とある科学の電閃飛蝗《ライジングホッパー》   作:フォックス少佐

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今回のオリキャラは結構重要なポジションになるので今回、結構出ます。


第三話 壮絶な虚空爆破事件【後編】

(あのお兄さん……なんだったのかな)

 

授業の最中、佐天はこの前のスキルアウト達に絡まれた時のことを思い出していた。突如として現れた雷電幸助と名乗る男を見たスキルアウト達は明らかに怯えていた。もしかしたらスキルアウト達のボス的な存在なのかもしれない。だとしたら何故自分を助けてくれたのだろう。そんな疑問がここ数日間、ずっと佐天の頭を何故かグルグル回っていた。

 

(あの時、あの人が来なかったら私は今頃……ちゃんと会ってお礼言わなきゃだよね)

 

「この問題。佐天、解いてみなさい」

 

「えっ!? あっはい!」

 

急に名指しされた佐天は慌てて黒板の前に立つと問題を解こうとする。しかし、どんなに思考を巡らせても脳裏に浮かぶのはあの出来事。このままずっとモヤモヤした気持ちじゃダメだ。そう思った佐天は再び例の人気のない路地裏へと向かうのだった。

 

「今日は……スキルアウト達、いないみたい」

 

普段から屯しているスキルアウト達の影はそこにはなく、静寂だけがその場に流れていた。この様子だときっと例の彼もいないだろうと安心したような残念なような複雑な気持ちになりながらも帰ろうとする佐天。すると――

 

「ここはお前のような奴が来る場所じゃないってこの前言ったよな? 俺」

 

背後から突然声がしたと思い振り向くとそこにはこの前のニット帽の青年、幸助が立っていた。彼は呆れた様子で佐天を見ているが、肝心の佐天はようやく見つけたと少し嬉しそうな顔で幸助に近づいた。

 

「あの、この前は助けてくれてありがとうございます!」

 

「あ? まさかそれだけ言いにここへ来たのか?」

 

「えっ? ダメ……ですかね?」

 

お礼を言う為だけにこんな危険な場所へ来た。この言葉を当たり前と言わんばかりの顔をしている佐天を見て、幸助は思わず笑みをこぼした。

 

「ははっ! お前、面白い奴だな。名前、なんて言うんだ?」

 

「佐天です! 佐天涙子!」

 

そう言って佐天は右手を幸助に差し出した。その手を取って握手を交わすと2人は場所をこの路地裏を通り抜けた先にある駅前に新設されたデパート内のファミレスでたわいもない話を始めた。2人は性格の相性が良いようですぐに意気投合して話は盛り上がっていた。そして会話は自身のレベルの話に。

 

「私ってレベル0なんですけど、幸助さんはどんな能力を使えるんですか? きっとアンチスキル達を目力だけでおっぱらっちゃうんだからきっとすごい能力なんでしょうけど!」

 

あの時、スキルアウト達を睨んだだけで追い払った幸助。佐天はきっとレベル4くらいの能力者なのだろうと思っていた。しかし幸助から出た言葉は意外なものだった。

 

「そんな大層なもんじゃねぇさ。俺は正真正銘、俺はレベル0だ」

 

「えっ?」

 

その言葉を聞いた佐天は固まった。自分と同じレベル0。無能力者は学園都市内で肩身が狭い思いをすることが多い。しかし、目の前の幸助はそんなのお構いなしと言わんばかりに、けろっとしていた。そんな様子に思わず佐天は吹き出してしまう。

 

「あははは! お兄さんって面白いですね!」

 

「はぁ? 何が面白いんだよ、変わった奴だな。俺からしてみればお前の方がよっぽど面白い」

 

2人はそんな会話しながら笑っていると異変はその時、突然にも起こった。けたたましい爆発音が急に鳴り響くと建物が大きく揺れ、店内の電気は全てダウンしてしまった。

 

「痛っ〜……何が起こったの……?」

 

「詳しいことはわからねぇ。だが少なくともこのデパートは危険だ。逃げるぞ、佐天」

 

「えっ、うわっ! お兄さん!?」

 

 幸助は佐天の手を引くとデパートの非常口を探して走り出した。幸助の脳裏に走る嫌な予感、それが的中しないことを祈りながら。

 

 

 

 一方その頃、風紀委員一七七支部では違法ROMの反応を検知していた。しかし、パソコンの画面に映った学園都市の地図からはなんの反応も見受けられなかった。

 

「また行き詰まりましたの……やっぱり滅亡迅雷.netは絵空事じゃありませんの?」

 

「そうは言ってもあれだけ流通してるとなると、裏に何かしらの組織があるとは思うんだけどなぁ……」

 

 或人がそう言いながら多次元プリンター・ザットを小型化したミニザットの前をうろかうろかしていた。ミニザットの中では新しいプログライズキーが生成されており、今にも完成は間近と言ったところだった。

 

「あともう少しで完成するぞ〜! 新しいプログライズキー!」

 

プリンターを前に或人が1人で興奮していると初春のパソコンから音が鳴り出した。

 

「い、違法ROMの反応を検知しました! 場所は駅前に新しく建設されたデパートです!」

 

「直ちに現場へ急行しますの! 或人さんも行きますわよ!」

 

「了解!」

 

すぐさま現場に急行する2人だったが既にデパートには火の手が回っており、しかも外装が大きく破損して鉄骨が剥き出しになっている。このままでは倒壊の危険性もあった。

 

 

「遅かったですの……!」

 

 すぐさま迷わずに中へと入った2人はまだ中にいる一般学生を外へと避難誘導する。するとその中で1人だけ、逃げも怯えもせずポツンと立っている怪しい青年の姿を見つけた黒子はその人物に近寄った。

 

「そこの貴方! ぼーっとしてる場合ではありませんのよ!? 早く逃げて――「とうとうやって来たな、無能な風紀委員さん」っ!?」

 

 怪しい青年は懐からスプーンを取り出すと黒子に向かって放り投げた。そのスプーンは一点に引き寄せられるように形状を変えていくと、そのまま勢いよく爆発した。しかし、それを寸前で察知した黒子はテレポートで距離を取りなんとか致命傷を抑えたが、左腕に軽く火傷を負ってしまった。

 

「なるほど、貴方が一連の連続爆破事件の犯人ですのね……こんなにも簡単に正体を明かすなんて少々、軽率ではなくて?」

 

「くくっ……なぁーに。逃げも隠れもしなくても君達、風紀委員を潰せるほどの力が僕にあるからね!」

 

 そう言って青年はもう一度、黒子に向かってスプーンを投げた。すると再び爆発して辺りを火の海に包み込む。しかし、またテレポートによって避けていた黒子は青年の背後に回って蹴りをぶつけようとした。だが――

 

「なっ!? ヒューマギア!?」

 

 ――その蹴りは突如として現れたヒューマギアに受け止められ、黒子は足を掴まれたまま放り投げられた。爆発によって剥き出しになった鉄骨へと飛ばされる黒子の体。必死に黒子は演算を行おうとするが、吹き飛ばされるスピードが演算を凌駕してしまい、その体は鉄骨へと――

 

《プログライズ! 飛び上がライズ!ライジングホッパー!》

 

 黒子の体が鉄骨に突き刺さる寸前、ゼロワンに変身した或人が黒子をキャッチした。それによって危機を回避した黒子は地面に降りると再び青年と対峙する。

 

「なんだお前……まぁ、誰でもいいか。誰がこようと僕は負けない……僕は無敵だ……!」

 

 そう言って青年は懐からUSBメモリを取り出すとヒューマギアの耳部に取り付けた。するとヒューマギアの青い瞳が赤へと変わり、耳部の青の発光色も赤へと変化した。

 

『滅亡迅雷.netに接続……』

 

 そうヒューマギアが呟くと全身の外装が剥がれ落ち、内部の装甲が露わになると顔部にフェイスガードが装着されヒューマギアは戦闘形態へと移行する。そして次の瞬間、ゼロワンに向かって人をモデルにしたとは思えない人間離れした動きで襲い掛かった。

 

「くっ! そっちは頼んだよ白井ちゃん!」

 

「了解ですの! この黒子、ここからは荒療治でいきますのよ!」

 

 

 

 

「くそっ、どこも倒壊して崩れてきた瓦礫で出口が塞がってやがる……!」

 

「そんな……何でこんなことに……」

 

 デパートの出口を探して走り回っていたがどの出口も瓦礫で塞がれており、まさに八方塞がりな状況だった。2人は瓦礫を前にして立ち尽くしていると、背後から悪寒を感じて振り向くとそこには外装が剥がれ落ちて、無機質で機械的な内装があらわになったヒューマギアが数体こちらに向かってきていた。

 

「何だあいつら……暴走、してるのか?」

 

「まさか……違法ROMでハッキングされたヒューマギア? に、逃げましょうお兄さん!」

 

 佐天は幸助の手を引いて逃げようと試みる。しかし、ヒューマギア達は進路を塞ぐように立ちはだかるとその手にナイフを持って襲い掛かった。

 

「ちっ!!」

 

 だが幸助はヒューマギアの手首を蹴り飛ばしナイフを弾くとそのまま続け様に拳でヒューマギアを殴り飛ばした。それを見た佐天は本当に人間なのか? と疑うほどの戦闘能力に唖然としていると幸助は佐天の体をヒョイっと持ち上げた。

 

「えっ!? お、お兄さん何を!?」

 

「このままお前のペースに合わせて走ってたら追いつかれる! 全力で走るから捕まってろよ!」

 

「え、えぇ〜!!」

 

 幸助はこれまた人間とは思えない速度で走りながら暴走ヒューマギアの魔の手を交わして、最後の出口がある一階へと向かった。

 

 

 

 

 大量の暴走ヒューマギアと応戦するゼロワン。その戦況はゼロワンが劣勢だった。

 

「くぅ……ライジングホッパーじゃこの狭い空間もあって相性が悪いか!」

 

 仮面ライダーゼロワンの基本形態、ライジングホッパーはバッタのような強力な跳躍力を武器にする。しかし、デパートの中ではその跳躍力は生かしきれずにいた。

 

「あのプログライズキーが完成すれば何とか戦えるんだけど……!」

 

 そう言いながらもゼロワンは暴走ヒューマギアのナイフによる斬撃を紙一重で回避しながらも近づいて自身の間合いに入れようと試みるが、数で圧倒されてしまいすぐに後手に回ってしまう。そんな時、暴走ヒューマギアの1体が自身の活動する為のエネルギーを拳に集約させてゼロワンに向かって振り下ろした。

 

「なっ! やばっ――」

 

 ゼロワンは避けようと回避行動を取ろうとするが、その足を暴走ヒューマギアが掴んで離さずゼロワンはまともにその攻撃を受けてしまい後方へと吹き飛ばされる。すると強制的にゼロワンの変身が解除されてしまう。

 

「痛っ〜……これはまずい状況だな……」

 

 傷を負いながらも起き上がろうとすると、目の前でけたたましい爆発がしてその煙の中から黒子が飛び出してそのまま膝をついた。

 

「そっちも大苦戦してるみたいだね」

 

「……あの殿方1人なら何とかなるのですが、おまけに暴走ヒューマギアが数体付いてきて厄介そのものですの……!」

 

 膝をつく2人に刻一刻と迫る暴走ヒューマギアの魔の手。これまでかと諦めかけたその時、突然何かが或人の方に飛んできて、或人の額に衝突する。

 

「痛ってぇ〜! ……って、これは俺がプリントしてた新型のプログライズキー!?」

 

「救援遅くなりました! 使用できるように調整したプログライズキーです! 使ってください、或人さん!」

 

「ナイス! 初春ちゃん! この鳥ちゃんで形勢逆転だ!」

 

《WING!――オーソライズ》

 

 鳥のロゴが施されたプログライズキーをドライバーに認証させると、或人の背後にあるガラス張りの窓の外に大きなマゼンダ色の鳥と巨大なバッタが現れる。そして鳥が大きく羽ばたくとガラスが一斉に割れ、或人はプログライズキーをドライバーに装填した。

 

「変身!」

 

《プログライズ! Fly to the sky!フライングファルコン!」

 

 するとバッタの装甲が装着されてライジングホッパーの形態へ変わると、顔と体の装甲が真っ二つに割れ、そこへマゼンダ色の鳥が装甲へと変化して装着される。

 

【"Spread your wings and prepare for a force." 】

 

「今度の俺はちょっとばかし強いぜ?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

今のゼロワンの形態、フライングファルコンは飛行能力を兼ね備えている。それを生かしてゼロワンは狭い建物の中を針に糸を通すような精密な動きで飛び回るって暴走ヒューマギア達に攻撃を仕掛ける。先程のライジングホッパー程の力はない代わりに、小回りが効くその動きで見る見るうちに暴走ヒューマギア達を無力化していく。

 

「そ、そんな! 僕の駒達が……!」

 

「よそ見してたら怪我しますのよ!」

 

次々と従えるヒューマギア達がやられていくのを見て爆弾魔の青年が焦っていると、その隙をついて黒子が大量のスプーンを詰めたバッグを持った右手に金属矢をテレポートさせて打ち込む。すると青年は痛みのあまりその手を離してバッグを地面に落とした。

 

「おっ! そっちは決着付きそうだな。だったらこっちもこれで決めてやる!」

 

ゼロワンはライジングホッパープログライズキーを取り出すと再び、ドライバーにオーソライズする。

 

《ビットライズ! バイトライズ! キロライズ! メガライズ! ギガライズ!》

 

するとゼロワンの背中からマゼンダの機械的な翼が生えてくると更にその飛行速度は増し、その勢いをのせてヒューマギア達に飛び蹴りを放った。

 

【フライングギガインパクト!】

 

目にも留まらぬ閃光のような一撃は暴走ヒューマギア達を一瞬で無力化した。駒を失い、起爆させる物も失い一気に形成逆転された爆弾魔の青年はたじろぐ。すると青年の瞳にあるものが映る。それはこの状況を打開する絶好のチャンスだった。青年は最後の悪あがきに地面に落ちたアルミ缶を黒子に向かって蹴り飛ばす。それを黒子はなんてことなく避けるが、その一瞬の隙が犯人捕獲に綻びを生んだ。

 

「ひゃっ!?」

 

「僕に手を出すな! 手を出したらこの女を殺してやる!」

 

「う、初春!」

 

隙をついた青年はアンチスキルに連絡を取ろうとしている初春を人質に取った。その手にはナイフを持っており、刃は初春の首筋に宛てがっていた。これでは手出しができないと黒子は唇を噛み締める。

 

「は、はは! 形勢逆転……だけど、もうじきアンチスキルがここに来る。そしたらきっと逃げきれないんだろうな…………だったらこの女を道連れに僕も死んでやる!」

 

「なっ!? やめなさ――」

 

血迷った爆弾魔の青年は初春の首にその手に持ったナイフを突き立てようと振り上げた。黒子は演算してテレポートしようとするが間に合わない。ゼロワンもそれを防ごうとするが必殺技の反動で瞬時に動きを転換させることができない。この場にいる誰しもがもう終わりだと。そう思った……その時――

 

赤き閃光が轟き、突き立てようとしたナイフを弾き飛ばした。

 

「っ!!」

 

その瞬間の隙を見逃さない黒子は瞬時に演算、テレポートすると青年の背後に周りその背中に触れた。すると青年は空中へとテレポートさせられ、そのまま頭から地面へ落ちた。

 

「だ、大丈夫ですの!? 初春!」

 

「は、はい……なんとか」

 

緊張感が解けたのかヘナヘナと尻餅をつく初春。そんな様子を見て黒子もほっとして胸を撫で下ろした。

 

(それにしても今の閃光……正しく超電磁砲。ですがお姉様の超電磁砲とは少し違うような……)

 

初春の命を救った謎の超電磁砲。いったい誰が放ったものなのか。黒子がそんなことを考えていると、アンチスキルが到着して現場を引き継ぎ黒子達はデパートの外へと向かった。

 

「なんとか連続爆破事件も無事解決。これでようやく滅亡迅雷.netの捜査に専念できますね……ってあれは――」

 

初春がふと送った視線の先にはここにいるはずのない佐天の姿があった。初春は佐天の名前を呼んで駆け寄ると、その隣にはスキルアウトのような柄の悪い風貌をしたニット帽の青年が立っていた。

 

「ジャ、ジャッジメントです! 今すぐ佐天さんから離れてください!」

 

「えっ、初春? ち、違う違う! この人、凶悪な顔してるけどスキルアウトじゃないから! 私の知り合いだから! ほらっ、前に話したスキルアウト達から私を助けてくれた人だよ!」

 

「そ、そうなんですか!? てっきり私はまた佐天さんが襲われてるのかと思って……ごめんなさい」

 

初春がそう言って幸助に謝ると、幸助は気にすんなとそれだけ言ってその場を去ろうとする。

 

「あっ! お兄さん、帰るんですか?」

 

「ああ。今日は色々あって俺も疲れたからな」

 

「そうですか……また、会えますかね?」

 

「……機会があればその内また、な」

 

手をひらひらと振って帰っていく幸助。その後ろ姿を見て佐天は最初、闇へと消えて二度と会えないような感覚がしていたが、今は再びまた会えるとそう予感していた。

 

 

 

 

爆破や暴走ヒューマギアによってボロボロになったデパート内部に散らばったヒューマギアの破片を拾って清掃するアンチスキル達。その中で壊れたヒューマギアを見つめる男の姿があった。その瞳はどこか怒りに満ち溢れているような黒い瞳の奥で赤い輝きを放っていた。

 

「やはりヒューマギアは人類の敵……俺がぶっ潰してやる……!」

 

→次回 第四話 【新任教師は仮面ライダー 前編】




思いっきりライジングホッパーは狭いバス車内で機敏な動きしていた気がしますが……その辺りは原作よりもより、ピーキーということで。

次回ゴリライズ編、はじまります。
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