とある科学の電閃飛蝗《ライジングホッパー》   作:フォックス少佐

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始まったなぁ〜……ということで本作品は不定期更新です。
できれば1話につき1枚、挿絵を入れる予定ですのでよろしければ見てくださいね。

諸事情で再投稿。


第一話 社長仮面ライダーとの出会い。

 ――学園都市。あらゆる教育機関、研究組織で構成されたこの都市は外部より数十年進んだ最先端科学技術が研究、運用されている。そんな学園都市で最も外部の世界との違いは、この街に超能力が存在することだ。

 総人口約8割の学生達は超能力の開発を義務付けられ、学生達は日々勉学に励んでいる。そんな学生達の超能力開発をより効率化する為に学園都市でも屈指の大企業である飛電インテリジェンスはある製品を開発した。

 

 それは人工知能を搭載した人型ロボット――ヒューマギア。

 

 ヒューマギアは自己ラーニング機能によってあらゆる技術を瞬時に覚えることが可能であり、様々な分野で活躍して学生達の日常生活をサポートしていた。

 しかし、最近になって[とある]事件が多発していた。それはヒューマギアをハッキングして意のままに操ることができる違法ROMが学園都市の裏で取引され、それを使った犯罪が多発していることだ。ヒューマギアは確かに純粋に人を助ける為に作られたロボットだが、悪人の手に渡れば戦争の兵器になりうる。

 

 そんな違法ROMを撲滅する為、学園都市の治安を守る組織の一つである風紀委員は今日も事件の捜査に追われていた。

 

「白井さん! そこを右に曲がってまっすぐです!」

 

「了解ですの!」

 

 学園都市に張り巡らされた高層ビルの裏路地を駆け抜ける少女の姿が一つ。彼女の名前は白井黒子、この街で活躍する風紀委員の1人であり現在ヒューマギアハッキングに使われている違法ROMの売人を追っていた。第一七七支部で待機しているパートナー、初春飾利の的確な指示によって追跡をしている黒子は一瞬の迷いもなく迷路のような路地裏を走って、とうとう行き止まりまで売人を追い詰める。

 

「ジャッジメントですの! もう逃げ場はありません。速やかに投降しなさい」

 

「く、くそっ!」

 

 腕章を見せつける黒子を前に圧倒されて怯む売人。もう終わりか。そう思った矢先に売人はあるものを見つける。それはとても幸運だった。何故ならたまたま辿り着いた行き止まりは不法投棄されたゴミの山ができており、そこには使われなくなって廃棄された旧式のヒューマギアの姿があったからだ。

 

 攻守逆転。ニヤリと不敵な笑みを浮かべた売人の意図をまだ気づくことができていない黒子は携帯を取り出してアンチスキルに通報しようとした。その瞬間、隙をついた売人はゴミの山に近づくと旧式ヒューマギアの頭部に違法ROMを差し込んだ。

 

「あひゃひゃ! 残念だったな! どうやらツキは俺のほうに向いてるらしいぜ!?」

 

《……滅……迅…….……t……接続……》

 

 その言葉と共にゴミの山からまるでゾンビの様にゆっくりと旧式のヒューマギアが起き上がると、耳部パーツと瞳が真っ赤に点滅して機械的な雄叫びを上げると黒子に向かって襲いかかった。

 

「くっ……厄介なことになりましたわね!」

 

 襲い掛かってくるヒューマギアを前にして黒子は演算し、瞬時に背後へとテレポートする。そして太ももに備え付けてあるホルスターから金属矢を数本指に挟んで構える。

 

「これを内部に打ち込めば……!」

 

 流石のヒューマギアも内部に異物が混入すれば中の回路やパーツなどが壊れて動けなくなるだろう。そう思った黒子は演算を開始する。しかし――

 

「これでもくらいやがれ!」

 

「ぐっ!?」

 

 黒子の脇腹に衝撃が走る。目の前で暴走するヒューマギアと対峙していて完全に見落としていた。自分と敵対するもう1人の存在に。

 まともに蹴りを受けた黒子は思わずその場で膝をついてしまう。その瞬間こそが命取り、ヒューマギアは容赦なく黒子へと襲い掛かった。

 

 思わず目を閉じてしまう黒子。だがその瞬間、けたたましい雷が落ちたかのような轟音が鳴り響いた。それと同時に目の前のヒューマギアの上半身は吹き飛ばされ、売人の髪を何かがかすめて行き止まりの壁を粉砕した。

 

「ったく。待ち合わせ場所にいつまで経っても来ないから心配して来てみれば……だから少しは私に頼りなさいって言ってるじゃない」

 

「お姉……さま?」

 

 目を開いた黒子の前には稲妻を迸らせた学園都市でも7人しか存在しない最高の能力者であるレベル5、御坂美琴が立っていた。

 

「それよりも……ちゃーんと見てたわよ。私の可愛い後輩に蹴りを入れるの。覚悟はできてるんでしょうね、アンタ」

 

「ひ、ひぃぃ」

 

「アタシの蹴りはちょーっとばかし、痛いわよ!」

 

 そう言って御坂の放った電撃を帯びた蹴りは売人の男に直撃。路地裏には先程の轟音に負けないくらいの絶叫が鳴り響いた。

 

 黒子の通報を受けてやって来たアンチスキルは真っ黒焦げになって気絶している売人の男を担架で運んで救急車に乗せる。黒子はそんな様子を見て犯罪者ながらも気の毒だなと思っていた。

 

「お姉様。私の為に怒ってくれるのは嬉しいのですが……少々やりすぎじゃありません?」

 

「いいのよあれくらい。きっといい薬になるわ。それにちゃんと手加減したし……ってそれよりも今日は一緒にショッピングするって約束だったでしょ? 早く行くわよ」

 

「そ、それなんですがお姉様。本部の方から急遽今回の事件に関する報告書を提出するように言われてしまいまして……」

 

 黒子が申し訳なさそうにそう言うと御坂はすこしため息を吐いた後、黒子の頭の上にぽんっと手を乗せた。

 

「はぁ……そういうことなら仕方ないわね。この街の為に必死で妹分が頑張ってるんだもん。邪魔する訳にはいかないわ」

 

「お姉様……黒子は……黒子は……感激ですわ〜!!」

 

 黒子は嬉しそうに御坂に抱きつく。そんな黒子の頭を撫でていると御坂は違和感に気がつく。特に胸のあたりに猛烈な違和感が。

 

「どさくさに紛れてどこ触ってんのよ!!」

 

「くぎゃあぁぁぁぁ!?!?」

 

 

 

 

「それにしても予定なくなっちゃったから暇ね……」

 

 黒子とのショッピングをキャンセルせざる負えなくなった御坂が退屈そうに街を歩いていた。すると、ふと視線をやった先には見知った顔の人物が歩いていた。

 

「あれって……佐天さん?」

 

 視線の先には黒子に紹介されて出会った少女、佐天涙子が公園のベンチに座ってチケットのようなものを眺めていた。今のところ予定がない御坂は同じく暇そうにしている佐天の元へ歩いていくと声をかけた。

 

「佐天さん。こんな所で紙切れと睨めっこして何してるの?」

 

「えっ? あっ! 御坂さん! ちょうどいい所に!」

 

 御坂の顔を見た途端に嬉しそうな表情で佐天は手に持ったチケットを御坂に見せる。それをよーく目を凝らして拝見する御坂は、それがなんなのかを知った時、脳裏に衝撃が走った。

 

「ゲコ太……ランド!? これって最近できたばかりの遊園地の入場チケットじゃない! 入手困難でなかなか手に入らないのに……佐天さんこれどうしたの!?」

 

「実は気まぐれで送った雑誌の懸賞でペアチケットが当たっちゃって……ちょうど御坂さんを誘って行こうかなって思ってたんです!」

 

「えっ、いいの!?」

 

「はい! いつもお世話になってるお礼です!」

 

「ありがとう佐天さん! ゲコ太ランドゲコ太ランド〜♪」

 

「あはは、すっかりハイテンションですね」

 

 普段はゲコ太好きをひた隠している御坂もゲコ太ランドの前には無防備だった。こうして御坂と佐天の2人はバスを使って学園都市の新設区画にあるゲコ太ランドへと足を運ぶのだった。

 

 

 

 

「どこを見てもゲコ太、ゲコ太、ゲコ太! ここは正に天国だわ〜!」

 

「よーっし! それじゃあ早速、いろんなアトラクションに乗ってみましょう!」

 

 興奮冷めやらぬ御坂の手を引いて佐天達はゲコ太をモチーフとした観覧車やジェットコースターなどあらゆるアトラクションの数々を体験して回った。そして一通り回った2人はフードコートへと立ち寄り、昼食を取りながら何気ない会話をしていた。

 

「いや〜、ゲコ太も案外悪くないですね! こんなに楽しい遊園地は久しぶりでしたよ」

 

「本当にありがとうね、佐天さん! いつかこの恩は必ず返すわ!」

 

「お、大袈裟ですよ御坂さん……それにしても、この遊園地のスタッフさんって全員ヒューマギアなんですね」

 

 ふとここに来てからの違和感を佐天は口にする。すれ違った遊園地のスタッフの制服を着た人達は全員、耳元にヒューマギアの特徴である耳部パーツが付いていた。学園都市にも多くヒューマギアは存在しているが、一つの施設にこれ程まで居るのは珍しいことだった。

 

「ああ、そう言えばさっき看板に飛電インテリジェンスのロゴが描いてあったわね。それが何か関係あるんじゃないかしら?」

 

「飛電インテリジェンスか……」

 

 そう呟いて佐天がストローでジュースを飲みながら遠くを見つめていると、見知った顔の人物が目に入る。それは頭にいっぱいの花飾りを付けた、親友の初春飾利によく似て――

 

「って、あれ初春じゃん! どうしてここに? おーい! 初春〜!」

 

 大声を上げて手を振り声をかける。すると初春は佐天達に気付いて駆け寄ってくる。その顔はどこか焦っている様子で普通ではなかった。

 

「佐天さん、御坂さん! どうしてここに!?」

 

「それはこっちのセリフ。初春こそどうしてこんな場所にいるのよ?」

 

「大きな声じゃ言えませんけど、ここにヒューマギアハッキング用の違法ROMを取引している売人が小さな女の子を人質にして立て籠ってるんです……!」

 

「それってまさか……!」

 

 御坂をその言葉を聞いて驚き立ち上がる。まさかとは思うが先程、学園都市の路地裏で自分がノックアウトした売人と同一人物ではないのかと。こんな短時間に2人の売人が現れるという仮説より、さっき捕まえた筈の売人が逃走したという仮説の方が納得のいく答えだ。

 

「た、立て籠もってるってこの遊園地、普通に経営してるよ?」

 

「犯人がヒューマギアの通信機能を使ってジャッジメント本部に宣言したんです。下手な動きを見せれば、この遊園地にいる全てのヒューマギアを暴走させるって……」

 

「なっ、ここのスタッフは全員ヒューマギアなのよ!? こんな数暴走したら大惨事は免れないわ!」

 

 この遊園地のヒューマギアスタッフはおおよそ30体近く存在している。そんなヒューマギアが一気に暴走すればレベル5の御坂美琴でもアンチスキルなどの増援が到着するまでにみんなを守り切ることはできないだろう。

 

「犯人の要求はこの遊園地を設立した飛電インテリジェンスの社長を人質として引き渡すことなんです……幸いにも現在、白井さんが社長さんを連れてこの遊園地に向かってますからそれまでなるべく安全な場所お二人は避難しててください」

 

 そう言って初春は下手なそぶりをしないように最新の注意を払いながら目線で犯人と人質に取られた女の子の姿を探す。

 

「じっとなんてしてられない……でも私はあの時、犯人に顔を見られてるし下手に動けない」

 

 今の自分の無力さに御坂が爪を噛んで現在の状況を打破する作戦を考えていると、突然目の前に黒子がテレポートする。その傍らには高校生くらいの青年の姿もあった。

 

「お姉様!? どうしてここに……ってそれよりも初春、社長さんを連れて来ましたわよ!」

 

「何言ってんのよ、黒子! そいつどう見てもただの高校生じゃない!」

 

「それは違います、御坂さん。彼は現役高校生でありながら飛電インテリジェンスの若社長、飛電或人さんなのです」

 

「おっ、君が常盤台のエース、超電磁砲の御坂美琴ちゃんだね! 俺は紹介してもらった通り、飛電インテリジェンス2代目社長の飛電或人!」

 

 そう言って或人は御坂の手を握って握手を交わす。すると何かを閃いたのか或人は目を輝かせた。

 

「まさか噂に聞いていた電撃姫の御坂美琴ちゃんがこんなに華奢な中学生だとは思わなかった……電撃姫だけに電撃ショック! 

 

――はいっ! アルトじゃあぁぁぁぁないとぉぉぉぉぉ!!!」

 

 突如として放たれた空気を読まない寒すぎるギャグ。そのあまりの冷たさに突っ込むどころか全員凍りついた。そしてその沈黙を破ったのはビリビリと迸る御坂の電撃だった。

 

「あ、あんたこの状況でなにくだらないこと言ってんのよ!! 犯人は女の子を人質に取ってるのよ!?」

 

「まあまあ、こんな緊迫した状況こそ笑えるぐらいの余裕でどーんっと構えてないと。それに人質の女の子は俺が必ず助ける」

 

 そう言う或人の瞳は先程ギャグを思いついた時とは違った輝きを放っていた。そんな或人を見て御坂は怒りを鎮めて電撃を収めると初春のスカートのポケットから携帯の着信音が鳴り出した。急いで初春は携帯を取って耳に当てると、犯人らしき人物の声が聞こえてきた。

 

「取引の条件通りちゃんと飛電の社長を連れてきたようだな。そいつを連れてお化け屋敷に来い。そこでガキと交換だ」

 

 犯人は言いたいことだけ言うとすぐに電話を切ってしまった。初春は取引場所を黒子と或人に伝えると5人は指定場所のお化け屋敷に向かった。そして取引場所であるお化け屋敷の前に着くとまた初春の携帯が鳴り出した。

 

「ぞろぞろとギャラリーを連れてきたみたいだな。だがこの中に入って良いのは常盤台のエースとテレポート女以外の1人と社長の2人だけだ。わかったな?」

 

「わ、わかりました」

 

 そう言って再び一方的に電話は切られる。電話で犯人が言っていたことを黒子達に伝えると、黒子はある違和感を感じとる。

 

「電話で喋っていたのは初春1人ですのに複数人でこの取引場所に来たことを犯人は何故わかったんでしょうか……」

 

「確かに……もしかして犯人は中にいなくて私達を陥れる罠……とか?」

 

「いや、おそらく遊園地に数十個とある監視カメラをヒューマギアでハッキングしたんだ。残念なことに違法ROMを使えば簡単にできちゃうんだよ……」

 

 違法ROMの情報をラーニングされたヒューマギアはインターネットウイルスを機材に触れただけで感染させることができる。それを使えば監視カメラから遊園地内のアトラクションや働くヒューマギアまで警備システムを制御しているメインコンピュータをハッキングすることなど造作もないことだった。

 

「困りましたわ。私とお姉様は犯人に顔も能力もバレて警戒されていますし……」

 

「なら私が行くしか……「いや、私がいくよ!」佐天さん!?」

 

 誰が或人を引き渡すか悩んでいると真っ先に手を挙げたのは佐天だった。

 

「む、無茶ですよ! 犯人は凶器を持っているでしょうし危険です!」

 

「それは初春だって同じでしょ? それに初春はここでヒューマギアのハッキングを食い止めていた方がいいんじゃないの?」

 

「そ、それは……」

 

 初春はレベル5級のハッキング技術を持っており、犯人の使っている違法ROMにも対抗できるだろう。だとしたら犯人が起こす可能性のあるヒューマギアの暴走を止める準備を進め、万が一ヒューマギアと戦わざる終えなくなった場合の戦力として御坂と黒子を温存しておくことを考えれば、佐天が取引に向かうのがベストな選択だった。

 

「それにいざとなったらこの社長さんがなんとかしてくれるって! なんてったって社長だし!」

 

「そ、それなんの根拠にもなってないです。佐天さん……」

 

 それから佐天は自分が取引現場に行くとを譲らず、とうとう折れた初春は絶対に無茶な行動はしないことを約束して佐天と或人をお化け屋敷の中へと行かせた。

 

「こんなことに巻き込んでごめんな。我が社が違法ROMの取締りをちゃんとできてないばっかりに……」

 

「気にしないでください。ヒューマギアには日頃から学園都市でお世話になってますから……それにしても私達と少ししか年が変わらないのに社長なんて凄いですね」

 

「はは、俺もこの前まではただの高校生だったのに爺ちゃんの跡取りとして突然学園都市に連れてこられてさ……俺にとって社長の肩書はまだまだ張りぼてみたいなもんだよ」

 

 そんな会話を交わしながらお化け屋敷の中を進んでいくとある場所でピタリと止まる。そこには一体のヒューマギアがポツリと立っており、その腕の中には小さな女の子が怯えていた。

 

「約束通り2人だけでやってきたみたいだな。お会いになれて光栄ですぜ、社長さん」

 

「お望み通り来てやったんだ。早くその子を返してくれ」

 

「おっと、その前にあんたが先にこっちへ来るんだ。飛電インテリジェンスの社長を人質にすれば学園都市から逃亡するのもわけないからな」

 

 そう言って犯人はゆっくりと或人に近づいていく。そして腕を掴んで腰の後ろへ回し、首を締めると犯人は下劣な笑みを浮かべる。

 

「そう言えばさっき、外に俺をコケにした超電磁砲と風紀委員がいたよなぁ……後を追跡されちゃ面倒だ。ここで始末するか」

 

「なっ、約束が違うじゃない!」

 

「ウルセェ! 約束なんざはなから守るつもりねぇんだよ!」

 

 そう言って犯人が手に持ったスマートフォンを操作するとヒューマギアは抱えた女の子を佐天に向かって放り投げた。とっさに受け止める態勢を取る佐天だったが、勢い良く放り投げられた女の子の体を受け止めきれずに後方へ吹き飛ばされる。幸いにも女の子に怪我はないが、佐天は背中を強く打って動けずにいた。

 

「っ! 佐天ちゃん!」

 

「お前は俺とさっさとこい!」

 

 犯人は或人の首を強く締め付けながらお化け屋敷の外へと向かおうとする。しかし、お化け屋敷は暗闇そのもの。犯人は足元を警戒しておらず、何かにつまづいてほんの少しだけ態勢を崩す。その瞬間を或人は見逃さなかった。僅かながらにできた隙を突いて、或人は犯人を全身の体重をかけて押し倒す。そして犯人が頭を打って怯んでいる隙にその場を離れて、佐天の方を見る。すると、動けずにいる佐天と泣きじゃくりながら佐天の手を握って怯えている女の子に向かって、ゆっくりと近づく暴走ヒューマギアの姿が。

 

「やるしかないよな……!」

 

 何かを決めた或人。懐から黒を基調としたドライバーを取り出すと腰に装着し、胸ポケットからバッタのロゴが記された電子キー、プログライズキーを取り出した。

 

「飛電インテリジェンスの社長として……ヒューマギアを人殺しの道具にさせるわけにはいかない!」

 

《JUMP!――オーソライズ》

 

 プログライズキーをドライバーに認証させる。すると次の瞬間、お化け屋敷の天井が壊れて巨大な黄色いバッタが現れると佐天と女の子に迫るヒューマギアを吹き飛ばした。

 

「お、おっきいバッタ !?」

 

 突然の状況に痛みも忘れて驚いている佐天を他所に或人は声高らかにある言葉を叫んだ。

 

「変身!」

 

 プログライズキーをドライバーに装填。すると或人の体が全身黒いアンダースーツに覆われて、バッタが跳躍し空中で分離。その破片がアンダースーツに装着されると或人の姿は闇に輝く蛍光イエローの鎧を身に纏った仮面の戦士へと変わった。

 

《プログライズ! 飛び上がライズ!ライジングホッパー!》

 

【A jump to the sky turns to a rider kick.】

 

「仮面ライダーゼロワン……お前の悪事を止められるのはただ一人――俺だ!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 飛電或人――仮面ライダーゼロワンは腰を抜かした犯人に向かって高らかに宣言する。すると、犯人は怯みながらも倒れるヒューマギアに指示を出す。

 

「く、くそっ! 早くそいつを黙らせろ!」

 

 ヒューマギアはその呼び声に応えるように立ち上がるとゼロワンに襲い掛かった。しかし、ゼロワンは目にも止まらぬスピードであっさりと避けると、ヒューマギアに蹴りを入れ呆気に取られている佐天と女の子を抱えて先程巨大なバッタが壊した天井から飛び出した。そしてお化け屋敷の外へと着地するとそこでは既に多くのヒューマギアが暴走しており、御坂達が必死に応戦していた。

 

「佐天さん!? 無事だったんです……ってその人誰ですか!?」

 

「よ、よくわかんないけど空からおっきなバッタが降ってきて……えーっとそれから或人さんの姿が変わって……だぁー! いろいろ起こりすぎでわけわかんない!」

 

「まっ、ここは俺に任せとけって。君はさっき俺が渡したアンチウイルスプログラムの散布を頼むよ」

 

「は、はい!」

 

 ゼロワンは初春の肩をポンっと叩くと戦っている御坂と黒子の元へと向かう。

 

「くっ……この数、キリがありませんの!」

 

「弱音吐いてる場合じゃないでしょ! 初春さんがシステムを回復させるまでになんとか食い止めないと……!」

 

 なんとか応戦する二人だったが人間とヒューマギアには力の差がある。その差を能力で埋めるのはわけないが、30体近くの多さとなると苦戦を強いられて当然だった。

 

「二人とも良く頑張ったな! ここからは俺に任せてくれ!」

 

「なっ! アンタいつから戻って……って何よその格好!?」

 

 突如として現れたゼロワンの姿に困惑するが声の主から飛電或人であると言うことがわかり困惑する。しかし、気にするなと言ってゼロワンは飛び上がると御坂に猛スピードで向かって来ていたヒューマギアを飛び蹴りで粉砕する。

 

「私の電撃でも何発か当てないと倒せないのにあんな易々と……!」

 

 ゼロワンは次々と目にも留まらぬスピード、そして常人ならぬ跳躍力を生かして次々とヒューマギアを無力化していく。

 

「凄い……あれが飛電インテリジェンス最新技術の力ですの……?」

 

 御坂も黒子もゼロワンの強さに驚いていた。飛電或人は学園都市でレベル0、無能力者と呼ばれる人間だ。しかし、あの姿に変わってからはレベル4……いや、レベル5とも互角の戦いをできるであろう戦闘能力だ。

 

「これで決める!」

 

 ゼロワンはドライバーに装填されたプログライズキーを押し込んだ。

 

《ライジングインパクト!》

 

 右足にエネルギーが充填されるとゼロワンは大きく飛び上がる。そして地面に向かってエネルギーを集約した蹴りを放った。するとそのエネルギーが地面を伝わり、暴走ヒューマギア達に伝達され動きを拘束する。

 

「う、初春! まだ終わらないの!?」

 

「もうすぐです……! ここをこうしてこうで……よしっ! これで!」

 

 初春は勢い良くノートPCのエンターキーを押した。すると拘束されたヒューマギア達の耳部に付いたランプが消えて活動を停止した。

 

「ふぅ……ナイスタイミング!」

 

「初春、間に合ったみたいですわね……一時はどうなることかと思いましたわ」

 

 なんとか危機を切り抜けた或人達。活動を停止したヒューマギア達の回収を終え、アンチスキルがゲコ太ランドに到着した頃、手錠で拘束されて後がない筈の今回の事件を起こした犯人は不敵な笑みを浮かべていた。

 

「何がおかしいのかしら? これから貴方は叱るべき罰を受けてもらいますのよ」

 

「……へへ、俺が捕まったとしてもどうせ学園都市はヒューマギアによって滅ぼされる。それが楽しみでならないのさ」

 

「ヒューマギアに学園都市が滅ぼされる……いったいどう言うことですか?」

 

「……滅亡迅雷.net。彼らがきっとこの腐った学園都市を変えてくれるだろうよ……くくっ」

 

 その言葉を残して売人はアンチスキルに拘束されて連れて行かれた。残された黒子達は滅亡迅雷.netという言葉について考えていると二人の前に或人が現れる。

 

「御坂ちゃんと佐天ちゃん、それにあの女の子は俺が車を手配して家に送り届けておいたよ」

 

「ありがとうございます。今回の事件に協力してもらって、しかも佐天さんまで助けていただいて」

 

「いやいや、気にしないでって。これから俺達は一緒に事件を捜査するパートナーなんだからさ」

 

「一緒に事件を捜査する? どういうことですの?」

 

「これから風紀委員第一七七支部は飛電インテリジェンス協力のもと、滅亡迅雷.netに関する事件を調査することになったから! よろしくな!」

 

 そう言ってにっこり笑うと或人は黒子と初春の手を握って握手を交わす。するとまた何かを思いついたのか、目を輝かせて――

 

「ジャッジメントだけに、ヒューマギアで悪事を働く奴らを正義のジャッジにかけてやろうぜ

 

――はいっ! アルトじゃあぁぁぁないとぉぉぉぉぉ!!!」

 

 再び放たれた渾身のギャグを聞いた2人はこれから先、大丈夫だろうかと心配になって頭を抱えるのだった。




正式なタイトルが思いつかない〜
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