とある科学の電閃飛蝗《ライジングホッパー》 作:フォックス少佐
仮面ライダーゼロワンも終わり仮面ライダーセイバー。
映画を見たことによって再熱し、再び書かせていただきます。
なにとぞよろしくお願いいたします。
また、次回は【一七七支部の新たな仲間】となっていましたが変更してお送りいたします。
「どうしたもんか……」
初春飾利と名札に書かれた病室前で飛電或人は右手に花束、左手に差し入れを持って頭を抱えていた。目の前の病室には先日、学校の階段で足を滑らせて大怪我をしたという初春が入院している。彼女は少し抜けているような雰囲気を持っているが、根はしっかり者で階段から誤って落ちるなんてヘマをする子じゃ無い。だとしたら、最近自分がプログライズキーの調整などの仕事を多く頼んだせいで疲労が溜まり、足を滑らせたのではないだろうか。そう思うと扉に手をかける手がとても重く感じた。
「俺のせいだとしたらちゃんと謝らなきゃな」
彼女には仕事を頼みすぎた。それがきっかけで怪我をしたんだったら、ちゃんと謝らなくちゃならない。そう決めた或人はゆっくりと扉を開いた。すると――
「初春〜! 恥ずかしがってたら体拭けないでしょ〜!」
「や、やめてください佐天さん! 手の届くところは自分で拭けますから……?」
「あっ」
扉を開くと目の前には佐天が初春の体をタオルで拭いてあげている。そんな光景が広がっていた。思わず間抜けな声を上げた或人を初春が見つけた様で、その顔は真っ赤に染まっていき瞳からは大粒の涙が――
「いつまで間抜けな顔して、そこに突っ立てんよの! この変態!」
「天罰覿面ですのっ!!」
そして次の瞬間、御坂ちゃんと白井ちゃんの強烈な右ストレートと左ストレートが或人の顔面を直撃し、俺の視界は真っ赤に染め上げられた。
◆
あれから死ぬ程謝ってどうにか病室に入れてもらった或人は鼻血を止める為のテッシュを片手にお見舞いで持ってきたアイスケーキを頬張る初春達を眺めていた。
「う〜ん! このアイスケーキ美味しいです!」
「やっぱ夏はアイスが1番だよね〜」
「労働で疲弊した体に染み渡りますわ〜」
「アンタ、変態のくせにセンスは良いじゃない」
美味しそうに食べてくれるのはありがたいのだが、俺に変態のレッテルを定着されるのはやめてくれないかな。内心そんなことを思う或人は不注意で悪かった手前、口に出せず代わりに出てきたのは大きな溜息だった。
「それにしても初春、階段から誤って落ちるなんて気が緩んでいますのよ。風紀委員らしくもっと気を引き締めなさいな」
「あはは、すみません……」
「とか言って1番心配してたのは黒子じゃない。しかもアンタ、取り乱すあまりテレポートミスって派手に転んでたし」
「ち、ちがっ! お姉様、余計なことは言わないでくださいまし!」
黒子は顔を真っ赤にして反論しているが相当心配してたんだろうと或人は思った。何故ならこの病院に真っ先に駆けつけたのも黒子だと聞いてるし、その目の下には遅くまで初春を看病していた証である隈ができていたからだ。
「そもそも、私が此処にいち早く来たのは初春に調べて欲しいことがあるからですの!」
「調べて欲しい事、ですか?」
黒子は鞄から1枚の紙を取り出して初春の前に置いた。そこには顔写真とその人物のレベルと能力が記されていた。
「この前の銀行強盗に眉毛女、それにグラビトン事件の犯人……最近起こった事件当事者の全員のレベルと能力を記したリストですの」
「これがどうかしたんですか?」
「此処を見てくださいまし。最近起こった事件の犯人達は全てレベル2、異能力者ですの。でもこれまで起こった事件はとてもじゃありませんが、レベル2が起こせる事件の規模を超えていますのよ」
「本当ですね。短期間に力を急激につけた……って言うのは考え難いですし」
俺を含めた5人は頭を悩ませるが答えは一向に出てこない。すると何かを思いついた御坂が沈黙の中、口を開いた。
「そう言えば佐天さん、この前レベルアッパーとか言ってなかったっけ?」
「えっ、はい。でもレベルアッパーはあくまで都市伝説で本当に存在する訳じゃ」
レベルアッパー。初耳だった或人は佐天ちゃんに説明を受けた。レベルアッパーとは使用するだけで簡単に能力レベルが上がるという魔法のアイテムである。しかし、その形は噂によってバラバラであり、信憑性はかなり低い。だが短期間に能力レベルを上げるなど、それを使用しない限りは有り得ない話だ。
「佐天さん! その話、もっと詳しく聞かせてくださいですの!」
「えっ? えーっと、確かレベルアッパーはネット掲示板で取引場所を指定してお金で取引してるとか、なんとか……」
「その掲示板、もしかしてこのサイトのですか?」
初春の方を或人達が見ると既にレベルアッパーについて調べていたらしく、こちらにPC画面を見せる。するとそこには佐天の言っている掲示板らしきサイトが映っていた。
「この掲示板によればこれから1時間後に第一〇学区のこの座標で取引されるみたいです」
「でかしましたの初春! 早速、現場に向かいますの!」
そう言って黒子は急いで病室を出て行った。何故かその跡をつけて御坂も走って行ってしまった。あの2人だけで大丈夫だろうかと或人は少し不安になる。御坂は学園都市を誇るレベル5で何かあっても跳ね除ける力はあるだろう。だが或人の中では妙な胸騒ぎがしており、どうしてもいてもたってもいられなかった。
「うーん。ちょっと心配だから俺も言ってくるよ。お大事にね、初春ちゃん」
「あっ、はい。あっ! それとこのプログライズキーとゼロワンの新型武器、使えるようにしておきましたから持っていってください」
初春はそう言って或人にサメのロゴが入ったプログライズキーとアタッシュケース型の武器を手渡す。こんなになってまでプログライズキーの調整をしてくれていたのかと或人は感謝し、後でちゃんとお礼しなくちゃな。とそんなことを思いながら或人は黒子達の後を追って走り出した。
◆
「ここが第一〇学区か……随分と治安悪そうな場所だなぁ」
「おっしゃる通りここは学園都市で一番治安が悪いとされている場所ですわ。この辺りは人気が全くない上に廃墟が多いですから、あらゆる派閥のスキルアウトがアジトにしていますのよ」
「まさに違法な取引の場所には打って付けの場所って訳だ」
現場に着いた或人と黒子の二人は初春の出してくれた取引現場の座標をスマホで辿りながら歩きだす。
そして辺りを警戒しつつも歩くこと数分、座標のポイントである廃墟と化した研究所の中に入ると二人は手分けして取引現場を押さえるべく探索を始めた。
「それにしてもレベルアッパーか……そいつがこの前の爆破事件に関わっているなら今回の件も違法ROMが関わっているのかもしれないな」
或人は爆破事件の容疑者がヒューマギアハッキング用の違法ROMを使用していたことを思い出していた。
もしあの容疑者がレベルアッパーの使用者ならば、レベルアッパーに関する一連の事件と違法ROMを配っているであろう滅亡迅雷.netには接点があることは明白だ。これは滅亡迅雷.netに関する手掛かりを得るチャンス。絶対に取引現場を押さえなくてはならない。
或人は物音を立てず慎重に探索を進める。すると何やら怒鳴り声のような音が近くから聞こえてきた。その音を頼りに進むとやがて1室の部屋の前へたどり着いた。
物陰からその部屋の中を覗くとそこには数人のスキルアウトらしき人影と、深々とフードを被った怪しげな男が何やらもめているようだった。
「約束の金の倍払えだと!? 話が違うじゃねぇか! 」
「僕に言われてもねぇ。倍額取り立てて来いって無茶振りされた僕の身にもなってよ」
「ふざけんな! こっちが下手に出てればいい気になりやがって……! こっちはてめぇひとり半殺しにして奪い取るなんてわけねえんだぞ!」
フードの男を取り囲むように物陰からぞろぞろとスキルアウトが現れる。しかし、フードの男は物怖じすることなく懐から何かを取り出すと――
「それじゃ……交渉決裂だね」
その言葉と共に銃声が鳴り響く。するとフードの男の目の前に立っていたスキルアウトの1人は力なくその場に倒れた。そのあと何の躊躇もなしにまるで射的ゲームのようにスキルアウト達をその手に持った拳銃で撃ち始めた。
それを目の当たりにした或人はすぐさま現場を抑えようと部屋の中へ飛び出した。そしてすぐさまゼロワンドライバーを腰に装着すると変身してフードの男の背後に回り腕を掴んで後ろに回し拘束する。
「ったく! いきなり何の躊躇もなく人を撃つとかどうかしてるぞ、お前!」
「痛たた……君が噂のゼロワンか。何、僕たちのケンカの仲裁でもしてくれるのかな」
「ふざけるな! 人殺しといてケンカで済むと――ぐぁッ!?」
拘束する力を強めようとした途端、背後から強烈な衝撃。それにより力を緩めてしまったゼロワンの隙を見逃さないフードの男は拘束の手からすり抜けた。それと同時にフードの男はいつの間にか手元に持ったスイッチを押す。するとけたたましい爆発音が鳴り響き、地面が大きく揺れ始める。
「ぐっ、何だこの爆発! 建物が倒壊し始めてる……早く白井ちゃんを連れて脱出を――」
ゼロワンは腰につけているフライングファルコンプログライズキーで空へ飛び脱出を図ろうとするが……。
「な、無い!? まさか……!」
腰のホルダーに着けていたはずのプログライズキーがない。あのフードの男に取られたのではないかと不安がよぎるのも束の間、とうとう足場が崩壊してゼロワンは瓦礫に巻き込まれながら落下する。もうダメかとあきらめかけた時、ゼロワンの前に手が差し伸べられる。
「或人さん! 手を!」
「あ、ああ!」
◆
「はぁ……はぁ……危なかった。ナイスタイミングだよ、白井ちゃん」
「れ、礼には及びませんわ……それよりも何があったんですの?」
「それは、あいつ等に直接聞いたほうが早いんじゃないかな」
ゼロワンが目を向ける先、そこには先程のフードを深々と被った男とその隣には腰にプログライズキーが装着されたベルトを付けた【紫色の仮面ライダーの姿があった】。
「お前たちが滅亡迅雷.net……なのか?」
「ぴんぽーん! 正真正銘、僕たちが滅亡迅雷.netだよ」
「何故、ヒューマギアをハッキングするROMなんてバラまいてるんだ! ヒューマギアは人類の夢……悪用する奴は俺が許さない! 」
自分達が滅亡迅雷.netとあっさり暴露した彼等に対し、ゼロワンは真っ先に拘束しようと走り出す。
すると紫の仮面ライダーはその手に持った弓矢状の武器で迎撃を始めた。
「あはは、仮面ライダー同士の戦いなんてワクワクしちゃうよね~! それじゃ、僕も混ぜてもらおうかな」
「ぐっ……! なっ、それは!?」
紫のライダーに苦戦しているゼロワンが攻撃を受け吹き飛ばされると、その目に映ったのは自分が持っていたはずのフライングファルコンプログライズキーを持ったフードの男だった。
《ウィング!》
「……変身」
プログライズキーのボタンを押すと或人が見たこともないベルトに差し込み、その横に付いたレバーを引いた。
《フォースライズ!》
その瞬間に鉄の骨組みで出来たような鳥が現れると旋風を巻き起こし、ゼロワンと黒子の動きを止める。
そして鳥はその翼でフードの男を包み込むと、男の全身がピンク色のアンダースーツ姿になり鳥が弾けて装甲になりアンダースーツに装着された。
《フライングファルコン!Break down...》
「これだと二対一になって卑怯かな? その女の子は戦力にならなそうだし」
「あら、わたくしを仲間外れにしてもらっては困りますわ」
黒子がそう言ってここに来る前からずっと持っていたアタッシュケースを両手に持ち変形させ始めた。すると見る見るうちにアタッシュケースの見た目がショットガンに変わった。 そしてそのままそのショットガンをピンクの仮面ライダーに向けて放つと、見事に命中してピンクの仮面ライダーは吹き飛んで地面を転がった。
「わたくし、誰が相手でも手加減はしない主義ですの」
「痛てて……それはこっちの台詞の筈なんだけどな」
ピンクの仮面ライダーはそう言いながら起き上がり、背中に付いた翼を広げて飛び上りながら鉄の羽を飛ばして黒子に襲い掛かる。
黒子も負けじとテレポートで応戦する中、ゼロワンは紫のライダーに依然として苦戦していた。
「ROMを配ってお前たちは何をする気なんだ!」
「……人類の滅亡。それが我々、滅亡迅雷.net……アークの望みだ」
「人類の滅亡……そんなこと聞いたらなおさらお前たちを止めないといけないな!」
ゼロワンはバッタの跳躍力で一気に飛び上がると距離を取り、ここに来る前に初春から渡された新しいプログライズキーを取り出してボタンを押す。
《FANG!――オーソライズ》
プログライズキーをベルトに認証させると衛星から光の柱が現れ、その光が差した地面からサメの鰭が現れ紫の仮面ライダーの方へ向かっていくと飛び上がり尾鰭で攻撃して紫の仮面ライダーを吹き飛ばした。すぐさまゼロワンの方へ戻っていくと再び飛び上がり、全身が弾けると装甲となりゼロワンの身に装着される。
《キリキリバイ!キリキリバイ!バイティングシャーク!
"Fangs that can chomp through concrete."》
「その野望、俺がスパッと切り裂いてやるぜ!」
その決め台詞と共にゼロワンはまるで地面が水面になったように潜り込むと、地中を泳ぎながらその腕に付いた鋭利な鰭で紫の仮面ライダーを攻撃し始めた。
これにより防戦一方だったゼロワンも紫の仮面ライダー相手に優勢的になっていた。その頃、連続テレポートとアタッシュショットガンによって空中戦を繰り広げていた黒子だったが相手は全身武装をした超人、仮面ライダー。長くは持つはずもなく、演算中の隙を突かれ続け劣勢になっている。その光景を目の当たりにしたゼロワンはピンクの仮面ライダーへ向かって空中へ飛び上がり、ベルトのプログライズキーを押し込んだ。
《バイティングインパクト!》
「っ! ぐあっ……!」
その必殺技は見事に命中し、ピンクの仮面ライダーは空中から地上へと落下する。しかし滅亡迅雷.netの二人組も負けじと反撃。紫の仮面ライダーは腰から取り出した緑のプログライズキーを弓矢に差し込んでゼロワンへ向かってエネルギーを纏った矢を撃ち込んだ。
《アメイジングカバンシュート!》
「或人さん!!」
その矢はゼロワンの脇腹を貫き、背後の建物を破壊した。その一撃によって空中で変身が解除された或人は地面へ落下しそうになるが、黒子がテレポートで瞬時に駆け付けることで危機を免れた。
「痛っ~……! この、よくもやった「待て、迅」滅……なんだよ!?」
「ここは一旦引くぞ。これ以上やればアンチスキルに嗅ぎつかれて面倒だ」
「ちぇ……それじゃあまたね。ゼロワン、じゃじゃ馬娘ちゃん」
ピンクの仮面ライダーが翼を翻すと紫のライダーを連れて空へと消えていった。或人はそれを必死で追いかけようとするが血がにじんだ脇腹の痛みでその場に倒れこむ。
「誰がじゃじゃ馬娘ですの!!……まったく、逃げられてしましましたわ。ほら、或人さんも早く立って帰りますわよ。早くこのことを本部に知らせなくてはなりませんし」
「っ――! 白井ちゃん俺、結構重症だと思うんだけど……冷たくない?」
「あら、ジャッジメントではその程度の傷日常茶飯事ですのよ。いちいち反応してられませんわ」
「し、白井ちゃんの対応がブラック……黒子ちゃんだけに……」
「そんなシャレ言ってる余裕があるなら唾つけてれば治りますわ」
「くぅ~……! 初春ちゃんとの格差を感じるなぁ~」
或人は黒子に肩も貸してもらえずとぼとぼと痛みに耐えながら一七七支部へ戻るのだった。
そしてその頃、学園都市で唯一封鎖された二四学区地下では耳部のパーツが真っ赤に光るヒューマギアが何十体、何百体と列をなしていた。
「人類滅亡の時は近い……すべてはアークの意思のままに」
→次回 第七話 【不破先生の社会科見学、アイツも仮面ライダー!?】
せっかくなので今回の小説のどのワンシーンを挿絵にするかアンケートを取りたいと思います。
これからは挿絵の製作期間の都合上、後乗せで挿絵付けたいと思います。
また漫画形式ではなく、アニメワンシーン風の挿絵へと変更です。
この話の挿絵となるワンシーンは?
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或人、病室顔面パンチ
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迅VS黒子
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バイティングシャーク変身