俺ガイル~二次 雪ノ下父が贈賄容疑で逮捕!雪乃が独立する? BT付き   作:taka2992

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ラスト3で平塚先生は野球観戦にでかけるようだ

 家で夕飯を食ったあと、小町から電話がかかってきた。向こうでも由比ヶ浜と雪ノ下と一緒に晩御飯を作って食べたそうだ。

 

「別にこっちは異常なしだよ。買い物にも三人で行ったし、誰もつけてきてないと思う。無言電話もなし。そっちは?」

 

「これから片岡さんに連絡してみるところだ」

 

「お兄ちゃん、何か行動起こすときは必ず連絡くれって雪乃さんが言ってるよ。無断で行動したら怒るって。なんかマジみたいだよ」

 

「わかった。わかった。必ず連絡する。お前らもガールズトーク控え目にな」

 

 この時間であれば帰宅している可能性が高いと思い、俺は片岡さんに電話をかけた。すると、由比ヶ浜たちが俺の名前を出してくれていたようで、初めから説明する手間がかからなかった。

 

「静(しず)ちゃんの生徒さんでしょ? 彼女は元気にやってますか」

 

「それがですね。実は、先生、結婚詐欺師に引っかかっているようなんです。そのことで、片岡さんと至急お会いしたいんですが」

 

「結婚詐欺?・・・本当ですか・・・静ちゃんは結婚願望が強かったですからね・・・わかりました、いつがいいでしょうか」

 

「今からはどうですか? 駅が三つしか離れていないようなので、すぐ行きますが」

 

「今からですか・・・わかりました。ではそちらの駅前まですぐに行きます。今から一時間後に」

 

「片岡さんの顔は妹から写真を見せられているのでわかると思います。声をかけます。よろしくお願いします」

 

 すでに午後9時を過ぎていた。

まだ時間は十分にある。俺は小町に電話して片岡さんと会うことを知らせ、部屋の写真類を封筒に入れた。次に、スマホの音声ファイルをマイクロSDカードに移した。

 

 駅前に行ってしばらくすると、片岡さんが現れた。身長が180センチ以上、がっしりした体つきで、結構顔がごつい。なかなか迫力のある男だった。アスリートの片鱗がまだ残っている。

 

「片岡さん?」声をかけると、その男は丁寧におじぎをした。俺も一礼して、以前、雪ノ下と入ったドーナッツ屋に一緒に向った。

 

 ドーナッツ屋の小さいイスがキツそうなほど、片岡さんは体が大きい。少し動くと、イスがギシギシ音を立てる。俺は今までの経緯を全部話した。

 

「そうですか。自分は申し訳ないことをしたのかもしれません。あんなに情けない男になって、静ちゃんを裏切ってしまった。追い出されて当然です。いつかその償いをしたいと思っていました」

 

 その口調は朴訥で、身振り手振りも飾り気がなく、佐川とは正反対のような雰囲気だ。しかし、怒るとすっごく怖そうな感じ。俺だったらこの人にコラ!と一喝されたら時速100キロで逃げるね。

 

「俺たち生徒で佐川のウソの証拠を押さえました。それを平塚先生の前で佐川に突きつけてくれませんか。これが、その写真です」

 

 俺は写真を示して、振り込め詐欺グループのアジト内で撮影された佐川を指さした。それを片岡さんはみつめる。続けて、佐川の実家と称する家の写真のプリントアウトを数枚見せて説明した。

 

「わかりました。やってみます。ただ、静ちゃんがどう思うか・・・俺が突然現れても意味がないかもしれません」

 

「片岡さん、いずれにしても先生は佐川が詐欺師であることを知ることになります。すでに警察が動いています。だったら、あなたが先生に真実を教えてあげてください」

 

「それは、自分に静ちゃんを救えということ?」

 

「そうです。こればっかりは生徒の役割ではありません。それに、生徒に助けられたなんてことになれば、先生の立場がなくなってしまいます。こんなことを高校生が言うのもアレですが、片岡さんはもう立ち直って、ちゃんと働いているのでしょう? だったら先生の前に現れる資格はあるはずです」

 

 片岡さんは自分の役割を理解し、決意したようだ。マイクロSDカードをスマホに差し込んでファイルを転送し、写真入りの封筒を受け取った。

 そして、しばらくの間、会社が終わり次第なるべく家にいてもらうように頼んだ。いつ出番がくるかわからないからだ。駅前で別れるとき「ありがとう」と片岡さんは微笑んだ。

 

  ★   ★   ★

 

 

 その翌日、三時間目が終わったとたんに、俺の教室に小町が入ってきた。職員室に行って、平塚先生の机の上を見たら、今日の千葉ロッテマリーンズのナイターチケットが置いてあったという。

 

「それって千葉マリンスタジアム、つまりホームゲームのチケットだった?」

 

「うん、QVCマリンスタジアムって書いてあった」

 

 そこへ由比ヶ浜が近寄ってくる。

 

「どしたの? コマちゃんたち」

 

「先生が今日の夜、野球を見に行くみたいなんです。机の上に二枚チケットが置いてあって、ピンときたんで知らせにきました」

 

「じゃあ、先生、今日の夜デートなんだね。作戦するのにちょうどいいじゃん」

 

 俺はスマホを取り出してパ・リーグのスケジュールを確かめた。すると、今日はダイエーとマリーンズの試合が組まれている。ナイターゲームが終わるのは、だいたい9時から10時までの間だ。時間的にもちょうどいい。その時間をめがけて行けばいい。

 平塚先生が佐川以外の人と野球を見に行くとは思えない。もし違っていても、我々の足労が無駄になるだけで、損するものはない。

 

「よし、今日決行しよう」

 

 俺はその場で片岡さんにメールした。

『本日決行する可能性大。午後9時に千葉マリンスタジアムに集合の要あり。速やかな帰宅後待機されたし』

 

 放課後の部活で、俺は昨晩の片岡さんとのやり取りを報告した。その後、今日は俺と片岡さんだけで平塚先生たちを直撃する提案をした。大勢で行くと、気づかれるからだ。

 

「ええ~、対決見たかったな~」と小町が不満そうに言う。

 

「でもさ、ゆきのんは行ったほうがいいよ。部長だし。ヒッキーが来るなって言ってもゆきのんは行くでしょ」

 

「そうね。私も行く」

 

「わかった。じゃあ、俺、雪ノ下、片岡の三人で9時にマリンスタジアムに集合。おそらく佐川は車で来るはずだから、駐車場に集合な。でもナンバーとか車種から佐川の車を特定しておく必要がある。それがちょっと面倒かもしれない。もし車がわからないと、群集の中から先生たちを探すのは無理だろう」

 

 部活は早々に終わりにして、それぞれ帰宅した。由比ヶ浜と小町は今日も雪ノ下宅に帰って行った。まだ集団生活をしているが、あれ以来、脅迫や嫌がらせなどの被害には遭っていないという。三人の合宿も、いまく行けば今日で終わりそうだ。

 家につくと4時過ぎ、まだまだ時間はたっぷりある。俺はマリンスタジアム周辺の地図をパソコンで調べた。

 スタジアムは幕張海浜公園の北端にあると言っていい。ホームベース側を取り囲むように駐車場があり、その南西は海になっている。このへんは幕張の浜というが、海水浴は禁止されている

 この地図を片岡さんと雪ノ下に送信した。しかし、雪ノ下は極端な方向音痴で、地図を見ても場所がわかるかどうか定かではなかった。そこで小町にメールして、パソコンで地図をひらいて、場所をうまく雪ノ下に説明するように頼んだ。

 食事を済ませると、俺はスタジアムの駐車場に向かった。


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