「知らない天井だ…」
気が付くと、自分はどこかの部屋に座っていた。
目覚めた場所には何やら珍妙な飾り物が辺りに飾られており、お香か何かだろうか?不思議な香り…思考がはっきりしなくなるような香りな気がする。
罠の可能性もある、あまり嗅がない方がいいかもしれない。
見渡してみれば、身長を優に超える金棒、太刀のような竜の牙、邪悪な気配のする木乃伊のように干からびた黒い腕。
その外にもどこか見覚えのある金臭さ消しのされたみすぼらしい兜や地母神官達が掲げる輝ける錫杖、金銀銅の
自分は誰かのこれまでの実績を表しているかのような気もする、触媒倉庫染みているそこを歩いていった。
「…ばぁッ!!」
「うわぁああああああああ!???」
「ヒッヒッヒ!!!いやぁ、良いものだね。顔の良い男の驚く声は」
思わず大声で叫んでしまった。
物音も、鼓動さえ聞こえず、いきなり物陰から現れてきたのだからそれも仕方がないだろう。
顔を隠した…老婆だろうか、腰も曲がっていて伸びてもおそらく自分の胸程の背しかない程だ。
「もし、ここはどこでしょうか?ご存じないですか?」
「アンタ森人だろ、そんな言葉遣いせんでいいよ。私の何十倍も生きてるんだから」
「ならここはどこなんだい?僕の知ってるところとはまた違うみたいだ」
「さーて、どこだろうねぇ?この婆もよく知らないのさ。でも、導くことは出来るみたいだよイィッヒッヒ!」
さ、こっちへおいでと言葉を締め、人を小馬鹿にしたような態度で老婆はそのまま歩き出す。
それに何を言うべきか迷った自分は結局何も言わずについていくことにした。
少しすると、自分はどこかの広間にいた。
そこは何やら民族の模様が所々に描かれ、いやあれは…
覚知神の紋章だ…一体なぜ?
自分は紋章について考えようと、体をそちらに向けたが、すぐに老婆に手を引かれ広間の中心に連れていかれてしまう。
頭上の燭台には、いつの間にか火がともっていた。
もう一度見渡してみれば、さながら小さな舞踏会場のように広間は豪華になっている。
顔を隠した老婆は皺の刻まれた手を自分の方に差し出すと、小さく音楽を口ずさみ始める。
何故かそれを聞いた瞬間に体が自然と動き出し、自分は老婆の手を取ると軽やかにステップを踏み出した。
それは、何処かで聞いたような古臭い歌だった。
「あの、貴方は…どちら様で…?」
老婆は質問に答えずに曲がった背中をさらに丸めて顔を俯かせ、歌い続けるだけ、しかし踊りにはしっかりとした足取りでついてくる。
不意に涙が零れてきた。何故だろう、自分は確か、こんなことを前にも体験したことがあったはずなのに記憶に靄が掛かっているかのようで今一つ出てこない。
自分の記憶力も随分といい加減になったものだ。
気が付くと、さわやかな風が吹く野原に老婆と二人で立っていた。
何故だろうか、ここも以前見たような…
しかし、依然として自分の脳には靄がかかり、答えにはたどり着けない。
「なんだ、俺は何を忘れてる?」
目を見開きながら周りを見ても何一つ分からない、ああ神よ、俺に知恵を授けたまえ。
すると老婆のステップが転調して一気に激しくなり、あたりの風景も今度は月夜の海へと変わった。
俺はというと、その動きに寸分たがわずついていけていた。
その代わりとしてか、また風景が思い出せないもどかしさもあったが。
確実に来たことがあるはずなのに、誰かと一緒にいた筈なのに思い出せない。
思い出せず、気持ちが悪い、率直に言ってもう吐きそうであった。
そこに、一陣の風が舞い込んできた。
不思議と潮の香りもしない、湿り気のある、強風。
それは老婆が被っていたフードを勢いよく吹き飛ばすとすぐに掻き消えていた。
一瞬風に気が行ったが、それよりも今は老婆である。
老婆の方へと目をやると、老婆は烈火の如き紅と海の如き蒼を湛えて俺をじっと見つめていた。
不意に老婆が走り出す。
「ちょ、待って。待ってよ」
杖も無ければ碌に歩けなさそうな老婆の走りは思いのほか素早いものだった。
こちらも急がねば、追いつけぬほどだろう。
すぐさま追おうと足を踏み出した所で、老婆の体に変化が起こる。
枯れ木を思い起こす体にはハリと若々しさが、摺り足のようだった老婆の走りも次第に足取りも確かに、髪の毛は灰色に近かった白髪から金色に変わっている。
自分は森人の軽業を使って全速力で彼女を追うが、少女の足は、いや彼女の足は止まらない。
ずっと走るのかと思ったところで彼女は急に止まった。
草木の茂る森の中、よく分からない自分が困惑しながらも見覚えしかない背中に手を伸ばす。
やっと振り向かせることに成功すると、そこには俺が渇望していた顔が覗いていた。
彼女だ、エリーだ。
クリっとした目にすっとした鼻、瑞々しい唇、艶やかでハリのある肉体、俺が愛してやまなかった若かりし頃のエリーがそこにいる。
姿も雰囲気も、呼吸音に至るまで記憶にしまわれていたものと一致した、完全なる一致だった。
この子はエリーだ、間違いなくエリーなのだ。
だが、彼女の体温だけは感じ取ることが出来なかった。氷のように冷たく、これではまるで…
「やっと、気づいてくれましたね。でも、残念ですけどお別れです」
この体温は何かと伝えようと目を上げた時、彼女はそう言って俺の頬を一撫でするとあろうことか突き飛ばしてきた。
尻もちをついて目を白黒させる俺に彼女が口を開く。
「大丈夫です、私達は貴方を待ってます。だからそんなに慌てないで下さい」
私の勇者様…そう言って愛しい愛しい彼女は突如として現れた光り輝く門に向かって歩き始める。
目を閉じて尚溢れだす強い光に追いすがるが彼女との距離は開いていく一方。
待って、待ってと泣き縋る子どものように泣きじゃくる中遂に彼女が光の奔流に呑まれていった時、俺は大勢の人間が手を振る影を見た。
君達、お前達は…
(待ってくれッ!頼む!皆、俺も、俺もそっちに!!!)
自分はもう目を覆う手も退けて息も絶え絶え走り続け、必死になってそう叫ぶ。
だが、パクパクと打ち上げられた魚のように口が開閉するだけで声が音にならない。【
大粒の涙が彼女の触れてくれた頬を伝い、零れていく。
眩い光は彼女を取り込んで尚広がると俺を含めて全て吞み込み、自分の体にふっと重力が戻ってきた。
自分は目覚めた。
本当に
外を見れば眩しい程の陽の光が部屋へと差し込んでいる。
くそぅ、また死ねなくなる理由が増えてしまったじゃないか…
彼女達がこうして夢に出たということは、つまりはそういう事だろう。
彼らは待ってくれると言った、ならば自分は信じるのみである。
涙が乾いた跡を掻き消すように顔を洗い、生まれたままの姿から、装備を身に付け、自らの得物を肩にかけるとギルドへ向かって走り出す。
土産話を作るとしよう、これから先随分と待たせるのだから本にして100冊にもなる超大作を。
ゴブリンスレイヤーの行く先、青年剣士の英雄譚、女神官達の建国記。
いや、ネタは沢山あるのだし、自分でお話を作るのも良いかもしれない。
彼、彼女等の冒険は始まったばかり、自分も少し遅いが第二章を始めるとしよう。
自分は拳を突き上げ、こう言った。
「俺達の冒険は、まだ始まったばかりだ!」
ああ瑠璃の目の君よ、紅の目を持つ君よ。
いつか剣も弓もほっぽりだして、君を抱きしめに行くから。
愛しの君よ、麗しの君よ、しばしの間待ってておくれ――――――――――――――――
『くぅ~ッ!疲れました!これにて完結です』
さて、私イム・ジッキョウのRTA、およびおま〇けはどうだったでしょうか?楽しめていただけたなら幸いです。
正直編集とか編集とか編集とか…諸々辛かったゾ…
しかし、つらかったのはこんな私に待たされていた皆様だと思いますので、これ以上は泣き言言いません。
3年に渡る拙作のご視聴、ありがとうございました!
え?死者を生き返らせることなんて出来ないだろいい加減にしろ?
ゴブリンスレイヤーの世界観で、こういうことはNG?
やめたらこの仕事?
はーつっかえ!淫夢だって夢です、夢のパワーってものはとても偉大なものなのです。
そして、
まま、えやろ。
「ヤジュ!」
「エリー!」
何百年か何千年か後の世界で、二人は幸せなキスをして終了。
めでたしめでたし。
物語が終了したのである程度の設定をば…
(TRPG的のステータス表は)ないです。
疾走狂戦士
とある上の森人の部族に生まれた怪力の森人、年は1600歳と少し。上半身も下半身も大きすぎる男。
森人にしては凄まじい筋力と同時に不器用さと知恵の足りない頭(森人基準)を持っている。感性は凡そ只人ヒュームのそれで、100年、1000年先のことを考えて行動するという感覚が理解できず、森人の氏族から外される並みの扱いを受けていた。
そんな中で操作する駒として申し分ないステータスだし、何より見どころがありそうという理由でイムに選ばれてしまった可哀そうなお友達。
RTAのために生み出された存在ではない為、本来の一人称は俺で感情が豊か。只人年齢でいう成人年齢になるまでに酒やら娼婦やら博打やらに溺れる放蕩生活を続け、運命の彼女を見つけた後本当に色々な事をして波乱万丈な人生を過ごしていた。
彼女との駆け落ちから始まり、只人の町で3人の子どもが出来て、妻が老衰で死んで気が狂いかけてもどうにか正気を失わず、孫が生まれて立ち直り、その勢いで古今東西の化物退治に精を出し、そこで得た仲間と一緒に傭兵団を作ったりした。なお傭兵団名ェ…
結局その後ある程度の長さ存続したけども財政難から死の迷宮に挑んで孫を含めた約半数が死傷してしまった…悲しいなぁ…
しかも死に魅入られた団員達が数日後に殺しに来るとかうっそだろお前ッ!なこともされて心が死にましたぁ~(クッキー☆)。
そこで覚知神に救われてからしばらくして死の迷宮が踏破され、復讐する相手もいないとまた放蕩。本来運営に回されるはずの資金が手元にあった為そういう生活が10年くらい出来る程には金持ちだったことも相まって無職のプー太郎でもなんとかなっていた。
結局金が尽きるちょっと前にイムから託宣を受けて冒険者になることに。突然そういう流れになって周りが混乱する中駆け足で都に向かったのが物語の始まり。
そして傭兵団を事前に抜けていた修道女が見た時にはもう既に自分を顧みない新人絶対生かすマン化を遂げている。
ビルド構成は遠近両刀のアタッカーで近づかれる前に弓で殺すか、近づいた奴を持ち前の筋肉でどうにかするという防御どうしたというレベルのピーキー性能。放蕩の結果ついて来た「信仰心」はあるにはあるが、信心深いと言うには彼女への思いの方が強く、かといって魔術師には頭の出来のせいでなれない純脳筋。
RTA終了後は神から自立、ゴブリンスレイヤーやら周りの新人達と一緒に冒険譚を貯めて、死んだ彼女達に自分の活躍を聞かせるのを心の拠り所としている模様。でも色々な依頼を受けてはその先々で脳筋な自暴自棄作戦に及んでいたりする。
本人自体は割といつ死んでもまあ良いや精神でいるのでこいつやっぱり狂ってやがると皆からは一目置かれていたりしている。狂戦士君は狂戦士やし多少はね?
子どもは3人、孫は2人いた(過去形)彼女はいないけどまあこういう日々も…と言う所で皆死んだので早く会いたいというのが狂戦士君の心情。でも、今を楽しんでお話伝えなきゃというある種義務感と彼女の書置きもあるので死ぬに死ねない。種族を変える魔法の道具とか、彼女、ひいては家族をまた現世に呼び戻す何かをゴブスレ一党との関わりの中探索している。
時々闇人みたいに黒肌の生首が肩の上に乗っかっているような姿を女神官やら見習い聖女、剣の乙女と言った聖職者達に幻視されたりしている。
ゴブスレさんは血縁者?な模様。
これにて続きに続いた狂戦士君の物語は終わりです、ここまで読んでくださりありがとうございました!
狂戦士の過去編を?
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わたしは一向にかまわんッ!