ゴブリンスレイヤーRTA 狂戦士チャート   作:花咲爺

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仕事を始め、クソほど疲れ…でも、でも…書くことは止められず…
出すのにこれほど掛かってしまいましたが、楽しく読んでいただければ幸いです。


その後の狂戦士

「ゴブリン退治だ!」

「ゴブリンを殺そう!」

「ゴブリンだね」

 

 ゴブリン・ゴブリン・ゴブリン・ゴブリン、ゴブリンゴブリンゴブリンゴブリン、ゴブゴブゴブゴブゴブリン三昧(フロア熱狂)

 草原で、闇深き森で、洞窟で、下水道で、雪山で…これまで優に1000体は倒したのではないだろうか?小鬼殺し3号とか言われているのも納得の討伐数だろう。あ、一号は勿論ゴブスレさん、二号は女神官ちゃんのことだ。

 なんで彼らは僕より何倍もゴブリン殺してるんだろう…いやマジでなんで?

 成程、自分の長い寿命はこういうことに使うのも良いらしい。村の英雄とか言われるも小慣れてきた。まあ、ホントのことを言えば、冒険者としての先輩方にくっついていったらこうなったというだけなのだが…

 現に今もこうしてゴブリンスレイヤーと一緒にゴブリンの首を掻き切っている。

 

「いやぁ、やっぱりゴブリンスレイヤーさんがいると捗るね」

 彼彼女からのゴブリン討伐はほんと、嫌になるほどの数に上っている、たぶん二人で合計一万は超えてる。 

 たぶんだけど、この世界の平穏の一端はになっているんじゃないだろうか、絶対に個人で殺せる怪物の数を超えている。

 

「そうか、いや…そうなのか」

 

 いや、事実だから。

 ゴブリンスレイヤーはゴブリンのことになると様々な方法を瞬時に考え、実行する。実行し続ける。

 もしかしたら頭の中にイム様のような尋常ならざる神が宿っていたりするのかもしれない。

 と、そこまで考えて首を振る、何故なら彼は骰子を振らない、振らせないからだ。

 毒塗れの撒き菱を撒いて一網打尽、山を崩して、川から水をひいて、大鰐を使って、雪崩を起こして…これを地頭で以て考え付いているのはシンプルに凄い。

 と同時に、そんなことがパパパっと出来るくらいには狂っている。成程同族と言われるのも納得だ。

 

 だが…

 

「ゴブリンスレイヤーさん!今の策は何ですか!!?」

「ちょっとオルクボルグ!ヤバいの駄目って言ったじゃない!!」

 

「む…毒も爆発も巻物も使わなかったが…?」

「「そういう問題じゃありません(ないの)!」」

 

 度々何かやらかしては女子陣が凄まじい剣幕でゴブリンスレイヤーを問い詰める。

 思わず尊いものを見て目が蕩けてしまうとか言っていたかつての友人のように、眩しいものを見るように手で目を覆う。

 

 でも俺は筋肉あるし、既婚者だし、子供も孫もいたもんねーー!!!とガキにも劣る負け惜しみを心の中で送っておく。最早過去のことだが、今くらいは別に誰も責めないだろう。

 彼は玄孫か、それよりも下なのか、何というか森人でいる限り、寿命の長さからいろいろなものがうつろいやすくて敵わない。

 しかしやはり羨ましい、俺だって頑張ったねと頭を撫でられながらエリーの胸の中に潜りたいのに…あぁ、ダメダメダメ…悲しくなってしまう。

 どこまでもこの世の中は厳しいものだ…と天にいるだろう彼女に祈りを捧げる。

 

「貴方もよッ!この大ボケ老人!!!」

「ちょっ!何だよパイセン!」

 

 我関せずを貫いていたら飛び火してきた。

 全く、これだから女は…

 

「アンタ何したかわかってんの?」

「何って、矢が切れたから拳でずーだらを殴っただけだけど?」

「ハァーーーー(クソでかため息)アンタねぇ…」

 

 巨人と同じく田舎者を殴って殺したことにご立腹らしい。

 もう放蕩してそこそこに落ちていた膂力も戻ったので田舎者くらい割と何とかなるだろうと思って行動しただけだと言うのに…

 俺も青玉級になって割と経つ、失敗する可能性は低い。万が一失敗していたとしても誰かがサポートしてくれたはずだ。

 

「あれ?俺何かやっちゃいました?」

「おバカ――――!!!」

 

 スパーン、と子気味良い音が頭から流れ出る。

 これくらい全く持って痛痒足りえないが、こういったツッコミは正直楽しい。また一つ、皆に話すことが増えた。

 

「にしても…アンタここ最近で変わったわねぇ…」

 

「おいおいパイセン、俺はもう1年前からこんな感じだぜ?」

「…最近じゃない?」

「そうか…そうかも」

 

 実際問題、俺の変化もだんだん周りに馴染んで受け止められてきた。

 時間の流れる感覚が違うのはまあ、俺が可笑しいし、俺よりも400年程年齢が上だからだろう。その割に体躯は華奢で、胸も他の女性陣に比べて金床ではあるが…

 

「…何か変なこと考えてないわよね?」

「イイエマッタク」

 

 女ってのはなぜこんなにも感が鋭いのか…だから女の前で隠し事は出来ないんだ…

 話を戻して、神官ちゃんでさえ出会った時から比べれば身長も体つきも少し変わってきている(具体的には筋肉がついてきた)

 俺と比べて日々物事が変わる中で、よくぞまあここまで生きてきたものだ。少し泣きそうになる。

 

 遺跡に住み着いたゴブリン退治はまあ、こうして楽勝ムードで終わった。

 まあ当然である、俺の曾孫がいたのだから(爺バカ)

 

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「ウァァ!!おれも逝っちゃうぅぅぅ!!!ううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううう!いぃぃいぃ!!!!」

「おいおい大丈夫か大丈夫か?」

 

 毒が回り始めた青年に解毒薬を飲ませていく。

 ゴブリン退治の引率で、俺は巣穴に潜っていた。

 

 毒草やらゴブリン達の糞尿が混ぜられた毒はすぐさま体へ回り熱を持つ。

 即効性も高く、新人冒険者を殺すのにそう時間も掛からないだろう。

 新人達の懐具合では、解毒薬も買えるか、よしんば買えたとしても他の所に回す金は少なくなるはずだ。

 まあ、そこを工夫するのが冒険者であるため頑張ってほしいと胸の中で念を送っておく。

 

 ゴブリン退治は新入りに「冒険」とはこういうこともある、という大切な要素を教えてくれる依頼でもある。キチンとこなしてもらわなければならない。

 実際そのゴブリン退治に四苦八苦していた者がそこから紆余曲折を経てドラゴン退治までしてみせたこともある。

 これはあの剣士一党のことだが、下位の竜とはいえあの若さにてよもやよもやなことだった。

 願わくばここで滅茶苦茶に泣いている二人もそうなってほしい限りである。

 

「逝く逝く逝くッ逝く逝く、逝くなよぉ!」

 

 そんな小さな願いを胸に抱いた瞬間、恰幅の良い甲高い只人中年の声が洞窟内に木霊する。

 死にかけの仲間への動揺か言語能力に著しい低下がもたらされている、これはいけない恐慌(パニック)致命的失敗(ファンブル)の元だ。

 すぐさま、きつけの苦虫やらの粉末を吹きかける。

 

「ヴォエッ!!!ゲホッゲホッゲホ…」

 

 涙と嗚咽で尚更ひどいことになった…しくじった、こういう時の判断力が俺はやはり低い。

 ゴブスレ達に見られたら呆れられそうだ。

 まあこういう落ちこんだ時には…

 

「GOOOBッ!?」

 

 取り合えずゴブリンの頭を打ちぬいておく、この手に限る。

 そのまま【狂奔】も使わずに、そこ等中にいるゴブリンを矢やら拳やら槍やらで蹴散らしていく。

 銅等級(・・・)になった俺なのだからこれくらいは出来る、そうでなければいけない。

 このまま彼ら新人冒険者たちをギルドへ連れていくことこそが俺の仕事なのだから。

 

「た、助けていただきありがとうございました」

「本当に感謝の言葉もございません…」

 

 さっきとはとんでもない豹変ぶりだ。危機的状況に陥った時だけのアレなのかもしれない。

 しかしとんでもない変わりようなので素直に賛辞は受け取っておこう。

 新人を助けるということは素直にうれしいことだった。

 

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「ウララララララ!!!!」

「ワァ…」

「二人とも」

 

 獣人の3人組だ。兎と、犬と、あとは何だろうか…鼠か?熊か?良く分からないものもいる。

 3人が皆獣人としては小さくどうにも可愛らしい。しかし、逆に虐めてやりたくなるような加虐心をくすぐる見た目をしていた。

 

「ヤッ!イヤッ!!!」

 

 そんな邪な思いを抱いていたからだろうか、熊獣人に対してどうにか意思疎通を試みようとするが涙を流しながら拒否してくるためままならない。

 兎獣人も甲高い声で反応はするものの、会話にならず中々に厳しい。

 唯一まともに話せる、犬獣人にもしや呪いか何かを掛けられたかと聞いてみれば、そう言う訳でもないらしい。

 成程と狂戦士は腕を組む。普段でこれでは昇級審査に引っかかるのも道理だった。

 

 山の中に潜んでいるゴブリンの討伐依頼、それが彼らが請け負った依頼である。

 まあ正直なところ、そんな軽い説明文で済ませられるほど事態は軽くない。

 なんと実態は30を超えるゴブリンに加えて、その指導をこなす呪術師もどきに、傭兵としてか巨人(トロル)のような見た目になってる一つ目(サイクロプス)が一緒になっている。

 普通に依頼をこなすのさえ彼らには難しいだろう。

 

 まあ、そんなものは銀等級になった自分からしたら朝飯前のようなものなのだが。

 勿論数は脅威だ、それは古今東西変わりはしない。

 だが一矢4射放てる自分のようなものが相手でなければの話である。

 

「行ってくるよ、エリー」

 

「OOOODEEEEEEE!!!!!」

 

 恐ろしき一つ目の咆哮が洞窟内を揺らす。

 露払いはお願いして、俺は右手に握る巨人の牙を触媒に力を籠めて祝詞を呟いた。

 さぁ、いざ殴殺の時だ。

 

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 ある日のある時のことだった。

 すっかり大樹となった墓に狂戦士は花束を添える。

 それは一般にシプリペディウムと言う花とエーデルワイスと呼ばれる花、デイジー等も含まれているが中でも目を引くのが見事な紅葉だった。

 それは彼が東奔西走の日々の内に見つけていた、彼女に見せたいと思っていた花や草木。

 

「よしっ、それじゃこれくらいにしておこうか、またね、エリー」

 

 それは狂戦士が墓に一通り祈りを捧げ終え、立ち去ろうと腰を上げた時のことだった。

 不思議な事が起こった。

 大樹の枝がぬっと伸びたのだ。森の加護等、最早狂戦士には存在しない筈なのに…

 そんなことを考えた彼の目の前で枝は一輪の花を差し出すと、何かを待つかのようにその成長を止めた。

 不思議な事もある事だ、しかしと狂戦士は跪いてその花を手に取り口づけをした。

 彼は空を見上げると、そう言えば、今年は彼女が死んで丁度100年だったか…と小さく呟く。

 花は何も言わなかったが、何処か嬉しそうに赤く色づいている気がした。

 

 狂戦士は軽く微笑み、歩き出した。

 麗しの君よ、ちょっと気が早いだろ。

 俺はまだ、君に話す物語を貯めないとなんだ。

 

 じゃあ、またね(・・・)

 さようならじゃなくて、きっと会えるから。




ご視聴ありがとうございました。

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