺技は猛毒の針を飛ばす“デッドリースティング”…猛毒の針!?」

 

 怖い必殺技だね…どうやらかなり速度は速いみたいだし、空中戦じゃトゥルイエモンでも追いつくのは難しいかも。となると…何とかして、地上におびき寄せるしかない。

 

「皆!フライモンを攻撃して、地上に誘導して!低い位置におびき寄せれば、後は私達で何とかする!攻撃のタイミングは、フライモンが針をこっちに向けたときにお願い!」

 

「分かった!行くぞ、コロモン!」

 

「ツノモン、お前も頼む!」

 

「結衣、俺達も行くぞ!」

 

「うん!」

 

 私と太一君、ヤマト君のデジヴァイスが光を放ち、三体のデジモンが進化の光に包まれる。

 

「コロモン、進化――っ!!アグモン!!」

 

「ツノモン、進化――っ!!ガブモン!!」

 

「ロップモン、進化――っ!!トゥルイエモン!!」

 

「よーし、行くぞ!“ベビーフレイム”!!」

 

 アグモンを筆頭に、全員が上空を飛んでいるフライモンに目がけて攻撃を放つ。フライモンは攻撃する体勢に入った時にタイミング悪く攻撃が来るから、いずれ我慢出来ずに低空飛行で近づいてから攻撃してくるはず。

 

 その時は、案外早くやって来た。フライモンが旋回して木々の中に隠れ、こっちにフライモンの羽音だけが近づいてくる。その羽音が、致命的な弱点であることに気づかずに。

 

「“巌兎烈斗”!!」

 

 フライモンは悲鳴を上げる間もなく、姿を現した瞬間にトゥルイエモンの一撃で撃沈。完全に動きを捉えていたみたい。フライモンは木に衝突し、気を失ったらしく、ピクリとも動かなくなった。

 

 これでフライモンはもう大丈夫。デジヴァイスの方に目を向けると、もうすぐ近くに空ちゃんの反応があった。さっきまで離れていたのに…空ちゃん、皆を助けようとしてくれていたんだ。これだけ近くなら…

 

「トゥルイエモン、空ちゃんとピヨモンが何処にいるか分かる?」

 

「ん……見つけたぞ。あっちだな」

 

「よし!それじゃ皆、行こう!」

 

 トゥルイエモンはロップモンに退化するのを見て、私は駆け寄ってロップモンを抱きかかえる。その後、全員で空ちゃんがいると思われる場所まで急いで向かう途中、大きな川があった。大きめの岩を足場にすれば、向こう岸まで渡れそう。滑りそうだから、気をつけて行かなきゃ。

 

 太一君とアグモン、ヤマト君とガブモン、タケル君とパタモンが向こう岸まで渡った後、丈君とゴマモンが渡り始めたんだけど…

 

「う、うわぁ!?」

 

「丈!」

 

「落ち着け!足がつく深さだぞ!」

 

「おーい!大丈夫かー?」

 

「後から追いつくので、太一さん達は先に空さんの所へ向かって下さい!」

 

「ミミちゃん、パルモン、向こう岸に渡った後で良いから、丈君を引き上げてあげて」

 

「ハーイ!」

 

 先に渡った三組が空ちゃんの所へ向かって走り出す。その後、ミミちゃんがパルモンに掴まり、パルモンが蔦を伸ばしてターザンの要領で向こう岸へ渡り、また蔦を使って丈君を引上げてくれた。

 

 その後の私達は特に問題もなく、川の向こう岸に全員渡り終えた。丈君がびしょ濡れになっちゃったから、少し準備に時間がかかったけど、デジヴァイスの反応を頼りに太一君達の後を追っていく。

 

「あ、いた!」

 

「おーいっ!」

 

「あ!丈さん達だ!」

 

 無事に太一君達と合流すると、空ちゃんとピヨモンも一緒にいた。良かった、無事に合流できたんだ。でも、空ちゃんの目が腫れているような…

 

「ねぇ、空ちゃんを泣かせたの…誰?」

 

「そ、それは…」

 

「「太一!」」

 

「なっ!俺は何も!」

 

「…太一君、ちょっと良いかな?」

 

 アグモンとガブモンの証言により、太一君に視線を向ける。慌てふためく様を見ていると、自分が犯人だって言っているようにしか見えない。これは、ゆっくりお話しないといけない。

 

 

 

 

 

 

 私と太一君の話が終わったのは、もう夕焼けが終わるような、夜空になり始めた頃だった。空ちゃんの鶴の一声で勘弁したけど…女の子を泣かせるなんて、この程度では許されないと思う。まして、空ちゃんのような良い子を…

 

「…結衣、もう飯だぞ?」

 

「あ、うん。今行くよ」

 

 いけないいけない、もう終わったことなんだから、私も切り替えないと。

 

 皆と合流した私は、焚き火の近くに座り、皆と同じように夕飯を食べ始める。食べながら、これからどうなるのかも思い出しておかないと…

 

えっと、確かロップモンの話だと…今晩、ピコデビモンとヴァンデモンが襲撃してくるって言ってたっけ。ピコデビモンは確か、パタモンとアグモンが戦った相手で、ヴァンデモンがピコデビモンのボス。そのヴァンデモンは完全体だけど、今の私達じゃ勝てないくらい強い相手らしい…アンティラモンが加わったとしても、さほど状況は変わらないかもしれないってロップモンは言っていた。

 

 完全体になれるようになって間もない私達のパートナーでは、同じ完全体でも差が出てしまうんだとか。確かに、私達のパートナーと違って、他のデジモン達は進化するとずっとそのままの姿になるわけだから、完全体に進化したらそのまま完全体として戦い続けているわけだから…慣れというか、経験の差が出てしまうのかも。

 

 ヴァンデモンの襲撃を避ける手段として、私達の近くで監視しているはずのピコデビモンを何とかするのが手っ取り早いんだけど…ロップモンは何故か周囲に敵の音は聞こえないって言ってた。どういうことなんだろう…?もしかして、ピコデビモンは音を消して近づくことが出来るとか?うーん……あ、そうだ。

 

「ね、光子郎君。さっきフライモンとの戦いで使っていたデジモンアナライザーなんだけど」

 

「ああ、これはゲンナイさんにもらったんです。といっても、ゲンナイさんに直接会ったわけではなく、ゲンナイさんの姿をしたホログラムのようなものだと思いますが…パソコンにインストールされていたんです」

 

「そうなんだ…これ、光子郎君が会ったデジモンの情報が見れるんだよね?他の人が会ったデジモン達の情報とか見れないかな?」

 

「ちょっと試してみます。…………どうやら、ダメみたいです。これには僕が出会ったデジモンの情報しか載っていないみたいですね。どうにかして、皆さんが出会ったデジモン達の情報を知ることが出来れば良いんですが…」

 

「そっか…ありがと、光子郎君」

 

「でも、突然どうしたんですか?」

 

「太一君とか空ちゃんは、ピコデビモンってデジモンに会ったって言っていたでしょ?私は会ったこと無いから、どんなデジモンなのか分からないかなって思って…」

 

「成る程…僕もピコデビモンには会っていないです」

 

「アタシも!」

 

 光子郎君とミミちゃんも、ピコデビモンには会っていないみたい。逆に、その他の五人はピコデビモンに会っていて、どんなデジモンなのか教えてくれた。コウモリのようなデジモンで、丸い胴体に一対の黒い翼、あとは鋭い爪が目立つ二本の足を持つデジモンらしい。

 

「アイツ、狡賢いデジモンなんだよ!」

 

「そうそう、僕達に忘れキノコを食べさせようとしたり!」

 

「他にも、レストランで俺や丈にちょっかい出したりしていたらしい」

 

「僕は最初、人間がいるってそのデジモンに教えて貰ったんだけど…後で騙されていたんだって気づいたよ」

 

 卑怯なデジモンだってことは分かった…かな?てっきりデビモンっぽい名前だから、デビモンを小さくしたようなデジモンなのかなって思っていたんだけど…聞いた感じ、可愛らしい姿のデジモンなのかもしれない。小憎たらしい感じかな?やっていることは、小憎たらしいで済ませたらいけない内容もあるけど。

 

「ふわぁ~…」

 

「そろそろ休もう。ピコデビモンのことは気になるが…今日はもう遅い」

 

「そうだな!」

 

 そんな会話の後、私達は就寝の準備に入る。見張りは交代ですることになって、最初の見張り担当の太一君とアグモン以外の皆は先に休むことにした。

 

「結衣、寝てて良いぞ。俺は暫く警戒しておく」

 

「うん…何かあったら、すぐに起こしてね」

 

 ロップモンが小声でそう言ってきたので、素直に甘えさせて貰う。本当は私だけ休んでしまうことに少し罪悪感があるけど…いざという時に動けない方が問題だから、無理矢理にでも休んでおかないと。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 皆が寝静まって、数時間経った頃。

 

 見張りが交代し、今は丈とゴマモンが見張りの担当だ。俺はずっと耳を澄ませているんだが…何故か、風や木の葉の擦れる音しか聞こえない。何でだ?ピコデビモンは空と合流した今日、ヴァンデモンに報告し、そのヴァンデモンがこっちに到着する前に手柄を立てようと攻撃してくる筈だが…

 

 何かしらの改変により、襲撃の日程がずれたか?そんなことを考え始める。何とも無いのならそれに越したことは無いのだが、やっぱり気になってゆっくり休むことが出来ないな…

 

 

 

「“ピコダーツ”!」

 

「!?」

 

 突然聞こえてきた声の方を向くと、既にピコデビモンが両足に持っていた巨大な注射器が放たれた所だった。しかも、その注射器は結衣と空を狙って放たれていた。今の声に反応して、どうやらピヨモンも起きたらしいから、そっちは大丈夫だとして…ダメだ、迎撃が間に合わない。

 

「空、危ない!」

 

「チッ…!」

 

「ピヨモン…?あぁっ、ピヨモン!しっかりして、ピヨモン!!」

 

「…えっ…?……ロップモンっ!!」

 

 ピヨモンが空を、俺が結衣を庇い、巨大注射器が突き刺さる。脱力感を感じながら、耳を使って注射器を抜こうとしたが、結衣がそれよりも早く俺の腹に刺さっていた針を抜いてくれた。この針…毒、というよりも、刺した相手の力か何かを奪うのか…くそっ、やられた。今分かったが…コイツ、羽音が殆どしねぇ。コウモリ型デジモンだからか…?

 

「ん…なんだ、どうした?」

 

「あ!ピコデビモンだ!」

 

「う、うわぁっ!」

 

 

 

 ピコデビモンが情けない声を出しながら撤退していく。それと同時に、辺りが突然…暗くなった。地上を照らされていた月明かりが雲に隠れたことで見えなくなったから…だけじゃない。猛獣の雄叫びのような声が、周囲に響き渡った。

 

「な、なんだ!?」

 

 雲が晴れると、さっきまでの青白い月が赤く染まり、その月を背にしてこっちに向かってくる赤い目を四つ持っている黒い竜――デビドラモンがいた。デビドラモンには馬車のようなものがついていて、デビドラモンが俺達の上空を過ぎる際、その馬車の中から棺桶が落とされる。

 

 その棺桶が空中で開き、中から黒いマントで身を包んだデジモンが現れた。そのデジモンは地面に激突するわけでもなく、音も無く着地した。

 

 

 

「選ばれし子供達よ…」

 

「コイツよ!ピコデビモンと通信していたのは!」

 

「コイツではない!ヴァンデモン様だ!」

 

「ヴァンデモン…?」

 

「ヴァンデモン様だ!!」

 

 空とピヨモンが俺達に合流できなかった理由を、合流した後に聞かせてもらった。空達はピコデビモンとヴァンデモンの通信を聞き、紋章の意味を知り…ピコデビモンに、愛を知らずに育ったと言われた。愛情の紋章は、それでは光ることは無い、と。

 

空自身もそれに心当たりがあり…母親からは大好きなサッカーを止めろと散々言われ続けてきたらしく、母親は自分のことより家元、華道の先生としての立場の方が大事なんだとそう思っていたらしい。

 

だから、愛情とは何かということを、一人で考える時間が欲しかった…だが、それでも皆を放っておくことが出来ないから、皆を手助けするように動いていたらしい。まあ、正確に言えば空はまだ親からの愛を受けていたことに気づいていないだけなんだが。

 

 とにかく、紋章の意味を知ったその通信で話していたのが、今目の前にいるこの二体というわけだ。

 

 

 

「フッフッフ…お前たちの旅もここで終わりだ。“ナイトレイド”!」

 

 ヴァンデモンはマントを大きく広げると、両手を前に伸ばし、そこから無数の小さなコウモリが出現した。そのコウモリ達が俺達へと向かってきているのを見て、俺は動こうとしたが…結衣の腕の力に抗うことが出来なかった。それ程、弱っているってことか…くそっ!

 

「皆、行くぞ!“ベビーフレイム”!」

 

「“プチファイアー”!」

 

「モチモン、進化――っ!!テントモン!!…“プチサンダー”!」

 

 俺とピヨモン以外の皆が迎撃するも、無数のコウモリはその攻撃を掻い潜って攻め込んでくる。

 

「キリが無いですよ!」

 

「きゃあっ!」

 

「ミミ!パルモン、進化――っ!!トゲモン!!…皆、伏せて!“チクチクバンバン”!!」

 

 トゲモンの全方位への針攻撃がコウモリ達を迎撃。それによって隙が生まれ、ゴマモンが叫ぶ。

 

「今だ!ゴマモン、進化――っ!!イッカクモン!!“ハープーンバルカン”!!」

 

「やったぞ!」

 

 

 

 イッカクモンの追尾ミサイルがヴァンデモンに直撃。派手な爆風で、ヴァンデモンの姿が見えなくなったことで、丈は声を上げる。しかし、すぐにその爆煙の中から、ヴァンデモンが空中へと飛び出した。

 

「これで勝ったつもりか!“ブラッディストリーム”!」

 

「うわぁっ!」

 

「ぐあっ!」

 

 

 

 ヴァンデモンの笑い声と共に、血のような深紅の鞭で…仲間達が次々と薙ぎ倒されていく。

 

「太一…コイツ、強い…!」

 

「そんな…!」

 

「…アタシが、行かなきゃ」

 

「え?」

 

「アタシ達しか…残ってないもの」

 

 ピヨモンが、か細い声でそう言った。そう、もう残っているのは俺とピヨモンしかいない。俺達で、ヴァンデモンを相手するしかない。

 

 …正直言って、今回は誤算だ。俺がピコデビモンの攻撃を食らってしまうとは…我ながら、情けない。発達した聴覚に頼りすぎていたみたいだ…俺が動ける状態であれば、初手で完全体に超進化して、メタルグレイモン達と力を合わせて迎撃するつもりだった。ピヨモンの超進化の話ではあるが、そんな博打のような超進化でなくとも、空とピヨモンなら超進化まで辿り着くこと自体は可能だと思っていたからだ。

 

 こうなってしまった以上、やれることは一つ。俺達二体で何とか切り抜けるんだ。少しでもピヨモンが危険に晒されないように、俺も全力を尽くす!

 

「無理よ!そんな体でどうしようって言うの!?」

 

「分かってよ、空…アタシ、行かなきゃいけないの…!」

 

「ダメ、行ってはダメよ!」

 

「どうして分かってくれないのよ!!」

 

「っ…!」

 

 空がハッとした時、ピヨモンが飛び出して進化の体勢に入った。それを見た結衣が俺を地面に下ろし、デジヴァイスを構える。

 

「ピヨモン、進化――っ!!バードラモン!!」

 

「ロップモン、進化――っ!!トゥルイエモン!!…トゥルイエモン、超進化――っ!!アンティラモン!!」

 

「空ちゃん…信じて、バードラモンを。そうすれば、きっと…!」

 

「バードラモンを…」

 

 完全体に進化した俺が、ヴァンデモンに拳を振り下ろす。ヴァンデモンは空中に飛びそれを回避したが、そこには攻撃体勢に入っているバードラモンがいる。

 

「“メテオウィング”!」

 

「フン…“ブラッディストリーム“!」

 

 空中でもお構いなしに、バードラモンの攻撃を全てマントで受け止め、鞭の攻撃でバードラモンを迎撃。咄嗟に俺はジャンプして、バードラモンとヴァンデモンの間に入って盾になろうとしたが…空中だったのもあり、ヴァンデモンの攻撃スピードの方が上手だった。バードラモンに攻撃が直撃し、そのまま落下を始めた。

 

 

 

「バードラモン…!バードラモォーーーーーン!!!」

 

 

 

 こちらに駆け寄ってきていた空の紋章が光輝き、バードラモンが進化の光に包まれた。それを見た俺は、咄嗟にバードラモンではなくヴァンデモンに狙いを定める。

 

 

 

「バードラモン、超進化――っ!!ガルダモン!!」

 

 

 

 バードラモンの姿が変わる。深紅の体を持つ、巨大な鳥人。バードラモンからより人型の姿に近くなったことで、両腕での攻撃も可能となった姿。ガルダモンは今の俺…アンティラモンよりもさらに大きい。俺が見上げるくらいの体格差だ。

 

「空の愛情…一杯伝わったよ」

 

「ピヨモン、カッコイイ…!」

 

 ガルダモンが空を拾い上げている間に、俺はヴァンデモンに向かってサマーソルトキックをお見舞いする…が、直撃しても少し吹っ飛ばされる程度で、大したダメージにはなっていないように見える。やっぱり聖属性の力を持つエンジェモンとかがいないとダメか…少なくとも、今はまだコイツに手傷を負わせるのも難しそうだ。

 

「ええい、肝心な所で愛情の紋章まで発動してしまうとは…!」

 

「空は、この私が守る!!“シャドーウィング”!!」

 

「“ナイトレイド”!」

 

 ガルダモンとヴァンデモンの必殺技が激突した瞬間、俺は結衣達の元へと猛スピードで戻る。全員を両手に拾い上げた後、ガルダモンに目配せし…激突した衝撃波で視界が悪くなった後、俺は空中に大きく跳躍。それと同時に退化しチョコモンに戻ってしまったが、ガルダモンが飛行しながら俺達を回収。上手く目眩ましにすることでヴァンデモンから上手く逃げおおせることが出来た。

 

 

 

 




今回は殆ど原作と内容が変わりませんので、物足りないと感じた方もいるかもしれませんがどうかご容赦を…ヴァンデモンの強さを際立たせたかったんです。

さて、いつもならここでアニメ感想のコーナーなんですが、今回は省略させて頂こうと思います。楽しみにされていた方いらっしゃいましたら申し訳ございません!

また、感想も返信は出来ておりませんが、ちゃんと書いて下さった皆様の感想は拝見させて頂いております!その中に、主人公のイラストを見たいという内容のものがありました。多分結衣のイラストということかと思うのですが…作者はイラストが描けませんので、残念ながらご要望にお応え出来ません…

イメージとしては、イメージカラーが紫で、声や容姿はハカメモの御島エリカを幼くした感じだと思って頂ければと思います。因みにロップモンの声はテイマーズイメージです。

と、補足のような感じで書かせて頂きましたが、以上で終了したいと思います。また来月もご覧頂けるよう頑張りますので、どうか宜しくお願い致します!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。