魔法少女まどか☆マギカ〜謎の少年と魔法少女〜 作:TRcrant
ご都合主義満載ですが、よろしくお願いします。
僕は真っ暗な闇の中にいた。
—―—僕は誰?
そんな問いかけに、答える者など一人もいない。
どこを見ても真っ暗な闇の中、自分が今どういう体制なのかもわからない。
もしかしたら地面のような場所に寝ているのかもしれないし、もしかしたら浮かんでいるのかもしれない。
だが、不思議と不安や恐怖といった感情はなかった。
逆に、安心感の方が勝っている。
まるでゆりかごの上に寝ているかのような心地よさを感じていた。
『——た失敗———だね』
そんな中、何処からともなくそんな声が聞こえてきた。
優しく透き通るような女性の声は、少しばかりあどけなさを感じさせる。
『でも、大——夫。次は————よ』
まるで励まされているかのように話すその声に、僕はなぜか懐かしさを感じた。
『だからもう一度、昔の———と、——む———んを、助———てね』
その声は、途切れ途切れで何を伝えたいのかが全く分からない。
おそらくではあるが、誰かを助けてほしいと言っているのだろう。
そんな事を考える間もなく、僕は白い光に飲み込まれていった。
「ん………」
目が覚めると、そこは見知らぬ場所だった。
そこは少しばかりお金持ちが住むような広さのリビングに、三角形の不思議な形をしたテーブルが置いてある。
自分の状況を確認すると、僕はどうやらソファーに横たわっているようだ。
(ここは一体………)
どこなのだろうかと思い辺りを見回すと、少しばかり離れた場所にあるどこかの部屋か廊下に続くドアの前に立っている、金色の髪をした少女を見つけた。
「ッ!?」
その少女と目が合うと、少女はどこか怯えた様子で後ずさりをする。
まるで猛獣を見ているような表情だ。
(取りあえず、何か話さないと)
何時までもこの状態なのは、色々な意味でつらいので何かを言うことにした。
「えっと………ここはどこですか?」
「こ、ここは私の家よ。あなた、傷だらけで倒れてたからここに運んだの」
僕の問いかけに、若干怯えるというよりは警戒した様子で答える少女。
そんな時、ふと僕の頭に二文字の言葉が思い浮かんだ。
「もしかして、誘拐?」
「なッ!? 違うわよっ!」
僕の言葉が衝撃だったのか、一瞬固まると全力で否定してきた。
「私はただ、魔女に襲われて傷だらけになっているあなたを助けた後にベンチに寝かせようとたけど、あなたが私の服を——————」
そして、今までの警戒していた姿はどこへやら、ずんずんと前に来て僕の目の前で必死に反論する少女に、僕はどことなく親近感がわいた。
「わ、分かりましたから。軽い冗談ですので」
「そ、そう。分かってくれているのならいいのだけど」
僕の答えに、少女は安堵の表情を浮かべた。
そこで僕は、先ほどので再び感じた疑問を口にすることにした。
「あの、もう一つだけ聞いて良いですか?」
「うん? 良いわよ。なんでも聞いてちょうだい」
少女のOKが出たところで、僕は気になっていたことを尋ねた。
「”魔女”って一体なんですか?」
「え゛!?」
僕の問いかけに、少女の声が上ずった。
そして、表情も固まった。
「私、そんなこと言ってたかしら?」
「言ってましたよ。正確には『魔女に襲われて傷だらけになっている』ですけど」
僕の答えを聞いた少女は、「うぅ〜」と唸りながら頭を抱えた。
どうやら、余程聞かれたくないことだったらしい。
『魔女と言うのは、呪いから生まれた存在なんだ』
そんな時、追い打ちをかけるように、ウサギと猫を合わせたような白い生物が答えた。
「呪い?」
「えっ!?」
白い生物の言葉をそのまま口にした僕に、少女が目を見開いて声を上げた。
「あなた、もしかしてキュウベぇが見えるの!?」
「はい、見えますよ。というより、これだけ大きければ誰にだって見えるはずですが?」
少女の慌てた様子の問いかけに、僕は当然だとばかりに答えた。
『実は僕は、普通の人には見えないんだ』
キュウベぇがそう口にした。
その顔はまったくもって無表情だ。
「……分かったわ。落ち着いて聞いてね」
少女はそう前置きを置くと、色々と話してくれた。
その話を総合すると、少女は魔法少女という存在のようだ。
魔法少女というのは魔女を退治していく、いわば正義の味方のようなもの。
そして、魔女と言うのは魔法少女とは正反対でいわば呪いから生まれたような存在らしい。
魔法少女が希望を振り回すように、魔女は絶望をまき散らす。
しかもその姿は普通の人には見えなく、原因不明の自殺や交通事故などはほとんどが魔女が原因らしい。
そしてキュウべぇが見える人には魔法少女になる素質があるらしい。
最も僕は男であり、魔法少女にはなれないとのことだが。
まあ、なれたとしてもなる気はさらさらない。
僕には女装癖などはない。
「——―ということなの」
「あなたは、どうやって魔法少女に?」
少女の説明を終えたのを見計らって、僕は今まで思っていた疑問を口にした。
彼女がどうやって魔法少女になったのか、それが知りたかった。
『僕と契約して願い事を何でも一つ叶える代わりに、その少女は魔法少女になってもらって、魔女と戦う使命が課せられるんだ』
僕の疑問に答えたのはキュウベぇだった。
(願い事……ね)
聞こえはいいかもしれないが、一つの願い事はその後の人生を戦いに染めるのにふさわしいのだろうかと疑問を抱いてしまう。
「本当に危ないところだったのよ。あと少し遅かったら死んでたかもしれない」
「本当に感謝しております」
少女の言葉に、僕は頭を下げてお礼を言った。
しかし、いつまで僕はソファーの上で正座をして聞いていればいいのだろうか?
「そろそろ帰らないと家の人に怒られるわよ?」
「えっと………」
少女が時計を見ながら言ってくるが、そこで問題が発生した。
「どうかしたの?」
「その、実は僕家がどこにあるのかが分からないんです」
「……はい?」
意外すぎる僕の言葉に、少女が首を傾げた。
「それどころか両親がいるのかどうかも、そもそもなんでここにいるのかが全く分からなくて」
「………もしかして、記憶喪失?」
僕の言葉を聞いた少女が困ったような表情で言ってくるが、それが分かったら自分でも苦労しない。
「たぶん、そうかと」
「……」
頷いた拍子なのか、それとも少女たちの説明を聞いたからなのか、実は一つだけ思い出したことがあった。
だが、それをこの場で言うのは非常にまずいような気がした。
でも、どうせばれるときはばれるので、僕はそれを言うことにした。
「あの、一つだけ思い出したことがあるんです」
「何かしら? もしかしてご家族のこと?」
僕の言葉に、少女は真剣な面持ちで僕に尋ねてきた。
「非常に言いにくいんですけど………実は僕、その………魔女、なんです」
「………はい?」
僕のカミングアウトに、返ってきたのは信じられないとばかりの声だった。