デジモンアドベンチャー 優しさの少女と転生デジモン   作:Zelf

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前回の投稿で、更新頻度を早めるかという話をさせて頂きましたが、とりあえずこのまま月一のままにしようと思います。で、今の内に出来るだけ書き溜めしといて、週一更新出来る月だけ事前にお知らせする形にしようと思います。来月週一にしますよー的な。しばらく月一なのは変わりませんので。

感想でご意見下さった皆様、ありがとうございました!お返事書くのを忘れてしまって済みません(;´Д`)しっかり読ませて貰ってますので!







第七話  電光!カブテリモン

 ピョコモンの村で一泊し、翌日。サバンナをとことん歩き続け、辺りに緑がちらほら見え始めた。多分、明るいうちにアンドロモンの工場へと辿り着けるだろう。

 

「うぅ~……もうダメ~」

 

「もう、一歩も…歩けないよぉ」

 

「限界かな…」

 

「ずーっと歩きっぱなしだもん」

 

「よし、ここで休憩しよう」

 

 ミミやタケルにしては頑張った方だろう。パルモンやゴマモンもへばっているようだな…まあ、暑いの苦手だろうし仕方ない。俺も何度氷を作る羽目になったことか…お陰で俺は腹ペコだよ、全く。

 

全員が各々休憩している中、光子郎が小さな岩に座ってパソコンを取り出しカタカタと何かやっている。確か、こっちに来てからは起動しなくなったって聞いてたけど…光子郎のパソコンって何が切欠で動くんだっけ?途中からよくパソコンを弄ってた気がするが。

 

「はぁ…やっぱり動かないよな」

 

「そういう時は、こう叩けば直るって!」

 

「うわわわ、止めて下さいよ!」

 

 光子郎からパソコンを奪い、バンバンと力強く叩き始める太一。光子郎は慌ててパソコンを取り返した。何やってんだよ、太一…それ、パソコン内のデータが消し飛ぶだけじゃないか?

 

「俺は、お前の為を思って…」

 

「それは分かるけど、誰だって大切にしている物を他人に触られたくないでしょ?」

 

「というか、パソコンは叩いちゃダメだよ太一君…」

 

「ちぇっ…」

 

 おい、コイツ反省してねぇぞ。これで光子郎のパソコンが壊れたらお前のせいだぞ。

 

 太一ってよくパソコンとか叩くよな…確かディアボロモンの時とかも叩いてフリーズさせてたし…この癖、どうにか直せないかね。そうすれば将来ディアボロモンと戦う時に助かるんだが。

 

「…あれは!」

 

「あー、太一待って!」

 

「どうしたんだろ太一?」

 

「トイレだろ」

 

「光子郎君、パソコン壊れてない?って、そもそも動かないんだっけ」

 

「はい……あれ?」

 

 またカタカタとパソコンを弄っていた光子郎の表情が変わる。そしてパソコンからもピピッ、という電子音が聞こえてきた。おおう…こ、これは何と懐かしい音だ。自然界ではそうそう聞く機会など無いだろう。人間界を思い出させてくれる音だ。

 

「やった!直ったぞ!…でも、バッテリーがゼロになっているのに動いてる…」

 

「…それ、壊れたんじゃねぇの?」

 

「そ、そんな…」

 

「おーい、皆~!」

 

 …壊したかもしれない張本人が、ある場所で俺達を呼ぶ。声の方を向くと、太一とアグモンの背後に黒い煙が見えた。よーく見れば、煙を出しているのが鉄っぽい何かであることが分かる。

 

 そこにあったのは、かなり大規模な工場だった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 太一君達が見つけた工場に入ってみることにした私達。不法侵入だけど、誰か出会えるかもしれない。悪い気もするけど、仕方が無いということになった。

 

「ねぇ、何作ってるの?」

 

「何だろ…調べてみないと分からないな」

 

「調べるなら、人がいるかどうかも調べようよ!これだけの工場なら絶対誰かいるはずだ!」

 

 今までなら丈君のこの口癖のような言葉も、今回ばかりは説得力があった。何せ、これだけの設備があるんだから。誰も反対はしなかった。

 

 二手に分かれて調べることになり、太一君、空ちゃん、丈君、私の四人とそのパートナーデジモン達は奥にどんどん進んでいくことにし、他の皆は手前から一部屋ずつ見ていくことになった。

 

「誰かー?」

 

「誰か、いませんかー?」

 

「誰もいないのかしら…」

 

「そんなことはない、機械を動かしている人間がどこかにいるはずだ!」

 

「あれ?」

 

 大きめの声を出しながら進んでいく私達、するとピヨモンが足を止めて首を傾げた。

 

「どうしたの、ピヨモン?」

 

「何か聞こえる!ね、ロップモン?」

 

「ああ、ピヨモンの言う通りだ」

 

 ピヨモンとロップモンがそう言うので、耳を澄ませてみると…どこからか、低い、男の人のような…誰かの呻き声が聞こえてきた。

 

「人の声かな?」

 

「行ってみよう!」

 

「ロップモン、ピヨモン、声はどっちから聞こえる?」

 

「うーんとね、あっち!」

 

「だな」

 

 …何か、ピヨモンに任せてサボっているように見えるのは私だけ?

 

 とりあえず進んでみると、すぐにある部屋を見つけた。そこには何か…人とは思えないけど、人型の何かが倒れていた。これも…デジモンなのかな?

 

「何かしら…機械の歯車に巻き込まれているみたいね」

 

「ろ、ロボット?」

 

「ロボットじゃない、アンドロモン!」

 

「へ?これもデジモンなのか?」

 

「そう、しかも良いデジモン!」

 

 良いデジモン…やっと良いデジモンに会えた。今までは凶暴だったり、正気を失っていたりしてゆっくり話したりする機会もなかったから、今回はちゃんと話してみたいな…って、このアンドロモン、下半身が空ちゃんの言う通り歯車に巻き込まれてしまっているみたい。

 

「それに、凄く進化したデジモン!」

 

「進化したって…グレイモンとどっちが上なんだ?」

 

「断然、アンドロモン!」

 

「グレイモンがもう一回進化して同等レベルだな」

 

「どっちにしろ、人間じゃ無かったってことか…」

 

 グレイモンがもう一回進化…確か、昨日の夜にロップモンが教えてくれたっけ。今のロップモン達が成長期で、グレイモンが成熟期…その次が確か、完全体?だったはず。じゃあこのアンドロモンも完全体なんだ。

 

「助けてあげよう?」

 

「ああ!」

 

「そうだね、皆で引っ張ってみよっか」

 

 ロボットみたいなデジモンだから、かなり重そうだけど…多分、これだけ人数がいれば引っ張り出せるはず!

 

「ちょっと待て、引っ張るより壊した方が速くないか?」

 

「え?」

 

「壊すって…アンドロモンをか!?」

 

「なわけあるか!アンドロモンが挟まってる、そこら辺の歯車をだよ!」

 

「でも、どうやって壊すの?いくらピヨモン達でも、いくら攻撃しても…」

 

「アグモン、ピヨモン、炎で攻撃だ。その後に俺が冷やしたら、また攻撃してくれ。それを繰り返せば脆くなる」

 

「んー?よく分からないけど…分かった!」

 

 そうか、熱して冷やせば壊れやすくなるってお姉ちゃんから聞いたことがある。熱すると膨張して、そこを急激に冷やすと部分的に収縮するのが原因とか何とか…金属は伸び縮み出来るから壊れにくいとも言ってた気がするけど…あれ?

 

「ちょ、ちょっと待って!そんなことしたら、アンドロモンも無事じゃすまないんじゃ…」

 

「やっぱり引っ張った方が速いんじゃないか?」

 

「…やっぱダメか?」

 

「…実は最初から分かってたでしょ」

 

 ロップモンってこんな危ないこと考えたりするんだ…よく考えたらメラモンの時も、躊躇無く氷で攻撃したりしてたもんね。あれだってメラモンの弱点だから大怪我させちゃうかもしれないのに…もしかして、自分より強いデジモンにはそこまで効かないって考えてるのかな?

 

 そんなわけで、結局全員でアンドロモンの体を掴んで引っ張ることに。でもやっぱり見た感じロボットっぽいからか、凄く重い。四人と八体がかりでも本当にちょっとずつしか動かせなかった。いや、ゴマモンとかロップモンはちゃんと引っ張れてるのかも怪しかったけど。

 

「せーのっ…!うわっ!」

 

「太一、大丈夫?」

 

「あ、ああ…」

 

「このレバー、何だろ?」

 

「…何も起こらないみたいだな」

 

 アンドロモンを皆で引っ張ってる時に、太一君がすっぽ抜けて後ろにあったレバーを押しちゃったけど…特に何も起こらなかった。

 

 で、ようやくアンドロモンを完全に歯車の隙間から引っ張り出すことが出来た。

 

「やったーっ!」

 

「…………」

 

「起きないね、アンドロモン」

 

「こういう時は叩けば…!」

 

「それはダメだってば!」

 

 空ちゃんと丈君と私の三人がかりで太一君を止めたけど、その時にゴーンって音がした。ふとアンドロモンの方を見たら…アグモンが叩いてた。太一君の真似しちゃったかぁ…

 

「おまっ…馬鹿野郎!」

 

「へ?」

 

「機械は叩くもんじゃない!」

 

「そうよ!叩いたから、余計壊れちゃったかもよ…」

 

「どうしよっか、これでアンドロモンが壊れてたら…」

 

 

 

 しかしその時、アンドロモンの目が開いて、いきなり立ち上がった。その手には空ちゃんの片足が掴まれていて、空ちゃんは逆さに宙ぶらりんになってしまった。大人の男の人…いや、それ以上に大きい…!

 

「きゃあっ!何コレ!?」

 

「空ちゃん!!」

 

「シンニュウシャ、ハッケン…」

 

 侵入者発見…?もしかして、敵だと思われてる?

 

「何するんだ!」

 

「空!“マジカルファイアー”!」

 

「きゃあっ!」

 

「うおっ…と!」

 

 ピヨモンがアンドロモンの後頭部に攻撃したけど、大した聞いた様子も無い。反撃とばかりに空ちゃんを投げてきたけど、太一君とアグモンがしっかりとキャッチしてくれた。良かった…でも、安心してばかりもいられない。何とかして逃げなくちゃ!

 

「あいつは良いデジモンじゃなかったのか!?」

 

「そのはずなんだけど…」

 

「じゃあなんで!?」

 

「うぅ…」

 

「そんなことより、早く二人を助けなきゃ!ロップモン!」

 

 今、二人は壁際にジワリジワリと追込まれてしまっている…早くどうにかしないと、二人が…!

 

「…!アグモン、天井を狙うんだ!」

 

「…いや、俺達は逃げる準備だ」

 

「そんな…ロップモン!」

 

「上を見てみろって」

 

「上…?」

 

「“ベビーフレイム”!」

 

 アグモンの攻撃が、アンドロモンの真上に直撃して、天井に吊してあった鉄骨が次々と落ちてきた。アンドロモンはそれの下敷きになり、身動きがとれないみたい…

 

「ほらな?アイツらだって、やるときはやるのさ」

 

「う、うん…」

 

「よし、今のうちに逃げるぞ!」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 や ら か し た !!

 

 太一のレバースイッチ忘れてた!アレのせいで黒い歯車が埋め込まれちまうんだった!やっぱり時間かけてでも歯車だけを壊せば良かった!

 

「今度は何!?」

 

「ブレーカーが落ちたのか?」

 

 アンドロモンから逃げている最中に、急に停電した。これは、確か…光子郎がやったんだ。ってことはすぐに点くだろうから問題ないな。

 

 そんなことを考えていると、後ろの方から足音が聞こえてきた。チッ、もう脱出したのか。思ったよりも速いな…

 

「どうしよう…」

 

「暗いから、アイツにも俺達の姿は見えないよ」

 

「そ、そうか?」

 

「息を殺して、静かに移動しよう」

 

 いや。アンドロモンは暗闇でもある程度近づけば見えるはずだ。しかしだからといって、音を立てながら逃げるのは意味ないしな…

 

 ん?アンドロモンって何で暗闇でも太一達を確認出来るんだ?もしかしてサーモグラフィーなのか…?だったら、対処できるはずだ!

 

「っておい、結衣!降ろせ!」

 

「…何で?」

 

「良いから!急がねぇと攻撃されて…!」

 

「“スパイラル、ソード”!」

 

「やべっ!皆、そこの角を曲がれ!!」

 

 俺達が飛び込むように角を曲がった瞬間、後ろの突き当たりの壁に何かが凄い勢いでぶつかった。スパイラルソードって確か、手を高速回転させてるアレだよな?何でたったそれだけでこんな威力が出るんだよチクショウ!

 

「あ、電気が…」

 

「ここで戦うのは不利だ!どっか広い場所まで逃げろ!」

 

「抱えられてる奴が言うな!」

 

 それは俺じゃ無く結衣に言え!俺だって好きで抱えられてるわけじゃねぇっつの!何でかさっきから力強く抱きしめられてて身動きとれねぇんだよ!

 

「結衣、降ろせって!」

 

「やだ」

 

「これじゃ今みたいに攻撃されても守れねぇ!」

 

「やだ」

 

「っ…俺が咄嗟に動けねぇとお前が怪我すんぞ!?」

 

「それもやだ」

 

「だぁーーーーっ!!!お前は子供かーーーっ!!?」

 

「…まだ子供だもん。それとロップモンうるさい」

 

 そうだった、コイツまだ小六…ってこの下りは前にやったよ!

 

 走りながらそんな会話していたら、っていうか俺は走ってねぇけど、とにかく広い場所に出れた。が、動けるのは通路と通路を結ぶ狭い橋だけ、下はかなりの高さだ…ここじゃまだ戦えねぇ。

 

「だから助けない方が良かったんだよ!」

 

「叩いたりするから!」

 

「あのな!今もの凄く立て込んでるんだから、そう言う話は後にしてくれよ!」

 

「“スパイラル、ソード”!」

 

「皆、外側に!」

 

 手すりにぶら下がるようにして、スパイラルソードを回避する。アイツ、確実に当たるように低空で放ってきやがった…流石はアンドロモン、頭良いな。

 

「よっと!」

 

 太一が真後ろにあった何かの運転席に乗って、クレーンを操作する。すると見事にクレーンの先のアンカーがアンドロモンの後頭部のパーツに丁度引っかかり、空中へと吊し上げた。いやいや、何で操作出来るんだよお前。まあ助かったから良しとするけどさ。

 

「太一、掴まれ!」

 

「サンキュ、っと!よし逃げろ!」

 

「ここは危険だ!」

 

「皆に知らせなきゃ!」

 

「ロップモン、ピヨモン、ヤマト君達の場所分かる?」

 

「ちょっと待ってろ…」

 

 俺やピヨモンの聴覚でヤマト達の場所を探る。話し声がするのは上の方、音の響きからして工場の外…多分工場の屋上の方に全員集まってる。いや、光子郎とテントモンだけ今屋上に着いたみたいだな。

 

「上だ!屋上に全員いる!」

 

「私も聞こえたよ!」

 

「よし、急ごう!」

 

 屋上へと向かっている途中で、ブツンっていう何かが切れた音、そして何かが着地した音が聞こえたが…っていうか、この音は何だ?ガガガガっ…って、何かを掘っているような…?くそ、工場内だと音が反響するからうるさくて仕方がない!

 

「おーい、皆―っ!!」

 

「何か見つかったか?」

 

「逃げろ!アンドロモンが!」

 

「アンドロモン?」

 

 ヤマト達と合流できたと思ったその時、俺達とヤマト達の間の地面からアンドロモンが下から穴を掘って出てきた。この音かよ!?

 

 

 

「シンニュウシャ、ハッケン…“ガトリングミサイル”!」

 

 アンドロモンの胸の部分が開き、二つの顔面付きミサイルがヤマト達の方に発射された。それぞれ横に逃げるが、タケルだけが残されて…

 

 

 

「や、やだ~っ!!」

 

「タケル!!」

 

「俺に任せて!ガブモン、進化――!!ガルルモン!!」

 

 

 

 おお…ガブモン、いつの間に自由に進化出来るようになったんだ?ガルルモンに進化してタケルに迫っていたミサイルを蹴り飛ばし、上空で爆発…したのは一つだけ、もう一つは俺達の方に向かってきた。ミサイルの口(?)が開き、小さなスピナーが回転して名前の通りガトリング弾で俺達を攻撃してくる。

 

「うわわわっ!?」

 

「結衣、おい!」

 

 このままじゃやられちまうってのに、こんな時でも結衣は俺をホールドしてやがる…!

 

 と、その時、アグモンが俺達の前に出た。

 

「アグモン、進化――!!グレイモン!!」

 

 

 

 今度はアグモンまで…グレイモンになってあのミサイルを尻尾で弾き、その衝撃でぶっ壊れた。た、助かった…ったく結衣の奴、一体何考えてんだよ!?怖いのは、まあ分からなくも無いが…そんなに怖がりだったか?

 

 

 

「グレイモーーン!!」

 

「ガルルモン!!」

 

 アンドロモンを挟み撃ちにしていた二体だったが、先に飛びかかったガルルモンをアンドロモンが背負い投げの要領でグレイモンにぶつけ、下に落ちていった。それに続くようにアンドロモンも自ら飛び降りていく。

 

「“スパイラル、ソード”!」

 

「“メガフレイム”!」

 

「“フォックスファイアー”!」

 

 ガルルモンにスパイラルソードを当てて怯ませ、そこに放たれたグレイモンのメガフレイムを片腕を振るって防御、その後のガルルモンのフォックスファイアーも同様に掻き消された。元々防御力が高いアンドロモンにとっては、グレイモン達成熟期の攻撃ではビクともしない。

 

「…これが、アンドロモン。グレイモン達より進化したデジモンの力……」

 

「パワー、スピード、どれをとってもアタシ達のデジモンよりレベルが上だわ!」

 

「どうやったら勝てるんだよ!」

 

 いや…アンドロモンが強いのもあるが、グレイモンとガルルモンの戦いの経験不足も原因だな。今だって、ガルルモンが投げ飛ばされたグレイモンの下敷きにされている。成熟期では一対一しかしてこなかったし、連携の取り方だって分からないんだろう。それに引き換え、アンドロモンは完全体、完全体ってのは多くのデジモンと戦い、勝ち抜いてきた猛者の証だ。これじゃ勝負にならないぞ…

 

「グレイモン、頑張れ!」

 

「ガルルモン、しっかり!」

 

 

 

「光子郎はん!さっきのあのプログラム!」

 

「…良いのか?」

 

「はいな!」

 

「良し、行くぞ!」

 

「…プログラム?」

 

 テントモンが何かを思いつき、光子郎はパソコンを開いて何かをカタカタと打ち込み始める。結衣は光子郎の後ろに回り込んでパソコンの画面を覗き込んで、俺も一緒に見ているが…パソコンに打ち込まれた文字がグニャグニャと動き始めた。

 

 すると、テントモンの体が光り始めた。

 

「うおお、何や!力が漲ってくる!!」

 

「だ、大丈夫か!?」

 

「テントモン、進化――!!カブテリモン!!」

 

 

 

テントモンは頑丈な頭部を持つ昆虫型デジモン、カブテリモンへと進化した。ど、どうやって進化したのか何度見ても分からねぇ…光子郎のタイピングが速すぎるのもあって、何を打ち込んだのかも分からなかったぞ。

 

 まあとにかく、カブテリモンはアンドロモンへと上空から突撃していく。紙一重でアンドロモンには回避されてしまい、カブテリモンは頭から地面へと突っ込んだが、持ち前の固さで特にダメージは入っていないようだ…すげぇ。

 

 続いて二度目の突撃、これをアンドロモンは受け止め、横へと流すように立ち回る。やっぱ成熟期じゃ完全体の力には勝てないか…!

 

 

 

「“ガトリングミサイル”!」

 

 

 

 カブテリモンは二つの顔面付きミサイルから逃れる為に一度上昇するが、あのミサイルは自動追尾型だ。速度はあまりないようだが、それでも少しずつカブテリモンへと近づいている。

 

「くそっ、アンドロモンに弱点はないのか!?」

 

「弱点……!カブテリモン、右足だ!アンドロモンの右足を狙え!」

 

 アンドロモンが機械で覆われていない生身の部分、その右足が僅かにスパークしているのを光子郎は見逃さなかった。四本あるうちの右腕二本でガトリングミサイルをガードしたカブテリモンは、そのまま必殺技の体勢に入った。

 

 

 

「“メガブラスター”!!」

 

「グオオォッ…!」

 

 

 

今までどんな攻撃を受けても反応一つしなかったアンドロモンが僅かに呻き声を上げ、その右足からは黒い歯車が飛びだした。メラモンの時と同じように、黒い歯車は上空で塵となった。

 

 

 

「邪心が、消えタ…」

 

 

 

 

 

 

 暴走が収まったアンドロモンから、あの歯車の隙間に挟まってしまった経緯を聞いた。元々、あの黒い歯車が機械の中に紛れ込んだらしく、それを取ろうとしたら挟まってしまったらしい。いやいや、だとしても何で足から入ろうとしたんだよ。手を使え、手を。

 

 まあ、誰も気づいてないけど黒い歯車がアンドロモンの中に入ったのは太一が原因なんだよなぁ…無鉄砲というか何というか。トラブルメーカー感があるな、太一とアグモンは。

 

 

 

「…で?何か言うことはないか、俺に対して」

 

「……………ごめんなさい」

 

 

 

 タケルと光子郎がテントモンの進化のことで話している間に、最後尾にいた俺と結衣は小声で話をしていた。

 

 今回に関しては結衣の行動の意味が殆ど分からなかったな…昨日のメラモンとの戦いの後もそうだが、今回もまた少し震えている。他の皆には気づかれていないみたいだが、ぬいぐるみのように抱かれている俺だから気づけたのかもしれないな……というか、だ。今回俺、殆ど何も出来なかったぞ…

 

 

 

「お前がそうなっちまうのは、何か理由があるのか?メラモンの時もだったが…戦いが怖いのか?」

 

「…………そうじゃない」

 

「だろうな。シェルモンとかシードラモンの時は寧ろ率先して戦おうとしてたし……じゃあ何でだ?」

 

「…………怖いの」

 

「……?どういうことだ?」

 

戦うのが怖いわけじゃないが、怖い?さっぱり意味が分からん。

 

 

 

「戦うのがじゃないの……訳あって、その…大人は、怖いの」

 

「大人がって……ハァ、成る程。それじゃ仕方ないな」

 

 

 

 大人が怖い。要するにメラモンやアンドロモンみたいな大人を連想させる人型デジモンは怖いって事だ。だからメラモンの時は咄嗟に動けていなかったし、今回は俺を抱きしめることで恐怖に耐えていたってことか。メラモンの時の方がまだマシだったのは…多分、炎で人型を連想しにくかったからか?

 

 何で大人が怖いのか?それも尋常じゃない怖がり方だが…それを聞くのは、俺にはまだ無理だ…。俺と結衣はまだ出会ってからまだ三日なんだから…結衣が話したくなった時で良い。

 

 

 

「……あー、その、なんだ。もう気にしてないから、あんまり落ち込むな」

 

「……そんなに分かりやすいかな、私」

 

「まあな。ま、今度またそういうデジモン達が出てきたら、大人しくぬいぐるみになってやるよ…」

 

「…………ホント?」

 

「出来るだけ、だぞ?危なくなったら、今度は無理矢理にでも飛び出すからな!」

 

「うん……それで良い。あり、がと……」

 

 

 

 その後はそれぞれ他愛ない話をしながら、俺達は地下水道を進んでいった。

 

 

 

 






設定を小出しにするのって難しい……やり過ぎてないかっていつも気になっちゃいます。

そういえば、アニメ再放送始まりましたね!鬼太郎の再放送がこんな早く終了するとは思ってなかったです。早く第四話以降のお話を見たいですね!
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