デジモンアドベンチャー 優しさの少女と転生デジモン   作:Zelf

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お待たせ致しました。今回は殆ど原作通りです、多分。




第二十四話  マンモン光が丘大激突!

「ここは…」

 

「キャンプ場、か…?」

 

「んっ…」

 

 目が覚めたら、私達はキャンプ場にいた。雪が積もった古い祠…ちゃんと、帰って来れた…んだよね。

 

「ここで私達は、デジモン達の世界に…デジモン達は?」

 

 空ちゃんの一言を聞いて、私達は周囲を見渡す。何だか、ボンヤリしちゃってるけど…今までの冒険が全部夢だった、なんてことは…絶対に無い。奇想天外な冒険だったけど、ちゃんとデジタルワールドでの日々は覚えてる。あれを全て私の妄想、で片付けるには無理があるよね。

 

「あ!あそこ!」

 

「…何やってるんだ?アイツら」

 

 タケル君が指差す先には、全員うつ伏せの体勢で、山のように積み重ねっているデジモン達の姿が…あれ?ロップモンがいない?

 

「ロップモン?ロップモン!」

 

「ロップモンだけいませんね…」

 

 もう一度辺りを見渡してみるけど…ロップモンだけ見当たらない。祠の中も念の為見に行ってみよう。

 

「おーい、アグモン!何やってるんだよ!」

 

「あ、太一!」

 

 …やっぱりいない。何でロップモンだけ?

 

「実は、ロップモンが…」

 

「ロップモンがどうしたんだ?」

 

 ガブモンの口からロップモンの名前が出てきたのが聞こえて、そっちにやや急いで向かう。でも、あのロップモンが勝手にどこかに行ったりしないと思ってたんだけどな…

 

「結衣先輩!あそこに!」

 

「え?あ、ロップモン!」

 

 アグモン達が見ていたのは、階段の下。この階段の下には、私達が寝泊まりするはずだったキャンプ場がある。そのキャンプ場へと繋がる階段の中腹辺りに、背の高い眼鏡をかけた男性が、茶色いものを手にして立っていた。

 

 あれ、間違いなくロップモンだよね…

 

 私は急いで階段を降りて、その男性の元へと向かう。

 

「あ、あの…!」

 

「ん?おお、小林!お前達こんな所にいたのか!後片付けもせんで、こんな所で何をブラブラしている!」

 

「…っ」

 

 その男性…藤山先生は、今回のサマーキャンプに引率で来ていた先生の一人。ロップモンのことを何か言おうと思ったんだけど、思わず黙ってしまう。

それを見た先生は、私の様子を見て申し訳なさそうにしている。てっきり、もう大丈夫なのかと思っていたんだけどなぁ…実際、ヴァンデモンと対峙した時は何とも無かったはずなんだけど。

 

「おっと…すまん、小林。とにかく、この雪でキャンプは中止と決まっただろう。他の皆はもう帰り支度を始めてるぞ」

 

「…そ、そう、ですか」

 

「あー…ンン、ところで、お前たち。そのぬいぐるみはどうしたんだ?」

 

 お前たち、という言葉に疑問を覚え、後ろを見てみると、太一君達がすぐ後ろにいた。どうやら追いかけてきてくれたみたい。

 

「こ、これは、その…拾ったんです!」

 

「そうそう!」

 

「捨ててあったのよね!」

 

「それで、遊んでたら結衣さんのぬいぐるみが、えと、落としてしまったというか、跳んでいってしまったというか、とにかく無くしてしまって…」

 

「ん?何だ、これは小林のなのか?」

 

「は、はい…」

 

 皆が口裏を合わせて、特に光子郎君が切欠を作ってくれたおかげで、先生が私にロップモンを返してくれた。

 

「あ、ありがとうございます…藤山先生」

 

「良いって良いって、それじゃ帰り支度が出来たら、全員駐車場に集合だ。グズグズするなよ!」

 

〈はーい!〉

 

 私を除く全員が声を揃えて返事して、藤山先生は駆け足で階段を下っていった。

 

「結衣さん、大丈夫ですか?」

 

「あ、うん…助かったよ、光子郎君。皆も、ありがとう」

 

「結衣さんがあんなにビビるなんて、なんかちょっと新鮮だな!」

 

「デジモン達相手には普通に話していたのに、少し意外だよ」

 

「あはは…私にも苦手なものくらいあるよ?」

 

「それより、これからの事を話しましょ!どうやって光が丘に行く?」

 

 空ちゃんが話を切り替えてくれた…正直、こういう話題は出来れば触れて欲しくないことだったから、助けられちゃったな…この悪癖、早くちゃんと直さないと。

 一旦切り替えて、皆でこれからどうするのかを話し合い、先生とバスの運転手さんに頼んで光が丘で降ろしてもらえないか聞いてみることになった。デジモン達は、とりあえず人形のフリをしていてもらう。

人前で話さず、私達が抱えていれば誤魔化せると思う…アグモンとかテントモンとかが大変そうだけどね。全員成長期だから、余計大変だ。これが幼年期だったらもっと楽なんだけど。

 

「そういえば、ロップモン。何で一人でこんな所に?」

 

「いや、待ってくれ。これには理由があってだな…」

 

「何かあったの?」

 

「アグモン達がこの階段を降りようとしていたから、俺が慌てて止めたんだ。そしたら、アイツらに押されて俺だけ階段から落ちてな…慌てて起きようとしたらさっきの先生に拾われちまったんだよ」

 

 成る程、ロップモンもデジモンが動き回るのは不味いと思って、アグモン達の動きを抑えてくれていたみたい。そういうことなら、別に気にしない。誰も悪く無いし。

 

「大変だったね、お疲れ様」

 

「ああ…お前にも迷惑かけちまって、悪いな」

 

「それじゃあ、お詫びとしてしばらくこのままね?どうせ人形のフリしなきゃだし」

 

「ハイハイ、黙って動かないようにするよ」

 

 

 

 ひとまず解散して、それぞれ荷物を取りに行ったり、テントの片付けを手伝いに行ってみる。藤山先生が行っていたように、もう殆ど片付けは終わっていて、サマーキャンプに来ていた殆どの生徒が、駐車場に集まっていた。

 

「おお…」

 

「どうしたの?」

 

「いや…今見ている光景で、ようやく人間界に来たんだなって実感がしてな」

 

 ロップモンが感慨深そうにそう話す。元人間って言ってたもんね…デジタルワールドの時間の流れがこっちと違うから、ロップモンがどれくらいデジモンとして生きてきたのか分からないけど、今の私と同じように懐かしさみたいなのを感じているんだろうな…

 

「…ねぇ、私の家に帰ったら、何か食べたいものとか無い?」

 

「食べたいものか…料理なら何でも嬉しいぞ?」

 

「作り甲斐が無いじゃん…何でも良いから言ってよ、頑張って作ってあげる」

 

「そうか?なら、そうだな…卵焼きなんてどうだ?」

 

「それくらい簡単に作れるけど…そんなんで良いの?」

 

「卵焼きって家庭によって違うだろ?お前の家の卵焼きを食ってみたいんだよ」

 

「分かった、じゃあ今晩作ってあげるね」

 

「おう!」

 

 そんな話をしているうちに、太一君達が遅れて駐車場に到着したので私も合流する。あと来ていないのはミミちゃんなんだけど…

 

「あ」

 

「どうした?」

 

「ミミさんがあそこに…」

 

 どうやら、ミミちゃんは友達に会えて嬉しくなって、抱きついたりしてたみたい。ミミちゃんの友達は不思議そうな顔をしていた。

 私達はデジタルワールドで何ヶ月も過ごしたから、ミミちゃんの反応も分かるんだけどね…他の人達にはさっき会った、くらいの感覚なんだもんね。何だか、変な感じ。

 

「結衣君、ミミ君について行ってもらえないか?僕達は藤山先生に光が丘で降ろしてもらえないか頼んでみるよ」

 

「分かった。お願いね、丈君」

 

 私とミミちゃん以外の皆が藤山先生の元へ向かい、私はミミちゃんと同じバスに乗る為に近くに行く。あ、そうだ。

 

「パルモン、一緒に行こ?ミミちゃんの所に連れて行ってあげる」

 

「ホント!?ありがと~、結衣!」

 

 忘れられているパルモンが可哀想だったので、助け船を出す。右手でロップモンを抱え、左手でパルモンの手を掴んでゆっくり歩く。流石に二体とも抱えて行くのは難しいので、パルモンには他の皆にバレないようにゆっくり歩いて貰う。

 

「ミミちゃん!」

 

「え?あ、結衣さん!」

 

「ちゃんと連れて行ってあげないと、可哀想でしょ」

 

「あ、パル…じゃなくて、私の人形、忘れちゃってた~!アハハハ!」

 

 パルモンって言おうとして、慌てて人形ということにして思いっきり抱きしめるミミちゃん。パルモンがかなり苦しそうだけど…頑張れ。

 

「あの、小林先輩ですよね?」

 

「うん、そうだけど」

 

「え~!ちょっとミミ、いつの間に小林先輩と話してたの?」

 

「良ければ帰りのバス一緒に座りません?小林先輩と一度お話してみたかったんです!」

 

「うん、良いよ。あ、私とミミちゃんは途中下車しちゃうんだけど、それまでで良かったら」

 

 ミミちゃんの友達二人がそう言ってくれたので、バスの中で四人で相席することになった。

 それにしても、この子達は私のことを何で知っているんだろ?会ったこと無いと思うんだけど…私、後輩達に知られるような目立つことしたことあったっけ。

 

 

 

 その後、全員ちゃんと同じバスの中に乗り込んで出発。ちゃんと光が丘に歩いて行ける所へ降ろしてもらえることになったらしい。既にヴァンデモン達が光が丘のどこかにいるはず…一刻も早く向かわないといけない。

 

「あの、小林先輩!どうしたら小林先輩みたいになれますか?」

 

「私みたいに?」

 

「この子、結衣さんに憧れたんですよ!去年の運動会で活躍してる姿がカッコ良くて、普段は優しくて素敵だって!それに美人だって言ってたわよね?」

 

「ちょ、ミミ!そんな、恥ずかしいじゃない!」

 

 運動会…確かに徒競走やリレーとかで一位になったけど、まさかそんな風に思ってくれる子がいるなんて、思ってなかった。

 

「誇張され過ぎだと思うけど…ありがとう、嬉しいよ」

 

「えーっ!そんなこと無いですって!結衣さんはもっと自分が美人って自覚して下さいよ~」

 

「美人なんて、初めて言われたよ?それに皆も十分可愛いじゃない」

 

「え、そうかな~、えへへ」

 

「っていうか、小林先輩のその人形可愛いですね!ちょっと触っても良いですか?」

 

「うん、良いよ!」

 

(…!?)

 

 

 

 そんな他愛ない会話をしていると、いつの間にか光が丘団地付近まで到着していた。私達はデジモン達を連れて(持って?)バスを降り、光ヶ丘団地へと歩いて向かう。

 

 この辺りを歩くのも久しぶりだなぁ…四年前まではここら辺のアパートで暮らしていたから、その時以来かな。

 

「あれが光ヶ丘団地?」

 

「ああ」

 

「すごーい!空、あんな大きなお城に住んでたの?」

 

「お城じゃないわよ、中は細かく区切られていて、とても沢山の人が住んでいるの」

 

「空も光が丘に住んでたの?」

 

「俺と空は同じクラスだったんだよな。第三小学校、一年二組!」

 

「俺は第四小学校だった」

 

「じゃ、じゃあ先生を騙すために嘘をついていたんじゃなかったのか…」

 

「光が丘に住んでいたのは本当だよ」

 

「うん、僕もちょっぴり覚えてる!」

 

 途中下車を許可して貰う為に、少し大げさにヤマト君とタケル君が演技したらしい。家族四人で暮らしていた場所を見たいとか、そんなことを言いながら抱き合うという、所謂お涙頂戴的な感動的な感じだったとか…空ちゃんがそんなことを言ってた。

 

「私も、ヤマト君と同じ第四小学校だったなぁ」

 

「僕は、第五小学校だった」

 

「アタシも幼稚園の頃に!」

 

「僕もですよ!ほんの少しの間でしたけど…」

 

「じゃあ、全員が光が丘に住んでたってことか?」

 

「ただの偶然とは思えないですね…」

 

 ついに、選ばれし子供達の共通点を見つけた。今までも何度か、光子郎君と私達が選ばれた理由とか、選ばれた基準について話し合ったことがあったけど、結局分からずじまいだった。

 というか本当は、私はロップモンから聞いたことがあるんだけど…それは、私の口から言って良いことじゃないし、光子郎君には悪いけど黙っておくことにしたんだ。

 

「とにかく、今は九人目の選ばれし子供を探そう!」

 

「手分けして探した方が良いんじゃないでしょうか?」

 

「よし、じゃあ一時間後にあの駅に集合にしよう!」

 

 

 

 デジヴァイスの反応を頼りに、バラバラになって九人目の選ばれし子供を探す。同じ選ばれし子供なら、私達と同じようにデジヴァイスを持っているはずだから、この方法でなら探し出せる。

 やっぱり問題は、ヴァンデモンが今どの辺りにいるのか。確かロップモンの話だと、ヴァンデモンは既に九人目の選ばれし子供…太一君の妹である八神光ちゃんの光の紋章を持っていて、それが選ばれし子供に近づけば反応する。でも、この方法も私達と同じようにデジヴァイスに反応するから、もしデジヴァイスを持っていなければ反応しない。

 

 

 

 何で私が、九人目の選ばれし子供が光ちゃんだと知っているのに、この光が丘に来たのかというと――

 

 

 

「ロップモン、この辺りで良いの?」

 

「ああ、そのはずだ。この辺りにマンモンが現れるはず」

 

 ヴァンデモンの配下として連れてこられたデジモン、マンモンがこの光が丘で大暴れする。車を破壊したり、陸橋を破壊したりとかなり大事な事件になってしまう。それを防ぐ為に、ここまでやって来た。

 他にも、ここからお台場に帰る途中にも、ゲソモンっていうイカみたいなデジモンも暴れるらしいし…出来るだけ、無関係の人達に被害が出てしまうのは避けたい。

 

 ……あと、ここが荒れるのは見たくないし。

 

 

 

「結衣?」

 

「え?」

 

「いや、次はあっちの方に行かねぇかって話をしてたんだが…どうした?」

 

「ううん、何でも無い。それじゃ行ってみよっか」

 

 その後、マンモンを捜索するけど特に何も見つけられなかった。もうすぐ約束の時間になるので、一度集合場所の駅へと向かうことに。

 マンモンって、ロップモンの話によるとかなり大きなデジモンらしいんだけど…ゾウと同じくらいって聞いていたのに、そんな大きな動物は見る影も無い。

 

「結衣、分かっていると思うが…今回ばっかりは手加減は出来ないぞ」

 

「…やっぱりダメなのかな?」

 

「俺も考えたんだけどな…結論は前に話した時と同じだ。俺達が倒さなくても、ヴァンデモンに殺される。隠すにしても、場所もねぇ。こっちに来ちまった以上、倒されたデジモンはデジタマに戻ることも出来ないだろうしな…」

 

 ピッコロモンの修行で二人きりになった時から…ヴァンデモンの配下のデジモン達は、どうしても倒さなければならないと聞いていたんだけど、何とかして助けられないかと二人で話し合った。結論は、今ロップモンが言った通り。

 こればっかりは私達ではどうしようも無い…ヴァンデモンの城に乗り込んでいれば、配下のデジモン達を私達の世界に連れてくるのを防げたかもしれない。でも、ああいう選択をしたのは私達だし、こうなることもロップモンからも言われていたから、心構えはしていたつもりだった。

 

 

 

 やっぱり、心構えをしていても辛い。敵とは言っても、デジモンを…殺さないといけないのは。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「皆!どうだった?」

 

「いや、こっちは何も」

 

「こっちもよ。反応無しだわ」

 

「うーん…今は光が丘にはいないのかな」

 

 結局、全員集合してみたが誰も収穫は無かった。まあ当然だが、ヴァンデモンの配下のデジモンも見つからなかったな…マンモンならすぐに見つけられると思っていたんだが。

 出来るだけ被害が出る前に倒したいんだよな…特にマンモンはかなり大規模な被害になっていたはずだ。恐らく死者も出ていただろうし。

 

結衣はマンモン達を助けたいと言っていたが、現状では不可能に近い。

 

ヴァンデモンは残酷なことを平気でする。原作のパンプモンとゴツモンのように、裏切ったデジモンはすぐにやって来て始末される…もし、俺達が見逃したデジモンが俺らに協力しようとしたなら、その時点で俺達はほぼ詰みだ。

ヴァンデモンが直接俺達に攻撃してきたら、完全体にまだ進化出来ない奴らがやられる可能性がある。なんせ、ヴァンデモンは完全体七体、というより天使型の完全体デジモンがいないと倒すのは困難だからな。

 

とにかく、余計な危険を避けるためにも、俺は敵を躊躇しないで倒す。

ヴァンデモン側のデジモンと、この世界の人間達の命を天秤にかけることになっちまったが…悪いが、俺は人間達を守る。結衣や、結衣の友達とか家族もこの世界にはいるんだ。

 

 

 

 それにしても、久々の人間界は新鮮な感じがしたが、慣れてくると騒音が多すぎるな。少しは慣れてきたんだが、車の音が特にうるせぇ…耳が良すぎるってのも、この世界じゃ少し厳しいぞ、これ。

 

「……ん?」

 

「何か聞こえた?」

 

「他の音がうるさくて確証は無いが…多分、あっちの方から変な音が聞こえるな」

 

「変な音か…」

 

「どうしますか?」

 

「行ってみよう。ヴァンデモンが連れてきたデジモンが暴れているのかもしれない」

 

 俺の聴覚を頼りに、その音がする方へ向かう。

 変な音っていうか、擬音にするとグシャ、ゴシャ、みたいな音がするんだよな…不規則に数秒間隔で聞こえてくる。もしかすると、これがマンモンの足音なのか?たまに聞こえないのは、立ち止まっているからなのか…マンモンの足音なら、もっとズシンって感じの、もっと重たい音だと思ったんだがな。

 

 

 

 俺の予想はどうやら的中したらしい。向かった先の道路に、茶色の巨大な塊が動いているのが見えた。道路のど真ん中を陣取って、その長い鼻をブンブンと振り回している。

 

「おい、あれを見ろ!」

 

「あれは…デジモンだ!」

 

「あれは、マンモンです。完全体のデジモンのようですね」

 

「完全体か…だったら、こっちも完全体に進化だ!」

 

「ちょ、ちょっと待って、太一!もう少し作戦を考えなきゃダメよ!」

 

「そうだよ、ここは人間界なんだから、周囲の被害を抑えないと…」

 

 確かに、メタルグレイモンだと破壊力がヤバそうだな…かといって、ここで二体も完全体になったら、後々のエネルギー回復の為の食事が大変だな。金もかかるだろうし。

 一番被害が出なさそうなのは…ワーガルルモンか?人間の大人よりもやや大きいくらいのサイズだし、俺含め他の完全体よりは戦いやすいし被害も出しづらいはずだ。

 

「ヤマト、ガブモン。お前たちならどうだ?」

 

「俺も同じ事を思ってた。行けるか、ガブモン?」

 

「もちろん、いつでも行けるよ!」

 

「光子郎君、マンモンの技とか分かる?」

 

「えっと、長く伸びた二本の牙で相手を突き刺す“タスクストライクス”と、長い鼻から一気に冷たい息を吐き出して、どんな相手も一瞬で凍らせる“ツンドラブレス”の二つです」

 

「氷…ありがとう、光子郎君。じゃあ、ワーガルルモンが戦っている間、グレイモンとバードラモンに待機してもらって、出来るだけ周囲への被害を抑えるように動くのはどうかな?」

 

「凍らせる攻撃をしてきた時の為に、炎を出せるからってことですね!」

 

「よし、じゃあ今の作戦で行くぞ!他の皆も、いつでも戦えるようにしていてくれ!」

 

〈おー!〉

 

 ワーガルルモンがメインで、グレイモンとバードラモンがサポートか…それなら、今回は俺の出番は無いかもな。俺は出来るだけ周囲に気を配るようにするか。他にもヴァンデモンの配下のデジモンがいるかもしれねぇしな。

 

 

 

 全員である程度近づいた後、太一とヤマトがマンモンの目の前、空がマンモンの後ろへと移動する。戦いの場が駅近くの道路になってしまったが、これ以上被害が増えるよりはマシだろ。

 

「行くぞ、アグモン!」

 

「頼む、ガブモン!」

 

「アグモン、進化――っ!!グレイモン!!」

 

「ガブモン、進化――っ!!ガルルモン!!」

 

 マンモンの前に並び立つグレイモンとガルルモン、先に仕掛けたのはガルルモンだ。“フォックスファイアー”を放ち牽制しながら、マンモンの横を通り過ぎるように背後に回る。

 マンモンがガルルモンに注意を向けた隙を、グレイモンが頭突きを喰らわせる。

 

「うおっ…!」

 

「グレイモン!」

 

 だが、グレイモン一体では、マンモンのパワーには勝てない。頭突きしたグレイモンが簡単に押し返され、グレイモンが仰け反った。何とか倒れずに数歩後ろへ下がるグレイモン、その隙を狙って突進を仕掛けようとするマンモン。

 

 

 

「こっちも行くわよ、ピヨモン!」

 

「うん!ピヨモン、進化――っ!!バードラモン!!」

 

 援護で現れたバードラモンが、マンモンを上から襲う。突進攻撃をキャンセルされたマンモンが、今度はバードラモンを攻撃しようとしたが、今度はガルルモンが側面から炎攻撃で牽制。バードラモンが上空へと飛び立つ。

 上手く牽制しながら、一体だけに的を絞らせないように立ち回ってるな。戦い方が上手い…いつの間にこんな戦い方が出来るようになったんだよ、コイツら。このままなら完全体にならなくてもそのうち削りきれるかもしれん。このままなら、の話だが。

 

「かいじゅう…」

 

「え?」

 

「どうしたんですか、タケル君」

 

「僕、前にもかいじゅうを見たんだ!それで、今みたいに戦ってた!」

 

 観戦していたタケルが、そんなことを言い始める。確かにこの時の戦闘は、昔のデジモン事件を思い出す切欠になっていたが…グレイモンとバードラモンが加わったことで思い出したみたいだな。

 

「怪獣…そうだ、あの時も」

 

「うん、こんな感じだった!」

 

「私も…覚えてる。大きいのが、互いに戦って…」

 

 

 

 そんな重要な会話をしていた俺達だったが、戦っている三人は俺達の会話は聞こえていないらしく、ヤマトがデジヴァイスを掲げていた所だった。

 

「ガルルモン!」

 

「ガルルモン、超進化――っ!!ワーガルルモン!!」

 

 獣人のように二足歩行となったワーガルルモン。今まで牽制の意味合いでの攻撃しかしていなかったガルルモンだったが、超進化した今、ガルルモン以上の素早い攻撃が、ガルルモンの数倍の攻撃力を持ってマンモンへと襲いかかる。

 マンモンは為す術無く、フルボッコ状態だ。必殺技を使う暇も無く、グレイモンやバードラモンからの牽制もあって、本当に何もさせてもらえていない。

 

「ワーガルルモン!後ろに回れ!」

 

「グレイモン、そのまま撃て!」

 

「バードラモン、グレイモンに合わせて!」

 

 ちゃんと子供達もただ見ているだけじゃなく、戦況を見て指示を出している。この指示も、何をやろうとしているのか分かりやすいな。敢えてマンモンに必殺技を撃たせて、その隙をワーガルルモンが仕留めるつもりだ。

 

「“メガフレイム”!」

 

「“メテオウィング”!」

 

 マンモンが“ツンドラブレス”を、グレイモンとバードラモンの炎が相殺。そして背後に回っていたワーガルルモンが、両手に力を溜めている。

 

 

 

「“カイザーネイル”!!」

 

 

 

 これが、マンモンのトドメの一撃となった。マンモンは体を粒子へと変え…消滅していった。

 

 

 

 

 

 

 マンモンを倒した後、警察がやって来た。すぐ近くにいた俺達も事情聴取で捕まる可能性があったから、とりあえずその場から離れ、今は木が多く生えている公園に身を隠している。

 

「…そうだ、覚えてるよ。タケルが母さんに怪獣を見たって言い張ったんだ。俺も同じ光景を見ていたのに、俺は何も言えなかった」

 

「それは、いつのことですか?」

 

「四年前の、爆弾テロ事件の時だ」

 

「爆弾テロ…多分、デジモン達が起こした事件だって分からなかったから、爆弾テロってことになったんだね」

 

 戦闘中のタケルの発言についてヤマトに尋ねたら、ヤマト自身にも心当たりがあったらしく、そう話してくれた。その話を聞いた太一は目を瞑り、何かを考え込んでいる。

 

「あの時…戦ってたんだ。今日みたいに、何かと何かが……あの時戦っていたのは…グレイモン?」

 

「そうだ、グレイモンだ!」

 

「そうよ!」

 

「あの日、家にコロモンが来たんだ。コロモンはアグモンになり、グレイモンになって、もう一匹のデジモンと戦ったんだ!」

 

 …四年前なんだろ?覚えてないのか?まあ小学一年生とか幼稚園年長とかだと記憶も曖昧なのかもしれないが…皆が忘れているような昔のことを覚えている光が凄いのか?

 

「光の奴、コロモンのこと知ってるわけだよ、あの時会ってたんだ」

 

「そうなの?」

 

「きっと違うコロモンだよ。でも太一と初めて会った時、何だか懐かしい感じがしたんだ…」

 

「でも、これで少し分かってきたね」

 

「ええ、なぜサマーキャンプにあれだけの子供がいたのに僕達が選ばれたのか。僕達には、四年前にデジモンに出会っていたという共通点があったんです」

 

「それじゃ、九人目も?」

 

「間違いなく、あの事件の目撃者のはずです!」

 

「……」

 

 結衣が考え込むように俯き、視線をすぐに太一の方に向けた。

 

「太一君」

 

「何だよ、結衣さん?」

 

「思ったんだけど…九人目って、太一君の妹さんじゃないかな?」

 

「えっ!?」

 

「光ちゃん、だっけ。彼女は四年前の事件にも関わっていて…デジモンに既に会ってるんでしょ?コロモンのことも覚えていたって言ってたし」

 

「あ、ああ…」

 

「そうですね…僕達のもう一つの共通点も含めて、その可能性は高いかもしれません」

 

「もう一つって?」

 

「…光が丘から引っ越した?」

 

「はい」

 

「この光が丘を探し回っても反応が無いのは、もう光が丘にはいないから。もしかすると、太一君の家にデジヴァイスがある可能性が高いと思うの」

 

「だったら、急いだ方が良い。早く太一の家まで向おう」

 

 

 

 俺達はこうして、八神光のいる場所…八神家へと向かうことにしたのだった。

 

 

 

 





今回は少しだけ書き方を変えてみましたが、どうでしょうか?読みやすくなっていると良いのですが。

ここで、皆様にお知らせでございます。来月の更新は諸事情によりお休みさせて頂きます。申し訳ありませんが、次回は十一月の更新となりますのでご了承下さい。

また、今まで日曜朝放送されているデジモンアドベンチャー:のアニメ感想コーナーを毎月自己満足でやっていましたが、もうそろそろ良いかな、と思ったので今回で止めにしたいと思います。どうしても書きたいことがあれば書きますが、これまでのような長い文章にはしません。

それでは、今月も読んで頂きありがとうございました。また十一月も宜しくお願い致します。最後のアニメ感想コーナーに興味ない方はここまで、読んで頂ける方はそのまま下にどうぞ。





























































というわけで、アニメ感想コーナー最終回でございます。

アニメももうすぐ最終回のようなので、キリが良いような気がしますね。

デジモン達が全員究極体に進化出来るようになって、ラスボスと思われるデジモン、ネガーモンとやらが出てきて、恐らく今月で:も終わり、来月からゴーストゲームという新作が放送されます。

いや~、まさか:のアニメがここまで長く放送されるだなんて…第四話とかその辺りでオメガモンが登場した時はどうなることかと思いましたが、結構続きましたね。色々とおかしな場面とかも多かったですが、個人的にはちゃんと楽しめました。

正直に言うと、紋章のことがイマイチ良く分からなかったんですけどね…子供達の旅そのものを象徴としていたとか、あとワイズモンがなんか上手くまとめていましたけど、結局は子供達の心の形というか、心が成長するのに必要だった物っていう理解で良かったんでしょうか?

ストーリーも…うん、やっぱりミレニアモン辺りがラスボスで良かったのでは?紋章の意味とか、太一や空が最初に天使の神殿みたいな所に行った時とかに、ヴァロドゥルモンが謎を残すような形で喋ってくれれば良かったんですよ。それで後はもっと紋章の意味に合ったものを用意すれば、紋章の件がスッと入ってきたのではないかと愚考しています。まあ、そうすると初代との違いが薄くなってしまうというか、似たようなお話になってしまう気もしますけどね。アニメ制作陣の方々も大変だったんだろうなと思います。

来月からのゴーストゲームも、最初はアプモンのような感じなのかと思っていたんですが、CMとか見る感じ、ちゃんと既存のデジモン達も出てくるっぽいですね!デジモンの最終回の後に、またデジモンが始まるとか…楽しみが続くようでとても嬉しいです!



と、こんな感じで語って、このコーナーも終わりにしたいと思います。

コーナーみたいな感じじゃなく、前書きや後書きにちょこっとだけ書く形にすると思います。これまで作者の自己満足なコーナーにお付き合い頂きまして、本当にありがとうございました!

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