ヒロアカ~俺の正義の名のもとに~   作:むらびとα

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個性訓練と家族愛

原作主人公『緑谷 出久』と同年代と知ってから一ヵ月。

 

俺は自分の個性を鍛えていた。

もちろん勉強の方は疎かにしていないが、内容が単純すぎて困ってしまった。逆にこの問題をどう間違えようかということに頭を使った。

母さんがヒーローを引退してからというのも俺にべったりで、勉強の方も個性の鍛錬も、俺の好きな料理と甘やかされているというか何というか。

前世でもこんなに愛情を注いでもらったことはない。

 

心の中で母さんに感謝した。

 

 

個性の鍛錬の話に戻ろう。

俺の個性は母さんと父さんの個性を丸々引き継いだかのような個性だ。

ハイリスクハイリターン。この一言にかける。

 

まず任意の速度で体の中に取り込んだものを射出でき、取り込むときでさえ触った、視認、認識したものを取り込める。ここまで聞くともはやチートだ。

 

だがその分リスクも大きい。身体中に散らばる口については、まだ慣れないものの特に悪さをするものではないから気にしないことにする。

 

問題は次だ。父さんの個性『収納』。母さんの場合よくよく話を聞くと触れているものしか身体にとどめておけないためさして問題じゃない。

 

だけど父さんの個性の視認、認識したものとはいったいどこまでが範囲になるのかわからない。

例えば10メートル先の岩を収納しようとしたとき、正面から見た部分だけを収納するのか、それともそれそのものを収納してしまうのかだ。

 

父さんによるとその岩の周辺にある空気を強く認識し、岩の大きさを把握して、許容内上限の場合収納するそうだ。

 

「どれだけ訓練したらそれができるんだよ」

思わずそう呟いてしまった。

 

しかし地面に埋まっている場合、先に周囲の土を収納してからじゃないと無理だと言っていた。

まぁそれも当然だろう。許容オーバーになった場合、身体が爆散するらしいからな。

 

ちなみに収納許容範囲の鍛え方、オーバーしそうになった予兆としては、爆散する箇所にい裂傷ができるらしい。

 

とりあえずは個性メインの生活を送っていこうと思う。

 

 

 

やはり父さんの個性の有用性を考えると、なかなか帰宅することは難しい。災害における人命救助、ヴィランとの対峙。他のヒーローとの連携。連携においても父さんの個性上、綿密に相談する必要が少ない。

 

一度だけ個性の訓練を見てもらったが、常に母さんの監視が入るようになり、今までよりゆっくりとしたペースで行うしかないようだ。

 

「いいか吐喰。父さんの個性はすごく扱いが難しい個性だ。取り込んだものが万が一、自分の取り込めるものよりも大きい場合、それが少しでも大きかったら身体に傷ができるし、五歳のお前には難しいかもしれないが最悪死んでしまうこともある。だから個性の訓練を行う際は父さんか母さんのいるところじゃないとしてはいけない。わかったか?」

 

「うん。お母さんも見ててくれるし、ヒーローになる前に死んじゃったらたくさんの人たちを助けられないもんね!

でもお父さんの腕にはいっぱい傷跡があるけど大丈夫なの?」

 

父さんは自らの腕を見て

「はは、吐喰に注意したのに恥ずかしいところを見られてしまったな。お父さんも昔はいろいろ無茶をして大変な時があったんだ。でも、そのおかげで今ヒーローとして活動できている。吐喰の場合はまだ五歳だから焦っちゃだめだぞ」

 

母さんも父さんの腕を見た後に俺の目を見てこう言った。

 

「そうね。お父さんは無茶ばっかりだけどかっこいいヒーローなの。吐喰もお父さんみたいなヒーローになりたいでしょ?」

 

「うん!」

 

「ならお父さんとの約束をしっかり守らないとね」

 

そういってその日は二人に指導してもらいながら訓練を行った。

 

 

 

 

自分の個性の可能性について改めて考えてみた。

 

自分なりの解釈だが許容オーバーの時、裂傷ができると言っていた。

 

つまり裂傷もしくは爆散する前に収納したものを、傷ができるスピードよりも速く出せばいいのではないのかと。

また視認で取り込む際には母さんの個性の喰らうという一面を応用して、限定的に取り込めるのではないか。

これは早いうちに検証したいところだ。

 

 

 

 

 

 

その後の訓練で分かったことだが、俺の考えは間違っていなかった。

 

しかしその難しさを考えていなかった。

まだ訓練を開始した直後に、射出スピードや視認したところに母さんの個性を発現させて取り込む。そんなのいきなりは無理だった。

 

よくよく考えればわかることだったが個性の有用性と、早く扱えるようになりたいという気持ちが強く間違った選択をしてしまった。

 

母さんが少し目を離したすきに訓練場の壁に検証を行ったところ、右腕の指先から罅が入るように肩先まで大きくなった裂傷を負ってしまった。

瞬間的に体が反応したおかげか、取り込んだものは勢いよく身体から排出され、壁に当たり大きく音が鳴った。

そのおかげか母さんがこちらを向き急いで応急処置をしてもらい病院へと搬送された。

傷はだいぶ深かったようで母さんが側にいなかったら、出血死しているところだと言われた。

 

そして何より俺が間違ったと思ったのは、母さんを泣かせてしまった。

 

「とばみ、」

母さんは俺の名前を呼び抱きしめながら大粒の涙を流していた。

 

母親に泣かれるという経験が今までなかった。

前世では家族であったがここまでの愛はなかった。

抱きしめられることもなかった。

こんな風に心配されることもなかった。

 

「ごめ、んなさ、い!」

気づけば俺も泣いていた。

大切な人に泣かれること。そんなのは今までの経験で初めてだった。

憑依した時とは別に、自らの行いのせいで泣かせてしまった。

罪悪感とかそういうことを感じる暇もなく、涙が流れていた。

 

 

 

ヒーロー活動から帰ってきた父さんには拳骨を食らった。

 

痛かった。でも何より心が痛かった。

 

父さんも目に涙を浮かべ大きな身体で俺のことを抱きしめ「無事でよかった」といっていた。

 

この個性は使用方法を間違えれば一瞬で死んでしまう個性だ。その危険性を誰よりも知っている父さんだからこそ、裂傷だけで済んだことに安堵していての発言だろう。

 

 

 

 

 

俺は家族の愛を知った。

知ったつもりでいたことが今日確信に変わった。

前世で求めていた家族愛がすぐ近くにあったことが分かった。

俺はこの愛を何よりも大切にしよう。

 




誤字の報告ありがとうございます

今回も短いですが読んでもらってありがとうございます!
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