ヒロアカ~俺の正義の名のもとに~   作:むらびとα

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プロローグ&退院

まず目を覚ました時にいた場所は病院で、初めに声をかけてきた女性は母親だということがわかった

 

 

そして俺の体が小さくなっていた

 

しかも包帯ぐるぐる巻き

 

だがここで疑問に思うのは何故死んだはずの俺が他人の体で生きているのか

 

母親だと名乗る女性に複数の口があるのかだ

 

あの高さからの飛び降りで臓器が無事なわけないし、仮に無事でその臓器が脳や重要な器官に関わり一時的な混乱かもしれない

 

だけど女性の複数の口の説明がつかない

 

当たりを見回す限り文明が発達した証拠に、高級感溢れる個室だ

 

これだけの状況であの女性の話題が世間に出ていないわけが無い

 

目覚めたのが数年後か、それとも・・・

 

 

 

つまり、まさかの異世界転生?

 

いや、この場合は憑依か

 

 

とりあえず記憶喪失ということにしておこう

 

 

 

 

「あの、あなたは??」

 

 

俺の言葉に驚愕を覚えたのだろう、両目を大きく開き複数の口のはぱくぱくしている

 

 

「と、ばみ?なにをいっているの・・・?」

 

 

「とばみってぼくのことですか?」

 

 

女性は直ぐにナースコールを押し、医師と看護師を呼んだ

 

 

 

 

その後の説明によると俺の名前は口多 吐喰といい5歳らしい

 

生死の境を彷徨い、目覚めたのは奇跡らしい

 

また女性(母親)は口多 蓮といい、父親は亜空という名前で両親共に『ヒーロー』をしているらしい

 

そう、『ヒーロー』である

 

異世界憑依という時点で色々な考えをめぐらせていたが、この不自然な口、整った医療設備

 

 

ヒロアカやん

 

 

そりゃ口がいっぱいあっても不自然じゃないよなぁ

 

つか、ヒロアカの世界の住人に憑依をしたのも衝撃だが、この身体の持ち主が病院に運ばれた理由も衝撃だった

 

 

自殺しようとしたのだ

 

 

この身体にも母親と同じ個性が発現しており、その見た目、勝手に喋り出すなど

 

まぁ虐められる対象にはなるだろうし、5歳の少年には耐えられない苦痛だっただろう

 

この子は賢かったようで拙い文字で遺書を作り『次があるなら』と書き、飛び降り自殺をしたようだ

 

 

 

多くの不幸、来世、俺が飛び降りた時に思い出した『ワンチャンダイブ』

 

 

何となく繋がった気がした

 

 

俺は世界が間違っていると思い、自由に生きたいと願った

 

そしてヒロアカという(個性にもよるが)自由をつかみ取れる世界に来た

 

 

ならばこの身体を、この少年の分まで生き抜いてみよう

 

前世のようにならないように

 

そう心に決めた時病室のドアが激しい音を立てて開いた

 

 

 

 

「吐喰は!!!!!!!」

 

 

かなりガタイのいい男が入ってきた

 

流れ的には父親だろう

 

 

「ちょっとあなた!吐喰は目が覚めたばかりで、それに記憶も・・・」

 

 

やはり記憶という言葉を聞くと誰もが口を紡ぐのだろう

 

 

「蓮、少し外で話そう」

 

 

「はい、あなた。吐喰、ちょっとお父さんと話してくるからいい子で待っててくれる?」

 

 

そう訪ねてくる母に

 

 

「うん!待ってるね!」

 

 

元気よくそう答えた

 

 

 

〜親子side〜

 

 

「あなた、少し落ち着いて聞いてね」

 

そう言った蓮の表情は憔悴しきっており、複数の口からは「なんでなんで」と繰り返し呟かれていた

 

 

蓮は息子が記憶喪失だということを伝えた

 

元から遺書は見つかっており、目覚めるのは絶望的だと言われていた

 

不幸中の幸いだと言えるかもしれない

 

だが、もっと早く自分たちが気づいていればという思いが止まらなかった

 

 

「そ、うか。吐喰が記憶喪失か・・・」

 

亜空の表情も晴れない

 

目覚めたことの喜びはもちろんあるが、自分たちのことを一切覚えてないとなるとその喜びも最高とは言えない

 

 

「ねぇ、あなた。私間違っていたのかしら、あの子のことをもっとしっかり見ていれば、」

 

 

「そんなことはない!蓮は吐喰のことを愛している。そのことは俺もよく知っている!だからそんなことを言わないでくれ。間違っているなら俺の方だ。ヒーローと名乗っておきながら自分の息子を救えなかったのだから」

 

 

亜空の顔は歪んでいた

 

ヒーローというのは人々を救う英雄である

 

かのNo.1ヒーロー、オールマイトを目指し自分なりに最善を尽くしていた気でいた

 

だが、そんなことは無かった

 

 

 

吐喰は4歳で既に個性が発現しており、蓮の個性と自らの個性のハイブリットであった

 

蓮の個性は体に無数にちらばっている口から空気や水、岩など様々なものを喰らい、その口から任意の速度で射出する

 

体の口を一箇所に集め大砲のようなことも出来る

 

デメリットとしては喰らった物を収納するスペースが少ない

 

また見た目と、『口』という体の一部のせいか、本心を勝手に喋りだしてしまう

 

何年にも重ねることで、ある程度は抑えることが出来る

 

しかし吐喰は口が体に無数にちらばっているのに話し出すことは無かった

 

 

 

 

それはきっと俺の個性が混ざったせいだろう

 

俺の個性は収納

 

触ったもの目で見たもの、認識したものを強く意識することで亜空間に収納するもの

 

それは有機物無機物関係なく、更には生きたものですら収納できる

 

容量は鍛えることで少しづつ増えていくが、容量オーバーになると自らの体の一部、あるいは体が弾け飛び収納していたものもその場で飛び出してしまう

 

ハイリスクハイリターンの個性だ

 

 

吐喰の個性は見た目と収納のデメリットを除けば、超強力個性だ

 

俺の個性と蓮の個性を一つにしたようなもので対ヴィランにも、人命救助にも使える個性だ

 

 

俺たちは一部でしか行われていない個性婚で夫婦になった

 

まぁ、個性婚と言ってもお互い愛し合っているし、息子のことも愛している

 

だがお互いがヒーローという職業のため吐喰のことを見れない日も多くあった

 

あの子は大人しくそれでいて賢かった

 

個性が発現してからというもの、その個性の危険性や有用性を理解し、私たちと同じヒーローを目指すため個性を鍛えていた

 

そんな日常だったからだろう

 

吐喰の異変に気づけなかったのは

 

 

 

「ヒーローと言うなら私もよ。ねぇあなた、私決めたの。ヒーローを引退するわ」

 

 

その言葉を聞いた亜空は驚きもせず納得だけしていた

そうしなければならない。それは人としてでもあるが、親としての責務だ。そしてヒーローには常に危険が伴う。ならば俺よりも蓮が引退したほうがいいだろう。

 

 

「その方がいいだろう。本当は俺も引退したいところだがな」

 

 

「あなたは引退しちゃダメ。あなたの活動で救われた人は数え切れないわ。吐喰のことは私に任せて。今度は私が吐喰のヒーローになるから」

 

 

そう蓮は悲しそうな、そして決意に満ちた表情でそう言った

 

 

 

〜両親sideout〜

 

 

 

 

両親が病室を出たあと、激しい頭痛に襲われた

 

「、ぐぁ、。な、んだこれ」

 

まともに話せない

 

流れ込んでくるこの身体持ち主の記憶

 

両親のこと、個性、自殺する原因、最後の悲しみ

 

 

「そう、か。この子は」

 

 

色々と納得がいった

 

この子は賢いが故に自殺という手段をとったのだろ

 

両親に愛されていることは分かっていたが、両親が共にヒーローということで会えない日も多かった

 

だが、それでも両親のことは誇らしかった

 

だから自分もヒーローに成りたいと努力した

 

だが、この見た目だ

同世代の子はヴィランだとはやし立てた

傷つきながらも努力を辞めなかった

だけど、まだ5歳だ

周りから孤立し続けるのは耐えられなかったのだろう

日々ヒーローとして何人もの人を助ける両親に相談できなかった

自分のために時間を使ってしまうと、その分救える人が減ってしまうと理解していたから

 

だから自殺してしまった

 

 

本来この身体はこのまま朽ちていったはずだが、何の因果か俺がこの身体の持ち主に変わった

 

だから俺が・・・

 

 

そこで病室の扉が開いた

 

 

 

 

「初めまして、かな?俺はお前の父さんのあくうって言うんだ。」

 

 

ガタイがいいくせに顔は今にも泣きそうだ

 

 

「吐喰、さっきお母さんとお父さんのことお話したでしょう?」

 

 

「うん!お母さんとお父さんはヒーローをしてて、たくさんの人を助けてるんでしょ!」

 

 

この子の思いを知っているからこそそう応えた

 

これでも一応中身は成人間際だ

 

両親のどちらかがヒーローを辞めるって言い出すことくらい想像がつく

 

 

「あのね、お母さんね、ヒーローを一旦やめようと思うの」

 

 

ほら、やっぱりだ

 

 

「え!?なんで!???お母さんはいろんな人を助けるすごい人なのに!」

 

 

その言葉を聞いて母は動揺したようだ

 

でも、決意は変わらない表情をしていた

 

その顔を見て説得するのをやめようと思った

 

きっとその考えは変えられないと直感したからだ

 

 

「お母さんね、今度は吐喰と一緒にいたいの。だめかな?」

 

 

 

「そんなことないよ!嬉しいけど、ヒーローは?」

 

 

そこで父さんが口を挟んだ

 

 

「そこは父さんの俺に任せておけ!お母さんの分までいっぱい人を助けるから!」

 

 

こちらも覆せない気持ちが籠った言葉と表情をしていた

 

 

「お母さん、お父さん。ぼくうれしいな。少しだけだけど、さみしいって気持ちがなくなった感じがするの」

 

 

その言葉に両親は記憶が戻ったのかとおもったのだろう

 

 

「吐喰、記憶が?」

 

 

「ううん、思い出せないけど、一緒にいてくれるって嬉しいなって思ったの」

 

 

その言葉に両親は涙した

その言葉がどれだけ重いものなのか

親になったことがない俺にはわからないが、なんとなく想像がつく

この言葉のせいで両親は少なからず傷ついてしまっただろう。

でも言わなければならないことだと俺は思った。

この身体の持ち主の思いを少しでも晴らすために

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから検査を受け、問題がないと判断され自宅へと戻った

 

 

 

 

久しぶり(初めて)にこの目で見た実家は凄まじく大きかった

 




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