人間の屑がこの野郎ッ。許してください、完結させませすから…
あ、そうだ(唐突)今回投稿するのはモチベを切らさない為の奴です。クオリティ、長さそれぞれあまり良いものとは言えないかもしれません。でも順次書いてるから楽しみに待っててくれよ~、頼むよ~。
「GAAAAA…」
断末魔の叫びが次第にかすれ、ずしんと凄まじい重量を伴った腕が石畳を強く打つ。
ゴブリンスレイヤーの手によって恐るべき怪物
だが往々にして怪物を倒した所で冒険というものは終わらない、無事に街に帰るまでが冒険なのである。
だが帰る為には未だ砂塵の中にいる筈の狂戦士をどのような姿であれ見つけ出し、オーガの心臓を喰らいながらに血濡れで狂乱する蜥蜴僧侶をどうにかしなければならない。そのどちらも行わなければいけないのが一党にとって辛い所だった。
幸いにも精神力の消費はあれど一党には無事な者自体は多く、加えて蜥蜴僧侶もやみくもに牙尾爪爪を振り回してはいるものの術が切れかけているのか多少の意識は戻っているらしい。
咆哮の合間に「しばし離れよ」だの「なんとかする」だのと途切れ途切れに言っている様子からどうやら大事はないようだ。
ならば後は狂戦士の救助だと男衆はぶっきらぼうな手付きながらも一つ一つの瓦礫をどかし、瓦礫の中で微かに息をする狂戦士を見つけ出す。
彼は意識こそ失ってはおれど奇跡的に全身を強打したにも関わらず目に見える大怪我はない。後頭部が触って分かるほど腫れている程度で一党に少しの余裕が戻る。
せっかく怪物を倒したのだし誰かが死んでは悲しい、そう言うものだからだ。
「分かっとるなかみきり丸」
「ああ、今回は終いだ。引き上げる」
狂戦士と蜥蜴僧侶の様子を鑑みたゴブリンスレイヤーはそう簡潔に判断を下した。
そんな彼の一言に一党は異論を挟むことも無い。彼らは戦利品になるかも分からぬ棍棒を捨て置き、帰路を急いだ。
一目見て大事ないとはいえやはりあれほどの無茶をした狂戦士の体はどうなっているのかが分からない。ゴブリンスレイヤーの過去の経験からしても当然の事だった。
ゴブリンをあらかた倒していたために帰路の道中は特に何もなく遺跡の入り口まで戻った彼らを迎えたのは、竜牙兵の文で慌てて駆けつけた森人たちだ。
そのままの勢いで森人戦士たちの歌うように流麗な謝辞を受け流し一党は彼らの背に用意された馬車に乗り込んでいく。その折に狂戦士はまるで
「あ”-…ヴんッ!水薬があればくれると嬉しいんだけど…頼めるかな?」
「おぉ、ご同胞!意識を取り戻されましたか…我らの危機に身を挺してくださったのです、もちろん差し上げますとも!」
「申し訳ないね…グっ…あぁジャリジャリする。うーん、駄目だなやっぱ僕もう無理ぃ…」
渡された水薬を一息に飲み干し、小さく呟いた狂戦士はそのままうなだれてしまう。その手からは飲み干した瓶が零れ落ち、パリンとこれまた小さな音を出して割れ、力尽きたか!?と一党が驚いて思わず顔を見やるが狂戦士から聞こえるのは小さな寝息ばかりだった。
何とも人騒がせで本当に心臓に悪いと女神官が思うのも無理は無いことである。
馬車の中は異様に静かで外からの車輪がガタガタ揺れ動く音の中で狂戦士の小さなすーすーと空気の抜けるような寝息さえ聞こえていた。
「すみませぬなぁ…拙僧もよもや自力で立てぬようになるまで狂乱するとは思わなんだ」
まるで通夜かのような雰囲気に耐えかねたのか、それとも自らの未熟さを戒める為か服の破れと所々鱗の剥げが見受けられる蜥蜴僧侶がそう切り口を作る。狂戦士から受けた【
「しゃーなしじゃしゃーなし、あれが無けりゃこっちがおっ死んでたわ」
「確かにアレはねぇ…他に手は無かったとはいえ…」
「いや、あった…だが決定的な隙でも無ければ先手を打たれていただろう」
「え、あったの?なんかオルクボルグがそう言うと妙に怖いんだけど」
「
「待って待って、転移ってあれよね?あの敵地から逃げたりするときに…」
ゴブリンスレイヤーが言い放った転移の巻物のまさかの使い方に始まった妖精弓手の説教を右耳から左耳へとすり抜けさせ、鉱人導士は蜥蜴僧侶に向き直る。
すると力なく、しかし目だけは爛々とした蜥蜴僧侶が口を開いた。
「いやしかし、覚知神…鱗と尾があれば鞍替えも視野に入れる程!かの
たしん、と尾を振って高揚を表すがやはりそこに力は認められない。まあこの狭苦しい馬車の中で尾を力強く振られても困るが自らの武勇、戦働きを讃える蜥蜴人らしい表情を浮かべている(鱗に覆われたそれを表情と言って良いのかは謎だが)
「止めい鱗の…お前さんがあんなの毎度使っておったらおちおち周りも歩けやしねぇや」
「むぅ…確かに拙僧も味方を潰しかねぬ力は少々御免頂きたいですな。竜へと至ればやぶさかでもありませぬが今は大人しく異端の心臓と首を捧げることといたしましょう」
思わず窘めればまた物騒なことを言い始め、さらに舌なめずりをしながらに言うのだから鉱人導士が蜥蜴僧侶に恐怖を感じる。
会った時から怒る所は未だ見たことが無いが狂乱した時と同じかそれ以上であるならば対処が出来ない。
「そいつもまた物騒だなぁ…いや物騒と言えばこいつの方か」
「むにゃむにゃ…もう食べられないよぉ~」
「はぁ…何の夢を見てるのやら…絵物語でしか聞かない寝言漏らしおったぞこやつ…」
鉱人導士がわざと話題を変えて狂戦士の方を見やれば気持ちの良さそうな顔をして眠る狂戦士。
先刻見せた鬼神の如き顔は何だったのか、呑気に意識を失っているものだと鉱人導士が息を吐く。強靭な肉体と普段の調子から案外無事かと思われたがやはり体にはガタが来ていたらしくすぐに眠ってしまった。
それでも為すべきことを為したのは覚地神とか言う外なる神を信じながらにしてそれに飲み込まれぬほどの強靭な精神力故だろうか。
だがその分狂戦士の作戦は本当に見事に決まってしまった。本来金等級以上の案件たる人喰鬼を魔法の装備も、大した設備も無しにこの人数でよく倒したものだと息を吐く。
ただ、自分を大事にしていないかみきり丸に加えて
生まれてきて100と余年、未だに分からぬことの方が多いのはこの世界に起こることのなんたる多さか。
謎と言えば他にもある。森人にしては珍しい程に鉱人導士との仲も悪くないことも挙げられるだろう。気の合う奴は種族超えているとして、元来の嫌悪感を抱かない者は少ない。そして極めつけは狂戦士の腕…妖精弓手の腰回り、は言い過ぎであろうがそれに近しい太さとはどういうことか。尋常の森人にはこんな力も精神力もない筈だが…
「ふーむ…やはり世界は広い、未だ秘密の鋼は解き明かされぬと同じか」
分からぬものは分からぬ、そう言うものを調べるのは学者の仕事だ、オラ知らね。鉱人導士はそうして思考を隅に追いやった。
「ほう、秘密の鋼!初めて聞く言葉ですなぁ…委細教えていただいても?」
「うんにゃ、別段貴重な話でもないし構わんわい、こらぁな?…」
「なになに!秘密の話?ちょっと混ぜなさいよ」
興味深げに話を聞きに来た妖精弓手と蜥蜴僧侶に話をしながらちらと周りを伺う鉱人導士。
馬車に揺られる一党、相も変わらぬかみきり丸と、少し気落ちしたものの故郷を救ったと鼻高々な妖精弓手、あとは何やら憂え気な神官の嬢ちゃんと視線の先にいる狂戦士、蜥蜴僧侶…凸凹過ぎて逆に面白いと思える一党が馬車に揺られていた。
奇縁、というのもあるものだ、四方世界の一党は数あれどこれほど他種族が混ざった一党も珍しいだろう。しかしどうにもここの居心地は良い、願うならばこの先またこの一党で…そんなことを思った見た目だけならば一番年上の鉱人導士はやがて辺境の町の食事に意識を向ける。
それは誰も死ななかったからこそのことだ。
―――――――――――
Q、狂戦士はあれだけ狂乱したのになんで蜥蜴僧侶すぐ直ったん?
A、ゴブスレ世界において奇跡(魔術もですが)というのは触媒が必要になります。それを使って奇跡を起こすのが常ですが触媒の品質にもピンキリがあるようで狂戦士が使う奇跡「狂奔」は触媒のランクによってその効果を大きく変えます。今回使った小鬼の牙は最低ランク、狂戦士君のような技能で尚且つ脳筋使用のキャラだと掛かりがすごいですが銀等級の蜥蜴僧侶兄貴には効果は出るけども…レベルに落ちる、または掛かる時間が少なくなる…そういう設定だと思いください…さらに質問がある方はコメ欄で返信いたします。
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