デジモンアドベンチャー 優しさの少女と転生デジモン   作:Zelf

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例の如く、アニメ感想は後書きで。




第五話  蒼き狼!ガルルモン

 辺りが暗くなってきた頃、俺達は湖へと到着した。途中でモノクロモン同士の縄張り争いに巻き込まれそうになったりしたが、互いに夢中になっていたからか逃げることには成功した。あのモノクロモン達、海に落ちていったみたいだが…弱肉強食の世界にはよくあることだ。俺達は気にせず先に進むことにした。

 

「あれって…」

 

 ここはあの路面電車のある湖だ。路面電車のある離れ小島に目をやると、その路面電車のライトが突然点いた。湖に建っている鉄塔のいくつかも電気が通っているような音がしている。

 

「ライトが点いた!」

 

「路面電車だ!」

 

「どうしてこんな所に…」

 

「ねぇ、誰か中にいるんじゃないの?」

 

「行ってみようぜ!」

 

 急いで路面電車へと向かう俺達。しかし、この路面電車は何で急にライトが点いたんだ?急に電力が供給されたようだったが…どこから?人為的に供給されているのか?アニメ勢の俺には、この路面電車に関して持っている情報は少ない。デジモンの漫画って読んだこと無いから一度は読んでみたいと思ってたんだよなー、もう叶わないけれども。

 

「誰もいない!」

 

「ホント…」

 

「まだ新しいですね…」

 

「ちゃんとクッションきいてる!」

 

「しかし分かんねぇなぁ…昼間の海辺の電話といいどうなってんだ?」

 

「まさか突然動き出すとか?」

 

「そんなわけないだろ?線路なんて無いんだから」

 

「この中なら眠れそうね」

 

「その前にそろそろ飯にしまへんか?」

 

「そうだね。この辺なら魚とか果物とか、食料には困らなさそう」

 

「じゃあ役割分担しようぜ」

 

 この路面電車を宿代わりにして、俺達はそれぞれ食料を調達してくることになった。湖で釣りなどで魚を捕まえる班と、その辺の森で果物やらキノコやらを採集する班、あとは薪を集めて焚き火の準備をする班か。

 

 まあ、大体子供達が魚釣りか薪拾い、俺達デジモン組は食料調達で別れたけどな。毒キノコとかはこの島で生活していた俺達の方が詳しいし。子供達には料理の方を期待したいぜ…なんせ、生で食べることの方が多かったからな。腹を壊さないとはいえ、せめて焼くぐらいはしたかったが…幼年期の俺達じゃ無理ってもんだ。手、ねぇもん。

 

「ロップモン、どう?」

 

「ああ、順調だよ。結衣、そっちは?」

 

「こっちも焚き火の準備が終わった所。アグモンが火を点けてくれたから簡単だったよ」

 

「そっか。んじゃ、そろそろ飯だな」

 

「うん…ねぇ、さっき言ってた話なんだけど」

 

「あー…もう少し待ってくれ。結構長い話になるからな。皆が寝静まったらにしようぜ」

 

「分かった」

 

 

 

 その後、夕飯は焼き魚に焼きキノコ、果物をそのまま食べた。やっぱ焼いてるだけでも十分うめぇ!ああ、幸せだ…明日の朝飯もこれだけあれば何とかなるだろ。調理した飯が食えるって最高だな!

 

 ちなみに、子供達は「せめて米があれば」とか何とか不満を訴えていた。ま、今までの飯を考えれば当然だよな。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「空、タケルはヤマトのことをお兄ちゃんって言ってるけど、あの二人名字違うよな?何でなんだ?」

 

「私、知らない」

 

「二人とも、そんなに気になってるなら本人に聞いたら良いんじゃない?」

 

「結衣先輩…でも」

 

 家庭の事情だから聞いちゃ行けないかもしれないけど…こうやってコソコソ話される方が私だったら嫌な気持ちになる。マナーとしてなっていないのかも知れないけど。

 

「そっか、それもそうだな。おーい、ヤマト!」

 

「なんだ」

 

「ちょっと、太一!」

 

「タケルは何でお前のことお兄ちゃんって呼んでるんだ?」

 

 凄い…皆に聞こえる声で直接言うとは、思ってなかった。まあ皆大なり小なり気になってたことだろうし、問題ないよね。現にヤマト君とタケル君は気にしてないみたいだし。

 

「ああ、その事か。俺達、兄弟なんだ。親が離婚してるから名字が違うんだよ」

 

「そうだったのか…だってさ」

 

「太一、貴方はもうちょっとデリカシーを持った方が良いわ」

 

「は?どういうことだよ?」

 

「ふふ、まあまあ。スッキリして良かったじゃない」

 

「はぁ…結衣先輩ってそんな感じだったんですね」

 

「そんな感じって?」

 

「もっとクールというか…運動も勉強も出来てて、文武両道とかそういう言葉がしっくり来ていたので、意外で」

 

 私ってそんな風に思われてたの?そんなこと無いと思うんだけど…お姉ちゃんには可愛い物が好きなのバレてるから子供っぽいって言われる。そこが知られてなかったら周りからはそんな風に見えるってことかな?

 

「私は別に何でも出来るってわけじゃないよ。空ちゃんだって文武両道じゃない」

 

「そんな、結衣先輩に比べたら私なんて」

 

「謙遜しなくて良いのに。私の場合、勉強はそれなりでも、スポーツはそこまで出来ないよ」

 

「え、でも確か結衣さんって運動出来るイメージなんだけど。走るの速いし」

 

「そんなことないけど…あ、合気習ってるからじゃない?スポーツはからきしだよ。空ちゃんは色々出来るよね?サッカーとか、バドミントンとか」

 

 護身術じゃ!とか言ってお爺ちゃんに覚えさせられたんだよね。お姉ちゃんだって何故か薙刀術教わってたし…あんなの護身と関係無いと思う。だって薙刀なんて身近に無いから、護身にならないもん。

 

「私は…スポーツやってる方が、楽しいですから」

 

「…そうなんだ。ね、今度サッカー一緒にやろうよ!太一君もね?って言ってもあんまり相手にはならないかも知れないけど」

 

「…ふふ、結衣先輩なら太一にも勝てるかもしれませんね!」

 

「何!?俺だって負けねぇよ、サッカーなら結衣さんにだって!」

 

「あはは、私だって負けないよ?」

 

 

 

「うーん…」

 

 そんな会話をしていると、後ろから丈君が上を見ながら歩いてきた。何してるんだろう?

 

「丈先輩、どうしたんですか?」

 

「方角を確かめようと思ってね。でも北極星が見つからないんだ」

 

「…ホントだ、知ってる星座が見当たらないですね」

 

「おっかしいな~…北極星が見えるのは北半球だけだろ?」

 

「じゃあ、ここは南半球ってこと?」

 

「…ううん。南十字星も見当たらないね」

 

「ってことは一体…」

 

「ふわぁ…」

 

「眠いの?パタモン」

 

 

 

 そんな話をしていたら、パタモンが欠伸を一つした。他のデジモン達も何人かはそろそろ眠いみたい。色んな姿をしているから、生態も変わったってことなのかな…?その辺も後で聞いてみようっと。

 

「それじゃ、そろそろ寝るとするか」

 

「交代で見張りをした方が良くないですか?」

 

「そうだな、順番を決めよう」

 

「女の子はやらなくても良いだろ?」

 

「タケルもだ」

 

「僕、平気だよ!」

 

「いいから、お前はゆっくり休め」

 

「でも寝るって言ってもお布団とか無いのにな…」

 

 ミミちゃんのそんな一言を聞いて、太一君がガブモンに視線を向けた。また何か変なことしようとしてる?

 

「おい、ガブモン…毛布代わりにその毛皮貸してくれよ!俺、すっごく気になってたんだよな。ガブモンのさ、毛皮の下ってどうなってんの?」

 

「うわわ、それだけは~!」

 

「よせ!」

 

 ガブモンを庇うように、ヤマト君が太一君を突き飛ばしちゃった…太一君もすぐに毛皮離してたから、ほんのイタズラというかからかっただけなんだろうけど…

 

「何すんだよ!」

 

「嫌がってんだろ!」

 

「突き飛ばすことないじゃないか!」

 

「や、やめて二人とも!」

 

 取っ組み合いになりそうだったけど、タケル君のおかげで助かった…これは、今後もこの二人は喧嘩しそうな予感がするなぁ。

 

「さて、最初の見張り番は…」

 

「俺がやる!」

 

「次は俺だ!」

 

「わ、分かった。光子郎がその次、最後が僕だ。さあ皆、路面電車の中で寝るんだ」

 

「あ、ちょっと待って太一君。アグモンも」

 

「え?」

 

 見張りに向かおうとした太一君とアグモンを呼び止める。二人には謝らないといけないことが一つあるから。

 

「ほら、ロップモン。海でのこと、ちゃんと謝って」

 

「はぁっ!?な、何でだよ!」

 

「当然でしょ。あんなに失礼なこと言ったんだから」

 

 私が言っているのは、シェルモンとの戦いの時にロップモンが二人に言ったこと。無駄な攻撃とか、考え無しの指示がどうとか言っていたことだ。

 

「ぐっ…確かに、言い方が悪かったのは認めるよ。でもな…!」

 

「ああ、分かってる…あれは俺が悪かったよ」

 

「僕も…ごめん、ロップモン」

 

 ロップモンが何か言い訳を言おうとしていると、二人の方から先に謝ってくれた。

 

「い、いや…俺の方こそ、何て言うか、その……悪かったな。でもな太一、俺達デジモンはお前たち人間のパートナー次第で力が発揮できるか決まるってことは、忘れないでくれ」

 

「あー…えーっと?」

 

「要するに、監督次第で選手は強くも弱くもなるってこと。ね?」

 

「ま、まあそういうこった」

 

「なるほどな!分かった、気をつける!」

 

 こうして二人と仲直りすることが出来た私達。二人に見張りを任せて路面電車で休むことになったけど…少し遅くまで起きてないとね。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 よし、そろそろ良いか。

 

 全員…といってもさっきヤマトとガブモンが出て行ったが、他の皆が眠ったのを見越して体を揺さぶる。

 

 案の定結衣は俺を抱きかかえて寝てたので、こうすればすぐに気づくだろう。結衣はすぐに目を開け、皆が起きないようにこっそりと外に出た。その後、湖の傍の森の方まで結衣は歩いて行く。

 

 

 

「この辺なら大丈夫かな?」

 

「…ああ、近くにデジモンはいない。湖も遠くないし、大丈夫だろ」

 

結衣の腕から飛び降り、俺は結衣に向き直る。結衣も視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。ようやく落ち着いて話が出来るからな。

 

 

 

「で、聞きたいことは?どこから話せば良い?」

 

「この世界のこと、デジモンのこと…それと、君のこと」

 

「俺のこと?」

 

「うん。君がどんな子なのか…教えて欲しい。私は相棒、なんでしょ?」

 

 成る程、親睦を深めようってことか。そこは俺も賛成だな。

 

「分かった。でもお前のことも教えてくれよ?」

 

 結衣が頷き、聞く姿勢に入ったのを見て俺はその場に座り込む。これだけ小さかったら立っていても座っていても、大して変わんねぇだろ。

 

 

 

「じゃあ、まずはこの世界のことから話そう。ここはデジタルワールド、お前たちの世界…リアルワールドとでも呼ぶか。そのリアルワールドの影とも言える世界だ」

 

「世界の…影?」

 

「ああ。この世界はお前たちの世界のネットワークと密接に関わっているんだ。例えばこの世界の文字…あれはそっちの世界で言う所のプログラムのようなものだ。プログラミングが出来る奴ならここと別の場所を直接繋ぐゲートを作ったりとか出来るだろう」

 

 確か光子郎がそんなことやってたよな?まあ正確にはデジタルワールドとリアルワールドの間にネットワークの世界があるって感じなんだろうが…詳しいことは俺にも分からん。アニメやゲームしかしてないからな、この世界の設定は多少知っている程度だ。デジタルワールドの誕生とか歴史とか、俺には分からん。

 

「つまり…ここはネットの中の世界ってこと?」

 

「大体その認識で間違ってねぇ。ただ、ここで間違ってもらいたくねぇのは、ここはゲームの中ではないってことだ。ゲームの主人公みたいなことはまず起こらねぇ」

 

「…ここでもし怪我をしたら?」

 

「リアルワールドと同じだと思ってくれて良い。治す方法も大体一緒だと思ってくれ…言いたいことは分かるな?だがデジモンは違う。デジモンの場合、死んだらデジタマになる。今俺が死んだとしても、来世では俺の記憶を、心を受け継いだデジモンが生まれてくるんだ」

 

「心を……でも」

 

 何か言いたそうな結衣を前に、俺はハッキリと言う。

 

「だから、非常時になったら俺が自分を盾にしてでも守ってやる」

 

「止めて!!そんな話……聞きたく、無いよ」

 

「…悪い。だが、お前を守るのは俺の役目なんだ。そこだけは分かってくれ…なーに、無闇に命を投げ出すようなことはしねぇよ」

 

「………うん。絶対だよ」

 

「ああ」

 

 …確かに、こんな話をするのは誰だって嫌だろうな。俺だって逆の立場だったら…デジモンだけが死ぬってのは、悲しい。しかも俺のパートナーは小学生なんだよな…そんなの、一生心に残る傷になっちまう。タケルがそうだったしな…絶対、そんなことにならないようにしないとな。

 

 

 

 にしても、この今にも泣き出しそうな顔は…まるで……いや、今は良いか。

 

 

 

「デジモン達は、このデジタルワールドで弱肉強食の生活をしてきた。縄張り争いとか、群れ同士で協力したりな。そうして生き残ってきたデジモンは、やがて進化し成長していく」

 

「進化…進化って、具体的にはどんな現象なの?」

 

「どんな現象って…どういうことだ?」

 

「定義は光子郎君が言ってたのに間違いは無いと思う。でも、進化って本当は長い年月で行われていくものでしょ?でも、君達デジモンはこの一日だけでも進化してる。それって私達が知ってる進化とは違うってことじゃない?」

 

「あー…そこはそういうものだって思って貰うしかねぇな。本来はデジモンだって長い年月で進化していく。ただ、俺達は例外だ」

 

「例外?」

 

「そ、例外。お前たち人間のパートナーがいることで、その力を借りて進化出来る。勿論、それは一時的だ。時間をかけなければ進化したままいれるってわけじゃない。アグモンがそうだったろ?」

 

「うん…私達の力って、何?これと関係あるのは分かったけど…」

 

 そう言いながら結衣はデジヴァイスを取り出す。そこまで分かってるのか…まああれだけ太一があの時光らせていたら分かるか。

 

「人間とデジモン、それぞれの思いの力だって俺は思ってる。昼間の海で言うなら、アグモンが太一を助けたいって強く思ったから進化したんだ」

 

「じゃあ、私がロップモンに進化して欲しいって思ったら進化するの?」

 

「簡単には出来ないだろうな…心の底から願う感じって言ったら良いのか?ま、進化が必要になった時にゃ俺も進化するだろうよ。要は慣れってことだな」

 

「そうなんだ…アグモンみたいに大きくなるの?」

 

「いや…デジモンってのは進化先が分からねぇ。言い方によっちゃ、どう生きるかによって進化先が決まるんだ」

 

「…?ごめん、良く分からない」

 

「デジモンは体がデータで構成されてる。周囲の環境、戦いの経験とか…そういうデータを取り込んで進化するんだ。大元は俺達の体なんだが…ワリィ、俺も上手く説明出来ねぇ」

 

「……例えば、火のデータを取り込んだら、炎みたいなデジモンになるってこと?」

 

「お、おお…ま、そういうことだ。お前、よく理解できたな」

 

 やっぱ頭良いだろコイツ。勉強出来るだろ。さっき空も才色兼備って言ってたし。まあ容姿は良いのは分かってたけどな。所謂優等生だな?お前。丈より頭良いとか…言わないよな?お前、ダメだぞ!アイツから頭良いってキャラを取ったらただのビビりだろ!

 

「あー、話を戻すとだな…デジモンにも色々いるんだよ。小さかったり大きかったりな」

 

「そっか……大きいのもアリ?でも……」

 

「見た目も同じく色々だ。可愛いのだったり、クワガーモンとかみたいに凶暴そうなのだったり…あと強さもか。成熟期でも弱い奴だって…」

 

「ロップモンは…ううん、きっと大丈夫だよね。可愛くなるよね?」

 

「は?いや…え?可愛さを俺に求めるのは間違ってるぞ?」

 

「うーん…このまま大きくなってくれるなら……乗りたいな」

 

 な、なんかコイツ自分の世界に入ってないか…?やたらと俺を抱きしめたがるのはぬいぐるみか何かと勘違いしてるんじゃ…ヤバい、今更になってコイツがパートナーってことに危機感を覚えてきたぞ。俺はテイマーズのロッテリアと同じ扱いにはなりたくないぞ!?

 

そんなことを考えていたその時だった。

 

 

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!

 

 

 

「地震!?」

 

「いや、これは…湖に戻るぞ!!」

 

 太一とアグモン、もうやらかしたか!その前に戻るつもりだったんだが…仕方ねぇ、速く戻らねぇと!今頃アイツがキレて暴れ始める頃だ!

 

 

 

 急いで湖の畔まで来ると、すでに中央の路面電車のある小島へと繋がる唯一の通路が壊されていた。しかもあの小島、どんどん陸から遠ざかっているな…小島の先には水色の体に頭が黄色い蛇みたいなデジモンがいる。

 

「結衣さん!何でこっちに…」

 

「ヤマト君達もこっちにいたんだ…何があったか分かる?」

 

「それが、突然アイツが湖から現れて…」

 

「でもおかしいよ!シードラモンは大人しいデジモンのはずなのに…」

 

「そこの詮索は後だ!今は何とかしてあそこまで行かねぇと!」

 

「くっ…タケル!!」

 

「おい、待て!」

 

 俺は耳を使ってヤマトの手を掴み、湖に飛び込もうとするのを止める。

 

「おい、離せ!」

 

「焦るな!湖に飛び込むのは自殺行為だっての!」

 

「ヤマト君、まずは途中まで走って行こう!多分その方が速いよ!」

 

「ほら、行くぞ!!」

 

 小島は俺達から離れるように動いている。そんなに広くない湖とは言え、ここから泳いでも時間がかかっちまうからな。それだったら途中までは走った方が速い。

 

 小島が湖の中に建っている鉄塔にぶつかり、動かなくなった。そしてシードラモンもまた小島から攻撃している皆によって足止めされているようだ。

 

「よし、ここからなら…!」

 

「ロップモン、水面を凍らせることは出来る?」

 

「いや…多分無理だな。水面がシードラモンのせいで波打ってるし、何より俺のブレイジングアイスじゃ表面しか凍らせられないだろうから…踏んだら結局湖に落ちるな」

 

「そっか…じゃあ、泳ぐしか無いね」

 

「よし…今行くぞ、タケル!!」

 

「あ、待って!…毛皮が水に濡れてしまうけど……えい!」

 

 ヤマトに続いてガブモンも湖に飛び込もうとしている。そして結衣もまた、湖に飛び込もうとしていた。

 

 近くに丸太か何かあれば、風を送って漕げたり…いや、無理か。あれじゃ水の上で丸太が回転するだけな気がする。進めたとしても少しずつだろうな……ん?

 

「結衣!」

 

「どうしたの、ロップモン?」

 

「この木だ!この木に登ってくれ!この上からなら、お前を掴んで滑空して、上手く鉄塔を足場に飛んで行けるかもしれねぇ!」

 

「……確かに、行けるかも。うん、やろう!」

 

 結衣と俺は近くの木の上に登り始める。この作戦は俺がどれだけあの滑空状態を保てるかにあるが…やってやる!

 

 数分後、無事に木の上まで辿り着いた結衣と俺。結衣が俺の両手を掴み、準備完了だ。

 

「よし…結衣、思いっきり行け!!」

 

「うん!!」

 

 結衣が力強くジャンプしたのと同時に、俺は耳を大きく広げる。

 

 くぅっ…やっぱ、重いっ……!!いや、だがこれくらいなら耐えれるぞ!!

 

 作戦通り、落下地点を鉄塔に目指して飛んで、落ちそうになったらその鉄塔を足場にして結衣がジャンプするというのを繰り返して、何とか小島にぶつかった二つの鉄塔の片方に辿り着いた。しかし、もう足場に出来そうな部分がないぞ…いや、でも十分ショートカット出来たんだ、後は着水した後に急いで泳げば…!

 

 

 

「ロップモン、耳を閉じて!!」

 

「お、おう!…な、何ぃっ!?」

 

 

 

 結衣の指示通りに耳を広げるのを止めたが、このまま落下すれば鉄塔にぶつかるような位置だった。しかし結衣はその鉄塔を掴み、それを軸に一回転。まるで…そう、体操選手が鉄棒でグルグルやるアレだ。落下の反動を使って、そのまま上に飛んで…俺は偶然にも最も高い位置になった瞬間に耳をまた広げた。結果、さっきよりも高度があがり、距離も若干稼ぐことが出来たらしく、無事に小島へと辿り着いた。

 

 

 

 何だこれ。小学生が何でこんなこと出来るんだよ…?おかしくね!?マグレなのか!?鉄棒得意ってレベルじゃねぇだろ、これ!!

 

 

 

「っ…!」

 

「ゆ、結衣先輩…凄い」

 

「皆…無事で良かった。それより、あのデジモンはどこに行ったの?」

 

「ヤマト!!」

 

 

 

 俺達が何とか頑張って辿り着こうとしている間に、一悶着あったらしい。タケルが湖に落ちてゴマモンの背中に乗っていることから、ヤマトとガブモンが囮になったんだな。で、ガブモンはこうしてここにいるってことは、シードラモンに吹っ飛ばされたか。

 

 ヤマトはシードラモンの尻尾の先にグルグル巻きにされて捕まっていた。このままでは絞め殺されてしまう…が、これは例の進化チャンスだ。

 

 

 

「ガブモン、行け!!」

 

「そ、そんな…俺には……」

 

「このままじゃヤマトがいなくなるんだぞ!!お前の、パートナーだろ!!」

 

「いなく、なる…そんな、もうヤマトの吹くハーモニカが聞けないなんて……あの優しい音色が聞けないなんて…!ヤマトぉーーーー!!!!」

 

 

 

 ガブモンの体と、ヤマトのデジヴァイスが光り始める。

 

 

 

「ガブモン、進化――!!ガルルモン!!」

 

 

 

 ガルルモンは、助走をつけて大きく跳躍。シードラモンの尻尾の、ヤマトの傍を通り過ぎると、何かに斬られたようにヤマトが解放された。

 

「これが……進化」

 

「ヤマト!!こっちまで泳いで来い!!」

 

 

 

 シードラモンはヤマトの時と同じように、ガルルモンを捕らえようとする。しかしガルルモンの毛皮はミスリル並の強度を誇っていると言われ、逆に捕まえようとしていた奴の体の方がどんどん傷ついていく。

 

「ガルルモンの毛皮は、伝説の金属ミスリル並の強度なんや!」

 

「何ですか、伝説の金属って?」

 

「伝説やさかい、わても見たこと無いさけ知りません…」

 

「物知り何だか物知りじゃないんだか、良く分かんない奴だなテントモンって」

 

「んなアホな…」

 

「ミスリルってのはレアメタルの一種だ。鉄の合金で硬度を増してる鋼よりも、さらに硬い金属。シードラモンにとっちゃ、全身刃物の相手を捕まえようとしているってことだ」

 

「…詳しいんだね、ロップモン」

 

「何だよ、ロップモンの方が詳しいじゃんか」

 

「んなアホなぁ!」

 

 シードラモンは捕まえるのは無理と判断したのか、ガルルモンに向かって口から氷のブレスを吹きかける。するとガルルモンは体のあちこちがどんどん凍ってしまう。

 

「あれは、シードラモンの必殺技“アイスアロー”や!」

 

「ガルルモン!!」

 

 

 

「“フォックスファイアー”!!」

 

 

 

 ガルルモンもまた必殺技の蒼い炎を吐き…正面からシードラモンの“アイスアロー”を打ち破る。そのままシードラモンは“フォックスファイアー”を喰らい、水面へと沈んでいった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「ガブモン!」

 

「何とか無事だったみたいだね!」

 

「何だよ、進化出来るなら始めからしろよ」

 

「ガブモン、ありがとう助けてくれて!」

 

「いやぁ、そんな…」

 

「それに、お兄ちゃんも助けてくれてありがとう!」

 

「べ、別に…」

 

「照れ屋なんだから!」

 

「それはお前だろ!」

 

 そんな微笑ましい会話がまた聞けて良かった…私達はゴマモンの“マーチングフィッシーズ”で岸まで戻して貰って、そのまま休むことになった。夜中に戦うことになっちゃったからね…皆、疲れているからしょうが無い。数時間だけでも寝て、ご飯を食べてから出発かな。

 

「結衣、お前も休んどけよ。あと、これでも手に塗っとけ」

 

「これは?」

 

「塗り薬だ。近くに薬草があったから作ってみた。お前、あの時怪我しただろ?鉄棒でもねぇのにあんな無茶するからだぞ、まったく…」

 

 あの時…鉄塔で宙返りした時に、手の皮が破れてた。誰にもバレていないって思ったけど、そんなこと無かったみたい。ちゃんと私のこと気にかけてくれてる子がいてくれた。

 

「…ありがとう、ロップモン」

 

「おう!それじゃ、俺も寝るからな」

 

「何処行くの、君はこっちだよ」

 

「お、おい!やめ…」

 

「シーッ…あんまり大声出したら、皆が起きちゃうよ」

 

「てめっ、謀ったな…!良いから離せっての…!」

 

「私、抱き枕が無いと寝れないんだよね…というわけで、お休み……」

 

「お、おい!?」

 

 

 

 ロップモンって…一体、何者なんだろう。

 

 他のデジモン達が知らないことも知っていたり、この世界のことだって…人間のいるリアルワールドのことを知っていないと分からないはず。でも、ただのデジモンにそんなこと分かるのかな。まして、ロップモンは成長期だし…

 

 あ、でもデジモンって寿命とかで死んだらデジタマに戻って、記憶が引き継がれるんだっけ。だったら、ロップモンの…前世?が世界の理とかに詳しかったってことなのかな。

 

 

 

 でも…インターネットとか、鉄棒とか…私達の世界にあるものの名前を、なんで知ってるんだろう…?この世界にも、そういったものがあるのかな。でも、そうじゃなかったら…何者なの?

 

 

 

 ロップモンを抱き枕代わりにしてそんなことを考えながら、私は眠りについた。

 

 

 

 





やっぱりキャラ多いと会話が多くなってしまいますね。台本形式で書いた方が良いでしょうか?

さて、以下はアニメ感想を書きたいと思います。今やっているデジアド:第二話まで、あとはセイバーズの劇場版のネタバレなので(この時点で何書くか言ってるようなもんですけど)、見たくない方はブラウザバックでお願いします。


















何故、現状第二話までしか出てないのにオメガモンが出てきたんだ…完全体すらも吹っ飛ばされるとは。

確かに、相手も究極体アルゴモンですから、こっちも究極体じゃないと勝てないのは分かるんですけど…そこはもうちょっとこう、別の味方デジモン出現させるとか(サーベルレオモンみたいな)出すとかやりようはあったと思うんです。そもそも、まだ第二話ってことを考えて究極体の敵を出すのは後回しにするべきだったんじゃ…って思いましたね。ストーリーは確かにあり得るけど、もっと後に起こって欲しい事件だったな…これではオメガモンがただのポッと出に感じる。

作画的には問題ないと思います。というか戦闘シーンは普通に面白いと思う。キャラも新しい声優さんになって、ちょっと違和感が感じる台詞もあったりしますが、そこは初代とはパラレルワールドなんだと思っているんで僕は大丈夫でした。



そんな所ですかね。あと気になったのは…アルゴモンって、セイバーズの劇場版に出てきたじゃないですか。その劇場版ってアルゴモンだけじゃなく、リズムって女の子のオリキャラが出てきたんです。ちょっと記憶が曖昧ですけど、そのリズムちゃんはアルゴモンの片割れみたいな設定だったはずなんです。「アルゴリズム」から名前をとったキャラ達なので。

僕の中では、そのリズムちゃんはデジモンだと思ってたんですが…今回のデジアド:はあんなに大量にアルゴモンが出てきてて、ちゃんとリズムちゃんは出てくるのかなーっていうのが疑問でした。出てくるなら、ちゃんとリズムちゃんの設定について掘り下げて欲しいなって思ったり。



っていうか、早く残りのキャラ出してくれー!!

以上、感想と今後の期待(?)でした!

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