俺ガイル~二次 雪ノ下父が贈賄容疑で逮捕!雪乃が独立する? BT付き 作:taka2992
ココロコネクトのキャラは出てきません。
ドタバタコントを目指しますがうまくいくかどうか。
(ドタバタコントは挫折しました。物語の構造を楽しんでいただけたら
幸いです。なお、「R-15」 および 「残酷な描写」 は、この第三章からです。
俺ガイルの熱烈なファンの方は、ここで読むのを止めたほうが吉かもしれません)
A面01
その日、6時間目は数学だった。捨てている数学の授業を聞いていたって所詮わからない。眠い。俺は机に突っ伏して寝た。10分くらいウトウトしてふと目覚める。すると、周囲の景色が変わっていた。
振り返ると三浦優美子がいた。ここは由比ヶ浜の席だ。三浦の両隣りには葉山と戸部がいた。しばらく頭がボーッとして理解できなかったが、俺は知らないうちに席を移動していたらしい。
だが、胸が重い。下に視線を落とすとスカートをはいている。そして、おそるおそる胸に両手を当ててみると……………!
後ろの三浦に話しかけられた。
「ユイ~、最近オープンした幕張イオンモール行った~? あーし、今日行ってみたいんだよね~」
無視した。
「ちょっとユイ、なんでシカトしてるし」
仕方なしに俺は答えた。
「あんなところ、俺には興味ないよ」
そう言って振り返ると三浦が変な顔をしている。葉山も俺を見て怪訝そうな表情を浮かべる。
「あ、言葉使いまちがえちゃったし。ごめんごめん。今日は無理だけど、今度行こうよ」
俺はそう言い直した。しかし俺の声はまったく由比ヶ浜の声だった。
俺は俺がいるべき席を見た。するとそこには俺がいた。俺のいるべき席にいる俺も、ほとんどパニック状態の表情で俺を見ていた。
チャイムが鳴った。俺はガタンとイスを倒しそうになりながら俺がいるべき席に向かい、俺に話しかけた。
「おい、お前はもしかすると由比ヶ浜か?」
「そうだよ。もしかしてヒッキー?」
俺たちは入れ替わってしまったらしい。人に会話を聞かれるとまずいので、俺は由比ヶ浜もとい俺の体を引っ張って、人通りの少ない廊下の隅まで連れてきた。その様子は由比ヶ浜が比企谷の手を引いているように見えるはずだ。
「ヒッキー、何がどうなってんの?」と泣きそうな俺の顔が俺の声で俺に問う。
「わからん。とにかく部室に行こう。あそこなら色々話せる」
「わかった」
俺たちはカバンを取ってから部室に向かった。扉を開けるとそこには小町、大志、雪ノ下がいた。
「ゆきのん! なんか変だよ。私とヒッキーが入れ替わっちゃった」
俺の姿をした由比ヶ浜が俺の声でそういった。
俺も「雪ノ下、マジでなんかおかしい。由比ヶ浜の体に俺が入っている、ついさっきから」
由比ヶ浜に「雪ノ下」呼ばわりをされた雪ノ下は、目を白黒させて俺たちを交互に見た。
「あなたたち、エイプリルフールはとっくに過ぎているのだけれど」
「お兄ちゃん。なんか面白い遊びでも考えたの? 小町もやりた~い」
そういって小町も興味深そうに俺たちを見比べる。
その脇から大志が割り込んできた。
「ユイとヒキタニ君、何で私こんなとこにいるの? ここって奉仕部だよね。私さっきまで教室にいたはずなんだけど………」
俺は大志に向かって問いかけた「君は誰?」
「私は海老名姫菜だよ」
一同、ええ~! と声を合わせる。
その瞬間、雪ノ下が突然立ち上がって「キャー」と悲鳴を上げた。
「あーしもわからない! なんでこんなとこにいるし!」
雪ノ下は自分の体を見回してほとんどパニック状態。
「なんで私の髪黒いし! ニーハイソックスはいてるし、ユイ! 助けてくれし!」
雪ノ下の姿をした三浦は、由比ヶ浜の姿をした俺に向かって抱きついてくる。その顔は半泣きだ。
「おい、俺は比企谷で、由比ヶ浜はあっち」と俺は俺の姿をした由比ヶ浜を指差す。
「もう、なんだかわからない!」と俺の姿をした由比ヶ浜が叫ぶ。
小町が全員の中央に現れる。
「ふ~ん。これは人格入れ替わりというやつですかね。なんかそんな小説とかテレビドラマあったですね」
「お前は入れ替わってないのか? だったら状況を冷静に把握してくれ。俺たちは何がなんだかわからん!」
俺はそう言ってイスに座った。そこへ、ガラガラと扉が開いて三浦が入ってくる。
「信じられないわね。どうして私が三浦さんの体になっているのかしら。さっき比企谷君と由比ヶ浜さんの話を聞いたとたんに、私は葉山君とか戸部君とか海老名さんとかの近くにいたのだけれど」
「では、状況を整理しましょう。お兄ちゃんの体には結衣さん。結衣さんの体にはお兄ちゃん。三浦さんの体には雪乃さん。雪乃さんの体には三浦さん。そして、大志君の体には海老名さん。ということは、大志君もそろそろここに来るということでは?」
そう小町が言い切らないうちに扉が開き、海老名さんの体に入った大志が入ってきた。
「俺、なんだかわからないっすけど、海老名先輩の体に入ったみたいっす」
そのとき、とびらが再び開き、平塚先生が入ってきた。
しかし、その表情はまるで精彩を欠き、青白い。まるで幽霊のような雰囲気だった。
「あ、みなさん、おそろいで。……これからあなたたちに面白い実験の対象になってもらいます」
「平塚先生、どうしたんですか」と近くの俺の姿をした由比ヶ浜が問う。
「私は平塚先生ではありません。先生の体を借りているだけです。意識が飛んでいた時間があるのをあまり気にしないタイプの人だったので。
私には名前はありませんが、少し前、文研部の人たちからはふうせんかずらと呼ばれていました。たぶん、知らないと思いますが、私は人間ではありません。
あなたたちにはランダムに人格を入れ替わってもらいます。そう、いつ入れ替わるか、誰と誰が入れ替わるか、いつまでこれが続くのか、誰にもわかりません。
今回は、奉仕部メンバーだけではなく、あなたたちと近い人たちにも参加してもらうことにしました」
ふうせんかずらを名乗る平塚先生は、半眼のままボソリボソリと話し続けた。俺たちは呆然としているだけだった。
やがて、先生は体を反転させてロリノロリと部室を出て行った。