デジモンアドベンチャー 優しさの少女と転生デジモン 作:Zelf
後書きでアニメ四話と五話の感想も書きます!
それではどうぞ!
「遠い~故郷思い出す~♪はーい、デジモンチーム思い出す~のす!」
「すっぱいな~すっぱいな~は成功の元じゃーないなーい♪はーい子供チームないないなーいのいー」
「い!?」
「いー…」
「いけな~い~人~♪」
「…何?それ」
「お父さんがよくカラオケで歌ってた演歌!」
「そんな歌知らなーい」
「今は~何もー♪」
「ああ、それなら知ってる!」
「俺も!」
私達は今、アンドロモンが教えてくれた下水道を通って先を進んでいた。暗くて狭い所を進んでいるだけでは気が滅入ってしまうから、歌しりとりをしながら進んでいる。デジモン達にも知ってる歌があるっていうからこうして子供チームとデジモンチームに分かれているけど、何だかデジモン達の歌って童謡っぽい。いや、その方がイメージに合ってるから良いんだけどね。
これ、ロップモンは歌ってくれてないんだよね…デジモン側の列に並んで歌っているように見えるけど、あれは多分口パクだ。歌うフリをしてる。口調に似合わず可愛い声してるから、こういう童謡なら合ってると思ったのにな…ちょっと残念。
「今は~何もー♪…キャアッ!」
「大丈夫か!?」
「どうしたんだ!?」
「水が…落ちてきたの」
「え?」
空ちゃんの上の天井から水滴が落ちてきたみたいで、それでビックリしちゃったみたい。ここってジメジメしてるし何か嫌な感じなんだよね…早く外に出たい。
「汚れましたよ」
「え?あ~…洗濯したい…」
「…俺だって、風呂に入ってのんびりと……」
「僕は…」
「タケルお前なぁ、こんな時にテレビゲームはないだろ?ハッハッハッハ……俺も、タケルのこと笑えない。今、俺のしたいことは、ジュージュー焼ける焼き肉…腹一杯食いたい!」
「誰も笑えないさ…僕は勉強。宿題山ほどやりたい!」
「変わってるわね…アタシは冷たいコーラが飲みたい!」
「ミミさんそれ良い!僕も!」
「僕は、インターネットで友達にメールを送りたい!」
空ちゃんの何となく言った一言で、皆それぞれ今やりたいことを話し始めた。やっぱり皆、我慢してることの方が多いよね…こっちに来てからホントにサバイバルみたいな生活しかしてないもん。最初は少し、キャンプの延長みたいだったから野宿の準備とかは楽しいと思うこともあったけど…何日も経ったらそれも薄れてくる。
「ね、結衣さんは?」
「私?私は…そうだね、丈君と光子郎君と同じかな。勉強と、友達とお喋り。でもコーラも飲みたいな~」
「ですよね!」
「何処かに自動販売機とか、無いのかな?」
「え?さあ…」
「あったら飲み物には困らないよね」
「そしたらアタシ、コーラだけじゃなくて色んなジュース飲みたい!」
「俺も飲みてぇ~!」
「もう、そんなに飲んだらお腹壊すわよ?」
「…おい、ちょっと静かにしてくれ」
「?どうしたの、ロップモン」
そんな他愛ない会話をしていると、ロップモンがそう言うので私達は全員口を紡ぐ。ロップモンは目を閉じて、後ろの方へと耳を傾ける。少しピクピクと耳が動いているのが可愛い…って、そんなこと考えてる場合じゃない。ロップモンがこういう時って、デジモンが私達に迫ってきている時だから。
「…これは、ヌメモンだな」
「ヌメモン?」
「暗くてジメジメしたところがなくて、知性も教養も無いデジモン」
「強いの?」
「弱い」
「弱いけど汚い」
「汚いの?」
「デジモン界の嫌われ者って言われてる」
「嫌われ者?」
「分かりやすく言うとだな…アイツらは自分のウ〇チを飛ばしてくるんだ」
「「「…へ?」」」
私と空ちゃん、ミミちゃんの声が重なった。ロップモンが、そんなこと言うなんて思わなかったから…正直、耳を疑ったし聞きたくなかった。
「おい、走るぞ!もうすぐ姿も見えるはずだ!」
「皆、急げ!」
太一君の一声で、私達は先を急いだ。ロップモンの言う通り、後ろの方には…何か、緑色のスライムみたいな体に、大きく立派な歯並びをした口と、触覚みたいに突出している目玉がついたデジモンがいた。今まで見てきたデジモンに比べると、何だか…こう言っちゃ悪いんだけど、キモチワルイ!
「あ!こっち!!」
一番前を進んでいたタケル君が、外に繋がっていそうな脇道を見つけてくれた。全員一目散にそこへ駆け込んでいき、しばらく進んでいると光が差し込んできているのが見えた。
というか、気のせいかな…さっきから、後ろの方でベチャって音が何度も聞こえてくるような。逃げるのに必死で、振り返る勇気は無かったよ。
「ギャア~!?」
「あ、あれ…?」
「ヌメモン達は、太陽の光が苦手なんだ」
「ハァ~…」
全員が空の下に出たら、後ろの方でヌメモン達が悲鳴?をあげながら帰って行ったみたい。出来れば、もうこんな通路は二度と通りたくないな…
ヌメモン達から逃げ切った後、私達は近くにあった道に沿って移動を始めた。道があるってことはこの先に何かがあるということだと思う。工場みたいな施設があるんじゃないかな。
そう思って皆我慢して移動しているけど…正直言ってヘトヘト。あの下水道を移動し始めてから何時間も経ってるし、そろそろ休憩しないと。そう思って声に出そうとしたその時、ミミちゃんが何かを見つけた。
「こんな所に自動販売機が、たくさん…!」
「…ミミ、まさか飲みたいなんて」
「そのまさか~!」
「ミミ君、どうせ出やしないよ!」
「全く…」
「しょうがないわよ、まだ子供なんだもん」
「さっきあんな話してたしね」
「…でも、気をつけた方が良いぞ。あの自動販売機」
「え?…もしかして、中に何かいるの?」
目の前には自動販売機がデタラメに、大量にある。パッと見た感じだと五十はあると思う。それぞれの中にデジモンがいるとしたら…
「キャーッ!」
「ミミちゃん!」
真っ先に自動販売機の方へと向かって行ったミミちゃんとパルモンの方を見ると、自動販売機の前面部分が外れて、中からヌメモンが出てきた所だった…何であんな所に入っていたんだろ。太陽の光が苦手なんだったら、閉じ込められているのと一緒なのに。
そんなことを考えていたら、抱きかかえていたロップモンが服の袖を引っ張って、耳で上を見るように合図してきた。その仕草が可愛いなと思いながら上を見ると、丁度太陽が雲に隠れていくのが見えた…え、まさか……!
「あ、あんなにたくさん…」
「そんな!」
「ミミちゃん、何かしたの!?」
「ミミが怒らせるようなこと言うから!」
「ごめんなさ~~い!!」
「別れて逃げよう!」
「オッケー!」
またしても、ヌメモンの群れに追われることになってしまった私達。ヤマト君の提案で一旦バラバラに逃げることになった。幸い、近くには森がある。疲れてるし、そう長くは逃げてられないし…森で撒くしかない!
「おい、そこの木の陰に隠れろ!」
「うん!」
「今回は邪魔するなよ!」
「分かってる!」
ロップモンの指示で、私は自分の体を隠せるくらいの木の陰に隠れ、ロップモンを離す。ロップモンはヌメモン達の攻撃が終わったのを見計らって、すぐに飛びだした。
「これでもくらえ!“プチツイスター”!」
「ギャアッ!?」
「“ブレイジングアイス”!」
「ウワァ!?」
十体くらいいたヌメモン達だったけど、戦いには慣れていないみたいで連携が出来てない。上手く躱せずにロップモンの攻撃が当たって、そのまま全員逃げ…ようとしたけど、最後尾にいたヌメモンだけロップモンに掴まった。
「おい、お前にちょっと聞きたいことがある」
「ロップモン、どうするの?」
「この近くに何か目印になりそうな場所があるなら教えろ」
「そ、それならオモチャの町があるよ!アッチ!」
「あっちか…ありがとよ、助かった」
ヌメモンが見ている方向を確認した後、ロップモンはすぐにヌメモンを解放した。ヌメモンが一目散に逃げていくのを見送って、ロップモンが歩き出したので私はそれについていく。
「ねぇ、オモチャの町に向かうの?」
「ああ、バラバラになっちまったからな。闇雲に探すより、目印になる場所に向かった方が良いだろ?」
「それもそっか…でも何でこの辺はヌメモンが多いんだろう。もう追われるのは勘弁してほしいなぁ」
「そりゃ、この辺りは湿地だからだろ。雨が多い場所ならヌメモンも好んで居着く」
「だから晴れの日は自動販売機の中とかにいたんだ…ところで、何でそんな早足なの?」
「いや、だって…ほら!ヌメモンにもう会いたくねぇし!」
「ふーん?私、持とうか?」
「それこそ勘弁してくれ……」
若干早足になっているロップモンの後を、気持ち大股で歩いてついて行った。
☆☆☆
確かオモチャの町の町長のもんざえモンは、太一達をそれぞれ捕獲する為に動いているはずだ。だったら今はオモチャの町には奴はいないはず。皆には悪いが、囮になってもらってる間に潜伏して、皆を助ける準備をするんだ。デジモン達の入っていたあの箱を開けることが出来れば良い。せめて、ミミとパルモンの手助けくらいは出来るだろう。
ヌメモンに聞き出した方向へと歩き出して数十分、思ったよりも時間はかかったが何とかもんざえモンに遭遇することなくオモチャの町に到着した。やっぱ名前の通り、オモチャだらけだ…あんなデカいぬいぐるみみたいなのとか、どうやって浮いてるんだ?確か、アニメだと丈が遊ばれてた気がするけど…どういう原理だよ。
「ここがオモチャの町…」
「みたいだな。それじゃ、皆を探し――」
「か、可愛い…!」
「…ハイ?」
目を離した隙に、結衣がその辺の建物に入っていった。急いで追いかけると、結衣がぬいぐるみを抱えて楽しんでいた…
しまった、コイツ可愛い物に目が無いんだった…こんなディ〇ニーみたいなものが沢山ある場所に連れて行ったらこうなるのは当たり前か。
「おい、結衣!早く行くぞ!」
「こっちの子も良いけど…うん、やっぱりこの子かな!…あ!あっちの子とかタケル君やミミちゃんが喜んでくれるかも!」
「何してんだよ!いい加減皆を探さねぇと!」
「ね、ロップモン!この子とこの子、どっちが良いと思う?ミミちゃんにあげようと思うの!」
「そんな場合じゃねぇ!つーかそれ勝手に持ってく気かよ!」
「勿論、お会計はしてくよ?当たり前でしょ」
「結衣…お前金持ってるのか?」
「少ないけど持って…え?」
俺が耳で示した方向を見てようやく気がついたようだな。この店の金の単位が円じゃなくドルだってことに。まあこの世界の通貨は全部ドルだけどな。
「これで分かったか?ほら、早く行くぞ!」
「そっか……そうだね…………」
「落ち込みすぎだろ…」
「…いや、でも!もしかしたらこの町って、色んな国から来た人向けに作られてるのかも!オモチャだって見たことないのも多かったし!」
「ハァ!?いや、デジタルワールドじゃ全部ドル――」
「ロップモン、早く日本円が使える店を探すよ!!」
「人の話を聞けぇぇぇ!!」
その後、結衣はオモチャの町の建物全てを散策し始めた。
「あ!丁度ロップモンが着れそうな服が…」
「それぬいぐるみの着せ替え用じゃねぇか!絶対嫌だね!!」
「ほら、これとか凄く可愛い!」
「な、おい、バカ、お前…止めろぉぉぉ!!」
俺は疲れた…戦うよりも疲れた。三件目辺りで俺はもう、考えるのを止めた。ただ、心の中で俺はもう、こういう系統の場所にコイツを連れてくるのは止めようと誓った。
オモチャの町に来てからしばらく散策する羽目になった俺達は、誰とも合流できず。ただ結衣の暴走が収まるのを待つしかなかった。
「ロップモン、ロップモンってば!」
「……何だよ」
「あっちの凄く大きい熊のぬいぐるみが動いてるんだけど…あれってデジモンだったりする?」
「へぇー……何!?」
結衣に言われるまで気づかなかったが、かなり遠くに家くらいデカい黄色い熊がいた。間違いない、もんざえモンだ!しまった、もうそんなに時間が経っちまったのか!いや、まだアイツは俺達に気づいていないみたいだ…気づかれる前に隠れねぇと!
「アイツはもんざえモンだ…そこの店に入るぞ!」
「う、うん」
建物の中に隠れた俺達は息を潜め、もんざえモンに気づかれないようにしながら外の様子を窺う。しかし、ズシン…ズシン…という重たい足音はこちらに向かっていない。どうやら別の方角へ向かっているようだ。
もんざえモンがもうこの町にいるってことは…少なくとも誰かは捕らえたということか?確か、ミミとパルモン以外は殆どまとめて掴まっていたような描写があったな…ということは、もう残っているのは結衣と俺、ミミとパルモンの四人だけか…?
「ねぇ、もんざえモンってどんなデジモンなの?」
「もんざえモンは完全体、アンドロモンと同じレベルのデジモンだ。このオモチャの町の町長で、オモチャを愛している…らしい」
「…何か、そんなに危なそうじゃないと思うんだけど」
「…まぁ、今の説明だけだとそう思うよな。だが、お前…自分の格好を見てみろよ」
結衣は今、外にあった風船やらオモチャやらをこれでもかと持ち歩いている。ミミとかタケルにあげるとか言っていたが、明らかにそれだけの量ではない。
「何か変?」
「いやいや、お前なぁ…オモチャの町の町長が、自分の町のオモチャを勝手に持って行かれていたらどう思うよ?」
「別に盗んだわけじゃないし、店の外に落ちてた物ばっかりだし…町長さんなら喜んでプレゼントしてくれそうじゃない?」
「…ま、まあそうかも知れねぇけど、アイツが敵じゃないとは限らない。これまでも良い奴なのに暴走してる奴もいたしな」
「それもそっか…」
やっぱこうやってこじつけの理由じゃ納得しないか?でも暴走してるのは事実だろうしな…そういや、アイツはさっきのあの場所で何してたんだ?近くには…いないな。あの足音はかなり遠い。
「…大丈夫そうだし、出てもいいだろ」
「分かった…とりあえず、皆に合流しなきゃね」
「俺は最初からそう言ってたんだがな?」
「う……ごめんなさい。こういう所に来るとつい…」
「ウム、大いに反省すると良いぞ」
「…何かその喋り方、イラッとする」
「ほれ、良いから行くぞ」
もんざえモンがさっきいた場所に向かうと、近くの倉庫らしき建物の中にガタガタと動くやや大きな宝箱を発見した。
「これ…何?」
「おい、誰かいるのか?」
『その声は、ロップモン?』
『結衣も無事か?』
「アグモンとガブモン…え、何で?」
「さっきの見たろ。もんざえモンにこの宝箱に入れられたんじゃねぇのか?」
『そうなの…私達、皆もんざえモンにやられて』
「全員いるの?」
『パルモンがいない!きっとまだ捕まってないんだよ!』
状況はアニメと殆ど同じみたいだな…後は、この宝箱が同じようにアグモン達でも壊せないのかって所なんだが…
「これ、中から壊せなかったのか?」
『皆で試したけどダメだった!』
「じゃあロップモンだけじゃ壊せないよね…どうしよっか」
「もんざえモンを倒すか、この宝箱の鍵を探すか…どっちにしろ、もんざえモンとは戦わなきゃいけないな…」
「あ!結衣さーん!」
「ロップモンも、無事だったのね!」
丁度、ミミとパルモンがやって来た。良かった、無事に合流することが出来たな。探す手間が省けたのはありがたい。作戦を立てる時間が出来た。
「ミミちゃんとパルモンも、無事で良かった…怪我はしてない?」
「良かった~、結衣さんはいつも通りで!」
「え?」
「聞いて下さいよ、太一さん達の様子がおかしくて…」
「オモチャに追いかけられてたのに、皆笑顔で変な感じだったの」
「まるで感情がないみたいで…アタシ達にも気づかなかったみたい」
『もんざえモンの仕業や!もんざえモンの“ラブリーアタック”でわてらを捕まえた後、光子郎はん達の感情を奪ったんや!』
「感情を奪った…」
「って、今の声ってテントモン?まさか、この中にいるの?」
「ああ、俺とパルモン以外は皆この中だ」
もんざえモンの必殺技、“ラブリーアタック”はハート型の風船みたいなのを飛ばして、その中に取り込んだ相手を幸せな気持ちにさせる技。戦闘向きではないように思えるが、相手の戦意を奪うという意味では最強の技かもしれない…アイツと戦う上で、あの技をどう対処するか重要だ。
アニメだとヌメモンが文字通り肉壁となってミミ達を守ったおかげで何とかなっていたが、アイツらを犠牲にするようなことはしたくないな…何とか、作戦を立てねぇと。
「良いか、ここは俺達だけで何とかするしかない。協力して、もんざえモンと戦うんだ」
「そんな!アタシ達だけなんて…!」
「ミミちゃん、太一君達を正気に戻す為にはもんざえモンを何とかしないといけないの。一緒に頑張ろ?」
「結衣さん…うん、アタシ頑張る!」
「アタシも!」
「それじゃ早速作戦を立てるぞ…まずは――」
俺達はオモチャの町の行き止まりのようになっている場所までもんざえモンを誘導し、迎撃する作戦を立てた。奴を倒す手段がパルモンの進化以外になくとも、もんざえモンから黒い歯車を取り除く策はある。
三人には準備をしてもらっている間に、俺は準備が出来るまで奴を誘導することになった。結衣からかなり心配されたが、ここには二階建てくらいの建物が迷路のように配置されている。徒歩ならともかく、建物から建物を滑空して移動すれば追いつかれることはないはずだ。“ラブリーアタック”もスピードはない。
「お、見っけ」
やっぱこっちまで向かってきてるな…それじゃ、気づいて貰う為に渾身の一撃、喰らわせてやる!
「“ブレイジングアイス”!!」
冷気弾がもんざえモンの顔面に直撃。しかし…まあノーダメだよな。あんなふざけた見た目してるのに完全体だしな…せめて成熟期くらいじゃないと傷も負わせられない。
「オモチャの町へようこそ」
「お邪魔してるよ、もんざえモン…もうしばらく遊ばせて貰うぜ!」
もんざえモンが目から光線を出して攻撃してきたのを躱し、滑空して移動を始める。もんざえモンも俺の方へとついてくる。
やっぱ完全体には黒い歯車じゃ不十分なんじゃないのか?アンドロモンもそうだったが、単純な動作しかしていない気がする。選ばれし子供達やそのパートナーデジモンを倒すことしか考えていないから、こんなあからさまな囮にも簡単に引っかかってくれる。
「お会いできて光栄です」
「うおっ!お前、自分の町を壊す気かよ!?」
目からビームが建物に当たっても容赦なし…これ、復旧作業も手伝わないといけなくなるんだろうか。なるだろうなぁ…少なくとも、結衣が言い出すのが目に見える。何とか光線を空中で避けるようにしないとな。
とか考えていたが、ふと後ろを見てビームが直撃した場所はそこまで壊れていなかった。焼け焦げる程度で済んでいた。建物が頑丈なのか?それとももんざえモンの攻撃がそこまで威力はないということなのか?
「“ブレイジングアイス”!」
冷気弾をもんざえモンに浴びせながら、滑空して逃げ回る。タイミングを見てもんざえモンのビームに冷気弾を当ててみたら、一瞬で蒸発した。なるほど、あのビームは熱線なのか。威力というより超高温のビーム、あんなのに当たったら火傷じゃ済まなさそうだな…
それにしても、もんざえモンの歩みが思ったより遅い。追いつかれる心配はないのは安心だが…これじゃ思ったより引き離せないな。俺と距離が空きすぎると諦めて別方向に移動し始めるかもしれないし…つかず離れずってのは思ったよりキツい。早く結衣達の準備が終われば良いんだけどな。
囮作戦を始めて、十五分くらい経過したか。結衣達が準備している場所からロケット花火がピュ~~…と音を立てて飛んでいくのを確認した。その瞬間、俺は地形を利用してもんざえモンを引き離す。もんざえモンと俺の間に建物を挟むようにして移動し始めたことで、奴も見失ってしまったようでビームが飛んでこなくなった。これでしばらく安心だな…奴の位置は俺なら一方的に把握出来るし、捕まることはない。
もんざえモンの奴、結局最後までビームでしか攻撃してこなかったな…一度直接“ラブリーアタック”を確認しておきたかったんだが、仕方ねぇ。出来れば奴が必殺技を使う前に黒い歯車を取り除きたいな…
「ロップモン!」
「おう、戻ったぞ」
「怪我してない?ちょっと見せて」
「だからお前は俺の母親か!何ともねぇって、ほら」
合流して結衣が俺を視界に入れた途端に、心配そうに近づいてきたのでそう言い返してやった。その場で一回転してどこも怪我していないことをアピールすると、何故か結衣が顔を伏せてしまう。
「おい、どうした?」
「…ちょっと今の、もう一回」
「…絶対ヤダ。それよりパルモンは?」
「ちゃんと位置についたわ!」
結衣じゃなくミミがそう答えた。
「おい、いつまでやってんだ。お前も配置につけって」
「分かってるよ…」
どんだけ落ち込んでんだよ。ホント、人形とか可愛いの大好き過ぎだろ。そこに関しては小六か疑うレベルだぞ?
そんなこんなで、迎撃の準備が出来た俺達。丁度、もんざえモンももうすぐ見えるだろう距離まで近づいてきていた。
結衣とミミは行き止まりの奥の方に、俺とパルモンは横に並んでいる建物の屋根に待機している。もんざえモンが曲がり角を曲がろうとした時にパルモンが、オモチャが大量に入っている箱を落として気を引かせるのが第一段階だ。
もんざえモンが俺の位置から見える距離までやって来た。もうすぐ…もう少し……今だ!俺は耳で円をつくってパルモンに合図を送った。
「えーいっ!」
「?」
もんざえモンに直撃はしないが、突然目の前にオモチャが大量に降ってきたことに目を奪われている。続いて第二段階、まずは俺に気づかせる必要があるのでまた冷気弾で攻撃する。
「“ブレイジングアイス”!」
「!オモチャの町へようこそ」
「それはさっきも聞いたぞ…っと!」
俺の傍にはぬいぐるみが大量に入った箱が三つある。俺はそれを順番に落とし、俺はそのぬいぐるみに紛れて一緒に屋根から飛び降りた。さらにパルモンの方からスーパーボールが大量に落とされる。
動く物を探して追いかけようとしてもスーパーボールがデコイになってくれるし、ぬいぐるみもあって俺の姿は身を隠しやすい…これは結衣の提案だったが、もんざえモンは俺を探しているがまだ見つかっていないようだ。このまま奴の背後まで忍び寄って、背中についているチャックを下ろして中の黒い歯車を直接攻撃する!
「ミミちゃん!」
「はーい!」
結衣とミミもただ黙って見ているわけではなく、さっき合図にも使ったロケット花火の残りをもんざえモンに向かって発射した。これによってもんざえモンは俺から結衣達にターゲットを変更したようで、俺は慎重に奴の背後まで辿り着いた。後は、隙を見て飛びかかれば…
その時、もんざえモンが結衣達を視界に捉えた後、やや前屈みになった。
「“ラブリーアタック”!」
「来た…!」
結衣達に向けて青いハート型の風船らしきものが放たれた。結衣達が作戦通り左の建物の中に入って回避したのを確認して、俺はもんざえモンの背後のチャックに飛びかかり、ついに掴んだ!
後はそのまま下げて……下げ…て?おい、下がらないんだが…?
「ぐっ…ぎぎぎっ……!!どん、だけ!かってぇんだよ!ぐあっ!?」
「ロップモン、大丈夫!?」
アイツのチャックを下ろすことが出来ず、俺はもんざえモンに振り落とされた後、腕のぶん回しに巻き込まれてダメージを負ってしまった。俺を心配してパルモンが声を上げたことで、パルモンの場所もバレてしまったらしい…俺の飛びつき作戦が失敗した場合は、パルモンが“ポイズンアイビー”でチャックを下ろしてもらう予定だったが…あんなに固いんじゃパルモンの力でも無理だな。
しかしどうする?結衣達は隠れてるから比較的安全だとしても、俺とパルモンがあの“ラブリーアタック”に当たったらそこで終わりだ。結局は、パルモンの進化に頼るしかないのか…!?
「まだだ…まだ、諦めねぇ!」
「お姉ちゃん、助けに来たぜ~!!」
「あれって…ヌメモン!?」
「ミミちゃん、ダメ!」
そんな時だった。ヌメモンの大群が、もんざえモンに向かって攻撃を仕掛けたのは。ヌメモン達を目にしたミミは外に出てきてしまい、結衣も一緒に出てきた。
「“ラブリーアタック”!」
もんざえモンの必殺技で、次々と戦意喪失されていくヌメモン達。それでもヌメモン達は諦めず、攻撃を仕掛けていく。
「“プチツイスター”!!」
「ロップモン!ダメ、戻って来て!!」
「俺は、結衣を守らなきゃいけないんだ…絶対に、守って…っ!」
「ロップモンも傷だらけなのに……ヌメモン達もあんなに弱いのに、ミミ達を必死に守ってる。アタシも…!!」
屋根の上にいたパルモンの体が光り始める。ミミのデジヴァイスも、呼応するように光を放つ。
「パルモン、進化――!!トゲモーン!!」
屋根の上から飛び降りた巨大な人型のサボテンみたいなデジモン、トゲモンはもんざえモンに直接体当たりした。トゲが刺さったからか、苦悶の表情を浮かべたもんざえモンは振り払うように腕を振り回し、トゲモンから距離をとった。
睨み合ったもんざえモンとトゲモンは、そのまま近づいていき殴り合いを始める。完全体のもんざえモン相手に一進一退の攻防を繰り広げるトゲモン。お互いにノーガードで殴り合い、トゲモンが相手の隙をついて連続で殴った後、数歩下がって必殺技を放つ体勢になった。
「“チクチクバンバーン”!!」
「ヌワァァ、ァ…」
無数の針を飛ばし、もんざえモンはボロボロになりながら倒れる。あんなに固かったチャックがやや開き、黒い歯車がもんざえモンから飛び出して行った。
その日の夕方、子供達は正気に戻り、もんざえモンがお詫びとお礼と称して“ラブリーアタック”で幸せな気分を味わう中、俺だけは幸せになりきれずにいた。
ちょっとモヤッとした終わり方にしました。
さて、ここからはアニメの感想が下に書かれています。読みたくない方はここでブラウザバックをお願いします。
はい、まずは第四話ですね!
ようやく第四話まで来たデジモンアドベンチャー:ですが、ストーリーはちょっとまだ分からないとこ多いですね。聖なるデジモン達と悪しきデジモン達の戦争で、聖なるデジモン側に加勢したのがアグモン達の前世というのは分かりましたが、何で太一達のことが記憶にあるんだろう?
太一達が記憶喪失、というか覚えていない説?それとも初代デジアドと関係ある?
四話じゃないけど光ちゃんが何か知ってるっぽいのも気になりますね!
ヴァロドゥルモンの声優が初代のヤマトとミミの声優さんだったことに後から気づいて、ちょっと悔しかった…
あとは、サウンドバードモンというマイナーなデジモン(失礼)もちゃんと設定を反映させて出してくれて嬉しかったのと、カブテリモンの”メガブラスター”がカッコ良くなってて年甲斐もなく興奮しましたw
次に第五話!これはミミの話でしたね!
ミミのお爺ちゃんを始めて見た…何故かミミちゃんがお嬢様設定というのは予想できてた。何でだろう?
空みたいに最初はデジヴァイスを持ってないのかと思っていたら普通にポケットから出してきてちょっとビックリ。なんで空だけ最初は持ってなかったのか…w
トゲモンの戦闘シーンは懐かしいと思う部分が多々。”チクチクバンバン”はどっちかというとtri.の方に近かったですね。ラストのアッパー気味の、ゲームでもお世話になった”ココナッツパンチ”がカッコ良かった…!
以上、四話と五話の感想でした!
後書きに書いていて思ったんですけど、二話分の感想だけで700文字を越えてしまっていますね…次回からは感想抑えめで書くようにしようかなと思いましたw
それでは、また来月もお楽しみに!