俺ガイル~二次 雪ノ下父が贈賄容疑で逮捕!雪乃が独立する? BT付き   作:taka2992

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(A⇔B)08 俺と彼女が一緒に入浴するわけがない

 

 

 

 洗面所の奥が風呂場になっていた。ガラスのはまった折れ戸を開くと、湯けむりが充満していた。

 洗面所には洗濯機もある。その上に緑色のジャージや制服の上着を置いた。

 

「マジで一緒に入るのか? お前が大丈夫なのかと心配なんだが」

 

「やっぱり恥ずかしいかもしれない。ノリで入ろうって言ったけど……」

 

 髪の毛をグルグルと巻いて、ゴムで後頭部に止めたあと、ゆっくりと赤いジャージと制服を脱ぎ始めた。しかし……。

 

「後ろ向いてて」

 

 そう言うのでその通りにした。俺はこのまま脱ぎ続けていいのかどうかわからなかった。が。風呂は入りたい。お湯に浸かってあたたまりたい。グダグダしていないで、さっさと脱いで湯船に浸かろう。

 そう思って、一気にズボンやらシャツやらパンツを脱いだ。

 だが、やっぱり信じられないほど恥ずかしい。鏡の横にかかっていた小さなタオルで前を隠した。

 

「はい。これ」と後ろ手に渡されたのがニーハイソックスだった。え? なんで?

 

「意味がわからん!」

 

「そういうの好きかと思って」

 

 おそるおそる彼女の方を見ると、顔が真っ赤になっている。シャツの下にはスカートもない。白くて長い素足が見えていた。

 

「なにブッ飛んでいるんだ! 大丈夫かよ」

 

 頭がクラクラしてきた。俺をフェチだと思っているらしい。正直にいえば、確かに興味がないこともないが、匂いをクンカクンカしたくてたまらないということはない。

 

「じゃあ、こっち?」

 

 さらに顔を真っ赤にしてパンツを下ろそうとしている。

 

「お前、重大な誤解しているぞ。やめてくれ。そんな事しなくても大丈夫だ!」

 

「本当に? 恥ずかしくて死にそうだけど……。我慢しているのだけれど……」

 

「いい! そんなことしなくていい! 確かに下着には興味がないこともないが、それを手にとって何かしたいとは思わん! 信じてくれ! 頼む!」

 

「そ、そう? じゃあ返して」

 

 俺はあわててニーハイを返した。大丈夫かよ。男はみんなそうだと思っているんじゃないのか。どう説明したらいいのだろう。説得力のある説明の仕方があるだろうか。

 

 俺は勇気を振り絞って、というよりヤケクソになって、背中を見せている彼女をこっちに向かせた。そして正面から抱き寄せた。

 お互いに顔しか見えなくなった。それにしても自分から言い出したくせにこの恥ずかしがりかたは何? あまり喋らなくなっている。ふだんの様子とのギャップにも頭がクラクラしてきた。

 

「こうすれば見えないだろ。恥ずかしくない。顔真っ赤だぞ。別々に入る? 俺が出てってもいいぞ」

 

「それはいや」

 

 彼女がシャツを脱ぎ始める。すると、なめらかで白皙の肌が顕わになった。ブラジャーが外されると、小ぶりだが、形のいい乳房が見えた。

 そしてパンツを脱ぐと、お互いが全裸になった。突拍子もなくいきなり靴下を差し出されたことで、俺の緊張はふっ飛んでいた。それでも、目の前の裸体を眺めている余裕はあまりない。

 

 湯船には最初向き合って入ったが、どうにも目のやり場に困る。なんか俺の視線が露骨にスケベっぽく見えそうなのが気になる。目つきも顔つきもぎこちなくなっている。湯に浸かれば「はぁ~」と声の一つでも出そうなものだが。

 

「なあ、背中を向けてこっち来なよ」

 

「こう?」

 

 彼女を後ろから抱え込むような体勢になった。その体が俺の胸に凭れてきて、やっと落ち着いた。目の前の肩から伸びた手が、お湯をすくって二の腕にかけている。俺は、お湯がかなりぬるいことに気がついた。

 

「いつもこんなぬるい風呂に入っているのか?」

 

「これくらいの温度に30分くらい入るわね。そうすると寝るときも足が温かいのよ」

 

「ふぅ~。どうなるかと思った。靴下なんか渡すから」

 

「私ね、自分に魅力がないのかと思ってたの。あなたと二人きりになる機会が何回もあったのに、何もしてくれなかったじゃない? だから、そういうことでもしないとダメなんじゃないかと。あるいは、機能的に問題があるのかと」

 

 そう言って見せた横顔が笑っていた。もう顔は赤くない。お湯に当てられて上気しているだけだ。

 

「それは誤解だな。俺がおくてになっていたのは、お前が綺麗すぎるからだ。気後れしていたんだよ。って、……機能的な問題? それって……」

 

「問題ないことは今わかった。お尻に当たってるから」

 

 いつの間に……。緊張して気がつかなかった。急にそれを隠したくなった。

 

「恥ずかしいな」

 

「どうして? 普通のことでしょ。触ってみていい?」

 

「え? ああ……」

 

 右手が後ろへ伸びてきて探る。それがくすぐったい。やがて探り当てられ……。

 

「本当にこうなるのね。なんか面白い」

 

「あんまり強く触らないでくれよ」

 

「どうして? あ、そういうことね」

 

 彼女の左手が俺の手を取る。そして、自らの胸へ導く。そのやわらかい膨らみを手のひらで包み込むように撫でると、ひっかかる点があった。「あっ」と小声が出る。

 

「今のはいいけど、あんまり強く触らないでよ。痛いから」

 

 その横顔がまた笑っていた。

 目の前に首すじがあった。俺はたまらなくなってそこにキスして、唇を滑らせた。その反応が如実に現われ、肩が慄える。

 

 

「お前、本当に綺麗な体してんのな。細いし、足長いし」

 

「ありがとう。あなただって手首とか足首細いじゃない。男にしては珍しいかもしれないわね」

 

「なんか、禁断の果実を食らっちまったようで、もうメロメロ」

 

「まだ食らってないでしょ。……メロメロで思い出した。前に小町さんと話した内容を」

 

「なんかすごく嫌な予感がする」

 

「当たり! あなたがテレビから録り貯めた秘蔵のDVDがあるでしょ」

 

「なに?」

 

 俺はDVDを百枚くらい所蔵していた。それもあまり人には見られたくない内容の。だが、アダルトものは少なかったはずだ。

 

「アニメを貯めたやつ。それを小町さんが解析したんだって」

 

「解析? あいつめ。要するに盗み見したんだな」

 

「そう。それから、あなたが持っている雑誌類もろもろと併せて総合的に分析すると、ある傾向が浮かび上がったんだって」

 

「どんな?」

 

「あなた、JCが好きでしょ?」

 

 彼女が振り返って見つめてくる。

 

「は? JCって女子中学生?」

 

「そう。たとえば、こんなセリフを言う子。

 こんな部屋に連れ込んで何をしようというんですか! このドスケベ、変態、変態、変態! つつつ、通報しますよ! 私に指一本でも触れたら、ブチ殺しますよ! お兄さんなんて大嫌いなんですからね! すっごく気持ち悪いです!」

 

 え? CVが同じ? いや……。今日は頭がクラクラしっ放しだ。三半規管にサナダムシでも齧りついているのではないか。

 目の前でに然現れた演戯にあっけにとられた。声質と言い回しにかなりの再現性があった。俺の中に眠るいくつかのツボを完全に刺激していた。このカンの良さ……。

 

「よくそんなセリフ覚えているな……」

 

「これを兄の前で演じれば、萌えるんじゃないかって言ってた」

 

「あいつめ。マジ許さん!」

 

「ラブリーマイエンジェルっていうんでしょ? このキャラクターが一番好きなんじゃないかって、小町さんが言ってた。

 ごめんなさいね~。目の前にいるのがJKで。それも末期だし。もう18だし。JCってロリコン? ギリギリ違うのかしら。ロリコンって言ったらJSが相場なのかしらね。ただ、あなたの場合はシスコンではない、とは聞いたのだけれど」

 

 そう言いながら、肩が大きく震えている。手の甲を口に当てて、いつものスタイルで笑っている。こんな風呂の中だが。しかも裸で。

 

「あほか。中学生とか小学生が好みなわけないだろ。それに、2次元と3次元を一緒にするな」

 

「まだあるんだって。あなたにメロメロなの。あなたがエロエロなの。とか。

 あと、お外走ってくる~。

何のことだかわからないのだけれど」

 

「たのむ、もうやめてくれ! お前らそんなガールズトークしていたのか」

 

「そう。こういう演戯をしたら兄が興奮するって。小町さんが力説していた」

 

「まるで俺はJC好きのアニオタじゃないか。それにロリコンかよ! よかったな、そんな真似しなくて。的外れもいいところだ。小町情報は信用できないことがわかっただろ」

 

 我ながらおかしくなって噴き出した。腹が痙攣して湯船の水が飛び跳ねた。

 彼女が身を翻して顔を近づけてきた。

 

「わかってる。あなたは少し捻くれているだけで、いたって正常よ」

 

 そういうと彼女は俺の首に手を回してキスしてきた。

 

「お前、なんか姉貴に似てきたぞ。素質はあると思っていたが」

 

「そお? 振り回されちゃったかしら?」

 

 水を滴らせて彼女が立ち上がった。その全身が顕わになる。思わず見とれてしまった。

 俺も暑くなってきたので湯船を出た。ボディソープを手につけた彼女が待っていて、体を洗ってくれた。突き出している部分も含めて。

 そんなことをしてもらうのは子供の頃以来だ。俺も彼女の背中から足までこすってやった。

 もう、お互い恥ずかしさなど感じなかった。当たり前のことをしているような気分。

 シャワーで石鹸を流すと、髪の毛を洗うという彼女を残して先に出た。

 

 リビングに戻る前に、寝室に侵入して、箪笥の下着類を漁った。他人のものだと気持ち悪いが、洗面所に置いていある着古しよりはマシだ。たぶん、洗濯してあるはずなので適当に選んで着た。Tシャツも失敬した。一応着ける前に匂いを確かめると、洗剤の香りがした。

 

 冷蔵庫から炭酸飲料を取り出し、ソファで喉に流し込む。長湯をしたことがないので、渇いていた。飲み干すとはぁ~と息を吐き出し、ソファに横になった。このまま眠れそうだ。

 しばらくすると、洗面所からドライヤーの音が聞こえてきた。他人の家の設備を使い放題。洗濯機の回る音も聞こえてきた。

 

 俺は、ふうせんかずらの世界にいることもすっかり忘れ、いつの間にかウトウトして半睡半覚の状態に陥っていた。

 

 

 

 

 






 こんばんは、小町です。
 今回は入浴シーンだけで終わってしまいましたね。ということは、この世界が終わるまであと2回ってことになるんですかね。
 いやぁ。高校3年といえば、もう大人ですよね。18歳ですから。なんたって大人の定義を18歳以上にしようという議論も最近になって出てきたくらいですし。
 そうそう、兄の嗜好ですけど、妹ものの例のアニメが好きらしいんです。同じ千葉だし。小町も妹なのでちょっとドキドキしましたが、単純にキャラ萌えしていたようです。やっぱりああいう清純派で、ツンツンして、軽く病んでいるというか、クセがある人に惚れるようですね。あ、そういえばこの話のタイトルも引っ掛けているみたいですね。
 それではみなんさん。ごきげんよう。


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