デジモンアドベンチャー 優しさの少女と転生デジモン 作:Zelf
どうも、一ヶ月ぶりの更新です。本当は、八月といえばデジモンの記念日なので、そこでも連続更新したかったんですけどね…結局間に合わなかったので諦めました…。
デジフェスは今まで行ったことなかったんですけど、今回はYouTubeで配信という形だったので参加出来ました!いつかちゃんとデジフェス参加したいなぁ。
それでは、本編どうぞ。後書きでいつも通りアニメの感想も書きます。
もんざえモンにオモチャの町で一泊させて貰い、俺達は旅を続けていた。進んでいくうちに段々と肌寒くなり、周囲の木々もいつの間にか亜熱帯のようなものから針葉樹へと変わっていた。
「寒いよ~…」
「しおれそう!」
「約二匹やけに元気だよな」
丈が言う約二匹というのは、ゴマモンとガブモンのことだ。あいつらは毛皮あるからちょっと肌寒い程度じゃ何とも無いんだろ。そういう俺も、どうやら暑い場所よりはこれくらいの気温の方が過ごしやすいみたいだな。
「ま、寒いのも悪くはないよな!」
「「「え~?」」」
「そんな、勘弁して下さい!」
「だって雪が降ったら、雪合戦が出来るぜ?」
「雪合戦!」
今まで寒いのが嫌だったタケルやミミも、雪合戦と聞いて表情を明るくした。やっぱまだ子供だな…デジモン達はこういう遊びみたいな文化は知らないから、時々光子郎とかに解説してもらってる。テントモン、雪合戦とかかまくらとか、知らない単語を聞く度に食べ物だと決めつけるな。
「気楽なんだから…雪なんか降られたらたまんないよ」
「丈先輩、何一人で深刻な顔してるんですか?」
「ハァ…深刻にもなるさ。考えてもみろよ、これ以上気温が下がれば野宿だって難しくなる。寒冷地では食料の調達だって大変になるだろうし」
「でも、この島はどんな環境でも食料は実ってたりするみたいだし、探せばあるんじゃない?」
「結衣君まで…ハァ、頭が痛いよ。僕は皆を守らなくちゃいけないんだ。年上なんだから」
流石年長者、こういう奴が一人くらいいてくれないと大変だからな。ただ、丈の場合考え込んでどうしたら分からなくなるタイプみたいだから、お前はもうちょっと楽観的になった方が良いと思うぞ?
「だったら、私も頑張らなきゃね。私だって最年長だし、一緒に話し合って考えれば良いことも思いつくよ、きっと」
「結衣君…そうだと良いけどね」
しばらく進んで森を抜けると、辺り一面真っ白な場所についた。そう、雪原だ。着くなりゴマモンだけでなく、タケルとミミ、パタモンとパルモンもはしゃいでいる。お前ら、さっきまでの寒がりようはどうしたんだ?
「ほらみろ、僕が心配した通りだ」
「これからどうする?」
「とりあえず先に進む。ここでボケっとしててもしょうがないだろ」
「え!?この雪原をか?」
「そうだよ、これ以上は無理だよ!」
「じゃあどうするんだよ!前は雪原、後ろはあの山!どっちにしろ、どっちかに進むしかないだろ!」
「ん…ちょっと待って、何か変な匂いが」
アグモンがそう言って気づいたが、何か独特な匂いがする。腐った卵みたいな匂い…ま、硫黄の匂いだな。匂いのする方を見ると、森の中から湯煙が出ている。
「そうか、この匂いは!」
「温泉だ!!」
「「温泉!?」」
温泉が近くにあると気づいた子供達は全員、その場所へと走りだした。この世界に来てからもう四日、そんなに長い期間風呂に入れないことなんて無かっただろうしな、気持ちは良く分かる。俺も…この姿になってからは風呂なんか入ったことない。何日かに一回くらい水浴びして汚れを落とすだけなんだもんな…
そんな考えに耽っていると、気づけばもう目の前が湯煙で視界が所々遮られている。気温もどんどん暖かくなっていき、ついに露天風呂らしきものを発見した…が。
「これ、沸騰してるぜ…」
「これに浸かるんかいな」
「まさか…」
「あーん、これじゃお風呂に入れない!」
「でも暖かいわ~」
「とりあえず寒さは凌げるな」
「のんきなこと言ってる場合か!食料はどうするんだよ、ここには食料なんて…」
「あるよ?」
「何言ってんだよ、こんなゴツゴツした岩だらけのところに!」
「ほら!」
「…へ!?そんな、ばかな…」
「何だよ?…お!ラッキー!」
「非常識だ…何でこんな所に冷蔵庫が~!?」
丈、お前の気持ちは良く分かるぞ…岩場に冷蔵庫って思ったよりシュールだな。今までもそうだったけど、この世界のこういう電化製品ってコンセント刺さってないのにどうやって動いてんだ?デジタルな世界だから電気が空気中に漂ってんのか?…いや、それはねぇな、うん。それだと俺ら常時感電してる。
そういや結局、この冷蔵庫は誰のだったんだろ?アニメでは分からずじまいだったし…皆も持ち主のことなんてすぐ忘れてたっぽいし、まぁ良いか?
この冷蔵庫の中身は、卵がビッシリ。勿論デジタマじゃなく人間の世界にもあるごく一般的な卵だ。非常事態だからということで、持ち主には後で謝罪することになり、この卵を夕飯にすることになった。丈だけは反対してたけど。木を削って箸や器を作り、丁度良さそうな大きな平たい岩を熱して目玉焼きに卵焼き、温泉でゆで卵が大量に出来上がった。
「いっただっきま~す!」
「頂きます…」
「うん、うめぇ!こんなまともな飯なんて久しぶりだよ!」
「これで白いご飯でもあれば言うことなしだな!」
「ホカホカご飯にゆで卵!」
「うーん、良いわね~!」
「ロップモン、そんな急がなくてもまだあるからね?」
「おお、サンキュ!」
旨い、マジで旨い!何で塩とかの味付けも無くこんなに旨く感じるんだ!?俺はこの小さな手で箸を巧みに使い、片っ端に食いまくる。太一とこれ程共感できることが今までにあただろうか?いや、ない!食卓を囲めば心も通じ合えるってもんだな。うん!
「何だ、丈。食べないのか?」
「あ、うん…家に帰ればこんな苦労しなくても良いんだと思ってさ」
その一言は、場を一気に凍らせた。俺はむせそうになるのを堪え、口に入っている物を何とか飲み込んだ。
おまっ、急に爆弾ぶっ込むんじゃねぇ!もうちょっと考えて発言しやがれ!ほら、全員泣きそうな顔してんじゃねぇか!
「あたし…お家に帰りたい」
「皆、どうしてるかな…」
「あれからもう、四日も経ってるんですよね」
「…ね、ねぇ皆!目玉焼きには何かけて食べる?」
ナイスだ空!あからさまだが、話を変えてくれて助かった…!
「何言ってるんだよ。目玉焼きには塩こしょうって決まってるじゃないか」
「俺、醤油」
「マヨネーズ」
「私はソース!」
「僕は、ポン酢を少々」
「私はケチャップかな」
…塩こしょうって決まってるという丈の発言もどうかと思うが、光子郎。目玉焼きにポン酢か…うーん、合いそう…か?卵料理ってなんでも合うから凄いよな。
「えー、皆変よ!やっぱり、目玉焼きって言えばお砂糖よね!あたしその上に納豆を乗っけたのも大好き!」
「納豆…?」
「それ変すぎだよぅ…」
納豆は…流石に無いな。いや、というか納豆はご飯にかけて食べる派だし。あー、そんな話してたら納豆ご飯食べたくなってくるじゃねぇかよ!早くリアルワールド行きてぇ!!
「えー、皆は目玉焼きにそんな変な物をかけるのか…ショックだ!日本文化の崩壊だ!」
「何ワケわかんないこと言ってんだよ!」
「おい、丈?」
「そこまで悩むか、普通?ま、納豆は悩むかもしれないけどな…」
「だって、目玉焼きには塩こしょうだもの!醤油でもマヨネーズでもなく、塩とこしょう!」
「やれやれ、丈は融通が利かないなぁ」
「何だと!?」
「だってそうだろ?どうでも良いことで悩むし!」
「僕のどこが、融通が利かないんだよ!!」
丈とゴマモンの喧嘩が始まり、止めに入ったヤマトにも八つ当たり気味に「どうかしてるのは皆の方だ!」と言って、その後すぐに何処かへ行ってしまった。
「…私、ちょっと行ってくる」
「おい、結衣?お前、飯は…」
…もう食べ終わってたらしい。結衣は丈の後を追って行ってしまった。一応、俺もこっそりついて行くか。これが食べ終わったらな!
☆☆☆
夕食が食べ終わった後、私は丈君の後を追うことにした。彼があんなに追い込まれていたなんて思ってなかったし、そうなってしまったのには私にも責任がある。
丈君は、少し離れた温泉の片隅に座り込んでいた。小石を温泉に投げ入れながら、「僕はしっかりしてる…」って呟いてる。
「丈君」
「ゆ、結衣君?」
「大丈夫?」
「…勿論さ。僕は大丈夫、僕はしっかりやってるんだ」
「あの、さ。こんなこと言ったら怒らせちゃうかもしれないけど…苦しくない?」
「苦しい…何が?」
「自分はしっかりやってるんだって何度も、何度も自分に言い聞かせて、自分で自分を締めつけてるように見えるんだ…今の丈君は」
「そ、そんなこと…」
「今まで…あっ、ロップモン達に出会ってからね?丈君はちゃんとやってるのは知ってるよ。こんな大変な状況で、丈君が言ってたことは普通なら間違いじゃ無いと思う」
「普通ならって?」
そう、普通なら丈君の言ってることは合ってる。子供だけでこんな森の中に入ったら、まずは大人と合流できるように行動したり、一番最年長の自分が何とかしなきゃいけないって責任感を持つことは当たり前なことだったんだ…この世界に来るまでは。
「デジモンってさ、本当に不思議だよね…アグモンみたいに火を吐いたり、ロップモンみたいに耳が凄い良かったり…あんな生物、私今まで出会った事無いよ」
「そんなの当たり前だよ!あんなデタラメな生物、簡単に出会えたら町中…いや、日本中、世界中でニュースになってる」
「そうだよ。つまり、私達はデジモンっていう、未知の生物が沢山いるここで、何とか帰る方法を探さなくちゃいけない、あのキャンプ場にね。でも、未知の生物がいるのに、今までの常識を物差しにしていたら…多分、非常識なことばっかりでパニックになっちゃうよ。誰かさんみたいにさ」
「………」
「…ごめんね、丈君。私、あんなに君が追い込まれてたなんて思ってなかった。昼間に一緒に相談していこうって決めたのにね…」
「…君が謝る事じゃないだろ」
丈君は立ち上がり、大きく腕を広げて伸びをした。私も丈君につられて立ち上がる。
「僕の方こそ、ごめん。そうだよ、ここには結衣君もいるんだ。僕だけで何でも責任を感じる必要は無かったんだ…これからは、もっと色々相談するよ。絶対、あのキャンプ場に帰ろう!」
「うん…!こちらこそ、改めてよろしくね。でも、それは私だけじゃなくて、皆も頼って良いと思うよ?」
「う、うん。そうするよ」
互いに握手を交わし、私達は太一君達の所へと戻ることにした。
皆の所に戻ると、太一君とヤマト君が何か言い争っているみたい。空ちゃん達も距離を置いて見守っているみたい…あ、ロップモンがこっちに歩いてきた。
「何かあったの?」
「太一があの山…ムゲンマウンテンに登って辺りを見渡したいんだと。でもあの山は凶暴なデジモンもいるから、ヤマトが危険だって反対してる」
「うーん…どっちも正しいから、困っちゃうね」
今の所、このファイル島が本当に島なのかどうかも分かってない。私達、結構当てもなく散策してた感じだし…何処か目的地はあった方が良い。あのムゲンマウンテンっていう山は今まで見た中で一番高いから、あそこからなら今まで通った道も、行ったことない場所も分かるはず。
でも、皆を危険に晒してまで登るべきなのかと言われると…個人的な意見だと、私はヤマト君に賛成かな。どれだけ危険なのかも分からないから、せめてムゲンマウンテンにどれくらいデジモンがいるかとか、そういう情報をちょっとずつ集めてからでも良いんじゃないかと思う……時間がかかるのは間違いないけど。
「待ってくれ、二人とも!まずは、落ち着いて話し合おう、喧嘩しないでさ?」
「で?丈はどう思う」
「え?」
「どっちに賛成なんだよ?」
「えーと…太一の言ってることは正しいよ。あれに登ればこれからの指針にはなると思うよ」
「ほら見ろ!」
「だけど、ヤマトの言うことももっともだ。皆を危険に晒してまで登る意味があるのかって言うと…うーん」
太一君とヤマト君を止めに入った丈君も、どっちが正しいのか決めきれないみたい。と、ここで丈君は私達の方に目を向けた。
「皆はどう思う?」
「私達?」
「これからの行動を決めるには、皆の意見を聞きたい。太一の言う通り、危険な目に遭うかも知れないけどあの山に登って周りの状況を知りに行くか、ヤマトの言う通り危険を避けて、山じゃなくこの雪原、もしくは今まで来た道を引き返すか」
「そうね…私は、途中まで登るっていうのもアリだと思うわ。得られる物はそれだけでも十分、無理に登りきることはないでしょ?」
丈君の質問に、空ちゃんが少し考えてそう提案した。確かに、危険なデジモンに遭遇する前に引き返せば、リスクも少なく情報を得られるかも。
「私も、空ちゃんに賛成かな。さっきまではヤマト君派だったけど、危険なデジモンに会ったら逃げれば良いよ」
「結衣さん…」
ヤマト君が何だか…捨てられた仔犬みたいな目をしているように見えてくるのは気のせい?
「俺やピヨモンが、デジモンに遭遇する前に音で分かるだろ。何より、全員で行けばリスクも少なく出来る」
「ロップモン…だってさ。他の皆は?」
「僕もそれが良いと思います」
「うん!皆一緒なら怖くないよ!」
「あたしも!」
「決まりだな、ヤマト?」
「…分かった。ただし、危なくなったらすぐに下山だ、良いな?」
「おう!」
「それじゃ、もう休みましょう。もう夜も遅いわ」
「それと、全員で登るなら日が昇る前に出発するぞ。ムゲンマウンテンにいるデジモン達が動く前に少しでも登れるようにな」
こうして私達は、ムゲンマウンテンを登ることを決めた。もし怖いデジモンに出会っても、皆がいる。皆で助け合えば、何とかなると思う。
それにしても、さっきまでの丈君だったら二人の喧嘩に加わってもおかしくないと思っていたけど…さっき二人で話した甲斐があったかな。丈君なりに、皆を頼るってことを実戦しようとしていた。責任感も大事だけど、背負いすぎは良くないってことだね。こうして皆をまとめることが出来たんだから。
☆☆☆
昨日はこっそりついて行っていたのがバレたのかと思ったが、何とかバレなかったらしい。やっぱりロップモンの聴覚の良さには助けられてるな…あれだけ距離離れても、太一達の会話も、結衣達の会話もある程度聞こえるから、何かあってもすぐ助けられるし。
結衣が丈を励ましに行って、その後太一とヤマトの喧嘩を丈が止めに入ったのまでは一緒だったんだが、丈が皆に意見を求めたことで、明日全員でムゲンマウンテンを登ることになった。俺の意見で日が昇る前に出発ということになったけど…どういうことだ?結衣のやつ、丈とどんな話をしてたんだ?声は聞こえても、温泉のボコボコという音と太一達の怒鳴り気味の声のせいで会話はあまり聞き取れなかったんだよな…
俺が昨日、結局原作通りの展開になったことに軽く絶望してたのがバカ見てぇじゃねぇかよ…こんなあっさりと原作と乖離しちまうとか、結衣め、恐ろしい子…!
ま、まあ良い。丈とゴマモンだけで登るよりは良い展開になったし…やっぱ、俺一人で何とかしようとしてたのが間違いだったんだな。これからはもっと考えて行動しないと、原作で死んだデジモン達を助けるなんて出来ない、気をつけねぇと。
「おい、お前ら起きろ!朝だぞーっ!!」
「う、うぅん…」
「あと五分……」
「起きろコラァ!!」
案の定、殆ど寝坊してるな。起きといて正解だった…何人かパタモンの羽ビンタ、ではなく俺の耳ビンタで目覚めさせることになったが、まあ女性陣に手を上げるようなことにならなくて良かったとだけ言っておこう。
何とか全員、予定通りに出発した。ムゲンマウンテンは部分的に足場が非常に悪かったり、崖らしき場所を登らなくちゃいけなかったり…本当に道が悪い。原作でここを進んだ丈とゴマモンはよく登ったな、たった二人で…ゴマモンなんか、ここを登るには大変だったろうに。
中腹を少し過ぎた辺りから日が昇ってしまったが、その後は特にデジモンに遭遇するようなこともなく順調に進んだ。で、今は黒い歯車が飛びだしていたと思われる、不自然に亀裂の入った岩壁が見える場所まで辿り着いた。
「ロップモン、この辺にデジモンは?」
「…大丈夫だ、俺達以外には誰もいねぇ」
「よし、一旦休憩しよう!」
「つ、疲れたぁ~…」
「もう歩けな~い」
「結構登って来たわね」
「山頂までもう少しか…ここまで来たら辿り着きたいな」
「そうですね。運良く危険なデジモンにも出会っていませんし」
それは俺が耳を尖らせてるからな…と言いたい所だが、そもそも殆どいないみたいなんだよな。デビモンがもう既にムゲンマウンテンにいるデジモン達を操っているのか?
っと、言ってる傍から俺の耳がバサッ、バサッという重量のある羽ばたきのような音が聞こえてきた。これは恐らくアイツだな。
「皆、あっちの方から何か来るぞ!」
「ホントだ、羽ばたくような音が聞こえる…」
「ということは、鳥みたいなデジモンってこと?」
やがて、俺達が見ている方向から馬に翼が生えたようなデジモンがその姿を現した。ソイツはもう既に気性を荒くしていて、俺達を見つけた途端に口を開けて光を吸収して球のようなものを形成し始めた。
「あれは…ユニモンだ!」
「本当は穏やかなデジモンのはずなのに!」
「言ってる場合か、打ち消すぞ!“プチツイスター”!」
「“ベビーフレイム”!」
「“マジカルファイアー”!」
俺とアグモン、ピヨモンの攻撃でユニモンの必殺技、“ホーリーショット”を相殺する。成熟期の攻撃でも、成長期が三体も集まれば相殺も可能みたいだな。ユニモンはあまり力強そうじゃないし、聖属性は闇属性以外には威力は弱まるらしいけど。
とにかく、上手くいけばユニモンの背中にあるあの黒い歯車を、進化せずとも何とか出来るかもしれない。
そう思っていたら、俺の耳がまたしても音をキャッチした…ってデジャヴかよ!しかしこれは気のせいじゃない、ユニモンが来た方とは違う…これは、俺達が登って来た方からゆっくりと近づいてきているのか!
「皆、ユニモンだけじゃねぇ!別の奴が来るぞぉ!」
「え!?」
「そんな…!」
「ロップモン、どっち!?」
「下だ!俺達が登って来た方だ!」
最初に見えてきたのは、大きな右手だった。崖からその右手だけが見えて、勢いよく登って来たことでその全貌が明らかになる。グレイモンと同じような頭部の外殻に、全身は黄色がかったオレンジ。よく見れば人型に分類されるが、その大きな右腕がアンバランスさを際立たせている。右目に古い傷跡があり、血走ったその目はこちらを睨み付けていた。
「あれはサイクロモン!?」
「あれも元は穏やかなデジモンなの?」
「元から獰猛なデジモンや!」
「黒い歯車が見当たらない…アイツ、元々ここら辺を縄張りにしていたのか?」
「不味いな…逃げられなくなったぞ」
「二手に分かれよう!」
「俺達はあっちをやる!ヤマト、そっちは頼んだぞ!」
「ヘマするなよ、太一!」
サイクロモンがやって来るとは…予想外だ。そして咄嗟に別れた班が、ユニモン側にアグモン、ピヨモン、ゴマモン、俺。他の皆がサイクロモン側だ。咄嗟に別れたとはいえ、この組み合わせに運命的なものを感じてしまうが、そんなことを言ってる暇は無い。
「太一君、もう少し上まで行こう!このままじゃ乱闘になっちゃう」
「アイツの攻撃は俺達に任せろ!さっきみたいに打ち消してやる!」
「よし、行くぞ!」
もう何段か崖を登り、その間のユニモンからの攻撃は俺達が相殺する。反対にヤマト達は、サイクロモンを下の方に誘導しているみたいだ。これだけ離れれば、各個撃破出来るはず。あっちの方が進化できるデジモン多いし。
「ここまで来れば…アグモン!」
「お願い、ピヨモン!」
「アグモン進化――!!グレイモン!!」
「ピヨモン進化――!!バードラモン!!」
「ゴマモン、俺達は結衣達を守るぞ!」
「おう!」
グレイモンとバードラモンのタッグと、ユニモンの戦い。こっちの方が有利に感じるんだが…ここは足場の悪い山道、グレイモンは思った通りに動く事も難しい。そしてユニモンはバードラモンより素早いみたいだ…こっちの攻撃を回避し、ヒットアンドアウェイのスタイルで二体をじわじわと追い込んでいる。
「“メガフレイム”!」
「グレイモン、隙を作るな!」
「ぐあっ!」
「グレイモン!!」
「あっ!バードラモン!!」
必殺技を放ったグレイモンだったが、紙一重で躱したユニモンに横からの体当たりを喰らい、足場が崩れ下の方へと落下していった。ユニモンは背後から近づいていたバードラモンにも気づいていたようで、難なく躱して岩壁にバードラモンをぶつけるように体当たりをする。
まずい…ここはアイツの方に地の利がある。このままじゃサイクロモンのいる下の方に追い込まれて挟み撃ちになるぞ…ここは、俺とゴマモンでどうにかするしかない。グレイモンとバードラモンの反撃の隙を作ってやる!
「“ブレイジングアイス”!こっちだ、ユニモン!」
「よーし、オイラも!」
俺の攻撃でユニモンの注意を引き、ゴマモンと一緒に結衣達から離れる。よし、狙い通りにユニモンがこっちをターゲットしたな。あとは出来るだけ逃げて、グレイモン達が戻ってくるのを待つだけだ。
「お、湧き水だ!だったら…“マーチングフィッシーズ”!」
ゴマモンの必殺技は魚を操るから、水場が無いとゴマモンは必殺技を使えないが、今回は丁度湧き水があり、湧き水の出ている場所や下流の方から何匹か魚が飛びだし、ユニモンに体当たりをしていく。急に現れた魚達に翻弄されているようだ。
しかしすぐに魚達の攻撃が大したことがないと気づいたユニモンは、彼らの攻撃を無視してさっきのように口を開けて光球を作り出す…これは、まずい!
「ゴマモン、危ねぇ!“ブレイジングアイス”!」
「くっ…うわっ!?」
「ゴマモン!!」
ユニモンの“ホーリーショット”がゴマモンに向けて放たれ、俺は冷気弾を当てて相殺まではいかなくとも攻撃をずらそうとしたんだが…ほんの少ししか変えられず、ゴマモンの目の前に着弾し衝撃でゴマモンが吹っ飛ばされてしまった。
後ろから聞こえてきたのは、丈の声だった。吹っ飛ばされたゴマモンに駆け寄り、抱きかかえる。直接は当たっていないから、ゴマモンもそこまでダメージは負っていないはずだが…とにかく、二人からユニモンを離さねぇと!
「“プチツイスター”!…くそ!!」
俺の攻撃を避け、またしてもゴマモンの方を狙おうとしているようだ。こうなったら、俺が丈達の前に出て――
「うわぁぁぁっ!!」
「お、おい丈!!何やってんだよ!?」
「僕が…皆を、守らなきゃ!」
丈が、高度が下がっていたユニモンに正面から飛びついた…!?アイツ、俺の攻撃を回避したタイミングを狙ってたっていうのか!?
黒い歯車までは届いていないが、ユニモンの首にガッシリと捕まっている丈。ユニモンは振り払おうと暴れ、徐々に高度も上げている。このままじゃ丈が…!
「い、今だ!ロップモン、黒い歯車を…!!」
「何言ってんだ、お前にも当たるぞ!!」
「僕のことは、いい…から!早くっ…」
あんなに暴れているのにしがみついている丈も凄いが…俺に丈を巻き込まずに攻撃できるような命中精度はない。巻き込んででもやるしか…ないのか?
「う、くっ…うわぁぁぁっ!?」
俺が迷っている間に、丈はユニモンが暴れる力を強めたことで振り落とされ、このままでは丈は崖下に落ちてしまう。しかも、ユニモンが体勢を立て直して丈にターゲットを絞っているのがその目で分かった。このままじゃ、落ちても落ちなくても丈は…!
「丈……丈ぉ――――――――っ!!!」
ゴマモンの叫びが、辺りに響き渡り…その時、ゴマモンが光に包まれた。
「ゴマモン、進化――!!イッカクモン!!」
白い毛皮に、口にから飛び出た大きな二本の牙。そして頭の上に生えた大きな黒い一本角は、一角獣をモチーフにされたデジモンであることがすぐに分かる。丈を頭の上でキャッチし、向かってきていたユニモンを前足でスクラッチ攻撃して迎撃する。丈が背中の上に移動したことを確認したイッカクモンは、ユニモンに向けて角を向ける。
「“ハープーンバルカン”!!」
再生可能なその一本角を数発連射し攻撃するイッカクモン。ユニモンも一度は全弾回避したが、イッカクモンの“ハープーンバルカン”はこれでは終わらない。黒い角の中に格納されているミサイルが展開され、スピードを何倍にも上げて再度ユニモンに襲いかかり、ユニモンは躱しきれずに何発か被弾。背中に入り込んだ黒い歯車を破壊され、ユニモンは明後日の方向へ撤退していった。
「何とかなったか…そうだ、サイクロモンは」
「大丈夫、ほら」
結衣の声を聞き、下を見る。丁度、ガルルモンとカブテリモンがそれぞれ必殺技をサイクロモンに命中させ、崖下まで落とした所だった。サイクロモンはその重量もあってか、落ちた先も崖が崩れ、どんどん下へと落下していく…あの調子なら、中腹より下まで落ちていくだろうな。
ユニモン、そしてサイクロモンも無事に撃退し、全員合流した俺達は、ようやく頂上へと辿り着いた。そこから見えたのは…この山を中心として、周囲は海に面していた景色。ここが絶海の孤島ということを、子供達はようやく実感したんだ。
はい、というわけでサイクロモンにゲスト出演してもらいました。また出演するかは未定ですが。
サイクロモンって、今まで殆どアニメで出てないですよね…出てたかな?一応、作者はクロスウォーズまでは全部(映画も含め)見てます。唯一見てないのはアプモンですけど…まぁ、あれには出てないでしょ。もし他のデジモンシリーズで出てたら、自分の記憶違いです。ごめんなさい!
それと、今まで感想に殆どお返事していなかったんですが、これからはお返事も書かせて頂こうと思います。数日後に返信とかザラかもしれませんが…感想書いて頂けると、嬉しいです!
というわけで、ここから先はデジアド:の感想(七話から十話)を書いていきます。見たくないって人はここでブラウザバックでお願いします!
はい、というわけで振り返りのコーナーですが、前回の後書きで、四話と五話の振り返りって言ったんですけど、四話から六話の感想でした(ーー;)まずそのことに関して謝罪を。バードラモン飛翔と、聖なるデジモンをごちゃ混ぜにしてましたw大変失礼しました!
ではまず第七話でこれはゴマモン回ですね。ゴマモンの健気さが半端なかった回です。丈が自作したテントの中で勉強してたのはイメージ通りだったけど、まさか頭突きで破壊して、その日のうちに直しているのには驚きと笑いが込み上げましたね…丈、実は建築のセンスがあるのでは?
次の第八話、攻城戦。ヤマトが久々に出てきて、ガブモンの進化シーンも初披露!ちゃんとガブモンの「ガルルモンの毛皮を被っている」という設定が反映されている進化シーンでしたね!ヤマトも最初は丈やミミを足手まといしていましたが、ちゃんと囮として協力してくれて、最後にはちゃんと謝ってくれるそんなヤマトにグッときた。
さらにその後のオーガモン回、第九話。完全体襲来でメタルティラノモンにグレイモンが敗北、オーガモンが決死の覚悟で聖なるデジモンがいる場所を教え、囮になりました…オーガモーーーーン!!本当に、生きててくれ…昔からオーガモンは敵なのに好きなデジモンなんです。あとは…光子郎、やっと合流したのかって回でしたね。それまでずっとカブテリモンに進化していたテントモン、お疲れ様です。
最新話の十話では、メタルグレイモンに進化しメタルティラノモンと一騎打ち。完全体に進化するの早くないですか…とも思いましたが、カッコ良かったのは間違いない。最後の”ギガストーム”ってオリジナル技でしょうか?ゲームはあんまりなので、もしかしたら既存かもしれませんが、それも良かったですね。あとはヤマトとオーガモンの情報が正しいかの喧嘩が起こりそうになったけど、光子郎が情報でフォローしてくれてましたね。今回は二人の喧嘩はそんなに起きなさそう。
以上、感想でした!メタルティラノモンから出てたあの黒い霧みたいなの、あれが初代で言う黒い歯車だと考えているんですが、どうなんでしょうね?それも含めてこの先の展開に期待です。明日のワーガルルモン回も、楽しみですね!